感情タグBEST3
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ミニトマトを添えて、育ち盛りの子に野菜を与えているアリバイにする、ということ。
どこに住んでもいいしここには住みたくない、という無限大の自由が、我々を軽やかにしているわけではない、ということ。
ささるわ〜。めっちゃわかる。
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男の子をもつ父と母。特に何にも事件があるわけじゃなく(あっても完全なる傍観者)、悩みや困難や痛みがあるわけじゃなく(あっても日々の雑事)、将来への希望や不安があるわけじゃなく(あってもやっぱり日々の雑事)、つまり、どこにでもある日常の生活の繰り返しをただ切り取って描いているだけなのに、
長嶋先生の手にかかると小説になる。
ほのぼのとも違うし、まったり、という言葉とも一味違う。この大きなマンションの隣ではなく違う棟に私も住んで時々これからもこのご家族と世間話をしたい気になる。
「あらぁコースケちゃん、今度小学校なのね〜」
『舟』こちらも普通の女子高生の何でもない日常。
なのに、この短編小説も長嶋先生らしさに満たされている。言葉の選び方やつまらない(?)面白さをみつけるのが絶妙!
図らずも自分自身の高校生時代に逆戻りして、友人の日記帳を見ちゃた感じ。そこに世代間のジェネレーションは感じるが(笑)
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久しぶりの長嶋さん、随分楽しめました。
中編「トゥデイズ」と短編「舟」の2編。
「トゥデイズ」はちょっと古いけど大きなマンション群に暮らす一家を描いた作品。冒頭が同じ棟で起きた飛び降り自殺という不穏なスタートですが、やんっちゃ盛りの5歳の息子を見守るごく普通の夫婦の日常を描いた作品です。
長嶋さんらしく、特に何か大きな事件など起こるわけでは無いのですが、読むにつれどんどん引き込まれて行きます。同じように大きなマンション群に住み2歳の息子を育てている娘夫婦のことなど思い出しながら、「そうだよな~」「そうなんだろうな~」と思いつつ読み終えました。
一方「舟」はコロナ下で歯列矯正に通う女子高校生の恋とも言えないような淡いときめきを描いた作品です。やや古風なタイプにも思えますが、多分普通の女の子ってこんなものなのかな。なんかホッとする短編でした。
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大きな出来事が起きるわけではないけれどなんてことない、でも味わいのある人々の生活を書くのが本当に上手い。
くだらないことも重要なことも同じ頭で考えていると思うと人間って愛おしいなとしみじみ思い、クスッと笑いながらもなぜか同時に少し泣きそうにもなる。
そんな物語。
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おもしろい!似たような状況あるあるってところがいくつもあって、最後まで気になる。
ねかしつけのくだりなどは、よくこんなに言えて妙な描写ができるなぁと、羨ましくおもった。この言語化力で、日記をつけられたら、読み返しても楽しめる日記が書けるだろうなぁ。日記続いたことないけど。
読み終えるのがもったいなくて、いつまでも続きを読んでいたいって思いながら、大切に読んでます。
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中編「トゥデイズ」と短編「舟」。どちらも良かった。3.5。
前作「ルーティーンズ」に続き「ズ」がつくのも、何か意図があるのか。
「トゥデイズ」はマンションで起きた飛び降り事件をきっかけに、何かが起きる、、、ことはなくそれぞれの日常が淡々とユーモラスに進んでいって、でも、小さな一つ一つの出来事は少しづつ生活に影響を与えてるような、いないような、という作者の真骨頂。それにしても今回は何も起きな過ぎな気もするけど。
「Battery Low」とか「ゴアテックス」とか日常に聞く言葉もちゃんと立ち止まると楽しいということを毎回ながら再認識させられる。
「ゴアテックスというドスの利いた呼び名のその素材にも信をおいた」とか、
寝かしつけのときに「寝ないと朝が来ないよ」と言うのも素敵だと思った。
今回も「要約では意味がない、とにかく全部読まないと良さがわからない、読んでも時々わからない」、という素晴らしい体験が出来た。再読したい。
「舟」は「水平リーベ、僕の舟」というなんだか「言いたい」フレーズから始まる短編だった。コロナ禍の高校生が読んでもリアルな感じなのかな?と高校生を遠く離れた自分は思った。
同じ作者の「僕は落ち着きがない」とかを思わせる学校小説。
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ルーティーンズが良かったので、そのまま読み始める。長嶋節-別の言い方でクスリ笑いを誘う-炸裂してる。--で区切られた言い換えだらけ。堪能。そして、言い換えが絶妙に昭和で、絶妙に貧乏っちくて、いや、揚げ物の残り油で卵焼きしなくない!?というレベル。でも、変わらず好ましい文体。ただ、「マンション小説」ってなんだ???
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読み始めは、なんだかいつもの著者とはテイストが違うなと戸惑いつつ、最後はうまく着地した。
battery lowのアナウンス、ビートルズのCome Together、いずれも英語と絡めた表現が笑えた。
「舟」は読んでから、これもなんか違う?と思っていたら、漫画の原作として書かれたものだったのね。
元素記号が妙に新鮮に感じられたのが悲しい年齢(笑)
Posted by ブクログ
子どもがいっぱしの一人の人間になっていく過程に驚いたり、近所の事件に後ろめたさを感じながらも興味津々だったり、他人事とは思えない夫婦の生活を描く表題作と、塾と矯正歯科を往復する日々を過ごす高校生の話『舟』。
どちらも取り止めのない思考の流れがリアルで、面白かった。
きっと普段の思考を全部文章に書き表したら、こんな感じが、もっと支離滅裂な(始点と終点で全然関係ないことになりそうな)感じになるんだろうな、と思う。
長嶋さんの作品は『ジャージの二人』のあの淡々とした、何も起きない日の描写が好きなのだが、本作もあの時と変わらない素朴さが良かった。