長嶋有のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「皆、誰かに期待なんかしないで、皆、勝手に生きててよ。」
高校の、図書部のおはなし。
タイトルの「ぼくは落ち着きがない」は、むかし図書部にいた先生が書く、次回作のタイトル。
おそらく、図書室につながる両開きのドア(西部劇なんかにあるやつ)を擬人化して「ぼく」としているのではないだろうか。
私は、作中の先生が書いた同タイトルの小説を読みたい、と思ったのだけど、これを読み終わることでその願いはかなってるのか、なんて厨二みたいなこと考えました。
青春小説特有のかる~い会話劇が私はもんのすごく苦手なんだけど
長嶋先生はやはりセンスがあります。
滑り知らずというわけではないけれど薄ら寒くもない、あ -
Posted by ブクログ
「 忙しいんだね、いいじゃない。そういおうとしたが、やっぱりやめて
『トロントってカナダだっけ』にする。」
この、
そういおうとしたが、やっぱりやめて
「 ~ 」にする。
って感じがすごく、しっくりくる。
いかにも昔付き合ってた子との会話って感じがする。
昔みたいな軽口をたたこうとしたけど、どこまで踏み込んでいいかわからず思いとどまるみたいな。
そういう自分の感覚と妙にマッチした表現。
「やっぱりやめて~にする。」
やっぱりこの表現好き。
あのときそばにいた人がいなくなるのは悲しい。
単純なことだけど、
でも、あのときいたことは変わらない。
かわらない友情と、かわっていく愛情。 -
Posted by ブクログ
まず、カテゴライズに悩んだ一冊でした。「書評」としてもよかったのだろうけど、それは何だか違うだろうと。書評という軸を持った私小説だろうと判断したので、私小説としました。
AV監督である主人公が離婚調停中の妻への気持ちと我が子への想いを、調停などの過程に沿って綴ったものです。ひとつひとつのチャプタごとに一冊の本を取り上げて進んでいきます。あくまでフィクションとして。
町山智浩の解説までぜひ読んでほしいです。
ふと思ったことは、穂村弘はモテ、枡野浩一は非モテだということ。
暗い気持ちになるし、離婚のごたごたばっかり文章にしやがって、という気持ちもあって、評価に悩みました。でも、それだと読まなきゃい -
Posted by ブクログ
表題作を含む4つの短編集。
長嶋有の小説は好きなのだが、どこがどういう風に、とレビューとして書くのは、いつも難しい。
何か大きな事件が起きる訳でもなく、何かを暗示するような象徴的な出来事がある訳でもなく、その登場人物たちの日常に起きたちょっとした事(このちょっとした事というのが重要なのだが)が丹念に描かれているように思う。
私が一番好きなのは、『三十歳』という話。
上司との不倫で、勤めていたピアノ教室を辞めた秋子は、せまい部屋にグランドピアノを置いている。そして働き始めたのはパチンコ屋の景品係。そこで年下の安藤という男と親しくなっていく。
この秋子の激昂するでもない、淡々とした感情が -
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表題作/夜のあぐら/バルセロナの印象/三十歳、の四篇。
路傍に潜む心の引っ掛かりは、あるものとして、在り続ける。「どこか」を、目を開いたまま無意識に渇望する常態。
かすめるのは、漫画について思わず判を押したように反応してしまう世代感だったり、聞きなれない電化製品のネーミングとの距離感だったり、何かを発する人や土地と居場所へ腑に落ちるまでの時間だったり、人の少しだけずれた行動に気がついた時のひそやかさが逆に安定させる高揚だったり。
やっぱり好きだなぁ、長嶋さんの文章。描かれた佇まいがふんわり浮かぶ。それはきっと人それぞれで。さらりとしてるのに切実。零れ落ちるものたちの、容赦なさと優しさ。呆然と泰