宮内悠介のレビュー一覧

  • ディレイ・エフェクト

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    純文の香り漂う三つの短編集。
    宮内悠介が純文学だなぁ~と感じるのは、中高時代の三学期に駆け足で名称だけ学び、読んでみなきゃ判らんじゃないかと思った安倍公房とかと似た感想を持ったから。
    シュールな純文はSFやオカルト好きでも楽しめちゃうし、文学の分野の垣根なんて低いもんだ

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    2018年02月13日
  • ヨハネスブルグの天使たち

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    短編集であるが、DX9という歌うロボットが共通なガジェットとして登場する。DX9は日本が開発した楽器扱いの玩具ロボットである。本来の目的は人を楽しませるものだが、この作品では、高性能であるがゆえに、兵器として使われたりする。さらに、DX9は高所から落とされることを運命つけられたように扱われる。この落ちるDX9をどう解釈するか、どう共感するのか、読み手は自由である。ただし、明るい結論は出てこない気がする。本作は直木賞候補だったようだ。ただし、人を楽しませるエンタテインメントではなく、読者に考えさせるエンタテインメントである。純文学に近いかもしれない。

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    2017年12月13日
  • エクソダス症候群

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    評価が難しいけれど、後につなぐために星四つになった。終始淡々と話が進んでいくのだけれど、読み継ぐことをやめられず。読み始めから、なんとも言えない第三者感のようなものを感じていたのだけれど、カズキの真実を知った今は、むしろわざとそのように書いていたのかもしれないという気になった。
    171116

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    2017年11月17日
  • ヨハネスブルグの天使たち

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    素晴らしい。何でもっと早く読まなかったんだ、あたし。
    今生きている世界について自分が何も知らないってことを教えてくれた。

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    2017年08月28日
  • エクソダス症候群

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    火星に人類が移住した近未来を舞台とした作品です。今回のテーマは精神疾患。
    と、その設定だけみるとバリバリのハードSFで、最初は随分敷居が高そうに思えたのですが、実際読んでみるとそんなことはなくて、前2作よりずっと分かりやすくなっていました。
    その一方で『ヨハネスブルグの天使たち』でみられた不穏さというか、ある種とんがった感じの魅力が減じられたような印象も受けました。
    まあ、前作は戦場に初音ミクが落ちてくる話でしたからね。比べるのもどうかという気もしますが。
    読む人の好みにもよるでしょうし。

    それにしてもよく考えて作られた作品だと思います。
    何度か読み返しましたが、決定的な矛盾や不整合は見つか

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    2017年08月06日
  • 人工知能の見る夢は AIショートショート集

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    ネタバレ

    若木先生のブログでショート・ショートを書かれたと知り手に取りました。
    どのショート・ショートも非常に面白かったです。

    このショート・ショートは人工知能学会の学会誌「人工知能」に掲載されたもので、日本SF作家クラブ協力の元ショートショートを依頼したのだそうです。
    そうした背景かつ掲載誌なので、人工知能に関するSFショート・ショートばかりでとても読み応えがあります。
    ショート・ショート部分のみでなく、テーマごとに分類されそのテーマのショート・ショートが終わると解説文が挟んであるのですが
    これがまた面白い。
    普段AIといってもなんとなくの理解しかしていない分野なので
    大変勉強になりました。

    人間

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    2017年07月26日
  • ヨハネスブルグの天使たち

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    文章が詩的過ぎるな、というのが気にかかっていたが、それは自分がSFとして期待をしていたからであって、意図していたのはSFチックな設定を借りた文学だったのだろうなと、読み終える段になって気付く。

    DX9に仮託されているものは明記されないが、いずれの短編でも死後の永遠性と、肉体と現実を超越した普遍的な「意識」の世界の象徴として描かれている。宮内が描きたかったのは911以後の血生臭い世界において、脱臭された世界を目指す人々の思いと、それを実現し得る技術の存在であり、ここで数々描かれるその他ガジェットや設定は、そのための装置でしか無いように感じる。

    そしてDX9を経て人々が得るものは、そのモデルた

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    2017年03月19日
  • ヨハネスブルグの天使たち

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    前作『盤上の夜』以上にハードなSFであった。ストライクゾーンはものすごく狭いけど、好きな人にはたまらない作品になっていると思う。

