歴史・時代 - 講談社作品一覧

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  • 三百六十五日
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    見かけは優しいノンキ者の浪人・風雷太郎は、腕がめっぽう強く、天秤棒を振って相手をキリキリ舞いさせる。……浅草の観音さまで敵討の大望いだく町娘・お加代を戒めての帰途、観音さまのお告げだと言いはる拾い屋の忠六のすすめで、花川戸の質屋・倉橋屋の色後家・お浦の用心棒となって、悪旗本・大河原一味をやりこめる。倉橋屋の内部事情は複雑で、先代の息子で今は人別帳から抜かれてしまった兇状持ちの伝吉が、ごろつき浪人を語らっては押しかける。お浦と夫婦になった雷太郎に近づく、料亭・つるやの看板娘・お加代と、女掏摸・裸弁天のお雪など……江戸の四季をいろどる、剣と恋の物語。
  • 江戸の暴れん坊
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    鳶太郎は旅に出た。「蛮社の獄」で身辺に危険が迫ったので、崋山・長英らのすすめで、しばらく難を避けようと、家督を弟にゆずり、住みなれた江戸をあとにした。両国の骨つぎ・名倉の門弟を名乗り、股旅姿の身軽なひとり旅……のつもりであった。 高輪の大木戸を出ると、鳶太郎を待ちうけていたのが、年の頃なら19かはたち、ひどくあか抜けのしたお侠な下町っ子・お夏、次いで六郷の渡しで供に加わったのが、度胸と足が自慢の木更津屋佐平。さて、三人旅の行手に次々起こる剣難女難。鮮やかな鳶太郎の秘剣が舞って、胸のすくような、山手文学十八番の娯楽大作!
  • 弓削道鏡
    -
    河内国弓削ノ邑に住む貧しい鷹の羽取りの青年・道鏡は、馬の化身かと疑われるほどの肉体のために、村の娘にも相手にされなかった。弟の浄人が恋人を抱くのを垣間見るにつけ、道鏡は懊悩した。そして憤りは野心に変った。彼は家を出奔した。都大路で若く美しい皇女のお姿を拝した。思えば、後に女帝の御寵愛を一身に集め、空前絶後の権勢をふるった怪僧・道鏡の第一歩はここにあった。
  • 会津恋い鷹
    4.0
    鷹の野性を愛した女を描く凄艶な時代長編。無辺の空を映す鷹の眸に魅入られたさよは、長じて城下の鷹匠に嫁ぐが、戊辰の動乱は鷹との幸せを奪い去る。束縛を逃れて高く飛翔する魂を描く、感動の長編小説。(講談社文庫)
  • 隠密三国志
    -
    浪人・古賀新三郎と神田連雀町の小料理屋・松葉屋のお葉は、尼ヶ崎藩・松平家の家老・鷲尾刑部の奸策にかかり、隠れ切支丹の汚名をきせられ毒殺された天野屋浪右衛門の遺族と誤解されて、黒い剣風に襲われる。天野屋の埋蔵金100万両の行方を追って、江戸を舞台に、老中・稲垣伊勢守の放った公儀隠密・黒住鬼堂とその一党、鷲尾党の総帥・大倉玄蕃の率いる7人の忍者と、天野屋の娘・千鳥を擁して復讐に燃える天狗党の、三つ巴の乱戦の中に捲き込まれた。古賀新三郎に近づく謎の男・伊太吉に、新三郎とお葉の安否を気づかい、探索の眼を光らす八丁堀同心・清川一馬の活躍……。謎は謎をよぶ、異色時代長篇。
  • わんぱく公子
    -
    わんぱく公子とは、浜町に棄て扶持・五千石の気儘な生活をしている、松平鶴七郎のことである。江川坦庵について西洋流の砲術を、小野派一刀流の浅利又七郎に剣をまなんで、滅法強いが、将軍家御連枝だけに世上の事にはうとい。泥棒のかくし金を探し出す名人が、それを助けて活躍する。わんぱく公子・鶴七郎と忍者とのやりとりなど、これが家斉将軍の子かと思うほどだが、尾州家の駄々姫にはコロリとまいる。金子調達を依頼する棚倉屋の娘誘拐を解決したり、大衆文芸の独擅場ともいうべきお家騒動を中心に展開する道中記のおもしろさは、この作者ならではの時代明朗小説。
  • のっそりと参上
    3.0
    お香の人相をひと目みた易者の天運堂は、「あんたは“帝王の星を持った女”だ。しかし盗難の相がある」と言った。江戸は日本橋堀留の材木問屋の女主人で、鳶の頭と番頭を供に江戸へ戻る途上……。そのお香が、高崎城下のはずれで、旅の浪人・浅香八百太郎と道連れになった。一見茫洋としているが、江戸前の年増盛りで、娘時代には日本橋小町と謳われたほどの美人のお香が、ほれぼれするような男ぶり。お香の女心は、次第に八百太郎に傾いていった。さて、お香の胴巻と美しい身体を狙って出現した怪盗・稲妻小僧と旅人やくざ・杉次郎、そして悪旗本の頼光組。正義の味方・八百太郎の活躍は!?
