宮内悠介のレビュー一覧
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ネタバレ碁、将棋、麻雀、チェス、ボードゲームを題材にした短編集。ゲームを巡る人間の執念や狂気がおもしろい。
■盤上の夜
囲碁の話。四肢を失った女流棋士が研ぎ澄まされた感覚と純粋な勝負心から連勝を重ねるが、より感覚を研ぎ澄ますために取り組んだのが外国語という点が面白い。一つの事象や感情も言語によって表現の仕方は多様で、宇宙にも例えられる囲碁の魅力とのつながりがオカルトちっくでありSFっぽくもある。
■人間の王
チェッカーの話。半世紀負け知らずの人間と機械の闘い、そして数学による完全解が証明されてしまったゲームにおいて、人間の王者は何を見たのか。
計算上は完全解明されたゲームであっても、人間がプレイ -
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『Another side of 辻村深月』で辻村深月先生が解説を書くならば、その物語をきちんと読まなくては、という心持から手に取った本。
タイトルから、純和風な舞台を想像していましたが完全に裏切られました。
架空の中東の国が舞台ですが、独特の固有名詞や後宮の仕組みなど設定が練られているので薄っぺらいということはないです。
まるで獣の奏者を読んだときのような気持ち。異世界に触れるような。
舞台は架空の国かもしれないけれど、そこで描かれる政治的かつ外交問題なんかは現代の世界でもどこか通ずるものがあると思うので他人事とは思えない。
悲しいかな、議会の男が逃げそうなのは今の日本では想像つくけれど -
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バカSFと呼ばれているのか。徹底したくだらなさにニヤニヤした。一話目の「トランジスタ技術の圧縮」でやられた。
他で印象に残ったのは、「文学部のこと」「超動く家にて」「犬か猫か」「かぎ括弧のようなもの」
■トランジスタ技術の圧縮:トラ技といえば、私にとっては読んだことないけどよく見かける雑誌の筆頭。一見薄そうだけど、そんなに広告があるのか。トラ技の広告ページだけを削って薄く保存しようとする勇者たちの物語。アイロン派と毟り派の二大派閥の伝説と栄枯盛衰と対戦バトルが描かれている。こういう訳の分からないバッドノウハウを極めたくなる理系オタクっぽさにニヤニヤしてしまった。
■文学部のこと:内容云々よ -
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宮内悠介は、「盤上の夜」という短編集で初めて知ったのだけれども、大変シリアスなSF短編集でまじめな人なのかと思っていたらこの短編集。
最初から最後まで笑いが止まらなかった。
トランジスタ技術という実在の雑誌をいかに圧縮できるかを競う様を描いた「トランジスタ技術の圧縮」、もうなんて表現したらいいかわからない「超動く家にて」、ウィリアムギブスンの代表作「クローム襲撃」をメタ小説的に村上春樹的にアレンジしてもう何言ってるかわからないけど明らかに村上春樹な「クローム再襲撃」。ほか、本当にくだらない短編ばかり16編を集めている。
この人がすごいのは、発想がくだらないだけではなく、くだらない発想をきちんと -
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囲碁、将棋、チェス、麻雀などのボードゲームを題材にしたSF短編集なのですが、史実に基づいた描写も多く、いわゆる「SF要素」が薄めな作品も多いです。
ただこの「史実」と「フィクション」の織り交ぜ方や、独自の解釈が非常に読ませる作者さんで、ゲームのルーツや歴史についても飽きずに読めます。
人間プレイヤーVSコンピューターの視点はやはり、現代の観点からボードゲームを見るに当たっては、避けられない話題なのでしょうか。
麻雀を題材にした「清められた卓」なんかは麻雀のルールを知らずとも引き込まれてしまったし、「三角関係」という表現では生ぬるい、倒錯した性関係・愛情関係がもつれる「千年の虚空」も良かっ -
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これまで数々の将棋小説に手を出しておきながら、灯台下暗し、なぜこの一冊を見逃していたのだろう……。
囲碁、チェッカー、麻雀、チャトランガ、将棋。
ボードゲームと哀しき天才の掛け合わせが、ドラマを生む。
個人的に「象を飛ばした王子」が良かった。
釈迦の息子、ラーフラ〈蝕〉の物語なのだけど、釈迦のようにはなれない自分、という劣等感の中にいても、自分の民に対する最適解を考え続ける、誠実さがグッとくる。
そして、人の好戦的な感情を、ゲームの中に押し込めようとした、その着眼点も良いと思う。
人間を超える機械と、人間のイマジナリーの力がぶつかりながら、ゲームが解かれていく様子は、なんだか恐ろしい。
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「人・で・なし」
宮部みゆき上手いよねえ。
極めて普通の(もしかしたら宮部自身が遭遇したかもしれない)居酒屋の、よくある話から、「人でなし」のワードを引き出して、ひとつの現代の「怪談噺」が始まる。まあ、やり過ぎ(ありきたり)のオチだったけど。リレー・アンソロジーどうなるんだろ?
