宮内悠介のレビュー一覧
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世にも奇妙な物語で気になったので読んでみた。完全に理解できたのがトラ技と今日泥棒くらいしかなかったし、トラ技すら映像で一回見てたから理解できただけなのかもしれない…なんか全体的に難しく感じた。
でも読み進めていけばわからないなりにグッとくる部分もあったし文学部、アニマとエーファ、エターナルレガシー、エラリー・クイーン数が特に好きだなと思った。
作者の文学やミステリーやAIへの愛情みたいなものを漠然と感じられて良かった。
わからないなりに伝わってくるものがあったし、そこに感慨があったので好きなタイプの小説でした。私が頭良くて尚且つ色んなこと知ってたらもっと楽しめたかもな。
クローム再襲撃が一番入 -
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ネタバレ岸本佐知子さんがアトロクで推薦図書として挙げていた。
大森望、武田砂鉄が帯文。
宮内悠介は「たべるのがおそい vol4」に掲載された「ディレイ・エフェクト」があまり好きでなかったのだが、他の著作があまりにも面白そうなのでいずれ読もうとぼちぼち買い集めており、再挑戦するなら本作と決めていたのだ。
結果的には正解で、一気読みだった。
ルネ・ドーマル「類推の山」を最初は連想したが、ちょっと違うみたい。
むしろ、夢枕獏「神々の山嶺」のように、気象条件が奇跡的に整った瞬間のみに現れる聖域のような……あれ、「神々の山嶺」にそんな箇所あったっけ。
まあともかく下敷きにしたり参照したりネタとして取り込んだり -
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圧倒的巧さで書かれる、異常にクオリティの高い馬鹿作品、大好物です。同筆者の「盤上の夜」とのギャップが凄まじいですね。面白かった……!
とりあえず表紙ページの「メロスは激怒した」のくだりだけで噴き出し、最後のあらすじも面白く、こういった本に出会うと作品のみならず作者本人まで好きになりますね。
個人的なお気に入りは、ともに男たちの熱い真剣勝負が描かれる「トランジスタ技術の圧縮」と「星間野球」。こういう本格的に全力で馬鹿をやるお話、大好きです(笑) 「今日泥棒」のテンポのよい掛け合いや、「超動く家にて」のボケツッコミの応酬も最高でした。
他の作品もそれぞれに独創性が光り、奇想天外さにぶっとん -
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11月にテレビで放映された『世にも奇妙な物語』の『トランジスタ技術の圧縮』が面白かったのでったので、原作を読んでみました。
時は2036年。雑誌『トランジスタ技術』の広告ページを除いて圧縮する競技の最後の大会が開催された。『アイロン派』 (アイロンで背表紙の表紙を溶かして広告ページを取る派)関本のもとで修行した梶原は、『毟り派』(アイロンを使わずむしり取る派)の坂口と対戦する。
もう、しょうもないネタなのに熱く、お約束の「こんな修行、何の役に立つ?」ネタあり、笑いっぱなしでした。
16の短編があり、かぎ括弧で殺人事件が起こる世界など(かぎ括弧職人、山際の存在がいい)、設定が面白いものから、お -
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ネタバレ碁、将棋、麻雀、チェス、ボードゲームを題材にした短編集。ゲームを巡る人間の執念や狂気がおもしろい。
■盤上の夜
囲碁の話。四肢を失った女流棋士が研ぎ澄まされた感覚と純粋な勝負心から連勝を重ねるが、より感覚を研ぎ澄ますために取り組んだのが外国語という点が面白い。一つの事象や感情も言語によって表現の仕方は多様で、宇宙にも例えられる囲碁の魅力とのつながりがオカルトちっくでありSFっぽくもある。
■人間の王
チェッカーの話。半世紀負け知らずの人間と機械の闘い、そして数学による完全解が証明されてしまったゲームにおいて、人間の王者は何を見たのか。
計算上は完全解明されたゲームであっても、人間がプレイ -
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『Another side of 辻村深月』で辻村深月先生が解説を書くならば、その物語をきちんと読まなくては、という心持から手に取った本。
タイトルから、純和風な舞台を想像していましたが完全に裏切られました。
架空の中東の国が舞台ですが、独特の固有名詞や後宮の仕組みなど設定が練られているので薄っぺらいということはないです。
まるで獣の奏者を読んだときのような気持ち。異世界に触れるような。
舞台は架空の国かもしれないけれど、そこで描かれる政治的かつ外交問題なんかは現代の世界でもどこか通ずるものがあると思うので他人事とは思えない。
悲しいかな、議会の男が逃げそうなのは今の日本では想像つくけれど -
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バカSFと呼ばれているのか。徹底したくだらなさにニヤニヤした。一話目の「トランジスタ技術の圧縮」でやられた。
他で印象に残ったのは、「文学部のこと」「超動く家にて」「犬か猫か」「かぎ括弧のようなもの」
■トランジスタ技術の圧縮:トラ技といえば、私にとっては読んだことないけどよく見かける雑誌の筆頭。一見薄そうだけど、そんなに広告があるのか。トラ技の広告ページだけを削って薄く保存しようとする勇者たちの物語。アイロン派と毟り派の二大派閥の伝説と栄枯盛衰と対戦バトルが描かれている。こういう訳の分からないバッドノウハウを極めたくなる理系オタクっぽさにニヤニヤしてしまった。
■文学部のこと:内容云々よ -
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宮内悠介は、「盤上の夜」という短編集で初めて知ったのだけれども、大変シリアスなSF短編集でまじめな人なのかと思っていたらこの短編集。
最初から最後まで笑いが止まらなかった。
トランジスタ技術という実在の雑誌をいかに圧縮できるかを競う様を描いた「トランジスタ技術の圧縮」、もうなんて表現したらいいかわからない「超動く家にて」、ウィリアムギブスンの代表作「クローム襲撃」をメタ小説的に村上春樹的にアレンジしてもう何言ってるかわからないけど明らかに村上春樹な「クローム再襲撃」。ほか、本当にくだらない短編ばかり16編を集めている。
この人がすごいのは、発想がくだらないだけではなく、くだらない発想をきちんと -
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囲碁、将棋、チェス、麻雀などのボードゲームを題材にしたSF短編集なのですが、史実に基づいた描写も多く、いわゆる「SF要素」が薄めな作品も多いです。
ただこの「史実」と「フィクション」の織り交ぜ方や、独自の解釈が非常に読ませる作者さんで、ゲームのルーツや歴史についても飽きずに読めます。
人間プレイヤーVSコンピューターの視点はやはり、現代の観点からボードゲームを見るに当たっては、避けられない話題なのでしょうか。
麻雀を題材にした「清められた卓」なんかは麻雀のルールを知らずとも引き込まれてしまったし、「三角関係」という表現では生ぬるい、倒錯した性関係・愛情関係がもつれる「千年の虚空」も良かっ