    テロ・紛争・格差などの今日的な問題を想起させる世界各地の建物から、少女の外見をして甘ったるい声で歌う初音ミクをモチーフにしたような日本製ロボット・DX9の雨が降ってくるお話が5編続く。9.11の再現と思われる「ロワーサイドの幽霊たち」を筆頭に、よくもまあこんなアクロバティックな作品を描いたなあというのが率直な印象。

    一話一話はそれほど長くないけど、結構大事なことがさらりと書いてあったりするので、惰性で読んでいると物語についていけなくなる。細心の注意を払って読む必

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    2015年10月31日
  • ヨハネスブルグの天使たち

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    近未来、ディストピア、軍隊、久々にSFを読んだ人間からすると、伊藤計劃以降のSFって似過ぎてる気がする。まぁ別に伊藤計劃が発端ってワケやなくて、攻殻機動隊とかブレードランナーとかからつながってるんやろうけど。
    初宮内悠介、最初の感想はそれ。似てるからアカンいうことはなくて、おもしろかったりカッコよかったりすればそれはそれでええわけで、アフガン→イエメンの連作とかなかなか良い。ヨハネスブルグと北東京、降ってくる少女型ロボットを見ている少年少女、というほぼ相似のシチュエーションからどうなるのかと思ったら、それほど虚をつかれた感じはしない。もう少し大風呂敷でもええんちゃう?という印象。どうも頭の中の

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    2015年09月30日
  • ヨハネスブルグの天使たち

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    ≪本の感想ではありません≫
    東西冷戦が指導者・思想家に引っ張られた対立なら
    昨今の紛争は人々の民族、宗教の意識に姿を変えて
    湧き上がり、制御不能になった状態なのかと。
    そこに米国中心の指導者たちの思想に動かされる
    人々、国々と民族の意識がが互いに異なる地平で
    ぶつかり、決して交わることない視点で争う。
    で、日本はというと機械、技術の面で世界にかかわり、
    思想や意識とは距離を置きながら、なんとなく
    世界に組み込まれ、覇者側に染まる、と。
    いや、この短編とは直接関係がないのだけど、
    この本を読んで、場を支配する空気というか、
    なんとなく、現代の世界と安倍以前の日本の
    立ち位置がそんなかんじだったか

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    2015年09月30日
  • ヨハネスブルグの天使たち

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    ネタバレ

    5篇全編に渡って、ロボット「DX9」が建築物の上から落下し続ける様子が描かれている。
    物語の中には9.11以降、そして伊藤計劃以降の「閉塞感」みたいなものが漂っている。
    「そこに留まり朽ちていくか、道を切り拓くべく出て行くか」。物語中で建築物からの落下を繰り返し続けるDX9は「留まり朽ちていく」ものの象徴として描かれていると思う。対比として描かれている作中の主人公たちは最終的には「道を切り拓くべく出て行く」ことになるが、全てがハッピーエンドとはなっていないように思う(シェリルは凶弾に倒れ、ザカリーは死に、璃乃はDX9へ接続するようになる)。
    ある意味で「俺たちの戦いはこれからだ」的な展開とも言

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    2015年09月23日
  • ヨハネスブルグの天使たち

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     日本製のロボットDX9を媒介に世界各国のテロや紛争地区の近未来を描いた連作短編。

     民族問題や宗教問題などの歴史的背景と問題の複雑さが各短編で描かれるので、正直作品を理解しきれたかどうかは自信がないのですが、それでもこの作品に備えられている力というものは十二分に感じました。

     その力の理由に作品の独創性がまずあると思います。現代においても未だ解決の糸口が見えない民族や宗教の問題、それを近未来とDX9というSFのガジェットを使ってどう描くか。表題作や「ハドラマウトの道化たち」でのDX9の利用法や政治の統治法もすごいなあ、と思ったのですが、なによりすごかったのが「ロワーサイドの幽霊たち」。虚

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    2015年09月21日
  • 名探偵だって恋をする

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    宮内さん目当てで購入し、やっぱり「空蜘蛛」が一番好みだったし、この短さの中で、物語と人物描写のみならず細かな部分(音楽や服装等々)も「抜かりなし」で満足。
    影響されて、しばらくパッサカリアばかり聴いてしまった。

