宮内悠介のレビュー一覧

  • 超動く家にて

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    面白いSFミステリ。頭のいい人が真剣に巫山戯る。中表示のところのあらすじではない文章からして楽しい。この定型をここに。後世の人はこれもこの時代の文化(深い意味はまったくないが)だと何かで知るのだろうか。

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    2021年08月19日
  • ヨハネスブルグの天使たち

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    廃墟から少女型ロボットが落下する連作短編集。ヨハネスブルグで何千もの天使が空から降り注ぐ。表題作がセンセーショナルで心を掴まれた。紛争、民族、宗教に深く切り込む、伊藤計劃を彷彿とさせるテーマ性。作中での外見描写はほぼ皆無だが、歌姫ロボットDX9は某ボーカロイドを連想させる。 最後の短編、北東京の片隅で歌い続けるDX9に、海に沈む夕陽のような美しいものを感じた。

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    2021年07月14日
  • あとは野となれ大和撫子

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    星雲賞だっけか?で読んだと記憶している。
    舞台設定は確かにSFだけど、登場人物たちがみんなまっすぐで、さわやかな青春モノのよう。実際は結構えげつない状況なのにどことなく希望が見えてしまう。
    読みやすいけど軽すぎず面白かったです。

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    2021年07月12日
  • 超動く家にて

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    超楽しかった!手元に置いて、頭が疲れたときに読み返したい。
    やっぱりゲームものの「トラ技」と「星間野球」が好き。
    「トラ技」なんて、最初は愉快に感じた設定が、熱い展開を読み進めていくうちにリアルに感じてくる。真剣にふざけてて、いや、ずっと真剣勝負なのかもしれないけど、面白い。
    著者あとがきと解説もよかった。物語と著者の背景が知れてうれしい。

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    2021年05月24日
  • Genesis 一万年の午後

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    2018年末に刊行された新しめの日本SFアンソロジー。短編8編+エッセイ2編が収録されています。

    アンソロジーを読むこと自体、ちょっと良い(と見込んだ)食事処にぷらっと入って「おまかせコース」を頼むようなもので、満足したい気持ちと、意外なものを味わいたい気持ちが同居していると思います。
    個人的には両ポイントともにちょうど良い感じの1冊でした。編集者の匙加減の素晴らしさもあるんでしょうが、SFというジャンルの中での振れ幅もなかなか心地良かったと感じました。
    (正統派SFもありつつ、一見ファンタジーでは?日記では?となる作品や、突き抜けたシュールさの作品があって、色彩豊かでした)

    1編挙げると

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    2021年05月08日
  • 超動く家にて

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    シリアスからユーモラスを通り越して(良い意味で)バカみたいな短編まで、宮内さんの引き出しの多さ、アイディアの多彩さに驚き、そして時に呆れる短編集です。

    シリアス路線では「アニマとエーファ」がよかった。少数言語を操って小説を書くロボットを描いた短編。革命や紛争、消えゆく文化への郷愁、数奇な人間たちの運命、小説、そして物語の意味……、ロボットの繊細な語り口と、どこか虚無的な作品の空気感とテーマが何とも言えない余情を残す。『盤上の夜』『ヨハネスブルグの天使たち』など、初期の宮内さんの空気感の強い作品でした。

    宮内さんというと、どちらかというと上記したような文学的な雰囲気と、人間の拡張やロボット・

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    2021年04月29日
  • アメリカ最後の実験(新潮文庫)

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    失踪した音楽家の父を探すため、アメリカの難関音楽大学を受験した主人公の脩。
    型破りな試験が行われる中、会場でアメリカ最初の実験と謎のメッセージが残された殺人事件が発生。
    やがて、第二、第三と連鎖し...

    音楽に身を捧げる若者たちの青春冒険譚と思いきや、どういうジャンルに分けて良いのか分からない。アメリカそのものに対するアンチテーゼなのか。音楽とは何か。主たる軸はそこなのだろうが。
    ピタゴラスによって音律が作り出されたのが、紀元前六世紀。そこから音を重ねあわせる和声や調性が発見されるまでには、およそ1500年の歳月が費やされた。元は呪術や田畑の豊穣を祈るものであったものが、やがて芸術へと昇

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    2021年02月19日
  • 盤上の夜

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    最初は衒学的な表現が鼻につくなぁと思ったけど、「飛び抜けた異能」を本当に実在するみたいに描こうとする意思に心を打たれた。はじめと終わりがイマイチで、間の話はどれも面白かったな。

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    2021年02月18日
  • 盤上の夜

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    碁・将棋等のボードゲームを題材とした連作。
    盤を通して肉体が拡張され、神と対話し、時間を超えて過去に未来につながり、そしてまた、現実世界へと広がっていく。
    初読では、麻雀の専門用語がわからず雰囲気で読んだけど、再読では深く読みこめてより面白かった。

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    2021年02月06日
  • 人工知能の見る夢は AIショートショート集

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    人工知能の研究者たちが、SF作家にショートショートを依頼する、という形でできた作品。
    現在 どのような研究が行われているのか、どこが注目すべき点なのか、などが 章末の解説で解り、その解説に沿って作品を眺めると、非常に「なるほど」となる。

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    2021年01月18日
  • シークレット~綾辻行人ミステリ対談集in京都~

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    ホスト役・綾辻行人さんの人望の厚さが窺い知れる、まさに十人十色の対談集。過去の雑誌連載をまとめたものだが、最後のボーナストラックは最新の“語り下ろし”。その相手、熱烈綾辻ファンを公言する辻村深月さんとのやり取りがとても和んだ。

