【感想・ネタバレ】問いのない答えのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2019年01月05日

長嶋有はデティールを描くということについてはこだわりがあるのだろうと思うし、実際上手いと思う。本作は、そんな長嶋有の実力がいかんなく発揮されるとともに、震災後のツイッターという空間を介して、時代を写しとった一冊だと思う。ツイッターという空間でいろいろな人が他愛もなくおしゃべりをしている、そんな雰囲気...続きを読むがよく写しとられているだけではなくて、それが形式上も、登場人物の行動が切り取られてつながっていくさまに現れている。そんなつながりが心地よく、しかし、一方で、その背後には震災や秋葉原の殺人事件といった時代的な背景がある(別にそれが主題ということではなくそれも含めて切り取られている)。実のところ、ツイッターでの言葉遊びなんて、という思いもなくはないが、それでもやっぱり引き込まれて読んでしまったのは、長嶋有の描写の上手さがやっぱり大きい。

0

Posted by ブクログ 2017年01月14日

長嶋有はよく見てんなといつも思う。廊下に置いてある新品のティッシュはすこし湿気っているとか、へんな口癖の女子高生とか、言われるまで気づかないけど確かにそうなことが楽しい。視点が変わるのに行をあけないから戸惑うけど、ツイッターとかインターネットなんてそんな感じだもんね。慣れたら平気です。単行本で読んだ...続きを読む後にまた読みたいと思って読んだの。文庫、手元に置いといてまた読みたい。

0

Posted by ブクログ 2024年03月23日

本町にあるtoo booksで購入した一冊。

登場人物が短いスパンでコロコロと変わるため、この人誰だっけ?となる瞬間が何度もありすこし読みにくさを感じた。登場人物が変わった事に気付かないこともあったが、だんだん慣れて分かるようになると、切り替わり方が面白いと感じるようになった。今までに読んだことの...続きを読むない不思議な小説だった。
最後まで読み終わった後に解説を読んで、この本の魅力や良さが少し分かった気がする。
解説を読んだ後でもう一回読み返したいと思った。

0

Posted by ブクログ 2022年10月15日

22/10/15
震災後にTwitterではじまった言葉遊び、謎かけを楽しむコミュニティの群像劇。コンセプトもエピソードもいいのだけど、もう少し登場人物を減らしたら読みやすかったんじゃないかな…この人誰だっけな、に気持ちを分断されがちでした

0

Posted by ブクログ 2021年03月30日

著者作品はすべて読んでるが、この本が発表したときは、Twitterの話ということでなぜか敬遠してしまい、今頃読んでみる。

年数経って読んでみても、通信・デバイス関係の違い・古さは明らかでなんだけど、それでも今読んでみると、その時代にちゃんと人は考えていたなと分かる。
しかし、今はどうなんだろう・・...続きを読む・とも思うけど。

同じ時間軸の中に、多くの人が登場して混乱しながらも、それを巧みにつなげる著者のすごさに脱帽するのである。

0

Posted by ブクログ 2020年09月25日

好きな作家、西加奈子さんが推薦していたので読んでみた。群像っていうの?とにかく登場人物が多くて、そして違う人物のシーンへ変わる時の「一息」みたいなものが全く無くてすぐ変わる。だからところどころ「え?今は誰の話?」「また人変わった?」と混乱もしてしまう。登場人物をきちんと(?)把握するためにも片手間に...続きを読む読むのではなく、腰を据えて集中して読むのがおすすめです。

「(○○だったら)なんと言いますか?」「(○○のとき)何をしたい?」などの質問の前半である(○○〜)部分を抜かして、「なんと言いますか?」「何をしたい?」と漠然とした質問をTwitterで投げかける。フォロアーたちは思い思いの答えを出していき、皆の答えが揃った頃、質問の前半が明かされるという言葉ゲーム。噛み合わない回答や妙に噛み合ってしまう回答が面白い。

東日本大震災始め、秋葉原の無差別殺人など実際にあった出来事への各自の思いも書かれているのもあってリアリティのある小説です。

0

Posted by ブクログ 2020年06月23日

長嶋さんは言葉の感覚が敏感なのだろうなと思う。"積み重なる"SNSと"地続き"の自分たち、アイコンと自分の姿。
半分世界観に浸かったくらいで読んだ、もっとのめり込めると思ってた。視点がくるくる変わり、(この人どんなひとだ?どのエピソードだっけ)と思ってたらおわ...続きを読むっていた。笑
私はSNSのアカウントをあまりリアルと連携させすぎたくない。いろんな使い方があるよね。端末上の自分とリアルの自分は別にしておきたい。「5つ星つけてよ」に続いてネット関連の本

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年01月29日

何よりも加藤のことに思いを巡らせる。

人物・場面の切り替え、人の交換可能性、については、してやられたり。

0

Posted by ブクログ 2017年01月05日

(個人的に)長嶋有さんブーム再来のいま、読んでない作品を買ってきました。

何気なく読んでて、「あれ?これってそれはなんでしょう、だ」。
「ねたあとに」という小説に出てきたゲームで、おもしろそうと思っていたら、そう、確かに長嶋さんはツイッターでやっていた!!

何を隠そうこの私も、たった1回だけその...続きを読むツイッターでのゲームに参加したことがあったんです。
たいしておもしろい回答も出来なかったのですが、その後どなたかにうまいこと解釈してもらったことだけ覚えています。
そしてそのあとは、常連さんたちの仲の良さに、なんとなく気後れしてしまって離れてしまったのですが……。
まさかあのツイッターでのゲームから、こんな話が書けてしまうなんて。
私も本読みの端くれなので、何度か「自分でも書いてみたいなあ」と思ったこともあります。
が、長嶋さんの小説を読むと、「こんな話は絶対に書けない……」と(書いてもないのに)筆を折ることになります。

コロッコロと人物が変わるし、いっぱい出てくるのでえーと今は誰? この人は誰だっけ? 状態にはなりますが、それはそれでツイッターっぽい。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年09月28日

 5年前の東日本大震災後、あらゆる情報網が麻痺した際にTwitterが情報拡散や励ましの一躍を担ったことは記憶に新しい。逆に、無責任なツイート・リツイートの応酬が混乱を来したり、心ない言葉が飛び交ったりし、その使い方について議論が起こったこともあった。
 この物語では、Twitterの有用、あるいは...続きを読む短慮な使い方にフォーカスしていない。「何をしていましたか?」などの投げかけられた質問に思い思いの答えを返す大喜利のようなことをしている人々の群像劇である。中には震災の被災者もいるが、決して悲惨さは描かれていないし、和やかなタイムライン上では震災があったことすら触れられていない。まるで、日本中で叫ばれた「絆」というものの外側にいるみたい。
 物語中、登場人物が切り替わる部分でも段落が変わらない(これが読みにくかった!)。Twitterのタイムラインのように、無数の人々が「日常」を重ねている。同じ瞬間にラジオを聴く人がいて、同じ瞬間に別々の坂道を登っている人がいる。
 簡単に世界中に発信できるようになった「言葉」。秋葉原で事件を起こした犯人も、ネット上(Twitterではない)に自分の行動を事細かに記していたという。果たして、言葉の受け取り手がいれば、あの事件は起こったのだろうか。言葉のあり方について、今一度考える時期に来ているのかもしれない。

0

「小説」ランキング