    アンソロジーゆえ、他4人の、今まで読んだことがないラノベ系作家さんの作品に触れられたことも良かった。失礼ながら、どなたも存じ上げなかったし、好みはあるものの、購入して損はなかった。(アンソロジー集は、半分以上の作品を気に入らないと、失敗したと思う)

    他作品では、椹野さんの軽めの探偵ものが特に気に入った。舞台がイギリスなのも好み。貴族探偵エドワードシリーズを読みたくなった。

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    2014年06月28日
  • 盤上の夜

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    テーブルゲームとオカルティックな超常者達の短編集。正直よく分からないと感じたものも多い。故に共感も難しく、どのゲームも良くて触りくらいしか知らないという自身の経験の乏しさも手伝ってか、ひたすら物語をただ傍観していたという印象。
    そんな中でも驚異的な勝率を誇ったチェッカープレイヤーの話、意外なオチになった麻雀の話、ゲームではない実際の戦争で苦しんだシャカ族の王の話は比較的分かりやすいこともあってそれなりに面白かった。

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    2026年07月21日
  • ラウリ・クースクを探して

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    単行本で読んで好きだったので文庫化されて再読。エストニアについて知れるし、歴史的なうねりの中で、ラウリとイヴァンが再会するシーンにはジーンときました

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    2026年07月20日
  • ラウリ・クースクを探して

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    SFかと思ったら違っていた。
    歴史に名を残す偉業を成し遂げた訳ではない、でも着実に実績を作った人の人生を追いかけるようなお話。
    エストニアがIT大国とは知らなかったなぁ… 
    自分もウクライナの戦争が始まってきちんと調べたんですが、モスクワって西側諸国に非常に近い場所に位置していると知り、なるほどだからNATO加盟が脅威なのかと改めて思った記憶があります。
    ゴルバチョフやエリツィンという名前も、ペレストロイカもなんとなく記憶にはありますがきちんと調べてみようかと思いました。

    ラウリの板挟み間が非常によくわかる。争いたくないだけで、どうしたいという強い意志が無い、というような。好きな学問を好きな

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    2026年07月17日
  • 盤上の夜

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    囲碁、将棋、麻雀等、いわゆる頭脳ゲームを題材とした短編集。私は打てませんが、囲碁の奥の深さを知りました。中でもチェッカーの話は、シンギュラリティーにも繋がる。懐かしさも加わり深読出来ました。現在のスマホゲームでは味わえない世界観がありました!星3つ半です

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    2026年06月27日
  • エクソダス症候群

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    これまでの精神医学の闇がわかり、今の医学に対しても薬を大量投入という側面を描いていた。医者が言うことは正しいというような先入観から処方された薬を飲んでしまうが、確かにそう言う観点もあるなと感じられた。
    希死念慮が現代医学の引き換えとして現れたと描かれているのは、精神疾患をなんでも薬で対処できるようになったことで、感情の行き場がなくなって、突発的にいなくなりたい、消えたい、と考えてしまうからと感じた。
    カズキがチャーリーやカバネを診断しているところが印象的だった。しらみつぶしに有名な精神疾患を考えては棄却し、分類学みたいだと指摘される。そもそも人の精神疾患は境界線が曖昧でこの診断方法は合わないの

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    2026年06月27日
  • 旅する小説

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    ネタバレ

    SFではない短編もあるが、SFとして読む。
    宮内悠介 「国境の子」
    対馬と韓国は近いのね。

    藤井太洋 「月の高さ」
    お金のない劇団って大変そう。影のない太陽を見てみたい。

    小川 哲 「ちょっとした奇跡」
    自転が止まった地球で生き残った人類のたった2隻の船が180度離れて燃料が無くなる1200年後まで走り続ける。ちょっとした奇跡があってもいいじゃないか?でも本当にちょっとした奇跡だ。
    これが一番好き

    深緑野分 「水星号は移動する」
    移動式宿 水星。 人情物で連載はできそう。マーキュリーの意味を調べる

    森 晶麿 「グレーテルの帰還」
    ヘンゼルとグレーテルを読み直さなきゃ! 
    老人は殺しても

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    2026年06月19日
  • 暗号の子

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    理解できない内容が多々あったけど淡々とした展開、静かな印象。そして風景だけで場所を特定し攻撃する怖さや人の恐ろしさを書いているのに穏やかに感じてしまうのは短編だったからか内容が理解できていなかったからなのか。

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    2026年06月13日