長嶋有のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
帯の惹句がとても的確。曰く「家電製品を軸に、作品世界を解き明かす斬新かつ珍妙な書評エッセイ」。
長嶋有については『猛スピードで母は』を読んだもののピンとくるものがなかったので以来手にとることなかったのだが、Twitterでこの『電化文学列伝』の好評を見かけて目を通してみたら何これイイと目を白黒させてしまった。
あとがきで豊崎由美がこれまた的確に紹介しているけど、背景小物にすぎない電化製品をレンズにするという縛りのなかで、決して牽強付会にならず、今まで誰も指摘していない作者の魅力を浮かび上がらせ、それでいて、言われてみると確かに納得の作品評になっているという奇跡のような技。
どれもよかったけど、 -
Posted by ブクログ
単純に装丁買いで。
うまく説明できないんだけど、今年1番のヒット。
地の文の投げやりな丁寧さに惹きつけられてしまった。
散らされた鍵括弧が、波紋みたいに、地の文に余韻を広げてる。
長嶋さんの小説ってこんな感じだったろうか。
あんまり、比較とかはしちゃいけないんだろうけど、少し大崎さんの小説の空気に似ていて、逆に相違が際立って、勝手に世界が広がっていく感じがした。
わたしは多分、こういう主人公が好きだし、こういう女性の描かれ方が好きだし、螺旋階段や繰り返されるモチーフが好きだ。
このくらいの軽さも、このくらいの深さも。
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あとあれです、解説がすげーよかった。 -
Posted by ブクログ
うまいしおもしろい。
長嶋有という作者は強烈なインパクトのある話を書くわけではないけれど、なんかあの作家すきなんだよね、と私の頭に必ず浮かぶ。
この短篇集はそんな作者の長所が盛り込まれている。
まず、説明が少ないところが好き。
情景描写だったり登場人物たちの輪郭からじわじわと話の核を攻めてくる。
そして最終的に読者に不明瞭な点を残さない。
2人の姉と引きこもりの弟の奇妙な話を描いた『夜のあぐら』では特に、そう思った。話の組み立て方のうまさが際立っている。
また、人間の描き方がとてもリアルで、急に気が変わったりする。このキャラクターはこういう人だから、とかそういうセセコマシサが