あらすじ
40歳にして初心者マークの戸倉は、友人の須崎と、その彼女琴美とドライブへ。退院したらどこかいこうという約束を果たすのだ。キン肉マン、北斗の拳、奥田民生……車中の合唱、前方を走るタンク車に興奮、振られた男は高速道路で捨て身の行動に打って出る。そして、大切なことに気付く瞬間が訪れて――。愛しさと哀しみを鮮明に描いた恋愛小説。〈解説〉大塚真祐子
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
長嶋有さん、好きだー。
車で移動する主人公たちの、連作ロードノベル。
乗り合うメンバーは少しずつ入れ替わり、目的地も変わり、みんなの人生がなんとなく動いていく(車にいっしょに乗るって、独特の距離感だよね)。
「男の子」の好きな漫画、歌がたくさん出てくる。
この小説でも殺し文句がいくつも登場するが、いちばんぐっときたのが、
「男の歌を口ずさむこと以上に、好きな車がある女は皆、素敵だ」
というくだり。
『猛スピードで母は』もそうだったけど、わたしは長嶋さんの女性への目線が好きだ。過重な評価ではないけれどちょっぴり背筋を伸ばさせられる、こうでありたいというかたちを、浮き彫りにしてくれる感じの。
個人的なできごとにより、長嶋さんの本をある時から読めなくなった。でも、このまま遠ざかるのは寂しすぎる、と頑張って読み通した。克服した。