長嶋有のレビュー一覧

  • 夕子ちゃんの近道

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    本作のように特に大きなハプニングが起こるわけではなく、淡々とした日常を描いていながらもどこか温かい作品が何故か好き。
    興奮はないものの、読んでいてゆったりした気持ちになれます。
    長嶋氏の他には吉田修一氏の作品にもたまにこんなのがありますよね。

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    2012年03月30日
  • 夕子ちゃんの近道

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    なんといったらいいのでしょうか?
    平凡な日常を、さらりと味わい深くかかれています。読み始めに掴みはないけれど、徐徐に長嶋ワールドにはまってしまいます。
    少しだけ現実逃避をして得たものは、人との繋がりで、旅をしているという表現は的をえている、と思った

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    2012年02月14日
  • 電化文学列伝

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    小説、漫画、映画などの作中の電化製品について語りながら、実は文学そのものを語っている。軽妙な文章でいて読みごたえ十分。

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    2012年02月10日
  • パラレル

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    『猛スピードで母は』につづいて長嶋有作品2作目。
    前回の作品で感じた、ピンと張り詰めた透明度の高い空気感、それをもう一度味わいたいと思い本書を手に取った。

    はたして、その心地よい空気感は本作でも感じることができた。
    しかも前作より尺が長いので存分に浸ることができた。

    話は男女間の関係(結婚・離婚・再婚)を軸に進む。
    それは「サイドカーに犬」、「猛スピードで母は」と同じだが、
    前2作では小学生の目線で一歩おいて描かれていたのに対し、
    本作では主人公本人も当事者としてそこに加わる。
    前2作との距離感の違いが面白い。

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    2012年01月31日
  • いろんな気持ちが本当の気持ち

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    面白かった!好きだ。

    言葉について考え込める人。
    人にどう見られるか考え込んじゃう人。
    映画も音楽も話せる人。
    いかにも下らないどうでもいい話題。

    そういうエッセイは好きです。
    ほむらさんにも触れてあって、その評がしっくりきて面白かった。

    「言葉の打率」のくだりが印象的で、その比喩はつまり、言葉がバッターだということで、安易に考えると作家が投手で読者が打者で言葉はボールになってしまうんだろうけど、言葉自体の能動性にどきりとした。
    わたしの方がボールなのかもしれないし、フィールドなのかもしれない。
    作家は監督かしら…そんな想像が膨らむ表現。
    読み飛ばせるだろう言葉にもきちんと意味を付与でき

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    2011年11月26日
  • タンノイのエジンバラ

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    身近な人とのやり取りが坦々と描かれる同じテンションの短編集。長嶋有は本当に場面描写において会話、しぐさ、気になる固有名詞のミックスが上手すぎる。

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    2011年11月21日
  • いろんな気持ちが本当の気持ち

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    なんなのだろう、この感触。長嶋有のエッセイは「ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ」以来。彼の書くエッセイは、家のなかに置いてある箪笥と壁の間にいる小さな虫からの視点、という感じ。
    最近、お笑いでもなんでも、おもしろいとか、興味深い“ネタ”は、微細なことがら(日頃誰もが感じていながらも、なかなかことばにするまでに至らない思いや出来事)をどう「調理」するか、という技、あるいは視点の角度の良し悪し、センスの有る無し、が判断基準のように思うけれど(ぼくはその姿勢を支持しながらも、さみしい気がする。「やすきよ」的お笑いに憧れる)、長嶋有の“ネタ”も、その枠に入りながらも、大きく逸脱している。
    つまり、小手

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    2011年10月13日
  • ぼくは落ち着きがない

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    ドラマチックなことはさほど起こらないが、ささやかな日常のなかでのきしみやおかしみなんかがいい感じだ。

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    2011年09月03日
  • ぼくは落ち着きがない

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    この主人公は他人と深く付き合うのが苦手なのかもしれない
    なおかつそのことに、自覚が薄いタイプなのかもしれない
    だからこんなタイトルをつけられてしまったのか?

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    2011年08月26日
  • ぼくは落ち着きがない

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    どこにでもある、誰にでもあった高校生活をそのまま切り取った日常作品

    特に、何があるでもなく、登場人物も常識レベルで変わった人達ばかり。
    しかし、見事に切り取られた高校生活には本好きなら必ず共感できる世界。
    一人の女子高生が主人公で、その子の考え方が垂れ流し状態のストーリー。さっき下を向いてたのに、もう前を見ている、そうやってコロコロ変わりながらも少しずつ、少しずつ前に進んでいく主人公の精神。

    ともすれば、本当にヤマもオチもない物語ですが、読んでいる間に何かつかめる。そんな作品です。

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    2011年08月03日
  • ぼくは落ち着きがない

