宮内悠介のレビュー一覧
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ネタバレ5篇全編に渡って、ロボット「DX9」が建築物の上から落下し続ける様子が描かれている。
物語の中には9.11以降、そして伊藤計劃以降の「閉塞感」みたいなものが漂っている。
「そこに留まり朽ちていくか、道を切り拓くべく出て行くか」。物語中で建築物からの落下を繰り返し続けるDX9は「留まり朽ちていく」ものの象徴として描かれていると思う。対比として描かれている作中の主人公たちは最終的には「道を切り拓くべく出て行く」ことになるが、全てがハッピーエンドとはなっていないように思う(シェリルは凶弾に倒れ、ザカリーは死に、璃乃はDX9へ接続するようになる)。
ある意味で「俺たちの戦いはこれからだ」的な展開とも言えなくもないが、未来への希望を描いているようにも感じる。
作中では史実と架空が交差して、フィクションとノンフィクションの間をゆらゆらと揺れるような浮遊感も読む人を不安にさせるのかもしれない。 -
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日本製のロボットDX9を媒介に世界各国のテロや紛争地区の近未来を描いた連作短編。
民族問題や宗教問題などの歴史的背景と問題の複雑さが各短編で描かれるので、正直作品を理解しきれたかどうかは自信がないのですが、それでもこの作品に備えられている力というものは十二分に感じました。
その力の理由に作品の独創性がまずあると思います。現代においても未だ解決の糸口が見えない民族や宗教の問題、それを近未来とDX9というSFのガジェットを使ってどう描くか。表題作や「ハドラマウトの道化たち」でのDX9の利用法や政治の統治法もすごいなあ、と思ったのですが、なによりすごかったのが「ロワーサイドの幽霊たち」。虚実を織り交ぜて語られる壮大な物語に心を奪われました。
そしてそうしたアイディアだけでなく文章も独特の詩情があります。だから理解しきれなくても、これは力のある作品なんだな、というのが分かるのです。
『盤上の夜』を読んだ時も思ったのですが、宮内さんは今までのSF作家とはまた違った世界を目指しているように思います。作中のSF要素もその世界を表現するために一番都合がいいのがSF的な世界観なだけであって、そのうち分類不能な新しい文学が宮内さんの手から生まれるのではないか、読み終えてそんな考えがふと湧いてきました。
第34回日本SF大賞特別賞 -
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宮内さん目当てで購入し、やっぱり「空蜘蛛」が一番好みだったし、この短さの中で、物語と人物描写のみならず細かな部分(音楽や服装等々)も「抜かりなし」で満足。
影響されて、しばらくパッサカリアばかり聴いてしまった。
アンソロジーゆえ、他4人の、今まで読んだことがないラノベ系作家さんの作品に触れられたことも良かった。失礼ながら、どなたも存じ上げなかったし、好みはあるものの、購入して損はなかった。(アンソロジー集は、半分以上の作品を気に入らないと、失敗したと思う)
他作品では、椹野さんの軽めの探偵ものが特に気に入った。舞台がイギリスなのも好み。貴族探偵エドワードシリーズを読みたくなった。 -
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そんなに長くなく文章も読みやすいのですぐ読めた。
ウクライナで義勇兵として亡くなった息子のことを知るために現地に赴いた主人公が、同じように息子を亡くしたアメリカ人の母と出会い、二人で息子達のことを尋ね歩くというストーリー。
戦争そのものではなく、母から子への愛、そして母同士の友情を描いた本。
何の当てもなくただ地名だけを頼りにウクライナへ?など多少違和感はあった。
ただ、我が子のことを考えると居ても立っても居られない気持ちだったんだろうな、とも…。
この母は、ウクライナへ行くことで少しは救われたんだろうか。
やはり、まず何よりも生きていること。
そして生きているうちに対話しないと、と考えさせられた。 -
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ネタバレ人工知能の見る夢は
AIショートショート集
