長嶋有のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
帯の惹句がとても的確。曰く「家電製品を軸に、作品世界を解き明かす斬新かつ珍妙な書評エッセイ」。
長嶋有については『猛スピードで母は』を読んだもののピンとくるものがなかったので以来手にとることなかったのだが、Twitterでこの『電化文学列伝』の好評を見かけて目を通してみたら何これイイと目を白黒させてしまった。
あとがきで豊崎由美がこれまた的確に紹介しているけど、背景小物にすぎない電化製品をレンズにするという縛りのなかで、決して牽強付会にならず、今まで誰も指摘していない作者の魅力を浮かび上がらせ、それでいて、言われてみると確かに納得の作品評になっているという奇跡のような技。
どれもよかったけど、私の印象に残ったのは、小川洋子の『博士の愛した数式』のアイロン。作家が言葉を紡いで作品を丁寧に作り上げていく過程と、最低限の衣食住の少し先にあって、家電製品のなかでは操作する人の能動的な関わりが比較的多いという特性をぴたりと小川洋子とその作品に見立ててみせる。
こういう視点を持つと、同じ小説を読んでもその味わいが何倍にも深くなる。作品世界の奥行きが幾重にも広がる。そういう意味でもいいブックガイドというか読書ガイドになっている。オススメ。