長嶋有のレビュー一覧

  • 泣かない女はいない

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    いかにも「泣かせまっせ、今回は!」と売り出した出版社が足を引っ張ってる気がした。
    長嶋有の作品はそういうんじゃない、と思う
    否、思いたい。

    表題作『泣かない女はいない』は、よくある物流会社の日常と、生まれていく繊細な恋愛のようなものと、変わっていくものものを描いている。

    『センスなし』は、壊れていく夫婦と壊れない女の友情とを交互に描いている。
    本文中の表現で
    激情して夫を置物で殴ろうとして避けられた主人公と、新聞記事にて同状況下フライパンで殴打され死んだ男(妻の攻撃を一度も避けなかった)の対比。
    慰謝料では慰謝されないから、額に肉と入れ墨してと頼み、それはすごくいい案だと思っ

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    2011年03月05日
  • パラレル

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    「 忙しいんだね、いいじゃない。そういおうとしたが、やっぱりやめて
    『トロントってカナダだっけ』にする。」

    この、

    そういおうとしたが、やっぱりやめて
    「 ~ 」にする。

    って感じがすごく、しっくりくる。
    いかにも昔付き合ってた子との会話って感じがする。

    昔みたいな軽口をたたこうとしたけど、どこまで踏み込んでいいかわからず思いとどまるみたいな。
    そういう自分の感覚と妙にマッチした表現。

    「やっぱりやめて~にする。」

    やっぱりこの表現好き。

    あのときそばにいた人がいなくなるのは悲しい。
    単純なことだけど、
    でも、あのときいたことは変わらない。

    かわらない友情と、かわっていく愛情。

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    2011年05月26日
  • 結婚失格

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    まず、カテゴライズに悩んだ一冊でした。「書評」としてもよかったのだろうけど、それは何だか違うだろうと。書評という軸を持った私小説だろうと判断したので、私小説としました。
    AV監督である主人公が離婚調停中の妻への気持ちと我が子への想いを、調停などの過程に沿って綴ったものです。ひとつひとつのチャプタごとに一冊の本を取り上げて進んでいきます。あくまでフィクションとして。
    町山智浩の解説までぜひ読んでほしいです。
    ふと思ったことは、穂村弘はモテ、枡野浩一は非モテだということ。
    暗い気持ちになるし、離婚のごたごたばっかり文章にしやがって、という気持ちもあって、評価に悩みました。でも、それだと読まなきゃい

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    2010年10月17日
  • タンノイのエジンバラ

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    カバーデザインが素晴らしく、思わずジャケ買いした一冊。本当にこれ素敵。「タンノイのエジンバラ」という、聞き慣れない(音楽好きな人は知っているのだろうけど)奇妙なタイトルにもよく合っていて惚れ惚れする。
    長嶋さんの書くお話、私が読んだものは今のところ全て「離婚」というキーワードが入っているのだけど、これは長嶋さんが好んで書くテーマなのだろうか。解説にもあったけど、著者の性を感じさせない長嶋さんの文章が好きだ。

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    2010年10月12日
  • 夕子ちゃんの近道

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    最近エッセー率が高かったからってのもあるけど、
    最初ぜーんぜん読んでも入って来なくて(;^_^A
    今回はダメかも。。。って思ってるうちに、
    あの切ない感じがジワジワときました。

    長嶋有さんの文章って、
    そのときの体調とか心境にも左右されるなぁ。
    べた凪の海って感じ?
    今回も起こりそうで起こらない。
    と思ったら意外なところで起こったり。
    セリフとか間と状況とか・・・そのまぜこぜ具合が
    ちょっとしたことをドラマチックに感じさせるというか。
    私の何でもなさ過ぎる生活さえも物語に出来ちゃうような?!
    そんな感じ。

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    2012年08月30日
  • 結婚失格

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    ああ、もう、どうしようもない、とここまで思わされたのも久し振りである。主人公速水の正しさのベクトルが常に自分に向いているのだ。方向を変えるチャンスは幾度か訪れているというのに。正しさは諸刃の剣であるかもしれない。振りかざすと相手を傷つけ自分をも傷つける。
    特別寄稿や解説の素晴らしさもさることながら、速水のすっとんきょうな律儀さに無理やり泣かせられるような一冊。

    また、収録されている短歌「夢について」に少し救われる。やっぱりこうでなくっちゃ。

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    2010年08月26日
  • 結婚失格

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    今まで読んだことの無い分野の本だったので、新鮮だった。著者のことはこの本で初めて知ったが、実にウダウダしていて自分を見るようであり、複雑な思いの読後感だった。

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    2010年08月23日
  • 結婚失格

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    町山さんとの対談USTを見て購入。「あるきかたが正しくない」も読んでいたので情報が補完された感じ。
    町山さんの解説は素晴らしいし、穂村弘の毒エッセイも素敵だが、本編あればこそ。
    結婚というより、人とうまくやっていく事の根本的な困難さに思いをはせる。そんな本。

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    2010年08月22日
  • 結婚失格

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     ひどくバランスが悪いようでいて、絶妙にバランスがとれていると思った。
     やばい、こういう人好きだなぁ。と思ってしまった。
     

     この本を読んで、主人公のことを好きだと思っていられるうちは、自分は自分と向き合えている気がする。


     解説が素晴らしい。それで、この解説を載せたってことがすべてだと思う。

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    2010年08月21日
  • 泣かない女はいない

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    ネタバレ

    自分はめったな事では泣かないと思っているあなたへ
    どうぞ泣いて下さい。泣けて・・・初めて自分の思いに気付いたりしますよね~!

