有栖川有栖のレビュー一覧

  • 赤い月、廃駅の上に

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    日常とすぐ隣り合わせにある少し怖い幻想世界を垣間見る事の出来るような鉄道にまつわるホラー集。ムードたっぷりでどの話も楽しめるが、特にお気に入りは「密林の奥へ」「海原にて」「最果ての鉄橋」「赤い月、廃駅の上に」。電車で読むとあれっいつもと変わらない列車の中?と首を捻りたくなった(笑)。あっさりと読み易く気軽に楽しめました。またこういうシリーズを読みたい。

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    2014年09月15日
  • 新装版 マジックミラー

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    ネタバレ

    アリバイ崩しながら、話に捻りがあってうまい。
    双子が犯人というのは倒叙タイプのオープニングで分かるがどうやってというところが前半のポイントとなる。そしてそこからが予想外の展開になるところがうまい。殺人を犯した双子を探偵役(と微妙に思わせる)の作家が殺し、アリバイを作るという二重の構造。まあ、それを追う探偵が双子というのは必要のない設定の気がするが。まず最初の殺人の時刻表&切符トリックは確かにスゴイのかもしれないけど、どうしてもこういうタイプは現実味の内容な気がする。その点、後半の殺害時間をごまかすための双子の殺人の方が物語ではあるものの意外性がある。いずれにしろすごく高いレベルでやはりこの作者

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    2014年09月01日
  • 闇の喇叭

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    有栖川有栖の作品としては珍しく、読みにくいなっていうのが正直な感想ではある。世界観がかなり壮大なこともあるからか。まあでも、その世界観の壮大さから、まだ物語のスタート部分ということもあるし、シリーズとしてどうなっていくのか楽しみ。

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    2014年08月15日
  • 闇の喇叭

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     探偵行為が禁止された日本を舞台に両親が探偵の女子高生、空閑純が地元で起こった殺人事件に巻き込まれていくミステリー。

     まず設定が面白い! 太平洋戦争で北海道がロシアの占領下に置かれた日本が舞台になっています。またこれも突飛な雰囲気ではなく、プロローグでしっかりとそれに至る歴史的背景にも触れられているので無理なくそうした設定が受け入れられます。

     単独のミステリとして読むよりも、強大な力に挑まざるを得なくなった少女の物語の序章という風に読むのが正しいでしょうか。

     あとがきによると元々はこの作品をシリーズ化する構想はなかったそうですが、著者の有栖川さん自身がどんどん続編を書きたい思いが強

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    2014年07月29日
  • 女王国の城 上

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    宗教団体の〈城〉へ行ったまま戻らない江神さんを案じて一行は神倉へ、の学生アリスシリーズ第4弾。

    上下巻でこのボリューム!
    まだ上巻は事件が起きたばかり。なのに少しも飽きずに読ませる。

    今回はやたらアリスが感傷的。
    「淋しい」発言可愛いけど、何だかとてもせつなくなるからやめてー!

    江神さんはこの時点でどこまで分かっているんだろう?

    「封を切ったら何粒かの砂がこぼれ落ちるやろう」が恐ろしくせつなく儚く幸福だ。

    「ねぇ。今、淋しい?」

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    2014年05月23日
  • 新装版 マジックミラー

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    アリバイトリックがふんだんに盛り込まれた力作です。
    第一の事件は「双子」と聞いただけで身構えてしまいますが、その心理を逆手に取ったトリックでよく出来ています。ただ、不確定要素が絡む可能性があるので実現はなかなか難しい気がしました。
    特筆に値するのは第二の事件。シンプルながら先例のないトリックで感心しました。
    また、事件解決のヒントとして披露された空知雅也の「アリバイ講義」は解り易くて興味深いものでした。巨匠たちの作品が例に挙げられていたので今後読んでみようかなと思います。

