あらすじ
ひとり暮らしの私を突然男連れで訪ね、男を置いて帰ってしまった妹リカコ。外見はそっくりで性格は正反対、甘い声で喋り、男に囲まれ、私を慕いながら、一方で恋人まで奪おうとする妹。痛くて切ない姉妹関係をリアルに描く表題作をはじめ、人とのつながり、自分の居場所を誠実に問う作品集。
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心がザラっとする。
表題作と「草の巣」の中編二篇を収録。どちらの主人公もほんの少し普通じゃない&性格が悪い。読んでいる間ずっと「どうして」が頭の中を飛び交い、ラストも特に救いがあったりスッキリしたりはしなかった。
解説では、こういうことってあるよね!的なことを書いていたけれど、自分とはまったく縁のない話でステキとは思えなかったな。
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表題作と『草の巣』の二篇。どちらも、誰しも持っているけれど普通は誰にも隠している暗い部分をさらけ出してしまう女性が主人公。ああ何でそうしちゃうかなぁという方向に、角田光代の描く女たちはふらふらと行ってしまう。
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当時の感想文発見!
この本は、二編あって、好きなのは「夜かかる虹」の方です。
姉妹の微妙な関係、家族だからこそ切りたくても、切ってもきれない、切なくて危うい二人の関係を上手く書き出していると思う。
角田さんの本は、結構重い内容を扱っていて、一見自分とは関係の無いような事のように思えて、私たちの心に潜む心理的弱さ、恐さ、畏怖心などがリアルに書かれている。
って書いてた☆
(一番心に残った場面)
リカコは修平に話しているのではない。 って書いてた。
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人が不安に落ちてゆく過程、じりじりと嫌な自分になってゆく過程、今の自分と自分のいる環境にリアリティを失っていく過程をとてもリアルに描いている。私は、確かに、この感じを知っている。いつもは知らないふりをしているけれど、確かに、知っている。[2004.12.18]
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どちらかと言うと世間の普通から外れたダメダメ人間な人たちの間の葛藤が描かれていて情景がリアルに浮かんでくる。単に否定するような気持ちにはなれない。
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標題作はフキコの感情がリアルで胸に迫る。少なからず同じような思いを抱いていたあの頃を思い出す。2編目は、なかなかつかみどころのない展開だが、蟻地獄に落ちてもがいているような感じ。いいよ、生きてて、と言われている気がした。
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「ほら、人のこととやかく言うくせに、人のこと傷つけても全然平気で、それが正しかったんだとか言えちゃう人。私、そういう人が大嫌いなんだけど、」
と妹は言う。
そうだよね、あなたも私もみんな同じだよね。
ひとに傷つけられたことは大きな痛みとしていつまでも忘れず、ひとを傷つけたことは「仕方がなかった」と言い切り忘れる。または気づきもしない。
ひとに尽くしたことは「やってあげた」といつまでも忘れず、そのくせひとにしてもらったことは当然のように受け取りあっという間に忘れてしまう。または気づきもしない。
とくに自身に正義を信じる場合、ひとはひとに対してどれだけでも残酷に無頓着になれるようです。
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草の巣は登場人物が考えてることがわからなくて難しかった。今更男から逃げて普通の生活に戻れるのかなぁ。
夜かかる虹は愛情を同等にあげる難しさとそれによって曲がってしまった姉妹がお互いの思いを内と外でぶつけあっていくところがリアル。
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顔はそっくり、でも性格は正反対な姉妹の物語。
もどかしかったり、イライラしたり、恐ろしくなったり。
でもどれも自分が誰かに抱いたことのある感情があった。
私を含め、めんどくさい、ひねくれた、ねじれた人間が多い。
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姉のモノをなんでも欲しがってしまう妹の話。
そして、しまいには彼氏をとられそうになってしまう。
ただ、その彼氏と付き合うきっかけはフジテレビ…
ではなく、職場の同僚から略奪したという。
狩猟的な物語だった。のかなー
それに加わえ、奪われそうになって大切さに気づく。
コノォ!ドロボウネコ!!的な発言をした姉に対して
「…。いらないものみたいに放っておいて、私が手にしたらとたんにそれがよく見えるだけでしょ?」
という妹の開き直った反撃が印象に残った。
そんな状態でなくても、普段から大切なものに気づけるようでありたい。
『いつのまにか雨は上がり、暮れ始めた空は群青色だった。階段を上がる前に何気なく振り向くと、湿ったほの暗い空気の中に立つ家々の明かりがぼんやりにじんで見えた。白熱灯の白や柔らかい橙色、浮かび上がったカーテンのピンクや看板の毒々しい蛍光色が、妙な明るさを帯びた月のない夜空に浮かぶように、夜を覆い隠すように漂っていた』
という描写が、実に物語の雰囲気を表現している気がしておわった。
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最近はまっている角田さん。
居場所について悩む物語たち。
姉のものを奪おうとするリカコにちょっと共感したり、草の巣での、なぜだかわからないけどだらだらしてしまう私にも共感したり、、、
個人的には夜かかる虹の方が好きでした。
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相変わらずなんのこっちゃな2編。
昼間何気なしにテレビをつけたら、全然知らない昔のドラマの再放送やってて、そのままついつい見てしまったのとよく似た感じ(笑)
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表題作と「草の巣」の中編2作を収録。天気で言えば雨が降る前の灰色の厚い雲が覆う空のような作品。読んでる間、浮かんでくるシーンはすべて曇り空でした。
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角田光代さん本の登場人物は、私はイライラしちゃう事が多い。
「なんでそうなの~」みたいな。
この本もそうでした。
でもね、そこが良いんです。
ついつい一気に読んでしまう。
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これには「夜かかる虹」と「草の巣」の短編が収録されているのですが、どちらも今までの角田作品とは違う雰囲気でした。
今まで読んだ2冊の小説と同じような事を表すにしても、こちらは全体的に重い印象。
「夜かかる虹」は、性格が全く正反対の姉と妹のお話。
自由奔放な妹は姉の家に突然恋人を連れてやって来ます。
でも、その恋人を置き去りにしてさっさとどこかへ行ってしまうのです。
こういう内容のカバーを読んでコメディー要素が強い作品のようなイメージを持っていたのですが、読み始めてみるとこれがこわーいお話。
姉と妹の過去の関係を読んでいると、鳥肌ものでした。
文章を読んでいるだけで、手触りや味がじわっと広がるというのはさすがです。
そして、もう一つの「草の巣」。
これはあらすじを紹介するのが難しい不思議なお話。
続きが気になって読み進めてはみるのですが、どうもしっくりこない終わり方でした。
一人の女性が不思議な男と出会って、自分の居場所を探す、そんなお話です。
「対岸の彼女」も「空中庭園」も、角田さんの小説には居場所探しというのが一つのテーマになっているのかなぁと思っていたのですが、
この「草の巣」を読んで、さらにその気持ちが深まりました。
Posted by ブクログ
「夜かかる虹」は結構好きかな。
「草の根」は、あんまり面白みが沸かなかった。
リカコ怖い。
どんなにリカコを陥れても、そうすることで自分が報われることはまったくなく、罪を重ねることによって、リカコに主導権を握られていく…。
かといって、主人公も“いい人”ではない。
ぞっとするけど、こんな感じ、よくある気がする。
憎たらしいけれど、憎たらしい相手はいつも幸せな場所にいる。そして自分は罪悪感が積み重なるだけ。