金子玲介のレビュー一覧
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ネタバレほぼ二年E組の会話劇だった。最初は、みんなから愛されるムードメーカーの山田が教室に憑依して、クラスのみんなとの青春ストーリーが繰り広げられると思っていた。しかし、年月が経つごとに会いに来てくれる人数も減っていき、山田のメンタルも次第に削られ、最終的に山田の真意が明かされた。年月が経つごとに、登場人物の感情が変化し、山田の悲哀が一層垣間見えるとこに感情が揺さぶられた。みんなが成長していく中、山田は成長できず、常時孤独を味わい、たまにある会話で幸せを感じていた。結局人は、一人の時間が大半で、たまにある幸せの為に、努力をするのだと改めて実感した。山田に関しては、努力ではどうしようもできない、不可抗力
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Posted by ブクログ
恋愛の話なんだけど、語り手は想いが届いてない方で、想われてた人が次の語り手になって、という連作。5人で想いがぐるぐる。片思いを引きずって、なんていうと、イジイジしやがって面白くもない話だ!と思うタイプの私。でもこの本は吐き気って銘打ってるだけあって、狂気エッセンスが程よく効いていて面白かったです。あと、表紙が好き。タイトルのレタリングが流れるように崩れてるのと星の下の講談社が流れてるんだか、吐かれてるんだか、バランス悪いの面白いぞ。
踏み込んだ性描写あり、中学校以上。
「流星と吐き気」
覆面美術作家の遥也は高校でちょっとだけ付き合っていた千瀬が忘れられない。友人の住む秋田へ作品のため星を見に行 -
Posted by ブクログ
話題作、人気の作家たちによる"新しい法律ができた"の一文から始まる短編集。同じような短編集の5冊目。めくる度にうわっ、今度はこの人か~とワクワクしながら読めます。個人的に一番良かったのは五十嵐律人さんの憲法のお話でした。
殺人や男女関係のエピソードあり、中学校から。
金子礼介「ルパちゃん」
日野瑛太郎「推し活制限法」
朱野帰子「日本国民に英語の勉強を義務づけへ」
阿部智里「つるべを取られて」
真下みこと「こんにちは、チャッテー」
須藤古都離「虚法」
嶋戸悠祐「国家殲滅フットボール法」
多崎礼「復讐者は振り向かない」
風森章羽「コロシヤとユキオンナ」
名倉編「Touch la -
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タイトルのインパクトから気になっていた作品。
過去の恋愛を神格化して執着してしまう痛い部分が描かれていて、おもしろくて一気読み。
誰もがもっているとは思わないけど、程度の差はあれ珍しいことではないと思う。
だけどそれを相手にぶつけてしまったらどうなるのか、が読みどころ。
自分は誰かを未だに想っているのに、自分が想われていた側と知ると気持ち悪くなる。
一方通行の執着は相手を怖がらせるだけなのに忘れることもできないのだから気の毒。
文章は鉤括弧がなかったり、現在と回想との間に1行も開けずに行ったり来たりして独特。
少しわかりづらいけど、緊迫感は感じた。
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『金子ワールドのエモさに更なる磨き』
山田、石井、木村。デビュー作から3作続いた「死んだ○○シリーズ」の系譜を受け継ぐ本作品。会話文を多用したリズミカルな文章に、独特な鍵括弧の使い方で表現する臨場感。遊び心が随所に垣間見える金子玲介さん”らしさ”は健在。エンタメ文学こそ至高だということを再認識させてくれる。
誰しも若かりし頃に忘れられない甘酸っぱい恋を経験したことがあるだろう。読者の方は頭の中に思い浮かべてみてほしい。学生時代の初恋を、最も愛した恋人を、あの胸の高鳴りを。しかし、冷静に振り返ってみると記憶が改ざん・美化されていることはしばしばあるものだ。人はこの魔法を「思い出補正」と呼ぶ。