角田光代のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
オレンジページで連載されている角田光代さんのエッセイ。
雑誌という非日常、気づけば猫グッズまみれ(「やだ、猫おばさん?」)、ハグ文化とハグオーラ、人には言えない映画の裏一作、洗い流さないトリートメント。今回もあるあると思わず頷いてしまう日常がたくさん。
明日には忘れてしまうようなことかもしれないけれど、それのなんと尊いことか。分かってはいても実感することって難しいよね。私も自己満でエッセイ書いてみたいな。
というかla kaguのオムレツサンド!角田光代さんがここまで追い求め絶賛するほどおいしいものだったとは。。。前に行ったときそんなに有名だとは知らずに食べそびれたので絶対にリベンジしたい。たしかにちょっと異様なほどお客さんのほとんどが食べてるから「?」となったもんなぁ。私は二杯目のコーヒー。さてアイスだったかホットだったか。
ところで実は私、本作の出版記念イベントである「角田光代さんと新橋でレモンサワーを飲む会」に当選していたのです。すごく楽しみにしていたのだけれど、コロナウイルスの感染拡大防止のため中止になってしまった。
残念だけれどしかたないよね。中止が決まった先月上旬にはまだ世の中で自粛なんて大袈裟な…というムードがあったけれど、昨日はとうとう緊急事態宣言の発令も出た。
いつか角田光代さんとレモンサワーを飲める日が来ることを願って。 -
Posted by ブクログ
2020.03.26
映画前の待ち時間から2日で読み終わる
旅から帰ってきた男の帰る場所とは
本当の純度100%の自分とは
アジア旅行から帰ってきた男 アオキ
恋人には彼氏ができていて
旅で出会った人の家へ居座る
来るもの拒まず去る者追わず
誰にも干渉せず 倉林さん
吃音気味 マイペース男 ヤマネさん
はちゃめちゃガール カナ
の彼氏 フトシ
謎の ちゃんとしようよ!女 ミカコ
急に現れたしつこいおじさん 王様
ちゅうかね男 キーちゃん
この人だけが本当に普通の感覚
お土産なんかいらない。
何を感じて、どう思ったの?
それを聞きたい
その言葉に震えた マリコ
誰だって本当の自分と
表面的な別の自分を兼ね備えている
表面の自分に気づいちゃうと辛いんだな
でも仕方ない。
そんな自分とうまくやってこそなんだな。
本当の着の身着のままの自分を
受け入れてもらえると
最高なんだなーーーちゃんちゃん
-
Posted by ブクログ
主人公が妊娠をしてから、子供を産む直前までのお話。
わかるーと思う部分がいっぱい。
赤ちゃんを授かったのはとても嬉しいことだけど、一昼夜でお母さんになんてなれるわけがない。
毎日毎日を過ごしていく中で、少しずつ少しずつ実感と自覚をしていくものであり、その中では「こんなこと考えるなんて母親失格では...」と思うようなことも多々。
この作品の主人公は、子供ができて嬉しくない、と旦那さんにばっさり告げる。
ここで怒らずに、おろすなんて許さない、と泣く旦那さん。物語全体を通じ、この旦那さんの器の大きさと愛情深さにぐっときた。冷やし中華のくだりとかたまらない。
徐々にお腹な中の赤ちゃんを愛おしく思っていく中で、しげぴーと会っている時に主人公が覚醒する部分が好き。
お腹の中の生き物は、私たちが幾度となく繰り返してきた、祈りのようなものでできている。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ凄い勘違いをしておりました。この小説、てっきり、長編だと思っていたんです。「人生ベストテン」という名の、長編小説だと。一章ずつ、人生で起こった出来事ベスト10を一つずつあげていっている形式なんだろうなあ、という、
「第一章 人生ベストテン第十位 ほにゃらら」
「第二章 人生ベストテン第九位 ほにゃらら」
で、最終章が、ベストテン第一位で終わる、という、そんな形式の長編なんだとばっかり思っていたら、読み始めて、あれ?なんだか違うぞ?と。いきなり、全然関係ない話っぽいぞ?と。
なんと、ふつうの短編集でした。で、その短編の、一応は一番のメインが?タイトルにもなっている、「人生ベストテン」だぞ。という。そーゆーことか!という感じでして、ゴメン、勘違いして、ってな感じでして、ゴメンナサイ。