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    2012年01月08日
  • タンノイのエジンバラ

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    何がどう面白いか、とても説明が難しいのですが、何かとっても腑に落ちるというか、満足な読後感がある。これは何だ。

    私は表題作よりも、「夜のあぐら」と「三十歳」が好きなのだけれど、共感までいかないけど、登場人物が微妙に生きる速度がゆっくり、なのがいいのかも知れない。自分はとてもセカセカしてしまっているので、なんか落ち着く。

    純文学系はパワーを持ってかれるので、忙しい最近は意図的に読むのを回避していましたが、この人のは面白いかも知れない。ちょっと他も読んでみよう。

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    2010年03月21日
  • タンノイのエジンバラ

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    表題作を含む4つの短編集。
    長嶋有の小説は好きなのだが、どこがどういう風に、とレビューとして書くのは、いつも難しい。
    何か大きな事件が起きる訳でもなく、何かを暗示するような象徴的な出来事がある訳でもなく、その登場人物たちの日常に起きたちょっとした事(このちょっとした事というのが重要なのだが)が丹念に描かれているように思う。
    私が一番好きなのは、『三十歳』という話。
    上司との不倫で、勤めていたピアノ教室を辞めた秋子は、せまい部屋にグランドピアノを置いている。そして働き始めたのはパチンコ屋の景品係。そこで年下の安藤という男と親しくなっていく。
    この秋子の激昂するでもない、淡々とした感情が

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    2010年01月12日
  • タンノイのエジンバラ

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    表題作/夜のあぐら/バルセロナの印象/三十歳、の四篇。
    路傍に潜む心の引っ掛かりは、あるものとして、在り続ける。「どこか」を、目を開いたまま無意識に渇望する常態。
    かすめるのは、漫画について思わず判を押したように反応してしまう世代感だったり、聞きなれない電化製品のネーミングとの距離感だったり、何かを発する人や土地と居場所へ腑に落ちるまでの時間だったり、人の少しだけずれた行動に気がついた時のひそやかさが逆に安定させる高揚だったり。
    やっぱり好きだなぁ、長嶋さんの文章。描かれた佇まいがふんわり浮かぶ。それはきっと人それぞれで。さらりとしてるのに切実。零れ落ちるものたちの、容赦なさと優しさ。呆然と泰

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    2009年12月23日
  • タンノイのエジンバラ

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    性別も年齢も超えて、何にだってなれる作家、長嶋有。静かなんだけど、静かだからこそ、ガーッて心が大きく揺れるときの表現は、もう読んでてヒリヒリ響いてくる。

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    2009年10月12日
  • 夕子ちゃんの近道

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    いつまでもいつまでも話の続きを読んでいたい、と思った。この物語のなかに入っちゃって、登場人物たちと知り合いになりたい、とかさえ思うような。感動するような、ぐっとくるような、まして泣けるようなセリフがないところがまたよくて。物語中でも、「ここは会話のハイライトだぞ」と主人公が思いつつ、気のきいたことが言えないって場面があるんだけれど、いいなーと思った。普通の小説だったら、いいセリフがきそうなところにこないのがいい。で、なんとなく流れてすぎていくんだけれど、なんとなくなんとかなっていくという。こんな日常にあこがれるような。

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    2011年09月18日
  • タンノイのエジンバラ

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    隣家の女の子を押しつけられたり、実家の金庫を盗みに行くはめになったり。人生には、そんな日がめぐってくるのだ。話題の芥川賞作家、待望の最新短篇集。

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    2010年05月24日
  • 泣かない女はいない

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    劇的なものはないゆるやかに流れる日常の中の社内での片思い。
    長嶋有の凄さは人物描写のさじ加減で、出すぎることなく好感の持てる人物を描き出している。
    まいったなーと連呼させずにはいられない作品。

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    2011年05月16日
  • 泣かない女はいない

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    「泣かない女はいない」と「センスなし」という中篇がふたつ。「泣かない〜」が景気悪そうな小さい会社の事務職に就職したOLの話、「センスなし」が夫に愛人ができて離婚しそうな主婦の話。どちらにも、雪の日が出てくる。長嶋有の小説はやっぱり好きだなと思った。なんだかすごく淡々としている感じとか。なのに、妙なところですごく細かい部分にこだわるようなところとか。(「センスなし」で主人公がデーモン小暮のファンってことで、やけに詳しい話がおもしろかったり。)主人公がいろんなところでわかっているようなわかっていないようなあやふやな感じとか、結論らしいものがないところとか。でも、なんとなくさわやかなようなところとか

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    2011年09月18日
  • トゥデイズ

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    なぜこのタイトルか、最後の最後で分かった。子供の時に、こんな難しいことは考えなかったなぁ。コースケ、頭いい、哲学的。

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    2025年11月23日
  • ご本、出しときますね?

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    村田沙耶香さんのインタビューを読み漁っていたところこの番組を知り、当方リトルトゥースでもあるので是非観てみたいと思い、映像を探していたら書籍化されてるとの事で読みました。
    若林さんと仲の良い西加奈子さんや朝井リョウさんのインタビューも載っていてとても面白かったです。

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    2025年11月09日