宮内悠介のレビュー一覧
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ネタバレ◎暗号の子
web上のリバタリアン・コミュニティ構築の話。父娘の関係が切ない。
◎偽の過去、偽の未来
ゲームの理論の経済学者がゆき詰まったときの父の言葉「決めるべきことは与えられた時代にどう対処するかだ。byガンダルフ」「愚か者どもの言うことに、いっさい耳を貸すな。」これも父と娘
・ローパス・フィルター
〇明晰夢
LSDに代わるARが開発され一時的にSNSでの紛争や鬱病がやわらぐが。
・すべての記憶を燃やせ AIによる小説
・最後の共有地
・行かなかった旅の記録
◎ペイル・ブルー・ドット
宇宙マニアの少年と宇宙マニアだった人工衛星のSEが超小型人工衛星を作る話。「最後までクレージーでいられた人が最終的には勝つ。」 -
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「盤上の敵」と「ヨハネスブルクの天使たち」を読んだことがあって宮内悠介ってガチSFかと思ってたらこんなんも書いてるのね。何となく昔の清水義範っぽさを感じたり。
「トランジスタ技術の圧縮」一発目にコレ、そう言う本なのねと言う方向性伝わる。「世にも奇妙な物語」でやったって聞いたけど、コレ映像化したところで小説で読むのに加わるところあるんかな?
「文学部のこと」変な子が排除されずに何となく受け入れられるとか文学部あるあるかと思って読んでたらどこ行くん?いや、オモロいけど。
「アニマとエーファ」ロシアなり中国なりっぽい革命史小説にロボット作家、要素盛りだくさん。
「エターナル・レガシー」「盤上の敵」があるから囲碁小説と思って構えて読んでたらキレイに外された。
「夜間飛行」飛行機の操縦とかナビとかが実は機械ってのはありがちやけど、そこからクルクルひっくり返してくれて気持ちいい。
「弥生の鯨」これも見た感じの舞台に何を乗せてんの?と言う不思議なシロモノ。
「クローム再襲撃」元ネタがドンピシャで一番分かりやすい。いや、春樹ネタなんてそれこそ掃いて捨てるほどあるし、その山の中で抜けてるかと言うと微妙と言うか、この枠で抜けるってどうしたらええのか分からんのやけど。
「星間野球」この本の中で一番ドタバタSF。星新一とか初期の筒井康隆とか懐かしい感じもありつつ。 -
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ネタバレ23/12/23〜24/1/2
7月に『23春』、8月に『22秋』、10月に『22春』、今回12月に『23秋』。順番が入れ替わったりしたけど、やっと最新作に追いついた。『23春』だけ、あと4人分がまだ読めてないので、次はそれを。
今回の『23春』は、今まで読んだ3つと比べてとても読み応えがあり、楽しめた。
12/23〜12/27東川篤哉 ★★★
『どうして今夜の彼女は魅力的に映るんだろう』
『謎解きはディナーのあとで』以来。
おじさん作者らしいめんどくさい感じはあるものの、軽く読めて面白かった。トリックは想像通りだけど、まあ楽しく読めたのでよし。あるマイカの口調が楽しい。
12/27逸木裕 ★★★★★
『スプリット』
初読み作家さん。
才能を美醜で見分けられるスカウトマンの主人公。研ぎ澄まされた感覚で、粘り強くスカウトする姿が面白く、また主人公の成長物語でもあり、読後感がよかった。
回想シーンの入り方がわかりづらいため、読んでいて混乱した。回想シーンの会話は〈〉表記だと気付いてからはだいぶわかりやすくなった。
12/28長岡弘樹★
『笑う君影草』
初読み作家さん。
スズラン毒なことは、すぐに気付いた。
いじめられっ子が犯人なことはまあいいとして、
①いじめの解決策
②それにより本当にいないものとして見えなくなる
の2点が強引だと感じた。
①については、先生の悪手だと思うし、最後またそれを伝授しているのがダメだと思う。適切な関わりをしてほしかった。
②については、“いない人“が本当に見えなくなるってどんなホラーだよ、という感じ。お見舞いのシーンとか。
え、ホラー作家なのかな。ミステリーじゃなくて、ホラーミステリーなの?それならアリなのかも。私にとっては苦手な作品だった。
12/28似鳥鶏 ★★★
『名探偵名前が適当』
まあまあ楽しめた。いつも個性的なキャラが出てくる作家さんというイメージ。
12/29太田愛 ★★★★
『夏を刈る』
『22秋』の『鯉』は苦手だったけど、こちらは似たような作品ながら楽しめた。ドロドロ部分が少なかったからかな。中編作品を読んだような満足感だった。婚約者も兄もクズだなぁ。
