有栖川有栖のレビュー一覧
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購入済み
本格派!
主要キャラがみんなキャラ立ちしているし、コミカルな語りなので読みやすい。この長さでもサクサク読める。
分かりやすくて現場も想像しやすい。
それにしても江神さんは会を追うごとに魅力的になっていくなぁ。。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ島の見取り図もなく、連続しておらず、見立て殺人でもない、そんな孤島ミステリは新鮮でした。何十羽もの烏が飛び交うのがただひたすらに不気味でおどろおどろしい。招かれざる客である火村とアリスの居た堪れなさも加わってとても嫌な空気。海老原ファンクラブは敵意剥き出しで、本当に居心地が悪い。秘密を守るためなら人ってあんなに攻撃的になるのだなと。内容は面白かったし納得はしたのですが、理解はできないかな、そして気持ちは沈みました。聡明な子供たちが唯一の救い。殺人の動機や経緯などに関しては、ほほうとしか。
「火村先生のおっしゃるとおり。」
「有栖川先生のおっしゃるとおり」
ちょっと面白かったな。
その数ページ後に「海老原先生のおっしゃるとおり」も出てきたので嬉しくなった。
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時代に慣れれば面白く読めます
昭和後期~平成初期らへんの時代感覚です。
携帯電話がありません。ワープロ、ラジカセ、自作のカセットテープ、店探しはタウンページ、買い物はテレフォン・ショッピング。
オフィスの自席で喫煙、40代の登場人物の父親が第二次世界大戦に出兵経験あり、など。
また、作家アリスシリーズの最近の作品を先に読んだ人は、この本の火村先生に違和感を抱くかもしれません。女嫌い設定が前面に出て、煙草のマナーもちょっと…、あと警部や容疑者に横柄というか、それにセリフの語尾もちょくちょく変です。
でも長編本格推理小説としてとても面白いので、もろもろの違和感に目を瞑ってガッと読んでほしいです。
大きく分けて2部構成です。
前半は、容疑者の一人が「こりゃコイツが犯人だわ」と早々に決着しそうになり、その真偽に火村先生とアリスが立ち向かう流れ。
後半は、全ての容疑者に新事実が次々と発覚し「コイツこそ犯人だ」がひっきりなしに繰り返される流れ。
個人的には後半の方が楽しめました、テンポが良いです。
反対に前半の、被害者の死体を見つけるくだりは「話の流れで分かるよ、そん中に死体があるんだろ、ちゃっちゃと進めてくれ」と思いました。
この本のテーマは「繭」です。
己の心を護る繭。それを護るためなら偽証だってする。己の繭について警察に正直に話せばアリバイが成立する人ですら、繭のために「犯行時間帯は一人でした」と言う。
アリスや火村先生の繭にも言及します。アリスが火村先生の繭に踏み込めないのは最近の作品でも同様ですね。それだけ火村先生の過去や内面に深い何かがあるんだろうなと思います。
あらすじのとおり被害者からは特徴的な髭が消えているのですが、その理由、凶器に隠された新事実、この人物は冤罪なのか?事件に関わっているのか?、アラームは何故10分だけ普段より遅く鳴る設定に変えられていたのか、犯行現場と死体遺棄現場が異なる理由…、謎は山ほどあります。
火村先生がそのすべてに理由をつけ、最後には真犯人をズバリと当てるのが爽快です。
あとは女性ファンが驚いた(喜んだ?)セリフ、アリスと火村先生の「まるで新婚家庭」「新妻になったような」「新婚ごっこはもう終わりだぜ」などのセリフが出て来るのはこの本です。 -
購入済み
時代は古いですが面白く読めます
この本(上下2巻組み)は、表紙絵、登場人物紹介絵、挿絵があるバージョンです。絵が無くても構わないなら、同じ角川でも角川文庫のバージョンの方が、1巻完結なので安いです。
ちなみに、挿絵は上巻が7枚、下巻が8枚です。
また、コミカライズされている「シュルレアリスムの午後」ですが、漫画家さんご自身もコメントされているとおり、小説版ではアリスと火村先生の組み合わせではないので、「あの漫画の原作小説を読みたい」と思って読むとビックリするかもしれません。
内容は、書かれた時代が携帯電話が無い平成初期(読んでいると、むしろ昭和な感じすらします)なので、その辺りの違和感を無視できるなら、本格推理小説としてとても楽しく読めると思います。
被害者も容疑者も全員、話のスタート時点で登場していて、各人のアリバイや凶器の考察など、推理物としてスタンダードな構成です。 -
購入済み
この絵柄の方が好きです
この本以外の作家アリスシリーズのコミカライズは、表紙と中身で描いた時期がかなり異なります。
個人的には、この漫画家さんの昔の絵は結構クセが強いと感じるので、他のコミカライズも買おうと思っていて絵にこだわりがある方は、表紙買いせず試し読みで当時の絵柄を確認した方が良いかなと思います。