床下の日常
最初読んでいる時は、まだ「人生ベストテン」という長編だと思っているのでね、「ああ、この話が序章で、次の章から、407号室のこの、幸薄そうな女性が、訥々と自分の、人生ベストテンを思い返すのかなあ?とか思って読んでおりましたが、全然違いましたね。これはこれで、一つの完結した、短編の物語でしたね。
まあ、一言でいっちゃうと、すげえありふれた、集合住宅のトラブル。上の階から水が漏れてきた!という、当事者にとってはとてつもない迷惑なんだけど、地球上でみたら、おそらく必ず、日々どこかで発生しているトラブルを題材にした、なんだかしみじみくる話、とでもいいましょうか。自分も普通に集合住宅に賃貸で済んでいるんですけど、水漏れトラブルの経験、あります。チャチな作業をする業者って、ホンマにいるんでしょうし、この今自分が生活している生活場所の床下一枚はいだら、こんな剝き出しのなんらかの現実、あるんだろうね、って思うと、感慨深い。
それにしても主人公のヨッシーのキャラクター、凄く好き。初めて会った女の人を「やれる部類か?やれない部類か?」って考えちゃうところとか、すげえ好き。ちょっと優しいけど実際冷たいんだろうな、でもコイツやっぱいいヤツだな、みたいなところとか。いいキャラクターだよなあ。
(たとえばななちゃんちならななちゃんち)は、名文だと思います。句読点をいれずに全部続けたところがホンマに好き。
観光旅行
ずっと同棲してる男と別れようか、どないしようか、、、と決断とするには、エイヤッとイタリアまで旅行せねばならんのかい?という、なんだか人間って大変ねえ~、って思わせる作品でした。でも、わかるよ。わかるよ主人公のあんたの気持ち、って思わせちゃうところが、角田光代お見事ですね、って感じでしょうか。あの親子は、いったい何だったんだろうか?楽しみに行くためにするのだけが旅行じゃねえんだぜ、って感じでしょうか。
飛行機と水族館
主人公の森本は、なんで、山下深雪みたいな、全然魅力的に思われない女に、半分ストーカーまがいな行動にでたのだろうか?わからん。わからんよ。個人的には、全然意味わからん話でした。でもなんか好き。という謎な印象ですね。いやあでも、なんだか、角田光代っぽいなあ!という気がしないでもない、そんな短編でしたが、面白いか?というと、すみません、、、今の自分には、あんまりピンときませんでした、、、という悲しさよ。ゴメン。
テラスでお茶を
この題名は、レッド・ツェッペリンの曲「一人でお茶を(Tea for one)」を、意識したのだろうか?でも、ツェッペリンのあの曲も、あんまりちゃんと聴いたことがないのです。すまん。とか思いつつ、うむ。なんだかこう、ガッツーンとくるか?といわれましたならば。あんまガツーンと来ませんでした、という感じで、すまぬ。そんな感じでした。すまぬ。で、主人公は結局、あのウン千万単位の買い物であるであろうマンション購入契約、したのか?あんなにアッサリと、なんというか、ウン千万単位の買い物、するのかなあ?するのかもしれねえなあ。人間って不思議な生き物だよなあ。そんな事を思いましたね。
人生ベストテン
これはやっぱ、この短編集の中では、白眉だと思います。40歳になってからの中学校の同窓会。現在未婚。そして初恋の人と再会する。うーむ。設定は完璧やんか。そっから、どんな物語を生み出すのか角田光代!と意気込みながら読んだら、おおう。そう来ますか、、、というなんとも不思議な味わい。すげえ不思議にハッピー?な感じ。うーむ。なんだか、こう、凄い。それにしても、40歳になって、人生ベストテンの出来事が、10代以前にしかない、という描写。圧倒的にリアルだな。「身につまされる」という感じを、ヒシヒシと感じる。そもそも、「寝る前に人生ベストテンを思い返してから眠りにつく(あるいは強烈に眠れなくなる)人生」って、すげえ辛いやんか。でもそれは、真にリアリティーのある感じだ。さすがだ角田さん。お見事です。
貸し出しデート
