金子玲介のレビュー一覧
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ネタバレ「いつ光ってもいいし、なんなら光らなくてもいいし、でもじんせいで一度でも光ったなら、それはもう、それだけで、良い人生だと思う」
心の灯火は消えてしまったけど、あのひがむしゃらに向かって何かやってきた、心がワクワクしてキラキラしていた日々はほんとうにほんとうに消えない。消えさせない。裏切らない。
今たとえ、どんなにぐちゃぐちゃな人生を送っていても、あの日光を浴びていた事実は消えないよ___。そう言ってもらった気がしました。
私は「バンド演奏は生物」だと表現をしたくなるのは、演奏しているその瞬間がいちばん輝いていて、その瞬間が目を離してはいけない。その瞬間が演者のいちばんのパフォーマンスだから。その瞬間が演者の魂が出ているからだと、自分が演奏中も思うし、観ているときも思っている。
バンド・音楽が売れるだなんてほんとにひと握りで、その中で売れ続けることはほんとうに難しい。
一過性の話題になって萎んでいくバンドも多い。
瑞葉は朝顔の音楽を途絶えさせないために、生かし続けるための酷な選択をしたけれど、バンド生命としては新たに息を吹き返して成果と成功、実績も出ている。
だけど、バンドメンバーたちの中では、瑞葉も含めた無我夢中で目標に向かって練習していた頃が楽しかった___だなんて、嬉しいに決まっているだろー!
バンドメンバーからの視点がないけれど、
確かにバンドメンバー3人はきっと瑞葉に助けられていたんだ。
瑞葉が心臓としてきちんと動いていたんだな、って思った。
そうだよベースって面白いんだよ!変な人も多いんだよ!足りない部分を補いながらバンドって組み合わされているからさ!
ひとりでも欠けたら演奏できなくなるから、楽しく演奏できるバンドはほんとうに奇跡に近いんだよ。
読んでいて、そうだよね、初めて合わせたときのワクワクと高揚感すごいよね、何でも弾けるんじゃない!?ってなるよね、わかるよ、って初めて合わせたねごとの「カロン」を聴いて思い出したよ。
演奏シーンはすべて印象的だったな。
演奏中の瑞葉気持ちと描写ってこう現すんだ____!!てギュッと直感的に読めてしまった。 -
Posted by ブクログ
終わった恋愛をいつまでも引きずる人々の姿を生々しく描いた、痛くてドロドロとした連作小説です。
まず目を引くのが、キラキラとした美しい表紙と帯。でも、描かれているのは、綺麗な星空とは程遠い、執着と未練が渦巻くリアルな「嫌愛」の世界でした。
登場人物たちの拗らせ具合や、元恋人に対するべたべたとした執着には思わず鳥肌が立つし、痛くて見ていられないと思うのに、なぜかページをめくる手が止まらなくなる不思議な引力がありました。
それが怖いもの見たさなのか、自分にも思い当たる節があるからなのか……願わくば、前者でありたいと思います。
個人的には、「リビングデッドの呼び声」の千瀬が、特に痛くてキツかったな……「プラネタリウム」の亜由梨はそうでもなかったんだけど、やっぱり同じ執着でも、なんとかしようと必死な人より、斜に構えた方が痛く見えるのでしょうか。
読み終えたあとには、「終わった恋愛は、やっぱり終わったままにしておくのが一番だな…」としみじみ実感させられる一冊です。 -
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『死んだ山田と教室』が面白かったので、次作を楽しみにしていた作家さんです。
デビュー作は男子校の「バカな高校生たち」の姿が愛情たっぷりに描かれていましたが、今回は女子高校生のバンドが主人公です。
どんなに練習しても「プロ」になることができるのは一握りですし、そこには才能だけではなく「運」も必要。
自分が大切に思うバンドだからこそ、その足を引っ張らないように辞める、という決断をした瑞葉の覚悟はすごいと思います。
自分が全ての情熱を注ぎこんで「光っていた(充実していた)」時期・場所から離れた後に、その失った眩しさを懐かしみながら、日々を過ごしていくというのは、社会人(大人)の多くが共感できる気持ちかもしれません。 -
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素直に面白かった。これはミステリー?かと思いきや、そんな単純な小説のはずはなく、なんなのこれは?と思っていた後半からの、怒涛の暴露合戦、心情吐露合戦、罵倒合戦の勢いがあまりにすごくて引き込まれた。相手の発言に発言を被せていく表現が秀逸だったし、ここまで冷笑的な羽鳥がなんとなく好きだったけど、ここへきての咲本のとことん下品な豹変ぶりがとにかくツボだった。「死んだ山田」よりもこっちのが断然好き。現代風な口語体な会話劇は他の追随を許さないテンポの良さがあると思うし、なんのかんのと自分の人生を精一杯生きろ!という力強いメッセージを常に内包している金子さんの小説は、この後も目が離せないな!