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    ジャケ買い。でも失敗じゃなかった。
    図書部の面々のなんでもないようでなんでもあるような日々を主人公の視点から描いている。
    語りが独特で、自分には歌の歌詞の様に思えた。好きなフレーズも幾つかある。
    ヤマもオチもないが、何でか楽しめたことが自分でも不思議だったが、堺雅人さんの解説でシックリきた。

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    2011年08月01日
  • パラレル

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    幾つかの時代を並行して描きながら作り上げた青春小説でしょうか。なんとなくモヤモヤした作品ですが、そのモヤモヤが妙に心地よいところが不思議な魅力です。

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    2011年07月19日
  • 結婚失格

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    町山智浩の解説を読んで、ようやく腑に落ちた。この解説を含めてひとつの作品だと思う。印象に残ったのは、解説内で「人間の通過儀礼が弱体化したなか、失恋は例外」という言葉。「思想地図β」での菊池成孔の「無条件に素直に従えるものが、この国には恋愛以外残っていない」という指摘と重なった。

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    2011年07月04日
  • ぼくは落ち着きがない

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    表紙の絵がどうにも好みでないのと、うーん高校生の部活の話かーとか思ってたのとでちょっと敬遠していたんだけど、読んでみたら、まったく違和感なく、おもしろく読めた。長嶋有が描く高校生だからかなあ。べつに高校生じゃなくてもいいというか、身分にかかわらず、共感できる。主人公の、じっと観察してて、あれこれ考えちゃうところが、だからって実際なにかするわけじゃない、っていうような感じがすごーくよくわかる。だれもが生きにくさをかかえている、っていうのも、なんだかすごくよくわかる。こういうのって、思春期にかぎらず、感じる人はずっと感じつづけることなのかも。なにかが起きてがらっとなにかが変わったりしないところもリ

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    2011年09月18日
  • 結婚失格

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    町山さんの解説が読みたくて購入。小説部分を読みながらうっかり主人公に共感してしまい、町山&穂村両氏の解説を読んで、その指摘のもっともさにうなだれた。正しさを振りかざしてしがみつく感じ、自分にもあるなー。主人公が内田春菊を例に出し、そういったタイプの女性を非難するくだりが印象的。私も似たようなことよく考えます。器のちっちゃいやつです。

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    2011年06月05日
  • ぼくは落ち着きがない

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    解説につられて、初・長嶋有。
    図書室がホームとなっていた高三時代を思い出して、ちょっとなつかしかった。だらだらしたゆるい青春小説のようでいて、メッセージも意外としっかり感じられた。「本はつまり、役に立つ!」

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    2011年05月28日
  • ぼくは落ち着きがない

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    堺さんの解説に釣られたよね。ええ。
    でも文系女子にはとても共感できる話でした。
    本は役に立つよ!

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    2011年05月25日
  • タンノイのエジンバラ

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    何を考えているのか分からないと人から言われる、
    周りの人の空気を読んだ発言が苦手である、
    深い理由はないが物事が長く続かない、etc
    この作家は、そんなちょっとダメな人間を書くのが上手い。
    異常に上手いので、ちょっと気持ち悪い。

    この短編集の登場人物たちの考え方・心の動きを追っていると、
    これは自分のことを書いている?
    いや寧ろ自分が書いたのではないか?ぐらい、
    皮膚感覚と一致した表現がされる。
    オエッ

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    2011年05月22日
  • ぼくは落ち着きがない

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    「皆、誰かに期待なんかしないで、皆、勝手に生きててよ。」

    高校の、図書部のおはなし。

    タイトルの「ぼくは落ち着きがない」は、むかし図書部にいた先生が書く、次回作のタイトル。
    おそらく、図書室につながる両開きのドア(西部劇なんかにあるやつ)を擬人化して「ぼく」としているのではないだろうか。
    私は、作中の先生が書いた同タイトルの小説を読みたい、と思ったのだけど、これを読み終わることでその願いはかなってるのか、なんて厨二みたいなこと考えました。

    青春小説特有のかる~い会話劇が私はもんのすごく苦手なんだけど
    長嶋先生はやはりセンスがあります。
    滑り知らずというわけではないけれど薄ら寒くもない、あ

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    2011年05月18日
  • パラレル

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    読み始めた時と読み終わった時の気持ちが一定だった。

    時間軸が一気に遡ったり、ゆるやかに進行したりしながら、男女は結婚、離婚を経て変わっていく。

    そのなかで、男2人の関係性は変わらない。

    夫婦の話と男の友情が2本平行に進んでいく。

    タランティーノ監督を意識した時間軸の使い方、見せ方はあっちこっち頭をめぐらす必要なく、シンプルに読めた。

    人間の結びつきが、あー、あるあるという感じ。
    特に男性は『これは俺だ』と共感するらしい。

    行き届いた人間観察が、この作者の好きなところだと改めて思う。

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    2011年03月05日