「ママ・はは」
宮部からバトンを受け取ったのは、辻村深月。話の導入方法と「表題」「写真」というキーワードを引き継いだようです。果たして何処を引き継いで何処を引き継がないのか。ちょっと推理したくなりました。
「わたし・わたし」
辻村からバトンを受け取ったのは、薬丸岳。初めて読む作家。確か実際にあった犯罪に取材した小説 -
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斜線堂有紀の上智卒なるほど!と思わせる英語力も見せつけられました。斜線堂ファンなら、この短編だけのために読むべき一冊です。
・石川宗生「うたう蜘蛛」
死ぬまで踊り続ける奇病が蔓延したイタリア。総督の前に、「この流行り病を収束させてみせましょう」とホーエンハイムなる錬金術師が現れる。
性描写あり、中学生には微妙ライン。
好み的には合わず。
・宮内悠介「パニック――一九六五年のSNS」
一九六五年の日本。そこには「ピーガー」というSNSが存在した。
一番心が乗らなかった作品。発想は面白い。
・斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」
和歌を詠むと同時に“詠訳”する平安時代。“詠語 -
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多数のバグを抱えたこの世界。それを日々修正する世界医と呼ばれる人々の間で「この世に残された、最後の特Aランクのバグ」と呼ばれるのが、地図に無くウエブで検索しても見つからないイシュクト山。
本作はその山を目指す4組の旅人たちを主人公にした物語である。
まじめに概略を書くと上記のような感じになると思うんだけど、普通の小説とは一線を画すヘンテコな作品であることも確か。ハマる人はとことんハマると思うんだけど、ダメな人はとことんダメなんじゃないかなあ。
実はあっちに行ったりこっちに行ったりするメインストーリーのほうは自分も途中でついていけなくなってしまった。いや、そもそもストーリーなんてあってないよう -
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ネタバレ秋のあとに訪れる短い春「旅春」、このような事象を「時空の側がかかった病=バグ」とし、それを直すこと(デバッグ)ができる「世界医」という存在がある、という世界観。地図にも検索結果にも出てこないイシュクト山を目指す、旅とデバッグのお話。
SF小説と注釈エッセイ。私自身もPG/SE系の仕事なので用語やあるあるの理解に問題なく、エッセイも好きなのですごく楽しめた。こんな書き方もあるのか、と目から鱗。
どうしても技法というか上下注釈のスタイルに気が行ってしまうけど、小説の内容自体もしっかりと面白い。中盤あたりから「あれ?これは?」と気づき始め、終盤のタネ明かしやそれぞれの収束はカオスだったが興奮を憶 -
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ネタバレ竹内ノートを追う冒険小説かと思いきや、ハードボイルドになったり、急展開で恋愛小説になったり、宗教問題になったり、華僑の財閥が汚職したり…随分とっ散らかったまとまりのない小説なんだけど、宮内さんの文章だから読めてしまうねんなぁ。
こんなとっ散らかりまくりやのに、最後の50Pでああいう散らかし方してくれるから油断ならん。戦争を選ぶ政治が最低だが、戦争を継続する政治も最低なのだということ。
とはいえ、ウクライナのゼレンスキーは現状戦わないと、国が地獄になるのが分かっての戦争選択だろうし…難しいよなぁ…ってこれは、本作と関係ない気持ち -
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ネタバレ深刻さと軽さ、爽快さのバランスが絶妙。面白かったです。
アラルスタンという中央アジアの架空の国で、高等教育機関「後宮」で学んでた女の子たちが、大統領が暗殺されて議員たちが国外逃亡してしまったために「しょうがないから、国家をやることにしようかなと」と国政を執り行う。
アラルスタンが割と緊張感ある情勢で、周辺国からは侵攻されてるしAIMというイスラム系の反政府組織はあるし、政治系の教育受けてきたとはいえ20代くらいの女の子たちに出来るのかと思ったけど、なかなかどうして惹き込まれました。大の大人の軍部男性が割とすぐ従うのはご愛嬌で。
命がけの場面もたくさんあってヒヤヒヤしました。でも女子高ノリでひた -