長嶋有のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
こういう何でもないひとの平凡な日々を丹念に書く作品は読み手のメンタリティと嗜好にかなりの部分左右されると思う。
今回はそれが合致していてすごく好きな雰囲気だった。
裏表紙のあらすじほど恋人の別れ感は薄く、特に終盤まではお仕事小説の色合いが強い。
埼玉にあるメーカー子会社の物流会社に転職した主人公。
働いていない恋人とふたり暮らし。
同僚の女性社員は実家通いで給料はおこずかいに遣ってしまうような子ばかりで、なんとなく空気が違う。
些細な出来事を積み上げて、だんだん親しくなっていくという描写が優しい。
物語自体も、事件やで変化により動きがあるので冗長さもなかった。
主人公がどういう性格なのかあえ -
Posted by ブクログ
そんなに可愛いとか思ったこともない女性に、いきなり告白めいた事を言われて、急にゾワッとしたって感じ。
泣かない、淡々とした女が見せた最後。
本当に淡々としていて、田舎の町にあまり考えもなく来てとりあえず仕事して…
一緒に住んでいる人はいるものの、特筆するほど出てこない登場人物の一人で。
そんな生活にもちゃんとドラマがある。大手の下請け工場でも、静かにも激しい感情の揺さぶりは起こる。それはとても当たり前の事なんだけど、作者の切り口がほんの少しのほころび程度の感情の描き方なので、最後の鮮明な描写にハッとさせられ、呼吸を乱される。
元社長の入院の後、奥さん綺麗でしたねの一言で和む場面。ちゃんと君はム -
Posted by ブクログ
【本の内容】
隣家の女の子を押しつけられたり、実家の金庫を盗みに行くはめになったり。
人生には、そんな日がめぐってくるのだ。
話題の芥川賞作家、待望の最新短篇集。
[ 目次 ]
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長嶋有さんと川上弘美さんは似ている(もちろん作風がですよ。外見は似ていない)。
と、思う。
ご賛同いただけるでしょうか。
以前川上さんの小説が「俳味がある」と表現されているのを目にした覚えがあるのだが、言い得て妙だわと膝を打った覚えがある(長嶋さんも川上さんも俳句を詠まれるとのことだし)。
解説に「長嶋本のなかでもっともいい」と書かれた本書だが、私もすごく主人公たちに共感した。
彼ら -
Posted by ブクログ
よろず扱う骨董屋「フラココ屋」に集うふつうの人たちの、ふつうの日々。
それが小説家の手に掛かれば、こんなに面白くて、こんなに愛おしいものになってしまう。
それぞれ中心となる人物を入れ替えた6(+1)編からなる連作短編集。骨董屋の2階から定点観測された彼らはふつうのようで、でもどこか変わっているところもあって、それがとても魅力的に目に映る。
本を読みながら私は実際に彼らに出逢い、フラココ屋の店先でお茶を飲み、夕子ちゃんに連れられて近道を辿り、朝子さんの卒業制作を眺めた。瑞枝さんの原付の音を聞いた。
まるで彼らのことが「前から分かっていた」みたいに、身近に感じた。幸福な読書体験だった。