長嶋有のレビュー一覧

  • 掌篇歳時記 春夏

    Posted by ブクログ

    表紙がとても綺麗で手に取りました。

    二十四節気は知っていても、それをさらに三等分した七十二候は知らない人が多いのでは?

    わたしも今回初めて知りました。
    雉始雊(きじはじめてなく)というように、動詞で示されているのが、分かりやすい。
    どれも現代人にも理解できるもので、時代が変わっても季節の移ろいは変わらないものだなと思います。

    この本では、二十四節気の春夏部分を抜き出し、また、各節気の真ん中の七十二候をタイトルに各自が短編をお書きになっています。

    思えば、短い作品は触れてこなかったので、どれも不思議な余韻を残す終わり方で、こちらの想像力や読解力を掻き立てるなぁと短編の面白みを初めて知りま

    0
    2024年08月05日
  • 今も未来も変わらない

    Posted by ブクログ

    星子、娘・拠(より)、恋人・称(かなう)、友人・志保、大人だってたくさん楽しみがあり、恋もする。そんなことを思い出させてくれる一冊。登場人物たちの名前がとってもタイプ。

    p.106
    「人って、なにかに失敗してからずっと、失敗したままの状態で過ごすことって、なかなかないじゃないですか。たとえば、花瓶が割れたらーそれは失敗だけどーでもすぐに片付けるでしょう。花瓶の破片を」
    「たしかに、ずっと割れたままの部屋で暮らし続けないですね」
    「そうしないと、少しずつ荒みますよね。部屋に死体があるみたいにすごく悲惨なことではないけど、いちいち破片を意識して暮らすのって」言いながら、ダーツを持つ手の肘から先

    0
    2024年07月12日
  • もう生まれたくない

    Posted by ブクログ

    東日本大震災の爪痕も生々しい2011年7月~2014年4月までの出来事を春菜、美里、神子の三人を中心に綴られている
    実際にあったことをベースに書かれているので、誰かのゴシップや亡くなったことなど…ああ、こういうことあったなと当時を思い返すことが多かった
    辛い出来事がどれだけたくさんあっても、それでも日々は続いていくという予感で終わっている所が良い
    そこにただ生きる人々を真摯に描いている
    読み終わったあと、トムラウシ山遭難事故を調べたけど、中々凄惨な内容だった…
    こんな大規模な遭難事故なのに、全く知らなかった自分にちょっとショックを受けた

    0
    2024年05月05日
  • いろんな私が本当の私

    Posted by ブクログ

    51冊目『いろんな私が本当の私』(長嶋有 原作、雁須磨子/コナリミサト/丹羽庭/鶴谷香央理/三本阪奈/米白恭 著、2023年11月、双葉社)
    芥川賞作家・長嶋有の作品を漫画化するというアンソロジー企画の第2作。今回は6人の人気女性漫画家が、それぞれ女性を主人公とした物語を描く。
    お気に入りは雁須磨子が手がけた「三の隣は五号室」。アパートの一室に着目し、住人の移り変わりの様を描いていくという発想が面白い。

    〈私 小学生の時 人殺しちゃったん だけどさ〉

    0
    2024年04月12日
  • 問いのない答え

    Posted by ブクログ

    本町にあるtoo booksで購入した一冊。

    登場人物が短いスパンでコロコロと変わるため、この人誰だっけ?となる瞬間が何度もありすこし読みにくさを感じた。登場人物が変わった事に気付かないこともあったが、だんだん慣れて分かるようになると、切り替わり方が面白いと感じるようになった。今までに読んだことのない不思議な小説だった。
    最後まで読み終わった後に解説を読んで、この本の魅力や良さが少し分かった気がする。
    解説を読んだ後でもう一回読み返したいと思った。

    0
    2024年03月23日
  • トゥデイズ

    Posted by ブクログ

    大型マンション群と夫婦と子供。
    速い体温計はバカに見える、大人は多くを知り終えている

    元素周期表と歯科矯正

    0
    2024年03月10日
  • いろんな私が本当の私

    Posted by ブクログ

    娘からおすすめされた長嶋有さん原作小説のコミカライズ。
    「往生際の意味を知れ!」の米代恭さんや、「凪のお暇」のコナリミサトさん、「メタモルフォーゼの縁側」の鶴谷香央理さん等々、漫画に疎い私でも知っているほどの錚々たる漫画家さんたちが名を連ねている。
    長嶋有さんの著作はいくつかタイトルを目にしたことがあるものの、作品に触れるのは初めてだったので新鮮な気持ちで楽しめた。
    娘がどこ経由で本作を知って読んでみたいと思ったのかは謎なのだけど、どのような入口からであれ、こうして文学と接点を持ってくれるのは嬉しい。『三十歳』が面白かったらしい。

