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坂の側に咲き乱れる山茶花の花に、幼い頃死んだ友達を偲ぶ「清水坂」。自らの嫉妬のために、恋人を死に追いやってしまった男の苦悩が哀しい「愛染坂」。大阪で頓死した芭蕉の最期を描く「枯野」など粒ぞろいの9編。
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Posted by ブクログ
大阪の街の中央を背骨のように南北に貫く上町台地。この界隈は四天王寺をはじめとする寺町であり、大阪が「宗教都市」であったことを色濃く物語る。大阪は起伏の乏しい街というイメージがあるが、そもそも大阪は大坂と表記されていたぐらい、ちゃんとした「坂」があることを本書で知る。
本書の舞台は上町台地の上に位置する生玉寺町と西麓に広がる下寺町、この2つの町を結ぶ「七坂」ー 真言坂・源聖寺坂・口縄坂・愛染坂・清水坂・天神坂・逢坂。
著者は取材を通じて知り得た七坂の秘められた物語や歴史的因縁を巧みに取り入れ虚実入り交じる幻想譚に仕立て上げる。上京を拒む新進作家・ミステリアスな猫・いわく有り気な探偵…等、趣きのことなる9話。また京都・奈良に比べ、語られことの少ない、はるかなる大阪の歴史も、話の中にその故事来歴を絶妙に配置。あたかも米朝師匠のたおやかな語りを耳にしているような錯覚を抱く。
この本片手に四天王寺さんをお詣りし、タモリさんに倣って坂探訪してみましょかね。
Posted by ブクログ
大阪の〈天王寺七坂〉を舞台にした、幻想的で哀愁漂う全九編の怪談・幻想短編集。
この辺りは地理的に馴染みのある場所ということもあって、実際の土地勘と重ね合わせながら読みました。
ノスタルジックな哀愁悲話から背筋がゾクっとする怪異噺、さらに松尾芭蕉や藤原家隆を題材にした時代モノまで・・各話、逢魔が刻の坂道に佇んでいるような・・そう、生者と死者の境界が曖昧になるようなあわい幻想の空気感を味わえます。
中でも、第五話「真言坂」が切ない中にも優しい終わり方の話で好みでした。
久しぶりに“いくたまさん”(生國魂神社)を訪れたくなりましたね。
そして、あの心霊探偵・濱地健三郎先生がしれっと登場する第三話「源聖寺坂」と第六話「天神坂」は、シリーズを読んでいることもあってこちらも印象に残りました。
因みに、「天神坂」で触れられている真田幸村(信繫)公ゆかりの〈安居神社〉は、真田好きの私も何度か訪れているので作中に名称が出てきた時はテンション上がりました♪
ただ、私の場合は神社へのアクセスとしては天神坂からより、大通りに面した逢坂の方から行く派ですけどね・・(風情があるのは天神坂ですけど)。
ということで、現実のロケーションと地続きの幻想世界を堪能させて頂きました。
勿論、行ったことない場所もあったので、改めてこの辺りを訪れて“聖地巡礼”してみたくなりましたね。
ところで、この幻想的な余韻とは真逆のしょーもない余談ですが・・( ̄▽ ̄;)
本作を読みながら上町台地の急な高低差や坂道の光景を思い浮かべているうち、どうしてもブラックマヨネーズの伝説のM-1ネタが頭をよぎってしまいました。
ボーリングのマイボールの持ち帰り方について、
「(スーパーのビニール袋なんて)破れるやん!・・俺の家、上本町ゆうて大阪の坂の上やぞ!あんなとこで破れたら(ボーリングの球が)難波まで転がっていくわ!」
という吉田さんの台詞が、この坂道のリアルな傾斜を知っている私としては「ホンマにあの坂なら難波までノンストップで転がってまうよなw」と、妙なリアリティを持って思い出され、ついニヤついてしまった次第です~(´▽`*)ゞ
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