長嶋有のレビュー一覧

  • トゥデイズ

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    ルーティーンズが良かったので、そのまま読み始める。長嶋節-別の言い方でクスリ笑いを誘う-炸裂してる。--で区切られた言い換えだらけ。堪能。そして、言い換えが絶妙に昭和で、絶妙に貧乏っちくて、いや、揚げ物の残り油で卵焼きしなくない!?というレベル。でも、変わらず好ましい文体。ただ、「マンション小説」ってなんだ???

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    2023年12月13日
  • 三の隣は五号室

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     古いだけで一見なんの変哲もない2Kの木造アパート。だが住み始めると、その間取りが少し変わっていることに気づく。
     そんなおかしなアパートの一室、5号室を舞台に、そこに暮らした代々の住人たちを描く群像劇。
     第52回谷崎潤一郎賞受賞作品。
             ◇
     「変な間取りだ」
    1982年、第1藤岡荘5号室に入居したばかりの三輪密人はそう思った。

     内見することも間取り図を見ることもなく適当に決めた部屋である。6畳4畳半とキッチン3畳だが、ドアを入ったところに「玄関の間」とでも言うべきスペースもある。
     けれど、玄関の間の先にはキッチンに入るドアと4畳半に入る障子が並んでいる。それらの奥に6畳間が控えていてキッチンからも4畳半からも障子1枚で仕切られていた。

     煙草を吸いながらそんなことを考えているうちに、引っ越し業者が大量のダンボール箱を搬入していく。どんどん積み上げられる荷物で部屋のほとんどが埋まっていくのを、三輪はただ眺めていた。
        ( 第1話「変な間取り」) ※全10話。

         * * * * *

     なんと風変わりな小説だろう。そう思いました。少し変わった間取りを持つ2Kのアパートの一室に入居した、歴代の住人の生活記録です。

     ただし、50 年間に渡る 13 代の住人の全記録を順に述べるのではなく、第8話まではテーマごとに各住人の言動や思考を列挙していくという手法で書かれています。
     そして、第9話は住人たちの退去のいきさつが紹介され、最終話で後日談が明かされます。

     この観察日記とも言える記録集は、試みとしてはおもしろいしそれなりに楽しめたのだけれど、語られる人物が次々と入れ替わっていくため、プロフィールを思い出すのに苦労します。
     また、誰にも、そして何にも主眼が置かれておらず、ひたすら淡々と書き綴られていっている印象で、読み通すためのモチベーションの維持も大変でした。

     でも第9話「メドレー」から最終話「簡単に懐かしい」での三輪密人に絡む話はサスペンスミステリーのにおいがして、少しばかりドキドキします。
     ここまで読んだ人へのご褒美のようなものかなと思って、ひとりでニンマリしました。

     エンタメ性はまったくありませんが、一風変わった小説が好きな人にはオススメです。

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    2023年11月30日
  • 猛スピードで母は

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    外から、状況だけを箇条書き程度で聞いたら、勝手に憐れんでしまうような話。
    でも、中にいる当人の目線で語られる話しは、どことなく軽やかで悲壮感がない。

    自分の狭い価値観で勝手に断じるのはよくないよね、ということを感じさせてくれた。多様性は大事だね。

    ちょっとしたエッセイくらいの感じで軽く読めて良かった。

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    2023年11月17日
  • トゥデイズ

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    読み始めは、なんだかいつもの著者とはテイストが違うなと戸惑いつつ、最後はうまく着地した。

    battery lowのアナウンス、ビートルズのCome Together、いずれも英語と絡めた表現が笑えた。

    「舟」は読んでから、これもなんか違う?と思っていたら、漫画の原作として書かれたものだったのね。
    元素記号が妙に新鮮に感じられたのが悲しい年齢(笑)

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    2023年11月06日
  • トゥデイズ

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    子どもがいっぱしの一人の人間になっていく過程に驚いたり、近所の事件に後ろめたさを感じながらも興味津々だったり、他人事とは思えない夫婦の生活を描く表題作と、塾と矯正歯科を往復する日々を過ごす高校生の話『舟』。
    どちらも取り止めのない思考の流れがリアルで、面白かった。
    きっと普段の思考を全部文章に書き表したら、こんな感じが、もっと支離滅裂な(始点と終点で全然関係ないことになりそうな)感じになるんだろうな、と思う。
    長嶋さんの作品は『ジャージの二人』のあの淡々とした、何も起きない日の描写が好きなのだが、本作もあの時と変わらない素朴さが良かった。

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    2023年10月22日
  • パラレル

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    ネタバレ

    不思議な読み口の作家さんでした。
    ちょっと癖のある文章ですが、それが逆に癖になる書きぶり。また、30代位のアホでエロな男たちの挽歌とでも言いましょうか。主人公七郎やキャバ狂い!?の津田の行動に身に覚えがある男性諸氏も居るのではないでしょうか。

