角田光代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本田和歌はなにも知らない女学生だった。自分と違っていろんなことを知っている学生・仙太郎と付き合いはじめたこと、実家の蔵から祖母が描いたと思われる自主出版小説を見つけたことをきっかけに、和歌は小説を書くようになる。
和歌は仙太郎をむやみに崇拝・尊敬していたけれど、その実彼の作品や彼が作品を通して伝えたいことなど、彼自身についてはさして興味がなかったのかな、とも思う。
仙太郎からすると、和歌はずっと何を考えているかわからない得体のしれない女だったのかもしれない。だから自分の理解できる範疇に置くために、彼女をけなして、レッテルを貼っていたのかな、と考えた。
先に表現の世界へ入っていったのは仙太郎だったのに、気が付いたら自分は現実の世界、地に足をつけた生活を選び取っていた仙太郎。男の人ってずるいよなぁ、と思ったけれど、この仙太郎の行動・選択を「男って」とひとくくりにしちゃうのは違和感がある。うーん。
和歌はずっと仙太郎に対して憧れの気持ちを抱いていたけれど同時に彼に否定されることを恐れてもいて、仙太郎もまた和歌を薄気味悪く思ったり疎ましく思うこともあったはず。お互いに思うところがあったはずの二人が10年以上の月日を共に過ごしていたのは惰性ではないと思うけれど、じゃあ何なのかと考えると難しい。これも恋愛の一種なのだろうか。