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短編集かと思いきや、コミカルで濃密で切なくてヘンテコで、でも当人にしてみればこの上なく切実な、恋の連鎖の物語だった。未だ忘れられない元カレ、元カノとの偶然の再開と、しかしどうしようもなく埋まらない両者の熱量の違いがとてもリアルに描かれていた。なるほど、恋ってこういうものだと思う。甘い記憶は美化され、発酵し、神格化していく。でも、過去は過去でしかなく、その時の思いでしかなく、現在にそれを持ち込むのは無理筋なのだった。
最初の物語で状況描写と感情描写の上手さに驚いたけれど、他の章も全部とても解像度が高かった。恋する者特有の自分勝手なわがままな屁理屈がめっちゃ面白い。期待値ゼロで読んだけれど、これはみんなにお薦めしたくなる。他の作品もぜひ読んでみたい。 -
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4人の作者による短編集。
なかでも。
金子玲介「ゼリーに満たされて」
メチャクチャ面白かった!!
星新一のショート作品を彷彿とさせる!
超高度知的生命体の異星人と何をやってもダメな主人公の康太。2人の出会いと日々の生活が織りなすストーリー。
異星人のゼリ郎は自信をなくす康太対し、「康太は努力する事ができる。感謝する事ができる。それは何より素晴らしい!」
このセリフ単純だが、凄く好き。
作者の作品をみたら、「死んだ山田と教室」作者だったのね。作風好きかも!!
斜線堂有紀「人魚の骨を拾い往く」
ホラーとミステリーがバランスよくて良かった!
デビットフィンチャーの映画のような感じ!
人魚はいるのか?いないのか?
法月綸太郎「次はあんたの番だよ」
小田扉の似たタイトルの作品かなぁと思ったら、
正統派ミステリーだった。気分じゃなくて乗れなかった。。。。
芦沢央「ひび割れ」
超絶ブラックな会社の話。
どうしても、池井戸先生の情景で浮かんでしまう。
まさに自業自得?パワハラ上司の結末はこんなもの。 -
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カギ括弧が重なり、真実が剥き出しになる
『死んだ山田と教室』のバカミス、『死んだ石井の大群』のデスゲームを経て、三度目の正直(?)で挑むのは、演劇サークルの面々による「再現」ミステリー。8年前の合宿で起きた木村の死の真相を、同じ場所で、同じ配役で演じながら炙り出していく構成は、シリーズ随一の本格派と言えます。
特筆すべきは、その圧倒的な「会話のテンポ」。
特に、
>「来たんだろ?脅迫状。」
>「まぁ」
>羽鳥が息を漏らす。「まぁ脅迫状ってい「脅迫状だろ、あれは」井波が語気を強め、羽鳥の声に被さる。
のように、カギ括弧を食い気味に被せてセリフの重なりを表現する手法には驚愕しました!これは会話の熱量とスピード感を文字で再現する、まさに発明。最初にやった人は、誰か不明ですがすごい!Wordの校閲機能が悲鳴を上げそうな特殊な書き方ですが、この多重奏のような会話劇こそが、物語ではなく現実感を与えています。
アイデアも会話の切れ味もピカイチな一方で、時折「小説としての筆致」に粗さを感じる瞬間があるのも事実。ですが、そこも含めて今後に期待!この構成力とセリフ回しなら、原作者や脚本家として大化けする予感しかしません。
一箇所、設定の大きな改変(あれは現実に存在してもいいはず!)さえクリアすれば、役者の演技力が試される極上の舞台劇風映画として大成功するはずです。 -
Posted by ブクログ
四編の短編集。どれもモヤモヤする系で読み心地はよろしくないので、この作家陣のファンとか、新しい作家探したい人とか、イヤミス系嫌いじゃない人にお勧めです。とりあえずどれも面白かったです。
「ゼリーに満たされて」金子玲介
頭に声が鳴り響き、網で助けたウサギっぽい何かは超高度知的生命体。まわりとうちとけられない、ケーキ屋の息子、小5の森康太は徐々にそいつと仲良くなっていく。そいつはゼリーが好きらしくて毎日康太の作ったゼリーを食べていた。
金子玲介さん、本当に会話文が面白いですね。最後の1行以外は結構明るい感じで楽しく読みました。
「人魚の骨を拾いに往く」斜線堂有紀
子どもも少ない離島に残る人魚の伝説を調べに来た桂木鶫(つぐ姉)に夢中になった5年の伊瀬瑞貴。しかし、子どもたちは糜爛洞という人魚伝説のある洞窟に迷い込み、助けに行ったつぐ姉は行方不明、捜索隊も1人死亡。何故か子どもは全員助かったのだが、その結果に納得いかない瑞貴が大人になって取った行動は…。
「次はあんたの番だよ」法月綸太郎
この探偵シリーズを読んでいなかったけど、込み入ったロジックが面白かったです。えーっと、こういうこと?って、読み終わって考え込みましたけどね。ランニングが趣味の男が公開してない近くで殺された女性の顔をした死体を見たという。しかし、その死体はなく、いや、あれは夢でみたのだと。どっちにしても不可解な供述で…。
「ひび割れ」芦沢央
カリスマ社長のいるリフォーム会社に就職した刈谷は圧に耐えながら仕事や目標発表をしていたが、ある日高所から落ちた。気づくと一緒に作業していた指導する後輩の大槻は自分を助ける気配などなくて…。