宮内悠介のレビュー一覧
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巻末の解説にもある通り、"歌姫" と称される歌唱用のロボット DX-9 が、本来の用途を離れて転用され「人の死」に密接に関わる場所で落ちる、と言う短編が繰り返される。
女性型で「よくできたペッパーくん」とも言うべき量産品であり、廉価で高耐久なので盛んに目的外利用された、という設定である。
しかし、この「ボディつき初音ミク」が物語上の必然性を持っているかと言うとそうでもない。その点で『南極点のピアピア動画』(野尻抱介)とはかなり異なる。
この物語では「天使たち」は重要なギミックではあるが問題を解決しない。基本的には傍観者であり、そこから外れる時はたいてい死をもたらす。つまり「 -
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沙漠の小国家、アラルスタンで大統領が暗殺された。国の中枢にいる男たちが危険を感じて国外へ逃亡する中、国家の危機に立ち上がったのは教育機関"後宮"の少女たちだった。
様々な民族が集まり、複雑なバランスで成り立っている国家の危機を少女たちが救う。なんと面白そうなストーリー…!
周辺国の圧力やテロリスト、血腥い想像をしながら読むが、あくまで筆致は軽い。その軽さが物足りなく思えて初めなかなか乗れなかったが、おかげで辛くならずに安心して読み終えることができた。
少女たちはもとから優秀であったが、責任を負ってまた更に成長する。試練を経て強くなる姿に胸が熱くなる、これこそ青春冒険譚 -
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少し複雑な構成の話。
主人公・脩の<グレッグ音楽院>の受験と、そこに集まる受験生たちの話。
脩の父親探しと、父が残した<パンドラ>という楽器の話。
二次試験直前に起きた殺人事件と、そこから連鎖する数々の事件の話。
それぞれの話の中で語られる登場人物の出自と境遇が3つの話をリンクして、全体として語られるのは音楽の存在とその意義について。
読み終わってみて整理して見えてきた構図だが、読んでいる時は話がどんどん飛んでいくのでついて行くのが少々大変だった。
音楽院の風変わりな試験に集まるピアニストたちの交情の話だけで十分楽しめるのだが、色々話を繋ぎ合わせて盛り上げていくのは、まあ、これもジャズみたい -
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一話目、「ヨハネスブルクの天使たち」の冒頭数ページからはとてもこんな作品だとは予想できなかった。良い意味で裏切られた。
DX9という味気ない名前しかつけられていない日本製のロボット、通称“歌姫”が流通している架空の近未来が舞台のディストピアSF短編連作集。時代はおそらく2040〜50年代くらいか。
DX9、あるいは天使たち、は作品の軸ではあるけれども、具体的な外見の描写は控えめ。耐久性が恐ろしく高い、ということ以外ほとんど分からない。あえて抽象的に描いている感じ。
海外、特に中東やアフリカの内戦や戦争の記述が非常に詳しい。参考文献が各話の最後に記載されているが、執筆にあたり調査が徹底して -
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宮部みゆきさん→辻村深月さん→薬丸岳さん
→東山彰良さん→宮内悠介さん。
不思議な話、ともいえる短編でした。
ちょっと繋がってみたり、そのままだったり。
見つけられなかっただけで、繋がってるのやもしれませんが。
最初からぞっとする話でしたが、それを語った人物も…。
そこからすると、まだ2話目は大丈夫でした。
本人になったら、と考えるとぞっとするどころじゃないですが。
3話目は分かればほっとする状況です。
語られている間は、ひたすらに怖いだけ、でしたし
最後の方になって、ようやく違和感が、な状態。
4話目は、都市伝説のような内容でした。
行き着く先は当然、という感じでしたが
主人公は結局ど -
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リレー小説って、テーマ型のアンソロジーにも、一人の作者による連作短編集にもない、独特の味わいがあるんだと知った。
宮部みゆきのパワーが半端ないのだけど、辻村深月も負けてはいなくて、どうなるかと思いきや、クローザー宮内悠介の絶妙なバランス感(笑)
あ、ちゃんと、一冊になったな、と。
個人的に好きなのは、冒頭二作だけど。
宮部みゆき「人・で・なし」。
社会小説かと思わせる出だしの、お前らが俺に合わせろ系社員栗田くんエピソードが、ある種、自分的には身近で怖い。『名もなき毒』みたいな。
ただ、そこから俺に合わせろ系「家」のホラーに変わっていく所や、居酒屋での絶妙な相槌に、スコーンと読まされました。 -
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デビュー作『盤上の夜』に続いて囲碁を題材にした連作集です。四肢を無くした棋士の闘いが描かれた「盤上の夜」はかなりハードなSFでしたが、本作は探偵役・ワトソン役・ヒロイン役・ヒール役といった分かりやすい登場人物で固められていることからもわかるように、比較的ライトな感じで読みやすかったです。
表題作はバリバリの本格ミステリ、「焔の盤」は贋作師とのコンゲーム、「サンチャゴの浜辺」は異国での出会いと別れというように、読後に受ける印象がかなり違うであろう作品が並んでいます。自分の場合はまるで複数の作家が共通のテーマをリレー方式で描いた作品集を読んだような印象を受けました。ネガティブな言い方をするとまとま