    ・・・
    本作『パラレル』、タイトルの意味は何でしょうか?
    作品では『パラで付き合う』という表現がありました。複数の相手とへらへらと付き合うことを『パラで付き合う』と表現しており、それなのかなあ。

    時間軸が「大学時代」「ちょっと前」「現在」と三つに飛び飛びに展開しましたが、それはジャンプであってパラレルでもないしなあ、と独りごち。

    2004年という、だいぶ前の作品ですが、かなり典型的な男性目線の作品であり、今の今新刊では出せなさそうな作風です。潔癖というか完全な倫理観をお持ちの方は読まない方がよさそうな作品。

    ・・・
    解説によると、文芸誌では家族ものとして評価された一方、解説のゲーム作家さんが書くように『単行本発売記念の呑み会で、同席したすべての男性が「これ、オレなんだよー」と思っているようだった』とあります。つまり、多くの男性にとって親和性のある事柄が投影されていたとも言えます。

    友人津田のキャバ嬢狂い、妙ちきりんな倫理観(結婚式のスピーチで『結婚とは文化であります』とうそぶきつつ、複数女性とお付き合い)、主人公七郎とキャバ嬢との友人関係、奥様の浮気と離婚の様子、はたまた津田の会社の破産など。

    確かに30代という精力的な年代、お金もそもそこ自由になる世代(20代とか新卒当初と比較して)、こうして向こう見ずな生活の一端は私にもあった気がします。内向的な社会人生活を送っている私ですらそうでしたので、付き合いと称する呑み会が多そうな営業現場一筋とかの人は大いに膝を叩きそう。

    ・・・
    文章はややくせのある会話調が多く、かぎかっこで会話を描くも『』の後にもぽつぽつと会話が続くのが特徴的。だから、さらさらとは読めず、注意しつつ二度読みすることがしばしばありました。
    しかし、とっかかり・リードの発話と、それ以降のごにょごにょ(重要性低め)をこうした『』内外で分別しているのか、とも思いました。

    これは何というか癖になる心地よさがあります。

    ・・・
    ということで長嶋有さんの作品、初めてでした。

    もともと15年くらい前のBRUTUSで『読むべき現代の作家』みたいなチャラ目な特集だったのですが、特集ページだけ10ページくらいコピーして実家においてあって、近年ちょろちょろ購入し始めたというものでした。

    時代の一端を切り取っているといえば、確かにそうかもしれないと感じた一作です。

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    2023年09月30日
  • ご本、出しときますね?

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    最近オードリーの若林さんにハマっており、たどり着いた一冊です。
    この番組見たかったなー。対談相手の作家さんも好きな人達ばかり!

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    2023年08月26日
  • ご本、出しときますね?

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    ◆心に刺さったワード◆
    ⚫一日の中に締切があると、規則正しく進む
    ⚫中途半端な人こそ自分を天才に見せようとして横柄になる
    ⚫仕事してる間は、自分の内側のことで悩まなくていい。それに、金銭が発生すると「社会に必要とされてる」と思えて、自分のなかの欠落感が埋まった気になる。その「必要とされてる感」を失う怖さ。今仕事がなくなったときに、その欠落とうまく付き合う 技術や、人間 力への自信がない。そこから来る 強迫観念かもしれませんね。
    ⚫強い心は強い肉体に宿る
     

    ◆読んでみたい本◆
    ⚫変な恋愛の短編を集めたアンソロジー 岸本佐知子 『恋愛小説集』
    ⚫肩の力を抜きたい人 森鷗外 高瀬舟
    ⚫世界の実相をつかみたい人 古井由吉 辻
    ⚫次から次に変人が出てくる 村上龍 ライン

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    2023年08月18日
  • もう生まれたくない

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    変わったお話。
    最初、構成についていけず、ついていけても、なんなんかなー、このお話はと思いながら、最後まで読めました。

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    2023年07月14日
  • 猛スピードで母は

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    淡々と描写されているが、不思議な家族像。洋子さんとの出会いが、主人公の生き方に大いに影響を与えていきそうで、続きが気になる。

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    2023年06月16日
  • ご本、出しときますね?

