宮内悠介のレビュー一覧
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確かに英雄譚には飽きてきている。
滅びはしたけど実はすごい人物だったんだ。そういう趣向は歴史小説に特に多い。
でも結局のところ、負けたんじゃないか。ならすごくはないじゃないか。
そう思っても現実、自分はすごいのだと思いたい。思おうとしている。自己矛盾だが、無視できない感情でもある。もちろん英雄ではないことは百も承知。
じゃあ英雄じゃなかったら意味無いのか。何かを訴えてはダメなのか。誇ってはダメなのか。
小さな人間の、誇り。
確かにそれは在る。己の内なる光。
それが朧げで、時に消えかけ、時に煌々と色めく。人生も誇りも、伸びたり縮んだりするものなのだろうが、そこに在るのだ。
何かになりたくて、でも何者にもなれない現実。
その苦しさと共に生きることが人生なのかもしれない。
星2.8で四捨五入。
もう少し時代を丁寧に描いてほしかった。
学生なのであまり影響は無かった、で済まさず、その学生の日常から体制の大変化を描く力量があれば、星は4に近づく。 -
Posted by ブクログ
1編15分、世界がくるりと裏返る。
ミステリのプロが厳選した、2024年を代表する本格アンソロジー。
本格ミステリ作家クラブ選・編の、2023年発表の作品から厳選された本格ミステリアンソロジー。
倒叙からダイイングメッセージ、日常の謎まで内容もバラエティに富んでいて面白いです。
個人的によく読む、という作家さんも少なかったため、新鮮に楽しめました。
以下、個別の感想を少しだけ。
東川篤哉『じゃあ、これは殺人ってことで』……ドタバタした倒叙ミステリ。どんどん話がややこしくなっていく様に思わずくすっとしてしまいます。以前読んだときも思ったのですが、コメディ強めのノリについていけるかは好みが分かれそう。
荒木あかね『答え合わせ』……ダイイングメッセージの解読ミステリ。語り手が国語教師なのが活きていて独創的で好きです。家族小説としても愛情が見えて良い。
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Posted by ブクログ
「旅」をテーマに、気鋭の作家陣が短編を寄稿したアンソロジー。とはいえ旅の解釈はそれぞれであり、SFだったりミステリーだったり、各人の特徴が出ている内容となっている。
個人的な好みは藤井太洋さんの「月の高さ」。ご本人の経験を踏まえた舞台芸術の置かれた現状、地方巡業のドタバタ感、枯れたおじさんと若い女性の緩い連帯といった内容が小気味よくロードムービー的に展開されていて面白かった。
一方で石川宗生さんの「シャカシャカ」については正直よく理解できなかった。地表がシャッフルされるという話のメタ構造として、各章の順番もシャッフルされていく流れなのだけど、いきなり話と場所が飛んでしまうためについていけない印象を持ってしまった。まぁその辺の実験的な取り組みができるのも短編集の良いところなのだろう。 -
Posted by ブクログ
吉川英治文学新人賞の短編集。僕個人の価値観としてこれがミステリーなのかSFなのかは判断出来ない
全て疑似科学、超常現象が主題なのだが決着はいわゆる、「普通」ではないものをテーマにすることで人間とは何かを考えさせてくれる短編集だった
この語り手もまた、各短編にて読む側と同じ立場を担っていて、そもそもジャンルを決定させないで読む人の捉え方を楽しませる本なのではと感じた
なんというか、1編で考えてみても膨らませたら全然長編になりそうな気もするのに、実にあっさり塩味な描き方に評価が分かれる気がする
(絶対ワザとだが)
表題作は読後感といい、タイトルといい◎でした