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    2014年05月08日
  • 双頭の悪魔

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    頁数は多いですが長いとは感じさせません。
    それは単に二つの事件が平行して進行しており二本分のボリュームがあったからですが、それを1+1>2にしてしまう所が本作の凄み。
    両話を交互に良い所で場面転換させる事と、二つの一見無関係な事件にさりげなく関連性を差し込む事で、兎に角先が気になり頁を捲らせてくれます。
    更に一方の視点しか無い江神が他方の事件の関連性と本質まで捉えて纏めて解決する様には舌を巻きます。
    期待感溢れる題材と展開にお得意の消去法理論。
    信頼できる二枚看板を得た氏の作品は最早磐石、そう感じさせる一冊でした。

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    2014年04月25日
  • 孤島パズル

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    読書の何処に価値を求めるか。
    僕であれば如何にワクワクできるか、これに尽きます。
    ミステリの場合、今まさに読み進めているこの頁の内容が後の大変な伏線だったと思い返す時が来るのだろう、と解答編を想像するだけで心が踊る訳です。
    とはいえ始終それでは疲れるし飽きる。
    できれば程々に、例えば他の楽しい事に気を取られている中で、ふと思い出した様にワクワクを感じてしまうという風な、それ位が丁度いいと思うのです。
    本書はミステリの上に宝探し要素も加わって、ワクワクが倍加なうえどちらも"丁度いい"。
    最強の組み合わせに狂喜できます。

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    2014年04月22日
  • 月光ゲーム

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    かなり衝撃的でした。滅茶苦茶面白いじゃないですか!
    元々前評判から期待はしていましたが、平成のクイーンが書いた「Yの悲劇'88」を楽しむのに本家を知らない訳にいかんだろう、と先んじて取り組んだのが悲劇四部作でした。
    で、その本家、シリーズラストに打ち震えたものの、全体的には好みでなかったので、ちょっと期待値を下げての本書だった訳です。
    本書の好みはラスト一発の展開でない点です。とにかく経過が楽しい! パニックに殺人、プロローグの一言も効いて、非常にドキドキしながら読めます。
    読者への挑戦に敗れたのは癪ですが(笑

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    2014年02月25日
  • 女王国の城 上

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    学生アリスシリーズ。

    安定の面白さです。
    キャラクターのやり取りが軽快で、サクサク読み進められます。

    上巻はほとんど推理、というより冒険活劇でした。

    それでも面白いのは作者の力なのだと思います。

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    2014年01月13日
  • 臨床犯罪学者・火村英生のフィールドノート ブラジル蝶の謎【新装版】

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    新装版です。前に『201号室の災厄』というタイトルで出てたのと中身は一緒。火村シリーズは短編が多くていろいろあるので、旧版が違うタイトルで出てると内容が違っているんじゃ…とか、いろいろ勘違いして戸惑ってしまいます。

    「わらう月」「201号の災厄」「ブラジル蝶の謎」の3編が収録されています。どれもトリックは名探偵○ナン的。
    「わらう月」も好きだけど、ロックミュージシャンが登場する「201号の災厄」が、すごく印象に残っています。来日するミュージシャンの周辺がリアルすぎて驚きました。ハードロッカーのテンプレ。他にもローディーやプロモーターの動向とか、いろいろ詳しくてリアリティ感いっぱい。本題とは別

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    2013年12月19日
  • 壁抜け男の謎

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    16篇の短編集。
    有栖川有栖はアリスシリーズも好きだけど、短編も結構良いのです。
    あっさりとしてて、でもそこはかとなくぞわっとする。
    SFっぽいのやら、ファンタジーのようなものやら、
    ミステリじゃないのもあるけれども、楽しめる一冊。

    『屈辱のかたち』『ざっくらばん』が好き。
    『恋人』は気持ち悪いけど好きだ。

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    2013年12月03日
  • 乱鴉の島(新潮文庫)

