宮内悠介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読みやすさ★★★
学べる★★★★
紹介したい★★★★
一気読み★★★★
読み返したい★★★
たまたま手に取ったことからの初の宮内悠介作品だったが、この読後感。どうしてくれよう、お腹いっぱいだ。
近未来SF、テクノロジーにまつわる短編集らしいが、著者の他のテーマの作品も気になる。
仮想空間、ネット社会の暗部、AIが書いた小説(よくできている)、宇宙開発、と次元を越えた物語が一冊に詰め込まれている。
技術的に細かく作り込まれた設定やイデオロギーの応酬など、なかなかしっかり難解(だが興味深い)な話ばかりで、その点だけでもかなり読み応えがあるのだが、反面、登場人物たちがドライというかダウン系とい -
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ネタバレ【暗号の子】
〈人から暗号〔クリプト〕へ。あるいは、認知のアナログ・デジタル変換。わたしは一個の暗号体となり……〉
冒頭から掴まれる。
主人公はカウンセラーに勧められてVR空間にあるASD匿名会に参加するが、参加者の一人が無差別殺人事件を起こし、主人公も関係者として取り調べを受ける。
警察には合同会社化を持ちかけられたが、会〔クリプトクリドゥス〕のメンバーは賛同せず、事件やクリプトクリドゥスのことが社会問題となり、主人公の本名や住所などが暴かれる。
主人公は動画配信者とのコラボ企画などで自分の考えを発言するが、無政府主義者と言われる。
そして、クリプトクリドゥスはもう以前とは違ったものになって -
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宮内悠介さんの、金融・ゲーム・メンタルヘルスの知識と、バラード派SF観が惜しみなく詰め込まれたテクノロジー系短編集。おもしろかった。
ひとつひとつのお話しに関して好みの差はあるものの、編集がいい。
前半の4話
「暗号の子」
「偽の過去、偽の未來」
「ローパス・フィルター」
「明晰夢」
は、暗号通貨またはSNS環境と何らかの社会不適合や依存性をからめてあり、新しいテクノロジーに人生の何かを壊された人がテーマになっている。
とはいえ、物語としての完成度は、やはり「暗号の子」がもっとも高いと思った。
「すべての記憶を燃やせ」
は、半分はAIが書いた小説。
悲しい、苦しい、涙が止まらないなどの -
Posted by ブクログ
エストニアがソビエト連邦共和国の構成国から国家として独立していく、そんな時代に翻弄された少年ラウリの夢やかけがえのない友情が崩されていく様子は、克明であった。旧構成国は、今でもロシア原住民とも共に暮らしながらも、常に隣国ロシアを警戒しているという、複雑に絡まった歴史を背負って生きていかねばならない、そんな実情まで言及している。また、この小説では、幼い頃一つの事(コンピューター)にしか集中できなかったラウルは、発達障害だったのだろうが、紆余曲折を経ながらも、デジタル国家を発展させていく要員となれる、という、大人になると社会的に対応できるようになる一つの道筋も示してくれている。
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Posted by ブクログ
私にもっとゲームの知識があれば…と悔やんだ作品。
単なる盤上ゲームを扱った作品ではなく、ゲームそのものの抽象的意味を投げかけるような哲学的な話であったり、そこに掛ける人間の精神性であったりを描いていて、とても読み応えがあった。
正直言って難解な内容。起承転結も掴みにくく、ゲームのルールが理解できないと、本書の魅力は半減すると思う。
それでも静謐たる文章が心地よく、また実在するようにすら感じる人物たち、SFらしい驚きと新鮮さに引き込まれた。
個人的には「人間の王」と、「象を飛ばした王子」が好き。これはどちらもゲームがよくわかっていなくても面白いから、というのもあるけれど。
短編だけど、実は連 -
Posted by ブクログ
直球王道、本寸法のバカSF(←褒め言葉ヽ( ´ー`)ノ)。いや、バカSFに本寸法も何もありませんけどねヽ( ´ー`)ノ
地獄の女王にこき使われていた天才SEの青年が、銀河を股にかける金融会社の取立て担当者に助けられ、共に貸付の取り立てをするために宇宙やら地獄やら情報の渦の中やらに飛び込んで大冒険。・・・って話なんですが、みなさん意味わかります?鴨も書いててよくわかりません(笑)。取り立てをするときに主人公が先輩に突かれて発声する企業理念「わたしたち新星金融は、多様なサービスを通じて人と経済をつなぎ、豊かな明るい未来の実現を目指します。期日を守ってニコニコ返済・・・」が水戸黄門の印籠のように登場