【感想・ネタバレ】旅する小説のレビュー

あらすじ

さぁ、出かけよう! 「物語」という旅へ。

国境、日常、現実を飛び越え、行き先は無限大!
宮内悠介、藤井太洋、小川哲、深緑野分、森晶麿、石川宗生――。
最旬の作家たちが想像の翼を広げて誘う、魅惑のノベル・ジャーニー!


宮内悠介 「国境の子」
対馬から韓国まではわずか一時間。でも「ぼく」にはそれが遠かった。

藤井太洋 「月の高さ」
旅公演スタッフとして遠征中、あの日見た月が胸に去来する。

小川 哲 「ちょっとした奇跡」
自転が止まった地球。カティサーク号は、昼を追いかけ移動を続ける。

深緑野分 「水星号は移動する」
移動式の宿・水星。今日はどんなお客様と出会うのだろう?

森 晶麿 「グレーテルの帰還」
あの夏、最後の家族旅行での惨劇が、私の運命を大きく変えた――。

石川宗生 「シャカシャカ」
地表が突然シャッフルをはじめた!? 姉弟の生き残りをかけた旅が始まる。

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Posted by ブクログ

帯には「最旬の作家たちが旅をテーマに競作したアンソロジー」と書かれている。この最旬の作家たち6人のうち5人が有名なSF作家だった。この様なアンソロジーには必ず読んだことがある作品が紛れ込んでいるもの。しかし、しょうがない。忘れている作品もあるだろうから、復習も兼ねてサラっと読んで行こう。SF作家が「旅」と言えば、時間旅行、宇宙旅行が定番、全くつまらないと言うことはないだろう。まさか、普通の旅行小説なのか?と、ワクワクしながら読むのも一興だ。さあ、個別にコメントしよう。

〇 国境の子/宮内悠介
講談社の短編集「国家を作った男」で既読。何回読んでも心に染み入る作品。主人公が大人しいだけに、その範囲内での気持ちの揺れ動きが小さい所が逆に心に引っ掛かる。

〇 月の高さ/藤井太洋
劇団の舞台美術スタッフと星座との関係でほんのわずかながらにSFのにおいがするが、話の流れは至って普通の話。

〇 ちょっとした奇跡/小川哲
既読。初めて読んだ時にはかなりインパクトを受けたが、2回目ともなるとインパクトは皆無。逆に言うと、もう完璧に完成された作品であるとも言える。

〇 水星号は移動する/深緑野分
設定は宇宙旅行も簡単にできる未来社会。その未来社会でも下層社会で生きる人もいる。キャンピングカー、いや移動式の旅館「水星号」に搭乗、いや宿泊する人達とのなんでもないやり取りが実に面白い。

〇 グレーテルの帰還/森晶麿
立派な推理小説。「旅」というイメージよりも、人生の旅のようなイメージ。最大の賛辞を述べるならば、ミニ松本清張っていう感じ?

〇 シャカシャカ/石川宗生
まずは「シャカシャカ」が何であるか考えることから始まる。最初のシンガポールが何故4番なのか判らないまま読み始める。その後、それらの意味が判る。山田太一の「終りに見た街」が激しく連続して起こると言えば良いのだろうか・・・結末は全然違うけど。この作品が一番SFっぽくてとても楽しめた。素晴らしい作品だ。

裏表紙の解説で知ったが、この文庫本は「Voyage想像見聞録」の改題だった。そういうことか。

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2025年10月23日

Posted by ブクログ

国境の子:宮内悠介/月の高さ:藤井太洋/ちょっとした奇跡:小川哲/水星号は移動する:深緑野分/グレーテルの帰還:森晶麿/シャカシャカ:石川宗生

それぞれの時、それぞれの場所で
旅が生まれ物語りになる
不思議な感じのする物語たち
「シャカシャカ」の切り取られる世界のイメージは見た気がする……夢かな?

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・宮内悠介 「国境の子」
対馬生まれ韓国人とのダブルの話
・藤井太洋 「月の高さ」
〇小川 哲 「ちょっとした奇跡」
自転がほぼ止まった地球で明暗境界を移動するカティサーク号の少年は、地球の反対側で同じことをしている車へと出発する。
・深緑野分 「水星号は移動する」
〇森晶麿 「グレーテルの帰還」
グレーテルはヘンゼルに誘導され魔女(祖母)を焼き殺す。
〇石川宗生 「シャカシャカ」
地表が突然シャッフルを始め、時間と空間が円環する。

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

「旅」をテーマに、気鋭の作家陣が短編を寄稿したアンソロジー。とはいえ旅の解釈はそれぞれであり、SFだったりミステリーだったり、各人の特徴が出ている内容となっている。

個人的な好みは藤井太洋さんの「月の高さ」。ご本人の経験を踏まえた舞台芸術の置かれた現状、地方巡業のドタバタ感、枯れたおじさんと若い女性の緩い連帯といった内容が小気味よくロードムービー的に展開されていて面白かった。

一方で石川宗生さんの「シャカシャカ」については正直よく理解できなかった。地表がシャッフルされるという話のメタ構造として、各章の順番もシャッフルされていく流れなのだけど、いきなり話と場所が飛んでしまうためについていけない印象を持ってしまった。まぁその辺の実験的な取り組みができるのも短編集の良いところなのだろう。

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2025年10月13日

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