あらすじ
「長嶋さんの書く日常って素晴らしくしみじみ良いなあと思う」犬山紙子(解説より)
「コロナ以後、宙ぶらりんになったままの願いや欲望を、本書が慰めてくれた気がした」綿矢りさ
「不要不急の言葉で、僕の生活も止まった。この本を読んで、あの時期のごたついてた気持ちをひとつ整理してもらえた」藤井 隆
「伝えたい気持ちと、見つけたなにかを言葉にしていくことが、一日一日を支えてくれる」柴崎友香
夫の「俺」、妻の「私」、2歳の娘。
あの年。あの日々。思いが交錯し形をなす傑作小説。
緊急事態宣言で2歳の娘の通う保育園が休園になった。
マスクが店先から消え、プールもドラム教室も休みになり、ありとあらゆるものが静止したコロナ下でも、子どもの成長は止まらない。
作家の夫「俺」と、漫画家の妻「私」は、手分けして育児をしながら非常時の日常(ルーティーンズ)を歩きはじめる。
かけがえのない家族小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
夫婦が代わりばんこに日々の生活を綴った日記風の作品。綴られているのはコロナ禍下の暮らし。異常な状況下で、何故か日常化していったあの日々の暮らしが、夫婦それぞれの視点で捉えることによって立体的に描き出されている。
日記は3回目の緊急事態宣言が発出された2021年4月より始まる。最初、起こった出来事だけを記載していた文章は、いつしか随筆のようにそれぞれの考えや感情も綴られるようになり、より解像度
を増していく。物語中、特に大きな事件は発生しない。保育園が閉鎖されようが、飲み会や音楽教室がなくなろうが、日々の生活は容赦なく繰り返されルーティーン化されていく。それだけに、取り立てるほどの事もない日々を描き出すために、解像度の高さは必須事項だ。
日記や随筆の訴求力を改めて認識させられた作品でした。このスタイルの普通の小説も読んでみたくなりました。誰か書いてないかな。
Posted by ブクログ
あまりにも解像度の高い日常にしみじみ。あえて言葉にしていないだけで、私の日常にもこの話に出てくるような気づきや思いがきっとあるはず。それらに目を向けて言葉にしてみようと思わせてくれる。