有栖川有栖のレビュー一覧
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表紙が綺麗でオシャレ。
光文社の火村シリーズは初めて。
光文社シリーズ3冊の表紙を並べて本棚に飾りたくなってしまった。
もったいないけど連続して読んでしまおうかな。
中編4編。
中編は読み応えがあるのにスピーディーに進むので好み。
特に面白かったのは表題作。
ストーカーものは読んでいて気分が悪くなるので苦手なんだけど、この作品はつきまとわれる不気味さや不安を煽るような描き方ではないので、嫌な気持ちにならずに楽しめた。
こういうところからも有栖川さんは本当に女性に優しいなと感じる。いつも安心して読める。
読んでいる途中で「もしかして?」と気付いた瞬間が嬉しかった。
『地下室の処刑』では、森下刑事が再び主役に。いつもの火村シリーズとは違う緊迫感があって、こちらも面白かった。 -
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ネタバレ有名な推理小説家の屋敷に招待された、有栖と友人の火村。パーティーののち、主人の真壁と謎の人物の2人が死んでいた。推理小説家の有栖と犯罪学の助教授火村はこの2つの密室殺人を解決することはできるのか?
1995年の作品当時としては、完成度の高い作品だったと思う。密室トリックの面白さと納得度も高く、有栖と火村のキャラクターも良く、2人の会話も小気味よく読みやすかった。
男色という動機の面がややリアリティが無いのと、殺人が1晩のみですぐ警察がやってくるので、サスペンス感は薄くドキドキが少なめ、2人以外の登場人物もやや感情移入しにくいところが残念なところだった。
スリルサスペンスではなく、本格ミステリ、密室のトリックや殺人の方法に全振り、であれば、読者に問いかけスタイルでも良かったかもしれない。(ただそうなると物語への没入感は薄れるので難しいところ)
とはいえ、昔の本にしては読みやすく、納得度も高く、完成度は高い作品だったなと思う一方、感情が揺さぶられることはなかったので☆3 -
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ネタバレミステリーにおけるフェアとは、下限はどこにあるんだろうなぁ?と、この作品を読んでちょっと思った。ひとまずトリックが分かれば犯人がわかる、という関係性がある意味での絶対性だろう。ただ、その上で動機の扱いがどうなのだろうなと。
作中、登場人物たちが「動機のなさ」から犯人ではない可能性について言及する場面がある。彼らは作中の人物たちだから、うそをついても問題はない。それはつまりフェアであることには影響を与えないということでもある。もちろん起きている事象や証言等に矛盾するなにかがあれば、それはひとつの証拠となりうる。それでも、動機自体は不明であってもフェアさは担保される、ような気がする。
書いていてわからなくなるのだけれど、究極とまでは言わないまでも噴火する火山のそばに閉じ込められるという状況は心理的にはかなり追い詰められたもので、そんな中で人間ができることってどの程度なのか。人そのものは、フェアさにどの程度影響を与えるものなのかというのが気になってしまったのです。多分「人」という冗長性の高いものはある意味無視しても良いんだろうなぁ。 -
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有栖川有栖さんといえば、もちろんミステリー作家。
でも、この本は怪談短編集。
10編すべてが鉄道を舞台にした怪談で、そのうち8編は『幽』に掲載されたものだそうです。
かなりの鉄道ファンという事で、鉄道の絡ませ方が豊富。廃駅、列車、線路、駅員、切符……鉄道そのものが怪談の舞台装置になっています。
私が好きだったのは「密林の奥へ」と「テツの百物語」。こういう、怪談と幻想の境目にあるような話が好みです。
そして全体に漂うのは 「あの硬い切符にハサミを入れていた頃」の鉄道の雰囲気。
怪談×幻想×鉄道。
恒川光太郎さんが古民家ホラーなら、有栖川有栖さんには、鉄道ホラーをもっと書いていただきたいと思いました。 -
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風呂に入るまでが面倒くさい。
サッと入ってしまえばすぐに済むのに、毎夜、「あぁ、風呂に入らないとなぁ……」と思いながら、何時間も無駄な時間を過ごしてしまう。
スマホというやつは本当に良くない。テレビも見られるし、ラジオも聴ける。こうして、風呂に入るまでの時間はいくらでも溶けていく。