1/2宮内悠介★★★★★
『最後のひと仕事』
面白かった。
結局、天才ではなかったのかもしれないけど、サイコっぽいなぁ。怖い。 -
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この本の良さは、文庫版の辻村深月さんの解説に語り尽くされている気がする。以下、恐縮ながら抜粋:
「架空ーーではあるものの、その設定におけるリアリティの厚みにまずは驚愕する。」
「中央アジアのシビアな現実の緊張感と、彼女たちの関係性からいずる青春小説さながらの楽しさの緩急に、ページをめくる手が止まらなくなる。そして期待は裏切られない」
「この軽さが意図的でないはずがない。」
「…いつ沈むとも砂に呑まれるともわからないギリギリの場所で踏みとどまる彼女たちの歌劇と青春がこんなにも愛おしい。私はこれを、宮内悠介のフィクションの勝利だと思う。著者がフィクションの力を信じていなければ、この物語は絶対生まれなかった。」
「自分と同時代に宮内悠介のような作家がいて、私はとても幸せだ、と。」
フィクションをこよなく愛する人に、お薦めです。 -
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副題が「改変歴史SFアンソロジー」と書かれ、帯には「5人のSF作家が語る偽史」と書かれ、知っている書評家の2人が「大推薦!」としている。5人の作家はいずれも知っている人で、今回は私の嫌いな伴名練もいるが短い作品なので一応読んでみようと思う。しかし、大袈裟に歴史改変SFって言っているが、ちょこちょことタイムスリップさせる程度のレベルじゃないかと思い、あまり肩肘張らずに読み始めた。
全体を読み終えた感想としては、石川宗生が意外と健闘している、宮内悠介は全く響かなかった、斜線堂有紀は新しい概念で歴史を引き戻し、小川一水はスパイ系の要素を加え、一番驚いたのは伴名練。伴名練、やればできるじゃないか、ダラダラ無駄に長い長編よりもコンパクトに纏まった短編の方が合っているんじゃないか?感心した!見直した!
それでは、いつものとおり各作品について簡単なコメントをさせて戴こう。
〇 石川宗生「うたう蜘蛛」
最後のどんでん返しでSF登場。それまではどうしてこの作品がSFなんだろうかと思ったが、読み返してみると結構伏線を撒いている。このなかなか巧みな技術に感心した。広義の錬金術師は何でもできる、所謂何でも屋。中にはいかがわしいイカサマ野郎もいただろうに。人を甘利信用し過ぎることは昔も今も危険行為だ。警戒感の薄い偉い人は破滅する。あれ、これってネタバレか?
〇 宮内悠介「パニック――一九六五年のSNS」
おもしろくない。
〇 斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」
「詠語」って素晴らしい当て字。これだけでこの作品を最高評価せざるを得ない。それと、時間旅行者(女房)が昔改変させられた歴史を元に戻す地味な歴史改変とも思えるが、違う背景シナリオの可能性もある。主人公の心の動きも考えると百合の要素もある。結果として、かなり盛沢山な作品になり、今後の作品にも期待がかかる。
〇 小川一水「大江戸石廓突破仕留(おおえどいしのくるわをつきやぶりしとめる)」
ちょっと大雑把な展開、更に悪く言うとこじつけの様な気がするが、エンタテインメントの要素もあり、小川作品らしい面も垣間見られた。
〇 伴名練 「二〇〇〇一周目のジャンヌ」
こちらは石川作品と真逆で、最初からSFの世界、典型的なパラレルワールド、王道ですね。これまで主人公が何回も何回もループする作品はあり、本作品の様に少しずつ良い方向に改変するものはあったが、さすがに20,001回も繰り返すアイディアは凄い。それだけでも伴名作品を十分に評価できる。余談だが、最近の将棋中継では形勢判断にAIが用いられる。AIが読みを深める度に形勢が徐々に変化していく。1万手読むのと1億手読むのとではかなり未来が違ってくる場合がある。まあ、AIほどではないが、この世界も場面を少しずつ変化させることで無数の将来が生じる。勿論、今回は億レベルまでには行かないが、主人公は永遠に繰り返す世界を体感する訳だ。ある意味、凄まじい程のパラレルワールドが折り重なった世界を漂流しているとも言える。素晴らしい作品だ。
今年突然現れたこのアンソロジー、日本SF界に楔を撃ち込む一冊になる可能性を秘めている。
藤井竜王、棋王戦挑決敗者復活戦、頑張れ!