小説のコミカライズは大抵色んな描写を端折っていて、この本もそうなのですが、アリスの一人称での描写をがんばって漫画で再現してくださっています。
漫画で初めて作家アリスシリーズに触れた方は、ぜひ原作の小説も読んでみてください。倍以上楽しめると思います。
英国庭園の謎…
大阪府警なので森下刑事が登場しています。原作でイケメン扱いなので、漫画でもかなりカッコイイです。
最初から最後まで庭園という狭い範囲での話ですが、片っ端から容疑者に話を聞いて行くのでテンポが良く、飽きません。暗号やその解き方も自然に漫画に溶け込んでいて、説明臭くないので読みやすいと感じました。
暗い宿…
冒頭はアリスの小旅行の思い出です(その後に発覚する事件に関係します)。漫画家さんは廃線を実際に取材して描いたとのことで、そこまで力を入れてコミカライズしてくださったんだなぁと勝手に嬉しく思いました。
アリスと火村先生以外の登場人物も何人か出てきますが、ほぼ2人だけで会話し続けています。容疑者そっちのけ感が面白いです。
殺人事件に時効がある時代に書かれた原作なので、作中でも時効が重要なキーになっています。
おまけ漫画…
腐…っぽいネタです。漫画はソッチ方面で売ろうとしてるんですかね。このおまけ漫画を読んで興味を持った人が、小説のコミカライズを読むと「あれっ?」と思ってしまうのでは。
あとやはり漫画家さんのオリジナル話なので(それともギャグだからかな)、原作の火村先生やアリスっぽくないと感じます。
端折ったシーンも多いですが、全体としては破綻無くまとまっていて、素敵なコミカライズだなと思います。コナンや金田一少年とは種類が違いますが、本格推理漫画として楽しめると思います。 -
購入済み
色んなパターンの話が入ってます
5作掲載。本格推理あり、火村先生のとある一日的な話もあり、犯人視点で進む話もあり。「店」縛りですが事件の内容や展開はバラエティー豊かで飽きません。
「古物の魔」と「怪しい店」はいつもの(という表現も変ですが)推理小説です。どちらも森下君頑張ってます。
前者は、防犯カメラに映った被害者らしき姿が、被害者本人だとするには不自然で、しかし犯人によるアリバイ工作のための偽装だとすると、その偽装により得をする容疑者がおらず、この映像は一体何なのか、という疑問が面白かったです。
また、推理からは外れますが、古物商による「ゴミとは、古物とは」の議論が興味深かったです。
後者は、自分は犯人を当てようとせずにそのまま読み進めたので、「ああこの人が犯人なのか。…あれっこの人?えっこの人?」となりました。
作中、火村先生がアリスに「おかしいと思わなかったのか?」と言うので、作者から読者への挑戦状という本格推理小説ならではの展開として、犯人当てをしたい人が楽しめる構成になっていると思います。
「燈下堂の奇禍」と「潮騒理髪店」は短編で、それぞれ形式が特殊で面白いです。
前者は、火村先生はいわゆる安楽椅子探偵です。アリスが聞き知った事件のあらましや目撃情報から、火村先生が下宿先から一歩も出ず、犯人と事件の全貌を明らかにします。
後者は、特に事件は無く、火村先生が体験した小さな出来事をアリスに話し、謎と言えば謎と呼べるそれを「あれはきっとこういうことなんだ」と予想する雑談です。推理小説というよりは火村先生の小旅行エッセー(笑)です。
「ショーウィンドウを砕く」は珍しく犯人視点で話が進みます。「他人から見ると火村先生やアリスはこういう印象なんだな」と分かって面白いです。特に最後の数行は「殺人犯から見た火村先生」の考察が興味深いです。暗いというか黒いというか。
犯人視点なので、犯行手口や隠蔽工作は読者には見えています。それを火村先生がベリベリと暴いていく痛快な話です。手法が「そうやって暴くのか!」と面白いです。
アリスが頑張ってます。単独で犯人へ押し掛けたり、事件の詳細や目撃証言をかき集めて火村先生へ報告したり、先生や警察に請われて容疑者をおびき出したり。
火村先生が精神薬(抗不安薬)に詳しいのは、自身が服用しているとか…? -
Posted by ブクログ
「暗い宿」の姉妹版、と著者あとがきにもあり、まさにそんな雰囲気だった。
「暗い宿」との大きな違いに、警察関係が大阪府警しか出てこないところかな。野上さんファンなので兵庫県警が出てこないとさみしい笑
大阪府警をたっぷり楽しめる一冊。船曳班の面々も大好きなので、じっくり楽しめた。
ということで、大阪府警中心の感想。
「古物の魔」
森下さんの成長ぶりに想いを馳せた。捜査会議の描写といい、船曳班の雰囲気を読者に知らせてくれるような一編。
アリスの抜け駆け、珍しいけれどもなんとなく気持ちがわかった。こういう犯人に対して魅入られたようになってること、たまにあるよね。
「燈火堂の奇禍」
解説にもあった通り安楽椅子探偵もの。警察は出て来ず。
「万引きされたもの」がなにか、という謎が楽しかった。
古本屋さんは私も好きだけど、全体に入りやすくない雰囲気でいつもドキドキしてしまう。
