有栖川作品を読むのはこれで2作目。
こんなに面白かったんだと、読みながら何度も思った。
以前にAudibleで聴いた『月光ゲーム』があまりハマらなかったので、有栖作品はその後読んでいなかった。(ナレーションの過剰な演技でどうにも集中できなかったのも大きい)
魅力的なキャラクターに、王道の謎解き、グロさや嫌な気分になることもなく、安心して楽しめる本格ミステリー。
久しぶりにこの感じを思い出して、そうそう!こういうのが読みたかったんだと嬉しくなった。(今回の音声はとても聴きやすかった)
『マレー鉄道の謎』は、タイトルから『オリエント急行の殺人』のようなクローズドサークルを勝手に期待していたけど、全く違った。
マレーシアの異国情緒が漂ってきて、旅行に行ったような非日常感を味わえる。
ワトソン役の作家・アリスの自虐っぽい語りはとても親しみやすくて、『ホーソーン&ホロヴィッツ』シリーズのホロヴィッツを思い出す。(アリスの方が全然元祖だけど、私が読んだ順が逆なので)
まっすぐで人間味あふれるアリスもすぐに好きになったし、探偵役の火村は知的で落ち着いていてかっこいい。
ゆっくり進んでいた物語が、終盤で一気にスピードを上げる。
内側から目張りされた密室での犯行はどうやって行われたのか?
私は心理トリックが好きで、物理トリックには全く興味がないので、仕掛けの細かい説明は右から左にスルスル流れて「大体わかればいいか…」という状態に。
トリックよりも火村とアリスの掛け合いや、アリスの一人語りツッコミが楽しかった。
次に『スウェーデン館の謎』を聴き始めている。
雪深いログハウスでの事件で、もう冒頭からすでにこっちの方が好み。
Audibleは海外ミステリーが少なくて、次に何を読もうか…といつも悩むけど、アリス国名シリーズは充実しているので、これからしばらく、このシリーズに浸れそうでうれしい。
Audibleにて。