  • おすねと狂介
    -
    旅は道づれ……桃ノ井狂介が、大磯の街道でいっしょになった紫矢がすりの腰元、じつは松平家の季姫であった。江戸にもどれば、姫には気にそまぬ縁組が待っている。「死につらなる恋」と知りながら、姫は狂介に心をひかれる。だが、胸に奸計をひめる家老・鷲津兵太夫が、これを見逃すわけはなく、たちまち姫と狂介は、奔流のような運命に巻きこまれる。敵か味方か? 二人にまつわりつくように旅をする、河内屋平蔵と浜田屋お峰。そして奇怪な「ご落胤」の一団……。大磯から江戸へ、2日間の旅にまきおこる、人生の転変を見事にえがいた、山手文学の好篇。
  • おこま
    -
    二十歳になるおこまは、15年ほど前にさらわれてきて、スリの姉御にあずけられ、一人前のスリに育て上げられた。そして今日、親分から一人ずつ女の子を手渡された。今度はおこまがその子を育てろ、ということであった……。江戸に住む女スリを描いた傑作長編。
  • 又四郎行状記(上)
    5.0
    この「又四郎行状記」は、「鬼姫しぐれ」「美女峠」「又四郎笠」の3部作からなり、戦後の時代小説不遇の折に「夢介千両みやげ」とともに時代小説のエポック・メーキングとなった、山手文学の代表作。剣をとっては滅法つよいが、絶対に人を斬らない笹井又四郎、じつは松平和泉守の若君・源三郎が、深川で辰巳芸者お艶姐さんを助けたばっかりに、養子先の磐城平7万石・内藤丹後守のお家騒動にまきこまれる。多恵姫を育てた国家老・内藤治部右衛門と、八重姫を擁して起つ江戸家老・大島刑部の対立は、江戸と国許の道中双六に正邪入り乱れて暗雲をよび、茫洋とした風貌に似合わぬ又四郎の大活躍! <上下巻>
  • 放れ鷹日記
    -
    高崎藩・松井家の新当主の迫姦におびえる先君・河内守の後室・お美世の方に近づき、古河藩・土肥家の家名に傷のつかぬよう処置する密命を帯びた峰村鷹之助は、大名同士の複雑で陰湿な関係を知り、悲壮な決意で高崎へ潜入する。切り髪屋敷に下郎奉公した彼は、名倉の療法でお美世の方の寵愛をうけ、露の命を後室との痴情にふけるが、使命と愛情の板挾みになやむとき、運命は皮肉にもお美世の方を乳母の手で死なせる。放れ鷹の境涯におちた鷹之助は、危難をさけた街道で道連れとなった江戸娘・お光と新生活の夢をひろげる……。巨匠・山手樹一郎の新傾向をしめす問題長篇。
  • 天を行く女 若さま侍捕物手帖
    -
    将軍家の寝所に夜毎現れる白い影……若さま登場して姿なき賊に挑戦――ヨガ念術の両派、友成・阿羅目の宗家争いを探り出した若さまは、念術者の巣窟を求めて単身、甲州の山深く入りこんで行ったが……。怪奇な念術者の行と生活。人間を超脱しようとして超脱できず、若さまへの恋に悩む女念術者・おゆう。若さま侍捕物手帖の長篇異色作。
  • 掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南
    4.0
    酒と怪談を愛する剣客が“この世の不思議”に対峙する。「時代×怪談×ミステリ」で話題をさらった第38回メフィスト賞受賞作。酔いどれ左門は腕が立つ。酒より好きなものは怪談ばなし。甚十郎も腕こそ負けぬが、こちらは怖い話は大の苦手。10年前、家老が闇討ちされた霧深い城下で「女の幽霊を見た者は死ぬ」という噂が。ふたたび家老闇討ちに巻き込まれた甚十郎は、城下の寺で女を見てしまう。
  • 千姫春秋記
    -
    千姫は、祖父・家康の命のままに、豊臣秀頼に嫁いだ。そして大坂夏の陣。秀頼は城と共に滅び、千姫は炎の中を助けられた。心ならずも永らえた千姫は、様々の想いを秘め、再び祖父の意に従って本多忠刻の妻となった。美男の忠刻に彼女は、かりそめの幸せを託したが、秀頼の旧臣・菅野長三郎に再会したことから、姫路城での千姫の春秋に秘密の翳がさすようになった。忠刻に死別した千姫は、江戸に帰った。やがて美しい女主人の住む竹橋御殿は、妖しい噂につつまれて行った……。数奇な運命を生きた美女・千姫の、嫋やかな肉体にすむ官能の妖しさと、孤独な愛の姿を描いた長編。
