有栖川有栖のレビュー一覧
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ネタバレアリバイ崩しながら、話に捻りがあってうまい。
双子が犯人というのは倒叙タイプのオープニングで分かるがどうやってというところが前半のポイントとなる。そしてそこからが予想外の展開になるところがうまい。殺人を犯した双子を探偵役(と微妙に思わせる)の作家が殺し、アリバイを作るという二重の構造。まあ、それを追う探偵が双子というのは必要のない設定の気がするが。まず最初の殺人の時刻表&切符トリックは確かにスゴイのかもしれないけど、どうしてもこういうタイプは現実味の内容な気がする。その点、後半の殺害時間をごまかすための双子の殺人の方が物語ではあるものの意外性がある。いずれにしろすごく高いレベルでやはりこの作者 -
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探偵行為が禁止された日本を舞台に両親が探偵の女子高生、空閑純が地元で起こった殺人事件に巻き込まれていくミステリー。
まず設定が面白い! 太平洋戦争で北海道がロシアの占領下に置かれた日本が舞台になっています。またこれも突飛な雰囲気ではなく、プロローグでしっかりとそれに至る歴史的背景にも触れられているので無理なくそうした設定が受け入れられます。
単独のミステリとして読むよりも、強大な力に挑まざるを得なくなった少女の物語の序章という風に読むのが正しいでしょうか。
あとがきによると元々はこの作品をシリーズ化する構想はなかったそうですが、著者の有栖川さん自身がどんどん続編を書きたい思いが強 -
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新装版です。前に『201号室の災厄』というタイトルで出てたのと中身は一緒。火村シリーズは短編が多くていろいろあるので、旧版が違うタイトルで出てると内容が違っているんじゃ…とか、いろいろ勘違いして戸惑ってしまいます。
「わらう月」「201号の災厄」「ブラジル蝶の謎」の3編が収録されています。どれもトリックは名探偵○ナン的。
「わらう月」も好きだけど、ロックミュージシャンが登場する「201号の災厄」が、すごく印象に残っています。来日するミュージシャンの周辺がリアルすぎて驚きました。ハードロッカーのテンプレ。他にもローディーやプロモーターの動向とか、いろいろ詳しくてリアリティ感いっぱい。本題とは別 -
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ネタバレ全くなにも覚えてない状態で再読。
もう新たに読んだのと変わらないので、感想更新。
下宿の婆ちゃんの伝手で三重のとある島へ魂の洗濯へ行く予定だった火村先生とアリス。
しかし手違いで烏島へと上陸してしまい、そこで不思議な団体とひとつ屋根の下で過ごすことに。
そこにヘリコプターで舞い降りる新進気鋭のベンチャー社長。そして巻き起こる殺人事件。
状況だけ見ると、呪いの数え歌とか、見立て人形とかありそうな孤島モノ。後書きで作者も書いていたけど、そういうのではない。
いつもの先生2人の掛け合いとか、不思議な団体にいた子供達との交流とか、烏舞う不気味な島でじわじわと事件が忍び寄ってくるのがなんとも言えない -
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長編ミステリーのコミカライズで新装版。麻々原センセの端正なキャラが生き生きと動き回るのを見るだけでも楽しいですが、それが長編ともなると犯人探しもいっそう面白味を増してくるようです。少しずつ真相に向かっていく様子が好きです。
タイトルは夕陽にかけているようですが、シャーロック・ホームズへのオマージュにも受け取れます。推理スタイルも似た手法で古典的。
ホームズと一緒で相方もいるのがいいんですよね。アリスは関西弁でそのまんま相方ってかんじでいつもいい味出してます。
今回のアリスの「彼が足を踏み外しそうになったとき、俺が引きとめてやりたい」という独白、とってもキュンときました。まさに、バディです。