店主がこの親爺さんみたいだったら固まっちゃうだろうなー。
「ショーウィンドウを砕く」
倒叙もの。作家アリスシリーズでたまにあるけど、犯人から見た火村とアリスの描写がいつも興味深い。アリスはだいたい「人畜無害そう」って言われてるね…。
こちらも府警では森下さんの出番が多い。若手の張り切りボーイは有栖川先生も書きやすいのかな。
「潮騒理髪店」
火村とアリスの電話で語られる日常の謎。
有栖川先生の日常の謎、いつもほんわかしている。
読んでいて和んでとてもすき。
散髪のシーン、物凄く気持ち良さそうで私も顔剃りしてもらってみたくなっちゃった。
リカちゃんみたいにやってもらってみたいなぁ。
火村先生には魂の洗濯になったようでよかったね。と。
舞台の日本海側ってどんな街なんだろう。モデルがあるなら行ってみたい。
ところで作品中に理髪店が出てくる小説がたくさん羅列されていたけれど、
小説じゃないけど「スウィーニー・トッド」が私はかなり印象にあるな。
並べられた作品も読んでみたい。
「怪しい店」
表題作。「被害者に味がある」事件という表現、独特だけどなんだかわかる。
でもミステリに出てくる被害者って、大抵は「味がある」ような…。死体として転がってれば役割を果たすタイプもいるけれど。
こちらは府警では、語り手アリスと行動を共にするので、まだあたり馴染みのないコマチさんがフィーチャーされている作品。
紅一点、森下さんよりは年上。火村とアリスよりは年下なのかな。そんな雰囲気。どこかで年齢明かされていたかな?
ミステリとしては、「怪しい店は」もっとしっかり考えて読めば私も真相にたどり着けたのでは?という感じがしている。
解説にもあったけど、アリスが火村に宿題を出されたところはつまり「読者への挑戦」と受けとって良いのだなぁ。
いつも通り楽しい短編で、読み終わって幸せなため息をつけた。 -
Posted by ブクログ
ロジックも良かったし、アリスの推理小説論も面白かった。朱色とは夕日のことなのですが、冒頭の夕日の描写も印象的でした。
でも、それをすべて持って行ってしまったのが犯人の動機。人ってそんな感情になることがあるのか…
順を追って感想書いていきます。まずロジックについて。
この話は前半、後半に分けられそうですね。
准教授の火村が自身のゼミの学生から、過去の未解決事件の捜査を依頼されますが、その事件を本格的に追い始めるのは後半から。
前半は火村とアリスが謎の電話に呼び出され、マンションの一室を訪れると、そこに他殺体があります。そして、その部屋に直前までいた容疑者が現れるのですが、その容疑者の話では部屋に死体は無かったらしく…。この謎が主題です。
個人的には、過去の事件だけでがっつり長編にしてほしかった思いもあるのですが、この前半部もきちんと意味があり、それはそれでやっぱりよかったのかな、と思ったり。
トリックについては、ちょっと悔しかった…。もうちょっとじっくり考えたら分かりそうだったんだけどなあ…。
そして、後半部。いよいよ過去の事件へ。こちらはロジックがしっかりしてました。たった一つ条件が変わるだけで、ここまで推理が展開されるとは!
続いてアリスの推理小説論について。アリスたちが火村のゼミの学生と過去の事件現場へ向かう電車内で、アリスは質問されます。
「なぜ推理小説は殺人事件を描くことが多いのか?」
それに対しアリスはこう答えます。
『死者は、こちらがいくら問いかけても絶対に答えることがない。その不可能性が鍵のような気がします』
『問いかけても答えないと確信しているものに、答えてくれないと確信しながらなお問いかけるというのは、切ない行為だと思いませんか?』
推理小説とは、世界や運命、過去になぜ? と問わずにはいられない人間の思いを引き受けたものなのかもしれない、と。
推理小説をここまで昇華してみることができる作家さんって、有栖川さんをおいて他にいないような気がします。
有栖川さんの描く推理小説やその探偵たちの魅力の秘密は、こうした有栖川さんの思いなんでしょうね。
夕日の描写に限らずなのですが、有栖川さんの描写って何だか好きです。どこか推理小説ぽくないセンチな感じや、繊細な印象を受けるときがあります。この作品の夕日の描写もそうでした。
きっと有栖川さんのどこかロマンチストなところが反映されているからだも思うのですが、これ本人に言ったらどう思われるでしょうか(笑)
そして犯人の動機。個人的にはなかなか理解の難しいものだったのですが、犯人の最後の告白はなんだか身につまされる、切ないものでした。
きちんとロジックや物的証拠を検証したわけではないのですが、個人的な意見だと、まだ犯人は言い逃れできそうな感じではあったんですよね。
ではなぜ犯人は、罪を語ったのか。それは今まで決して表に出すことの無かった感情を告白できる、最初で最後の機会だったからだと思うのです。
共感しがたいのに、なぜか犯人の切ない思いを想像してしまう、そんな不思議な結末でした。