「5分後にお風呂に入りたくなる!」
そんな謳い文句を見て、縋るような気持ちでこの本を手に取った。
本書には、入浴にまつわる18篇の小説と4篇のエッセイが収録されている。どれも5分もあれば読み切れるような短い作品ばかりだ。
しかし、これを読んだら即座に風呂に入れる、という作品は、残念ながら一篇もなかった。
私とて、正直な話、この本を読んだからといって、簡単に風呂に入れるとは思っていなかった。
ただ、少しでも早く風呂に入る決心ができるようになるためのヒントがないかと思ったのだ。そのヒントは、結局「風呂に入らない」2篇の中にあった。
風呂に入らないと決め、痒みや気持ち悪さといった数多の「受難」を乗り越えて、ついには「思い込み」の力で、風呂に入らなくても「入浴の効用」を得られるようになったと主張する青年を描いた、さや香新山作の『プラシーボ!』。
風呂に入らなくても身体を完璧に洗浄する技術が開発された近未来で、人類が入浴という苦難から解放され、ついには入浴が法律で禁止される世界を描いた、日野瑛太郎の『そして誰も風呂に入らなくなった』。
人間というのは天邪鬼なもので、他人から「やれ」と言われればやりたくなくなり、「やるな」と言われれば、やりたくなるものだ。
同じように、風呂に入ることを固く禁じられたなら、私は今すぐ風呂に入りたくて仕方なくなるのかもしれない。 -
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本書は、お風呂にまつわる22篇の短編小説・エッセイ((小説18篇、エッセイ4篇))からなるアンソロジーです。
タイトルに「5分後に」とあるように、1篇5分ほどで読み終えられます。
大変恥ずかしながら、わたしは風呂キャンセル界隈のひとりです。
疲れて帰ってくると、そのまま寝落ちてしまいます。
ですが、疲れた時こそお風呂に入らなくてはいけないという義務感は持っています。
なので、お風呂に入るモチベーションが湧かない日に1篇ずつ読んで、これで入浴できれば最高だと思って購入しました。
が、結論から申し上げますと、本書のおかげでお風呂に入れるようになったということはありませんでした。
お風呂に入るモチベーションが湧かないくらい疲れている日は、小説にも手が伸びなかったからです。
わたしが風呂キャンセル勢なのは、モチベーションの問題ではなく、お風呂に入る体力がないからだとわかりました。
このことを明らかにしてくれたのは本書の功績です。笑
というわけでわたしは体力のある日にまとめ読みしましたが、たぶん編者のかたは、お風呂に入るモチベーションが湧かない日に1篇ずつ読むことを想定しているのだと思います。
以下、感想です。
5分で読める短編小説と言えば星新一作品ですが、本書には星新一作品ほどウィットに富んだ小説は見当たらないかなと思いました。
宇宙が舞台になっているなど、設定が奇抜な作品はいくつかあったのですが。
(ちなみに、宇宙が舞台の小説は3篇もあります。宇宙というお風呂に入りづらい環境を描くことで、逆説的にお風呂の素晴らしさを強調する意図でしょうか。)
どちらかというと、平凡な1日が描かれていて特に衝撃的なオチがあるわけでもない作品のほうが印象に残りました。
特に日向夏『回復の泉』なんかは、RPG風の軽妙な筆致が良かったですね。
「5分後にお風呂に入りたくなる!」の謳い文句からは、お風呂の素晴らしさを称賛する作品ばかり並んでいそうな印象を受けますが、お風呂に入らなくてもよくなったと主張する人を描く作品、更には「人類を風呂から解放する」と高らかに宣言する作品まであるのも非常に面白いところです。
(ネタバレ防止のために、具体的な作品名を挙げるのは避けます。)
本書が風呂キャンセル界隈の人のモチベに効くかはわかりませんが、お風呂というテーマがここまで多様な作品を生むことに感動できるのは間違いないです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
くたくたに疲れて帰った日、ショート動画でだらだら時間を溶かしてしまう日。
「お風呂に入らなきゃ」と頭ではわかっているのに、入る覚悟が決まらない!
あなたに効く小説、ここにあります。
『わたしは本当にばかだ。あの会社を蹴ってしまうだなんて。
けれど、わたしが何度も頭を下げて選んでいただくなんておかしい。いま、こちらが未来を選んでいるはずだった。もっと気高くいなければ。わたしは落ち込んで醬薇風呂に入るような女なのだから。』
【個人的な感想】
お風呂に入りたい!とはならなかったが、色々な方の作品が読めて面白かった。
特に、この2作品が好きだった。
・無力 小原晩
・薔薇風呂の日々 くどうれいん