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    2021年01月16日
  • あとは野となれ大和撫子

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    中央アジア、干上がったアラル海に位置する小国、アラルスタンで繰り広げられた壮大な宝塚歌劇、みたいな・・・。

    歴史と現状を踏まえた丁寧な舞台の設定と過酷な環境を経て各地より集まってきた少女達が葛藤しながら自らの信じるもののために向かっていく成長のドラマを、悪役が登場せず、かつ誰も死なない、安心安全なエンターテイメントに仕上げています。

    ダムの決闘や劇中劇の学芸会には流石にちょっと萎えたけど、狙撃に動ぜずカリルを庇ってすっくと立つアイシャに思わずカッコいい!と萌えたのも事実です。

    かなり好き。面白かった。

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    2021年01月08日
  • あとは野となれ大和撫子

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    ありそうでなさそうな、なさそうででもこういう事も起こりそうなお話。とはいえ10代、20代の女の子に大の男(しかも軍人)がホイホイ従ってくれるかなぁ?という辺りでは大分ファンタジーですが…

    現職大統領が暗殺され、権力者が逃げ出した後でその場に残った女性陣が踏ん張る、というとても現実になったらいいなぁというお話です。まぁ女性じゃなくても本気でその国の未来を憂いている人なら男性でも良いんですけどね。

    面白かったんですが、個人的に主人公の一人に日本人を入れなくても良かったんじゃ…と思ったり。5歳にして両親を亡くしても取り乱さないとか、ちょっと変だし。その割に学生になったら普通の子みたいになっていて

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    2020年12月24日
  • 遠い他国でひょんと死ぬるや【単行本版】

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    77軽妙でありつつ硬派なストーリーでしたが、長編にもかかわらず途中での破綻もなく、一気に読みました。異教徒の親友と愛する人が共に幸せでありますよう祈りたくなりました。自作に大いに期待です。

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    2020年09月17日
  • 盤上の夜

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    ネタバレ

    なんだこれはいきなり都市伝説が出てきたぞそんな話か…? と悪い意味で意表を突かれた書き出しだったが、物語が進み始めるとその第一印象もどこかに飛んでしまうほどで、やっぱり上手かった。
    「それでも、二人の棋士は、氷壁で出会うんだよ」という由宇の言葉に、読み手は相田とともに涙する。
    他の収録作も、それぞれ盤上遊戯において異能を持つ者たちの尋常でない世界を巧みに彫り上げていると感じた。
    が、表題作のエピローグ的な一面も持つ、最後に収められた書き下ろしの「原爆の局」については、あるいは若干の蛇足だったかも…「盤上の夜」のラストが美しかっただけに。

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    2020年09月12日
  • 遠い他国でひょんと死ぬるや【単行本版】

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    冒険小説と呼ぶにはあまりにも淡白ではあるが、フィリピンの過去と現在がドキュメンタリーのように描かれている。
    過去とは太平洋戦争時代、敗残の日本兵が彷徨い死んでいった様が描かれ、現在ではISとの戦いや財閥の支配が描かれていた。
    エンターテイメントではあるが、8月に読むには相応しい内容だったと思う。

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    2020年08月19日
  • 宮辻薬東宮

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    人気のある作家ばかり集めたゾクっとくるホラーミステリーアンソロジー。ホラー苦手な私でも楽しめる内容で良かった。特に好きなのは「ママ・はは」と「わたし・わたし」。

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    2020年08月08日
  • 遠い他国でひょんと死ぬるや【単行本版】

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    冒険小説をあまり読み慣れていないが、次々と展開するストーリーに引き込まれた。
    それとは別に、竹内浩三という詩人とその詩を教えてもらえたのが大きな収穫だった。
    その詩とこの小説によって、フィリピン戦線、それによって亡くなられたフィリピンの人々、日本兵について思いを馳せられた。忘れないように知り続けなければならないとの思いを強くした。

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    2020年06月09日
  • カブールの園

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    表題作はアメリカのソフトウェア会社で働く日系三世の女性・レイを主人公に据えた物語です。会社から強制休暇を命じられたレイは、かつて祖父母が収容されていた日系人収容所を訪れ、アメリカ人になりきろうとした母と、日本人であることを捨てなかった祖母との間をかつて取り持ってくれたミヤケ氏の名前を見つけます。ミヤケ氏の息子に会いに行ったレイは、祖母と没交渉状態だった母が、レイの学費のために祖母に頭を下げにいったことを知り・・・
    レイの会社が製作した「トラック・クラウド」が象徴的ですが、様々な壁、例えば世代であったり人種であったり言葉であったり親子関係であったりを、いかにして乗り越えるかいうところが本作のテー

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    2020年04月12日
  • 宮辻薬東宮

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    「みやつじやくとうぐう」と読むんだそうです。
    好みの作家さんが名を連ねていて、その豪華な面々に、思わず即買い。
    ミステリーというよりはホラー寄り。勝手にリレー形式のミステリーだと思っていたので、連作短編集のようなものをイメージしていましたが、それぞれが独立したアンソロジーですね。
    リレーだと思うと、前の作品を強引に入れ込んだでしょ感が出ちゃってる。でも、宮内さんの作品のラストは秀逸でした。リレー形式ならではの〆だと思います。

    アンソロジーって、好きな作家さんの作品を、濃密に、いいとこどりしたような感覚で楽しめるのはもちろん、知らなかった作家さんや、興味はあったけれどまだ読めていなかった作家さ

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    2020年03月07日