    0
    2024年02月10日
  • 祝福

    Posted by ブクログ

    2003年〜2010年に各誌で発表された短編を集めた一冊。それぞれに共通のテーマや関連はないが、どれをとっても長嶋節という感じ。
    穏やかならぬ展開を見せる作品も中にはあるものの、日常の他愛ない場面を切り取って、誰しもが心にちょっとだけ引っかかっている感情を呼び起こすテイストが通底している。

    PHS、オザケンの『LIFE』を録音したMD、木村カエラの『sakusaku』、「四角いニカクがまあるくおさめる」やつ、などスマホ前時代の風物がちょっと懐かしい。
    さらには、浅香唯の『セシル』や夕方の『特捜最前線』再放送など、作者と同い年の自分からするとノスタルジーも甚だ。

    高校時代の不良との甘塩っぱい

    0
    2024年02月06日
  • いろんな私が本当の私

    Posted by ブクログ

    長島有さん原作のショートストーリーをコミック化。原作は読んでいないけれど、描き手さんのそれぞれの個性が出ているなと感じる。
    こういう試みもおもしろい。

    0
    2024年01月08日
  • もう生まれたくない

    Posted by ブクログ

    事故、自殺、早逝…誰かの不慮の死の報せに触れたとき、人は全く関わりがなく関心もなかったはずの他人の人生に思いを馳せたくなる。
    誰もが思い当たるこの心情に踏み込むニッチな語り口。

    この小説は、2011年の大震災で多くの生命が失われたことを契機にしている。2024年の元旦、能登でまた大きな地震があり予期せず失われた生命が多くあったことを報じる様子を聴きながら、このレビューを書いている。

    巻末に「本作に登場する主な死者と死因」のリストが掲載されている。殆んどは現実に起きた(2014年以前のものだが)有名・無名の人の死ではあるが、明確に憶えているものもあれば、すっかり忘れかけていたものもある。

    0
    2024年01月03日
  • 三の隣は五号室

    Posted by ブクログ

    無理だ。仕組みは出だしで理解したけど、章が変わってもしっくりこんのよ。多数出るしバトン渡す感覚もいいと思うけど入って来ん。猛スピードと佐渡の3人は気に入ったけどその後が感想見ると今回も含めて思ったのと違うってこと

    0
    2023年12月25日
  • もう生まれたくない

    Posted by ブクログ

    うーむ思ったのと違う。それぞれの思いを同時期に起きた事件に死んだ有名人に絡めながら綴るんだが、先が明るくもないし、感動作の本の紹介文を見て購入したのですが、感動とは違うよ。なんで感動と書いてあるんだろうか、死は確かに悼む気持ち以外にないけど、受け取った登場人物の気持ちが私の気持ちではないですね。佐渡の三人を読んでここに来たんだが、あの流れとも違うし、戸惑いました。フダもゴルフのアイアンで殺されてしまうし、そこで今まで適当に相槌してた表現が理解出来た皮肉な結末。奥田英朗の様な何も可能性のない未来だなあー

    0
    2023年12月25日
  • 佐渡の三人

    Posted by ブクログ

    これ初めて読んだ時にはまだ長嶋有さんが女性って思ったんだよな、その後画像と共に解析してめちゃくちゃ衝撃ショックだった記憶があります。しばらくトラウマになってたんです。漫画評論家でもありコメンテーターの長嶋有さんはとても誠実で逆に好感度しかないから、今更ですが読んでいる。佐渡の三人の題名から始まってそれを書いた作家さんが登場人物とか発想力凄すぎ、佐渡の旅が何度も続き、最後は大人数で、でも誰かしら欠けていて、本当面白いから、父親の仕事場も出てこない母親が謎とか、隣のおじさんにリュウ君に、いやあ味のあるって事