これまたかなりおもろい。うむ、お見事です。離婚間近の平凡中の平凡を絵にかいたような主婦が、デートしてくれる若い男を金で買う。うむ。で、その男の、ちょっと小太り勘違い具合が、見事に素晴らしい。で、名前は、「翔」ときたもんだ。パーペキすぎる。この男。でも、どうにもこう、憎めない話。なんだか、こう、あくまでも、明るい感じがあるのが、どうした角田さん?案外これ、いい話やぞ?とか思えてしまうマジック。うん。好きです。
めちゃんこ面白かった!とは言う事はできないのですが、やっぱこう、グッとくる角田さん節は、ありました。この人の書く言葉は、ホンマにこう、「他人事ではない」感じがヒシヒシなのです。もう、好きとしか、言いようがない。そんな素敵な作家さんなのですよね。 -
Posted by ブクログ
みどりの月
幼少時に発達障害を疑われていた主人公。
療養で日記をつけることを習慣にさせられて以来、次第に未来日記を書くようになっていた。だが、そこに書いたことはもちろん中々実現されず、実現されなかったために、主人公は自分が今生きているこの人生は間違いで、本当の未来はどこか違うところにあるのだという認識が拭えなくなってしまう。
けれど奇妙な同居生活を経て、ようやく何一つ思い描けない場所を、予定外の自分を、みてみたいと思えるようになる。
かかとの下の空
離婚目前の若い夫婦がアジア放浪の旅先で、ヤバイ女(マリコ!)に出会ってつきまとわれ続ける話。 -
Posted by ブクログ
自分の人生を自分で切り拓くことが今よりもずっと難しい時代を生きた、両極端な性格の二人の女性の物語。
左織は、良く言えば時代に忠実に、悪く言えば長いものにただひたすらに巻かれて生きてきた。お見合い、結婚、出産、専業主婦へ転身・・・というまさにその時代の女性を絵に描いたような人生を歩んできた。
風美子は、負けん気が強くて活動的な。女性の社会的活躍がまだ困難だった時代に、家庭料理研究科として名を馳せ、一躍有名人となる。
戦時中、小学生だった二人は同じ疎開先で暮らした。二十代で再会し、左織の夫・温彦の弟と風美子が結婚したことで義姉妹になり、六十代まで家族のように過ごした。
左織の生き方や考え方は、なかなか理解に苦しんだ。自意識過剰で周囲の目が気になりすぎるあまり、物事の本質を直視できない。他人任せで自分で決めない割に、後になって愚痴を言う。娘・百々子の怒りに触れても呆然とするばかりで、自分の態度を省みようとはしない。あの子も母親になったらわかってくれるかしら、などと呟くことしかできない。
そんな左織の視点から語られているからかな、読み終わったあとどっと疲れた。風美子、百々子、柊平はとても現代的なキャラクターとして描かれていて、父親の温彦も努力して折り合いをつけようとしている中、ひとり取り残されてなお自分の生き方がに固執し続けるその無邪気な頑なさは、いったいなんなんだ?と。
一方で、あまりにも感情移入できないキャラクターとしての左織が中心の物語だからこそ、目から鱗を飛び散らしながら、ある意味で最後まで興味を失うことなく読めた、というのもあるかもしれない。あぁ、この時代の女性の多くはこんな考え方だったんだ、現代だったらこんな苦労はないだろうけど、でも今より楽なところもあるな、とか、特に中盤以降はもはや異文化交流みたいな感覚で読んでいた気がする。
「ミッドライフクライシス」という言葉を知ったの、たしか高校生のとき。意味を知って、なにそれ怖っ、と咄嗟に戦慄したのを覚えている。それ以来、人生の後半に差し掛かったときに「自分の人生ってなんだったんだろう」とぼんやり感じてしまうことのないよう、なかなかの注意を払って生きてきたように思う。
こういう小説を読むと、その気持ちがより強くなる。より強くなった結果、夫に「君は性格きっついからね」なんて言われるのだけど、でもだとしても左織みたいな人生は個人的にまっぴらごめんだなぁと思う。自分の人生なのにいつも他人事みたいに醒めていて、俯瞰で遠くから自分自身を眺めているようなスタンス。物語のかなり終盤になって、東日本大震災が起き、些細な諍いで一年近く疎遠になってしまった風美子の安否を確かめずにはいられず電話するシーンがある。左織の生きた感情はここでやっと少し垣間見られたけれど、そこまではほとんど無。他人に共感する力が乏しいんだろうなぁ。
「自分の人生を切り拓く」なんて言うと大袈裟だけど、自分で決められることはなるべく自分で決めて、責任感を持って生きていきたいなぁと思うのでした。