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    若さま一人のエッセイのほうがだんぜん面白い。
    暗くて、ネガティブで、面倒臭い部分がいいのだ。
    聞き役にまわると、気を使う感じが透けてみえるから

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    2023年06月07日
  • 猛スピードで母は

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    芥川賞としては、あっさり読みやすく所謂モヤモヤする感じは無く軽め。

    文章構成は上手いし平易な文体で手に届く小さい世界を上手く描いてる。

    難解さはなく不快感もほぼない。作者自身の人柄が前向きなんだろうと思う。

    ただ、人の奥に潜んでる闇や美のようなものは描かれていないのが、芥川賞にしては物足りないと思われ、選評もやや割れていた笑。

    選評委員では宮本輝氏、池澤夏樹氏、河野多恵子氏が◎

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    2023年05月19日
  • もう生まれたくない

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    フィクション(小説)の中にノンフィクションである『死』(有名人であったり)が散りばめられてる。
    同じように(?)『死』は私たちの生活の中に突然入り込んできたりと散りばめられてる。
    そういう予期しない『死』というものが、心を動かしたり、止めたり、衝撃的であったり、無関心であたったり。

    ま、ま、そんな感じに捉えました。
    最初は、う〜ん…とは思ったけど、だんだんと世界に入り込んでく感じでした。
    終わりもすーーーっとフェイドアウトのような終わり方。

    よかったと思います。

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    2023年04月05日
  • もう生まれたくない

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    有名人の死や、話題になった事件の死に関して、世間話·雑談の中で、話されていく少し変わった話。話のつじつまを考えながら読むと、なかなか進められなくて、やっと読み終えた本。
    「死」と聞くととても重いテーマなのか…と思うけれど、この物語は、ドライに話されていて、1つ1つの死が新聞やニュースで取り上げられているくらいの軽さで終わってしまう。何が言いたいのか、何となく消化不良な感じは否めない。

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    2023年04月04日
  • 問いのない答え

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    22/10/15
    震災後にTwitterではじまった言葉遊び、謎かけを楽しむコミュニティの群像劇。コンセプトもエピソードもいいのだけど、もう少し登場人物を減らしたら読みやすかったんじゃないかな…この人誰だっけな、に気持ちを分断されがちでした

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    2022年10月15日
  • 三の隣は五号室

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    定点観測な連作集。
    こういうのって「ひとり1話」みたいな
    構成になっているものが多いと思うのですが
    これは少し変わっている。
    第一藤岡荘というアパートの一室に住んだ
    歴代の住人たちの人生を書き留めるのに
    「場所」や「もの」で章わけされているのです。

    たとえば『雨と風邪』の章なら
    部屋に響く雨音を風邪ひきの布団で聴く十畑保
    乗り物の中にいるようだと感じる二瓶環太
    天ぷらを揚げる音のように思う七瀬奈々。

    『ザ・テレビジョン!』の章なら
    白黒テレビだった藤岡一平から
    父・野球、母・ワイドショー、子はアニメと
    昭和そのものな視聴風景の二瓶一家。

    1966年から2016年までの物語。
    その時代、時代の暮らしぶりが
    郷愁を誘う一冊でした。

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    2022年08月01日
  • もう生まれたくない

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    初めての長嶋有さんの作品。
    有名人の訃報を耳にして、それぞれが思いを巡らす。
    なかなか登場人物の関係性や、結局主のストーリーが掴めず、誰にも入り込めないままなんとか読み終わった感じだった。

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    2022年04月27日
  • 猛スピードで母は

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     2001年第92回文學界新人賞受賞作の「サイドカーに犬」と2002年第126回芥川賞受賞作の表題作「猛スピードで母は」の2作品収録の短編集。
     2作品とも子どもの視点から大人を捉えている。「サイドカーに犬」は父の愛人、「猛スピードで母は」は母親だが、どちらもやっていることはどうなんだろうと思うが、格好よく見えてしまう。ここまで振り切れてしまっている人というのは、案外そういう風に見えるものなのかもしれない。話題も話題なので明るい話ではないが、読後感は想像以上にスッキリする不思議な魅力のある作品。

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    2022年03月26日
  • 泣かない女はいない

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    ネタバレ

    初長嶋有。
    表題作と「センスなし」からなる中編集。

    1999年って、カセットテープと携帯電話が共存する不思議な時代だったんだよなー。ってことを思いながら読んでました。

    泣かない女はいない。

    タイトルがめっちゃ素敵。

    変化がまるで感じられないような日常の中、昨日とは何かが違うと感じ取れる睦美の心の変化がリアルに伝わってきて、何だか切なかったな。

    だって惹かれる気持ちって誰にも止められないんだもん。

    泣いたことがない。という彼女が泣いたとき、それは幸せな涙であってほしいけど、人は案外幸せな場面では泣いたりしないのかも。ということを思いながら読んだ一冊でした。

    でも、最後の場面では追いかけて行って欲しかったな。というのが私の思いです。

    「センスなし」は、額に『肉』くだりがよかったです。

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    2022年02月17日
  • パラレル

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    ネタバレ

    七郎と奈美さんの掛け合いと気持ちの小さな変化がすごく絶妙。不倫も離婚も気持ちはわからないけどなんか文化を失うっていう喪失感はわかる気がする。

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    2022年02月06日