長嶋有のレビュー一覧
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これ凄い好き。
私なんか全然本読んでないなーって思った。
若林さんがそもそも繋がっている、なんなら飲み仲間作家さんとの鼎談から始まって。初めましての作家さんも登壇してくるんだけどこんな会話繋がって凄いなー掘り下げてるなー面白いなーってのが連続するんだから。
タイムリーにみたかったなー。もっと対談して欲しい作家さんいるなー。私が好きな作家さんの本がお勧めされてて嬉しいなー。
もう紹介されてる本片っ端から全部読みたいっ!!すべての回でその時話題に上がったテーマでお勧めの本を作家さんが紹介するんだが、これが垂涎なんです。紹介の仕方にも唸る、だってどれもこれもすっごく読みたくなる。
沢山の本 -
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Posted by ブクログ
▪️サイドカーに犬
洋子さんが薫に「私の脚さわってみる?」と聞くシーンが好きだ。寂しさや怖さを紛らわせるために抱きつく場合を除いて、子供が大人に触れることは何かタブーのような気が当時はしていた。少なくとも大人の脚に触れた記憶は自分にはない。(忘れているだけかも知れないが)
脚に触れるとき、きっと薫はドキドキしたであろう。大人ってこうなんだと。大人ってかたいんだと。脳内にある大人という存在に感触が加わることは薫の世界を広げてくれたであろう。
ヤマシタトモコさんの『違国日記』(漫画)を読んだ際にも感じたが、ルールは大人から与えられるものではなく自分で決めていいものなのだ。大人なんて実は大したこと -
Posted by ブクログ
アナログ世代にはわかりずらいかも知れない内容だけれど、長嶋有先生の芯は私もやっぱり同じなのかも!と思わずにいられない。
あらゆる場面での言葉の選び方、感情表現の仕方が丁寧でこちらも丁寧に読み込んでしまう。連作短編集なのかも、という形を取ってはいるけれど全て繋がっていることに意味があり、登場人物たちも笑っちゃうほどイキイキしている。うっかりそこいらへんですれ違ったらわからないけど、彼らの会話を聞いたりしたら十年来の友人を装って声かけてしまいそう。
専門用語わからないにしても、雰囲気だけはわかったつもりになって相槌打つ自分が見える気がする。笑われそうだけど。
毎回、新刊のたびにベクトルの向き方が -
Posted by ブクログ
『サイドカーに犬』と『猛スピードで母は』の2編
個人的には前者の方が好みなのでそちらについて感想を書きたい。
ドイツ製のライトは洋子さんの芯の通った1人の女性を体現するアイテムだったと思う。
洋子さんと私の一夏の関係を描いた作品だったが洋子さんの存在が現在の私にどう影響し最後の「そろそろ」とは何を指すのか。
恐らくこの期を逃せば、私は独り立ちのできない理想をいえば洋子さんのような女性にはなれないのだろう。母のハンドバックを借りたと言う描写から未だに親離れしていと考える。
偽装硬貨が夏休みの終わりを知らせるベルというのは粋で最高のオチであった。
この作品は夏休みという限られた期間、無駄の -
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男の子をもつ父と母。特に何にも事件があるわけじゃなく(あっても完全なる傍観者)、悩みや困難や痛みがあるわけじゃなく(あっても日々の雑事)、将来への希望や不安があるわけじゃなく(あってもやっぱり日々の雑事)、つまり、どこにでもある日常の生活の繰り返しをただ切り取って描いているだけなのに、
長嶋先生の手にかかると小説になる。
ほのぼのとも違うし、まったり、という言葉とも一味違う。この大きなマンションの隣ではなく違う棟に私も住んで時々これからもこのご家族と世間話をしたい気になる。
「あらぁコースケちゃん、今度小学校なのね〜」
『舟』こちらも普通の女子高生の何でもない日常。
なのに、この短編小説も長 -
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本気が感じられるアンソロジーだ。全編、妥協がない。絶対に楽しい。
「地獄のアロハ」には、池田貴族など、早逝した友人たちをモデルにした人物が出てくる。オーケンの昔のエッセイをよく読んでその時代の空気感に憧れていた90年代生まれのわたしは、ホロリときた。そして後半のカオスにオーケンやっぱり天才か…と。
「なまはげ」には東北の寒さと閉塞した雰囲気にちょっぴりの優しさ(情けかも)を加えた味わいが。
「超自然現象」には圧倒される。人間椅子と文芸を好きでいたおかげで、今日もまた新たな興奮と刺激と出逢うことができました。物語は様式美的なカタストロフィ。
「遺言状放送」を読む前に、作者の長嶋さんが芥川賞を取 -
Posted by ブクログ
とある古アパートの一室の、歴代住人たちの日常を切り取った短編集。
って書くとめちゃくちゃありきたりなんだけど、同じ章の中でも時代が目まぐるしく前後して、歴代住人たちのエピソードが入り組みながら、パズルのピースのように少しずつ展開されていく。
読み味は軽いのに、全体像は緻密に組み立てられているというアンバランスさ。
実はめちゃくちゃテクニカルなことをしてるんじゃないだろうか。長嶋有恐るべし。
大きな謎や事件が起こるわけではないので、そのあたりに話の推進力を求める人には退屈に感じるのも分かる。
ふと他人の家の中が見えてしまった瞬間に、「こんな生活してんのかな〜」なんて、つい考えてしまう自分に