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    ネタバレ

    全くなにも覚えてない状態で再読。
    もう新たに読んだのと変わらないので、感想更新。

    下宿の婆ちゃんの伝手で三重のとある島へ魂の洗濯へ行く予定だった火村先生とアリス。
    しかし手違いで烏島へと上陸してしまい、そこで不思議な団体とひとつ屋根の下で過ごすことに。
    そこにヘリコプターで舞い降りる新進気鋭のベンチャー社長。そして巻き起こる殺人事件。

    状況だけ見ると、呪いの数え歌とか、見立て人形とかありそうな孤島モノ。後書きで作者も書いていたけど、そういうのではない。
    いつもの先生2人の掛け合いとか、不思議な団体にいた子供達との交流とか、烏舞う不気味な島でじわじわと事件が忍び寄ってくるのがなんとも言えない

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    2022年05月18日
  • 臨床犯罪学者・火村英生のフィールドノート 朱色の研究I【新装版】

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    長編ミステリーのコミカライズで新装版。麻々原センセの端正なキャラが生き生きと動き回るのを見るだけでも楽しいですが、それが長編ともなると犯人探しもいっそう面白味を増してくるようです。少しずつ真相に向かっていく様子が好きです。

    タイトルは夕陽にかけているようですが、シャーロック・ホームズへのオマージュにも受け取れます。推理スタイルも似た手法で古典的。
    ホームズと一緒で相方もいるのがいいんですよね。アリスは関西弁でそのまんま相方ってかんじでいつもいい味出してます。
    今回のアリスの「彼が足を踏み外しそうになったとき、俺が引きとめてやりたい」という独白、とってもキュンときました。まさに、バディです。

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    2015年12月23日
  • 虹果て村の秘密

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    ネタバレ

    オリジサル作品。
    Jr向け小説っぽく、小6の男女が探偵役。
    少し軽めのタッチで、少年少女らしい語り口調にスラスラ読めます。

    環境破壊、戦争の傷跡、自然保護。
    そして子供の頃の「夢」

    たっくさんテーマが詰まっていて考えさせられました。

    「虹の下に宝がある」

    なんて素敵な言い伝え。
    でも、虹はいつか消えてしまう。
    だから消えない宝を自分で捕まえないとね。

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    2013年10月15日
  • 壁抜け男の謎

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    「ジュリエットの悲鳴」以来2冊目のノンシリーズ短編集。テーマは雑多で、名前がA、B、Cであるものや、ちょっとSFっぽいもの、官能小説まで。官能小説に関するあとがきの言葉にぐっときた。

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    2013年08月31日
  • 幽霊刑事

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    2000年発表の著者の第11長編で比較的珍しいノンシリーズものとなります。
    タイトルのとおり、射殺されてしまった刑事神崎達也が幽霊として甦り、自分の死の謎に挑むというストーリーです。
    設定自体は有りがちなものですが、そこはさすが日本のクィーンとも言われる著者ですから、特異状況を上手く活かした本格ミステリに仕上がっています。
    この年の各種ミステリ・ベスト10にランキングした名作を是非お楽しみください。

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    2013年08月28日
  • 虹果て村の秘密

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    とても綺麗な作品で是非とも少年少女達に読んでもらいたいと思った。
    ミステリとしての面白さは損なわず、大人にも子供にも楽しめる仕上がりになっているのは流石の一言です。

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    2013年08月25日
  • 正しく時代に遅れるために 有栖川有栖エッセイ集

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    日常のことから、映画や漫画、ミステリーの評まで。有栖川らしい穏やかな文章が、読んでいて心地良い。また、これを見ねば、読まねば、とも思わされた。

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    2013年08月07日
  • 臨床犯罪学者・火村英生の推理 ダリの繭(下)

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    ネタバレ

    今回も面白かった。
    色んな出来事が重なって事件が複雑化してしまったんですねー。
    「ダリの繭」、いいタイトルだと思います。

    同じ作品でもビーンズ文庫ならではの挿画が気に入ってます。

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    2013年08月04日