長嶋有のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ古道具屋「フラココ屋」の二階に住み込みで働くことになった「僕」を語り手とする連作短編集。
店長や大家さんの孫姉妹、常連客など、少し変わった個性的な面々との、ささやかな日常の触れ合いが淡々と描かれる。第1回大江健三郎賞受賞作。
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何だか淡々とした作品だった。或いはほのぼの系とでも言おうか。
骨董屋のバイトが主人公であり語り手。彼の周りを取り巻く人達の日常が穏やかに描かれる。
そこに(小さいのはあるが)大きな事件は起きず、バイトの主人公の心象風景や他の登場人物との会話が緩やかに展開する。
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本作の作風、例えて言うならば、小川糸さんの作品や、中島京子さんの作品に似ているかもしれ -
Posted by ブクログ
夫婦が代わりばんこに日々の生活を綴った日記風の作品。綴られているのはコロナ禍下の暮らし。異常な状況下で、何故か日常化していったあの日々の暮らしが、夫婦それぞれの視点で捉えることによって立体的に描き出されている。
日記は3回目の緊急事態宣言が発出された2021年4月より始まる。最初、起こった出来事だけを記載していた文章は、いつしか随筆のようにそれぞれの考えや感情も綴られるようになり、より解像度
を増していく。物語中、特に大きな事件は発生しない。保育園が閉鎖されようが、飲み会や音楽教室がなくなろうが、日々の生活は容赦なく繰り返されルーティーン化されていく。それだけに、取り立てるほどの事もない日々 -
Posted by ブクログ
今作も作者ならではの、言葉にできないちょっとした気持ちの機微を見事に表現してくれる文がいくつもあって楽しめた。
話はMSXという昔のパソコンをキーワードにそれを昔もっていたり持っていなかったりした人が少しづつ関わっていって、「ロードムービー」というより、ちょっと少ないロバートアルトマンの群像劇的的。
世代的にはギリ当てはまるのだけど、MSXは見たこともないので、そのを熱く語られてもよく分からず。いつも作品よりより今回はいろんなことが「起こる」のだけど、だからと言って印象がドラマチックにならないところがさすが。今のところすぐに2回目を読もうとは思わなかったから3点。でもまた読みたい。