    0
    2023年12月25日
  • 泣かない女はいない

    Posted by ブクログ

    こんな感じだったな、駆け抜ける感じ。サイドカーに犬とかかなぁってこと。大宮駅のシャトルも渋いし、会社勤めの日々を淡淡と階段のない屋上とか近所の発見した公園の入口のベンチが魚臭いとか通勤の縦一列に歩く中学生とは違うし道端に置いてある板が後々そういうことだと振っている。激しい変化もなくて、でも社長の横田さんに桶川さんが辞めるのと好きな気持ちを言わない事とか、何て言えばいいのかわからないけど、夢中で読みました。スッキリした気分になりました。という割にはセンスのないを流し読みしてしまいましたとほほ。

    0
    2023年12月25日
  • トゥデイズ

    Posted by ブクログ

    ルーティーンズが良かったので、そのまま読み始める。長嶋節-別の言い方でクスリ笑いを誘う-炸裂してる。--で区切られた言い換えだらけ。堪能。そして、言い換えが絶妙に昭和で、絶妙に貧乏っちくて、いや、揚げ物の残り油で卵焼きしなくない!?というレベル。でも、変わらず好ましい文体。ただ、「マンション小説」ってなんだ???

    0
    2023年12月13日
  • 三の隣は五号室

    Posted by ブクログ

     古いだけで一見なんの変哲もない2Kの木造アパート。だが住み始めると、その間取りが少し変わっていることに気づく。
     そんなおかしなアパートの一室、5号室を舞台に、そこに暮らした代々の住人たちを描く群像劇。
     第52回谷崎潤一郎賞受賞作品。
             ◇
     「変な間取りだ」
    1982年、第1藤岡荘5号室に入居したばかりの三輪密人はそう思った。

     内見することも間取り図を見ることもなく適当に決めた部屋である。6畳4畳半とキッチン3畳だが、ドアを入ったところに「玄関の間」とでも言うべきスペースもある。
     けれど、玄関の間の先にはキッチンに入るドアと4畳半に入る障子が並んでいる。それら

    0
    2023年11月30日
  • 猛スピードで母は

    Posted by ブクログ

    外から、状況だけを箇条書き程度で聞いたら、勝手に憐れんでしまうような話。
    でも、中にいる当人の目線で語られる話しは、どことなく軽やかで悲壮感がない。

    自分の狭い価値観で勝手に断じるのはよくないよね、ということを感じさせてくれた。多様性は大事だね。

    ちょっとしたエッセイくらいの感じで軽く読めて良かった。

    0
    2023年11月17日
  • トゥデイズ

    Posted by ブクログ

    読み始めは、なんだかいつもの著者とはテイストが違うなと戸惑いつつ、最後はうまく着地した。

    battery lowのアナウンス、ビートルズのCome Together、いずれも英語と絡めた表現が笑えた。

    「舟」は読んでから、これもなんか違う?と思っていたら、漫画の原作として書かれたものだったのね。
    元素記号が妙に新鮮に感じられたのが悲しい年齢(笑)

    0
    2023年11月06日
  • トゥデイズ

    Posted by ブクログ

    子どもがいっぱしの一人の人間になっていく過程に驚いたり、近所の事件に後ろめたさを感じながらも興味津々だったり、他人事とは思えない夫婦の生活を描く表題作と、塾と矯正歯科を往復する日々を過ごす高校生の話『舟』。
    どちらも取り止めのない思考の流れがリアルで、面白かった。
    きっと普段の思考を全部文章に書き表したら、こんな感じが、もっと支離滅裂な(始点と終点で全然関係ないことになりそうな)感じになるんだろうな、と思う。
    長嶋さんの作品は『ジャージの二人』のあの淡々とした、何も起きない日の描写が好きなのだが、本作もあの時と変わらない素朴さが良かった。

    0
    2023年10月22日
  • パラレル

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    不思議な読み口の作家さんでした。
    ちょっと癖のある文章ですが、それが逆に癖になる書きぶり。また、30代位のアホでエロな男たちの挽歌とでも言いましょうか。主人公七郎やキャバ狂い!?の津田の行動に身に覚えがある男性諸氏も居るのではないでしょうか。

    ・・・
    本作『パラレル』、タイトルの意味は何でしょうか?
    作品では『パラで付き合う』という表現がありました。複数の相手とへらへらと付き合うことを『パラで付き合う』と表現しており、それなのかなあ。

    時間軸が「大学時代」「ちょっと前」「現在」と三つに飛び飛びに展開しましたが、それはジャンプであってパラレルでもないしなあ、と独りごち。

    2004年という、

    0
    2023年09月30日