宮内悠介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者あとがきにもあるように ヘイル・ブルー・ドット が最も読みやすく、あとは難解。手クロノロジー(主にブロックチェーン)とそれに関わる思想が全面にあり、ストーリーは後回しの感あり。
暗号の子:新たな共同体の試みとその蹉跌だそうな。自閉症(ASD)のウェブコミュニティーが世間に敵視され、それを守ろうと主人公が奮闘する物語
偽の過去、偽の未来:暗号通貨を資源配分に結び付ける?
ローパスフィルター:SNSの過激な投稿をフィルターするアプリの顛末。フランクフルト学派・啓蒙は野蛮を発生させるらしい
明晰夢:作者うつ病時に書いたとのこと。薬物依存者更生用アプリの顛末
すべての記憶を燃やせ:98.7 %AIノベリストというアプリが書いたそうな
これが最も判らなかった
最後の共有地:暗号通貨の顛末。暗号通貨が複雑な合意形成を仲介するらしいが良く判らない
行かなかった旅の記録:コロナ時に架空の旅のお題をもらって書いたもの
ヘイル・ブルー・ドット:キューブ衛星を小学生が製作するのをお手伝いする話
アメリカの宇宙企業のCEOは能力が足りないと思ったらあっさり人を切る -
Posted by ブクログ
第147回直木賞候補、第33回日本SF大賞受賞作品。
囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋をテーマに、そのプレイヤーたちにとってゲームとは何かを一人のジャーナリスト目線で描く連作短編6篇。
表題作の主人公灰原由宇の凄みに引き込まれ、そのラストシーンの美しさにやられた。
そして彼女は最後の短編「原爆の局」にも再登場し、成長した姿を見せる。
原爆投下の後も対局を続けたという本因坊戦のエピソーと、「棋士は、いつも内なる火と闘っている。外の火など、いかほどでもない」という相田の言葉に、昨年の名人戦で震度4の揺れをものともせず、集中を切らさなかった藤井名人の姿を思い出した。
闘う者たちの姿を側から客観的に見つめるジャーナリストの「わたし」の位置付け。冲方丁の解説を読んでなるほどと感じ入った。
そして、闘うものの傍で一人負い目や孤独感を味わう「わたし」に対し、自らの万年筆を与えた相田の優しさ。
今まで好んで読んできた将棋小説とは異なり、なかなか哲学的な表現もあって難しくもあったけど、読後はとても良かった。 -
Posted by ブクログ
過去にテレビでスプーンを自由自在に曲げ、エスパーとして名を馳せた千晴。結婚した夫はマンションから転落死してからは、外との交流を遮断して、愛犬のテルミンと暮らしていた。その千晴がインタビューに応じるという…。
サルの習性、超能力(スプーン曲げ)、ロボトミー手術、『水からの伝言』問題、ホメオパシー、洗脳といった、現代ネットで受けそうな話題を題材に、最大限の皮肉を交えながら描くSF短編集。
最後の作品を除いて、ほとんどが雑誌の記事のような俯瞰した視点で描かれ、テーマがテーマなだけに、現象も読者も突き放すような、ニヒルと言うよりはスノッブと言うか冷笑が似合うスタイルである。
そのせいか、誰かがどうにかするのだろうと1作目を読みかけて、つらつらと(作品内の)事実を垂れ流しているという印象を受けてしまい、どこに視点を置くかが分かりづらくて、最初はかなり読みにくい。
『水からの伝言』あたりから、人が見え始めてわかりやすくなってきたものの、のめり込んでしまう前に終る印象だな。最後の作は、人に視点を置かれてしまって逆に読みにくかった。
実際にあった事件や問題をうまく絡めており、いろんな資料に当たって書かれており、それらが作品中で単なる引き写しにならずに血肉になっているところは素晴らしい。
ただ、のめりこめない。なぜか。
おそらく、どの現象も信用できないという作者のスタンスにあるのではないかと思われる。批判なら批判側に徹底的に感情移入させるように書かれていればよいのだが、そういう書き方もされないので、単にバカげた現象を第三者として紹介するような小説になってしまった。
単品としてはそれぞれ読むところがあるが、その冷笑をまとめて読むと、まあ胸焼けするのである。
この人は、長編を読んでみるべきかな。