長嶋有のレビュー一覧

  • タンノイのエジンバラ

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    同じ団地の隣家に住む風変わりな女の子の世話を押しつけられた男と彼女との、ひと晩の交感を描いた「タンノイのエジンバラ」。3人姉弟と義理の母親との確執を描いた「夜のあぐら」。半年前に結婚した主人公と妻、半年前に離婚した主人公の姉の3人組によるバルセロナ観光の物語「バルセロナの印象」。そして、パチンコ屋の景品係としてアルバイトをする主人公女性のバイト仲間との日常にスポットを当てた「三十歳」。現代家族と個人の関係のありようが、長嶋有ならではの独特の視点と状況設定によって描かれる。

    作者の筆が描き出すのは、失業中の男と少女の束の間の疑似家族的な関係であり、普段は疎遠の姉弟が目的を達成するために

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    2017年10月29日
  • 泣かない女はいない

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    男性作家さんだと思い込んでいた。
    後で思い返すとそれほど印象に残ってはいないが、読んでいる間はほんわかしていて、なかなか好きだった気がする。
    ーーー
    ごめんねといってはいけないと思った。「ごめんね」でも、いってしまった。ーー埼玉郊外の下請け会社に、事務として中途入社した、澤野睦美。恋人・四郎と同棲する彼女に、不意に訪れた心変わりとは? 話題の表題作ほか、「センスなし」を収録。恋をめぐる心の不思議を描く魅力あふれる小説集。

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    2017年07月07日
  • 佐渡の三人

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    表題作と残りの3編はいずれも納骨や戒名をテーマに書かれているんですが、家族特有の軽口やジョークが散りばめられていて、重くはなかったです。

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    2017年03月06日
  • タンノイのエジンバラ

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    個人的長嶋さんブーム再来の三冊目。
    表題作は読んだことあるようなきがしたんだけど、他のはたぶん読んだことない……。

    タイトルのつけ方が本当にすごいと思う。
    「タンノイのエジンバラ」なんて、私にはまったくなんのことかわからなかったもん。
    「そこ? それをタイトルにしてしまうの?」と思った。
    他の話もすべて、タイトルから話が全然想像出来ないし。

    話としてはどれも、特に何か大きな事件が起こるわけでもなく、淡々としているんだけど。
    でも淡々とした話をおもしろく書ける才能ってすごい。

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    2017年01月08日
  • 問いのない答え

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    (個人的に)長嶋有さんブーム再来のいま、読んでない作品を買ってきました。

    何気なく読んでて、「あれ?これってそれはなんでしょう、だ」。
    「ねたあとに」という小説に出てきたゲームで、おもしろそうと思っていたら、そう、確かに長嶋さんはツイッターでやっていた!!

    何を隠そうこの私も、たった1回だけそのツイッターでのゲームに参加したことがあったんです。
    たいしておもしろい回答も出来なかったのですが、その後どなたかにうまいこと解釈してもらったことだけ覚えています。
    そしてそのあとは、常連さんたちの仲の良さに、なんとなく気後れしてしまって離れてしまったのですが……。
    まさかあのツイッターでのゲームから

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    2017年01月05日
  • 佐渡の三人

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    不謹慎なのに、クスッと笑える。
    読み進めるうちに「本作だと不謹慎だと思わなくていいんだ。悲しみをユーモアに混ぜるではなく同時になものにするというのは、なかなか奥が深い」と思いなるほどっと思った。
    ちょっと私には文章が読みずらかったけど、のんだか読んですっとした。

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    2016年11月29日
  • タンノイのエジンバラ

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    4篇とも30歳前後の、人生というマラソンで集団から遅れていて、尚且つその状況を諦めの境地で受け入れている様子の人物が主人公になっている。とても共感できた。この作家は子どもから大人、女から男まで年齢性別を問わず「生身の人間」を描き出すのが本当に上手くて感心してしまう。文字を読んでいるだけで、人物像が確かな肉体を持って浮かび上がるような感じがする。特にその人の歩んできた歴史がありありと感じられるのがすごいと思う。
    どの話も面白くて順位をつけるのは難しい。似たような主人公を設定しながら、それぞれ違う味わいがある。けれど強いて言えば『三十歳』が一番好きだろうか。人生における一歩を踏み出す物語がなんだか

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    2016年11月23日
  • 問いのない答え

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    ネタバレ

     5年前の東日本大震災後、あらゆる情報網が麻痺した際にTwitterが情報拡散や励ましの一躍を担ったことは記憶に新しい。逆に、無責任なツイート・リツイートの応酬が混乱を来したり、心ない言葉が飛び交ったりし、その使い方について議論が起こったこともあった。
     この物語では、Twitterの有用、あるいは短慮な使い方にフォーカスしていない。「何をしていましたか?」などの投げかけられた質問に思い思いの答えを返す大喜利のようなことをしている人々の群像劇である。中には震災の被災者もいるが、決して悲惨さは描かれていないし、和やかなタイムライン上では震災があったことすら触れられていない。まるで、日本中で叫ばれ

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    2017年09月28日
  • 泣かない女はいない

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    この人の小説は初めて読む。名前からてっきり女性の作家かと思っていたが、折返しの作者紹介欄を見てびっくり。文章はシンプルで淡々としていて中性的。別れ際のアラサー女性を書いた中編2編。
    『泣かない女はいない』は知らぬ間に他の男に心を惹かれていて、そのことを自覚していく様子にとてもリアリティーがあった。一目惚れなんてのはほとんどなくて、この話みたいに少しずつ疑惑から確信に変わっていくのがリアルな感覚だよなあと思った。最後の場面もよかった。存分に悲しみを味わえた。一つ気になったのは、展開が強引なところが少しある気がした。
    『センスなし』こちらの方が個人的にはよかったと思う。夫に愛人が発覚したばかりの、

