有栖川有栖のレビュー一覧
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ネタバレ犯人当てゲーム“トロピカル・ミステリー・ナイト”に参加するため、南の島のリゾートホテルを訪れた臨床犯罪学者・火村英生と推理作家・有栖川有栖。ハイビスカスに彩られたロビー。人魚姫のようにさざめく女たち。抜けるように青い空と青い海。バカンス気分で、のんびり過ごしていた二人だったが、訳ありげな夫婦に出会って…(「ホテル・ラフレシア」)。廃業した民宿、冬の温泉旅館、都心の瀟洒な名門ホテルー。様々な“宿”で起こる難事件に火村&有栖川コンビが挑む。傑作ミステリ作品集。
どれもいいけど、「ホテルラフレシア」片桐さんとアリスが好き。読後感は悪いですが。「ホテルカルフォルニア」の歌詞ってそういう意味だったのか… -
Posted by ブクログ
ネタバレレベルはいつも通り安定してるので、何の文句もないです。
困った時の有栖川さん。
この本も、手元に本のない日に衝動的に調達してしまい、やはり決して外れない、読んで良かったと思える出来でした。ストーリーも、文体も。
とりわけ文体が、しっくり来るんですよね有栖川さんて。凄く難しい単語を駆使してる訳じゃないけど、意のままに文章を操れる感じ。読んで全く不自然なところがなく淀みない感じ。本当に語彙力ある人なんだろうなぁ。
ただ、作家アリスシリーズはなるべく順番に読むようにしてた中での衝動買いだったので、急にちょっと飛ばした形になってしまい、初見のキャラ設定があったりしたのが、本作品が初出なのかどうなのかはっきりしませぬ。
ここまでくると、アリスは事件遭遇体質か?ってくらい事件に遭いすぎるし、火村は今日も1人クールでカッコイイ(支離滅裂)。
二人の、自立してるんだけどつるんでる感じ、お互いのことを全て知り尽くしてる訳じゃないけど信頼してる感じ、突き放してるようで好んで一緒にいる感じが、たまらなくツボです。なんか、30代前半って、一番自由でイイ時代だよね…。
特に私は火村センセファンだけど、アリスの関西弁も好き。
「暗い宿」、潰れた民宿の解体時に死体が発見された。この宿の最後の客であっただろうアリスが、聞いた物音や目撃した人影と事件との関連性を確信し、警察に一報入れる。
問題は、その直後、ウキウキと(そうは書いてないけど目に浮かんだ)火村センセに電話するアリスですよ。アリスやっぱり速攻火村に電話しちゃうのね、そうなのね、みたいな。
先に連絡したのが警察だったことだけは褒めてやろう。
「ホテル・ラフレシア」、骨子となってる歌「ホテル・カリフォルニア」をよく知らなくてピンと来なかったけど、事件を解決する展開じゃなく、趣向が変わってて面白かった。石垣島の高級ホテルに仕事がらみで泊まることになったアリス、出版社の思惑もあって火村も連れて行くことに。石垣島ではほぼ別行動でつれない火村センセだけど、アリスはその都度火村の動向を心配(?)してて、可愛い。(そういう話じゃない)
「異形の客」、アリスが訪れた近場の温泉宿の泊まり客に、包帯ぐるぐる巻きの男がいる。いかにも怪しげなその男の泊まった部屋で死体が発見される…。
人を殺めたことを何とも思ってない犯人への火村の容赦のない追及、怖いけど惚れる。背景に火村のブラックな経験があるんだろうな…と夢想する余地を残す。
ていうか、事件起きるやん、警察来るやん、それで充分なのに火村呼びつけるやん、火村もちょっと距離あるのにダッシュで来るやん。なんなの?(萌えてる)
「201号室の災厄」、外人ミュージシャンが泊まるホテルの部屋で人が死んでる話。
ちょ、火村センセ、ボクサーだったんですか? そんな設定でしたか? 頭切れっ切れなだけでなく、腕っぷしも強いんですか? そんなの惚れるに決まってるやん。
冒頭、たまたま二人とも仕事で東京にいるからって、会うんだ…会って飲むんだ…、関西でいくらでも会えるのに…、しかもセンセそんなに酒強くないんだ…そうなんだ…。
自分の生活圏である東京に二人が来てくれて単純に嬉しい話。
事件の真相の方は明かされずじまいでちょっとモヤったけど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本当は、私は作家アリスシリーズの長編が読みたいのだ。
だけど、作家アリスシリーズの短編は本当にどれもレベルが高くて、長編と同じくらいの満足感が得られる。本作品もそういった短編集の一冊。
多分、キャラが良く書けてることが成功に繋がってる。
作家アリスの有栖川は学生アリスシリーズの作者で、学生アリスの有栖川は作家アリスシリーズを書いてる、という設定らしいが、作家としては学生アリスの有栖川の方が上な気がしてる。
どれも建物に関係する事件だけど、亭、庵、殿、荘、城、と建物を表す漢字をダブらせずにタイトルにしてる。(まだあるな、堂、家、邸、館、屋…有栖川さん続編行けるんと違いますか?)
本作品でも火村とアリスはイイ感じにいちゃいちゃしてる。
・黒鳥亭殺人事件…出だしが長編感満載。これだけの重厚感を短編に捧げるなんて贅沢だ。
殺人を憎んでる火村が、無垢な少女が結果的に起こしてしまった殺人に対した時の配慮に感銘を受けた。探偵にはどんな事件でも真実を暴かないと気が済まない人種がいるけど、火村には人情がある。まともだ。
「女嫌いだが、子供は嫌いではない火村が言う。」、って火村先生やっぱり女は嫌いなのねーそうなのねー、と腐女子的思考回路が刺激されました。本作品の個人的ポイント。
・壺中庵殺人事件…こういう場合最初に部屋に入った人がアヤシイから、犯人は分かってしまった。地下の書斎、なかなか使いにくそう。
・月宮殿殺人事件…『双頭の悪魔』を読んだばかりで、シュヴァルの理想宮ネタまた来た、って印象。しかし結末は建物関係なかった。こういう目眩ましの設定をとても詳細に詰めるところが有栖川さんらしい。見事につられた。
・雪華楼殺人事件…建物からたまたま外に投げた瓶が落下してきた人の頭に当たったとか、有栖川さんにしては珍しく「そんなバカな!」的趣向。たまにはイイ。
・紅雨荘殺人事件…二つの似通った建造物を利用して殺人現場を移動させるネタ。手の込んだ事件で面白かった。ただ、紅雨荘を舞台にした映画はあまり面白そうに思えなかった…。
・絶叫城殺人事件…中編と言っていいくらい長めの話。愉快犯(?)の犯行動機は現代にはびこる問題とリンクする。もし身内が連続殺人犯だと知ってしまったら、自分はどうするだろう。
火村の勧善懲悪を堪能できる話でした。