人工知能学会誌に掲載されたショートショートSFをテーマ別に分けて掲載し、最後に研究者の解説が付くという形態のショートショート集です。
【テーマ一覧】
◎対話システム ◎自動運転 ◎環境知能 ◎ゲームA I◎神経科学 ◎人工知能と法律 ◎人工知能と哲学 ◎人工知能と創作
【執筆者一覧】
《作家》若木未生、忍澤勉、宮内悠介、森深紅、渡邊利道、森岡浩之、図子慧、矢崎存美、江坂遊、田中啓文、林譲治、山口優、井上雅彦、橋元淳一郎、堀晃、山之口洋、高井信、新井素子、高野史緒、三島浩司、神坂一、かんべむさし、森下一仁、樺山三英
《研究者》大澤博隆、稲葉通将、加藤真平、小林亮太、伊藤毅志、原田悦子、赤坂亮太、佐藤理史、久木田水生、松山諒平
新旧取り混ぜた有名なSF作家さんたちが並んでいますが、ショートショートという制約上、あまり各作家の個性は出てないかなと思います。
直ぐに読めて楽しめる、良い企画だと思います。
印象的な話として、対話に必要な音声認識のデータは豊富にあるので、機械学習で認識率は格段に上がっていますが、対話となるとうちのアレクサさんも「今はわかりません」を連発します。その理由は、私たちの普通の会話はけっこうな頻度で「わかりません」からできているとのこと。人間らしいと言えば人間らしい人工知能!笑
竹蔵 -
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SFかと思ったら違っていた。
歴史に名を残す偉業を成し遂げた訳ではない、でも着実に実績を作った人の人生を追いかけるようなお話。
エストニアがIT大国とは知らなかったなぁ…
自分もウクライナの戦争が始まってきちんと調べたんですが、モスクワって西側諸国に非常に近い場所に位置していると知り、なるほどだからNATO加盟が脅威なのかと改めて思った記憶があります。
ゴルバチョフやエリツィンという名前も、ペレストロイカもなんとなく記憶にはありますがきちんと調べてみようかと思いました。
ラウリの板挟み間が非常によくわかる。争いたくないだけで、どうしたいという強い意志が無い、というような。好きな学問を好きな人と追及したいだけなのに、それがうまくいかない。やっぱり平和って大事だなぁと思います。戦争は始めてしまうと終わらせるのが本当に難しいんだな、ということも昨今の事情を思うとうんざりします、本当に…
色々な立場や考え方が違っても、一緒に共存できる場があるといいのになぁと切実に思います。 -
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これまでの精神医学の闇がわかり、今の医学に対しても薬を大量投入という側面を描いていた。医者が言うことは正しいというような先入観から処方された薬を飲んでしまうが、確かにそう言う観点もあるなと感じられた。
希死念慮が現代医学の引き換えとして現れたと描かれているのは、精神疾患をなんでも薬で対処できるようになったことで、感情の行き場がなくなって、突発的にいなくなりたい、消えたい、と考えてしまうからと感じた。
カズキがチャーリーやカバネを診断しているところが印象的だった。しらみつぶしに有名な精神疾患を考えては棄却し、分類学みたいだと指摘される。そもそも人の精神疾患は境界線が曖昧でこの診断方法は合わないのでは、と疑問にも思ったが、それぞれの病気に対して薬が合う合わないがあるなら、合っているのか、、?とも思った。だか正常と異常の境界は何が決めるんだろうと疑問に思わされた -
Posted by ブクログ
ネタバレSFではない短編もあるが、SFとして読む。
宮内悠介 「国境の子」
対馬と韓国は近いのね。
藤井太洋 「月の高さ」
お金のない劇団って大変そう。影のない太陽を見てみたい。
小川 哲 「ちょっとした奇跡」
自転が止まった地球で生き残った人類のたった2隻の船が180度離れて燃料が無くなる1200年後まで走り続ける。ちょっとした奇跡があってもいいじゃないか?でも本当にちょっとした奇跡だ。
これが一番好き
深緑野分 「水星号は移動する」
移動式宿 水星。 人情物で連載はできそう。マーキュリーの意味を調べる
森 晶麿 「グレーテルの帰還」
ヘンゼルとグレーテルを読み直さなきゃ!
老人は殺しても良い?だめでしょう。
石川宗生 「シャカシャカ」
地表が突然シャッフルをはじめた!? 設定が奇抜で、構成も奇抜で、
最期まで読んで、そうきたか! でも救われない。