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    2016年08月24日
  • 佐渡の三人

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    不謹慎だとピシャリと言われたら言い訳できないけれどそれでもじんわり心が緩んで「なんかいいやん」と思えてしまう。
    ヨツオ、ムツオ、ヤツオの名前がなかなか覚えられず苦労した。

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    2016年06月14日
  • 電化文学列伝

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    現代文学の中で、家電が登場するシーンを取り上げて評した異色の本。
    コンセプトにひかれて手に取った。
    家電というピンポイントから、その作品全体が見える...というようなところを期待したのだが、それはちょっと虫が良過ぎたか。
    川上弘美「センセイの鞄」の電池は、電池の固執するセンセイのたたずまいを象徴的に表現したものだという長嶋さんの説に納得できたが、他のはどうなんだろうなあ。
    100年くらいして、ここに取り上げられた家電がいずれも姿を消したとき、資料的に参照される本になるのかも。

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    2016年04月26日
  • 佐渡の三人

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    ちょっとヘンな家族の納骨の旅をしみじみ描く連作小説。
    作家の「私」とひきこもりの弟、そして古道具屋の父が、親戚のおばちゃんの遺骨を郷里の佐渡へ納骨に行く。終始噛み合わない道中だが、そこはいつもの長嶋テイスト。意外とNHKの『ドキュメント72時間』で、この三人の話を聞いたら涙が出てきそう。

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    2016年03月07日
  • 佐渡の三人

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    数年間に3度にわたる先祖の土地・佐渡への納骨の旅を描いた作品。
    納骨といえば哀しみや厳粛なイメージですが、そんな感じは全く無く。
    どこか世間からズレた家族が、何となく世間の風習を無視できずに、適当に、でもそれなりに真面目に納骨します。そこが何ともオカシクて。
    どうも半私小説という雰囲気です。身の回りに起こったことを淡々と丁寧に描いて行く。何故「半」かと言えば、この作品では主人公が女性に変わって居たりして、若干脚色が入るので。
    読みながら『ジャージの二人』を思い出しました。ダラダラとした気怠い雰囲気が良く似てます。ま、タイトルも続きみたいなものだし。。。

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    2016年05月15日
  • ぼくは落ち着きがない

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     主人公の望美ちゃんがとても好きだ。ひょうひょうとしていて、自分のいる状況を受け止めるのが上手だなぁ、と。 
     それにしてもこの作品は帯に学園小説と書いてある割には、他の学園ものほど劇的な展開や刺激的な出来事も起こらない。が、それが高校生のリアルだと思う。そうドラマチックな出来事なんてなくて、日々は胸がざわつくような小さな出来事の積み重ねだよなぁ…。

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    2015年11月29日
  • 夕子ちゃんの近道

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    ネタバレ

    登場人物に癖がありキャラがたっている点は読んでいて面白いと思ったが淡々と話が進むのでなかなか進まなかった。

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    2015年06月10日
  • 泣かない女はいない

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    風景描写が多く取り入れられてたり、主人公の心情が絶妙なバランスで伝わるかんじ。
    ただの平凡なOLの話なんだけど、ひとつひとつのシーンが印象深い。
    桶川さん、かっこいい。
    会社の雰囲気も、ゆるく距離がありながらも些細な出来事で近付いてる感じが自然ですき。
    好きな分は、
    使い道がないのに消えない記憶や知識は、使える時使った方がいい。
    我々は連帯しながら断絶している。

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    2015年01月15日
  • 泣かない女はいない

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    中途入社した先での人間関係や恋人とのこと。そして心変わり。
    浮気して出ていった夫とのやり取り。それを告げられないまま交わす友人との電話。
    二作それぞれに何か淡々とした女性の心理を感じる。

    2815.1.12

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    2015年01月12日
  • ぼくは落ち着きがない

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    ネタバレ

    【本の内容】
    両開きのドアを押して入るとカウンターがある。

    そこは西部劇の酒場…ではなく図書室だった。

    桜ヶ丘高校の図書部員・望美は今日も朝一番に部室へ行く。

    そこには不機嫌な頼子、柔道部と掛け持ちの幸治など様々な面々が揃っている。

    決して事件は起こらない。

    でも、高校生だからこその悩み、友情、そして恋―すべてが詰まった話題の不可資議学園小説が文庫化。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    ベニヤの壁で仕切られた図書室の奥の小さな空間を舞台に、図書部員の高校生たちの日々をゆるやかにかつ生き生きと描く青春小説。

    友達が不登校を宣言したり部長と顧問が噂になったりドラマになりそうな出来事も

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    2014年10月31日
  • パラレル

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    ネタバレ

    時制があちらこちらに飛ぶ割には読ませるが、妻との距離感の微妙さについてもっと言及があってもよかったかも。子どもがいなけりゃ離婚してもこうしたライトな付き合いが出来るのか。でも別にそのことを求めて読んだのではなかった。僕にとってはどうでもいい内容の小説だと読んでみて思った。構成は巧みだけど。

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    2014年08月26日
  • 祝福

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    「ジャージの二人」「ぼくは落ち着きがない」のスピンオフが収録されているということで買ってみた。
    それも良かったけれどやっぱり他のも良かった。
    生活のテンポや波長が私とよく合っているような気がして嬉しくなる。
    「海の男」の主人公は私だし「山根と六郎」の六郎も私だ。

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    2014年07月15日