  • 徳川吉宗の人間学 変革期のリーダーシップを語る
    -
    元禄バブルを生き抜いた男・吉宗。人気時代小説家が読み解くスーパースター吉宗の手腕と戦略――元禄のバブルに挑み、享保の改革を断行。大胆なリストラクチャリングを行った、八代将軍・徳川吉宗。情報網を掌握し現状分析能力にすぐれた吉宗こそ、現代に通じるリーダーシップではないだろうか。『大わらんじの男』の津本陽、『小説徳川吉宗』の童門冬二の二人が、書かれざる吉宗の成功と失敗の真実に迫る快著。
  • 被虐の系譜
    -
    打たれ蹴られ、踏みにじられても、なお、その主に奉仕することを悦びとする、不思議な被虐の血脈を、飯倉家累代の日記に辿る「被虐の系譜―武士道残酷物語」ほか4編。史上から落ちた平凡な小藩の史料に、封建の世の残酷な群像が、抑えた筆致の中で甦る。驚天動地の事件ではない、それだけにいっそう、過ぎ去った時代がいかなるものであったかを、明白に浮彫りしてみせる。
  • 海の伽耶琴(上) 雑賀鉄砲衆がゆく
    3.0
    信長に向け雑賀の火弾が迸る! 火縄銃と奇襲戦で連勝する戦争請負集団の壮絶な闘いを描く歴史的長編。雑賀孫市の子、疾駆す! ――火縄銃を自在にあやつり、一向宗の誇りで結束した戦争請負集団、それが鈴木孫市ひきいる紀州雑賀鉄砲衆だった。孫市の子・小源太は、信長との熾烈な石山合戦に参じ、海戦では爆裂弾をたくみに使った奇襲戦術で、織田艦隊に勝利する。勇猛果敢、苦闘の中にも笑いを忘れない男たちの、自由闊達な活躍を描く歴史長編。<上下巻>
  • 旋風に告げよ(上)
    -
    海賊王と日本女性との間に生まれた鄭成功は、崩れゆく明王朝のために、若い情熱を燃やす――福建の海の実力者・鄭芝竜を父に、日本女性を母にして、長崎で生まれた鄭成功は、父ともども明朝復興のためにたたかう。折しも中国大陸は、弱体化した漢民族の王朝(明朝)が叛乱軍にかき乱され、その混乱の機に、北から満洲族の侵攻を許し清朝が誕生しようとしていた。鄭芝竜は投降するが、大目標へ若い情熱を燃やす鄭成功の気力は衰えない。強力な水軍を率いて、ついには清朝とオランダから台湾を解放する。水軍の若き将である鄭成功の前途は? 国姓爺こと英雄・鄭成功の劇的な生涯を描く歴史ロマン巨篇。<上下巻>
  • 卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし
    3.9
    江戸に拡がる暖かい煮炊きの煙。人はね、当たり前のことがおもしろくないんだよ。裏返しや逆さまが好きなのさ――のぶちゃん、何かうまいもん作っておくれよ。夫との心のすれ違いに悩むのぶを、いつも扶(たす)けてくれるのは、喰い道楽で心優しい舅・忠右衛門だった。はかない「淡雪豆腐」、蓋を開けりゃ、埒もないことの方が多い「黄身返し卵」。忠右衛門の「喰い物覚え帖」は、江戸を彩る食べ物と、温かい人の心を映し出す。 ◎「読み進むほどにページを繰るのが早くならずにはいられない小説がある。この小説もそうだった」<塩田丸男「解説」より>
  • 秀吉私記
    -
    天下人、秀吉の魅力に迫る! 巧みな人心掌握術、強運のつかみ方、勝つ男の器量を問う必携の書。日本一の出世男とは!? ――乱世の三大英雄こと、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康。なかでも、尾張・中村の足軽の家に生まれた秀吉は、信長に仕え、その遺志をついで天下を統一、栄耀栄華を極めた、日本一の出世男でもあった。その器量、人心掌握術、強運のつかみ方を、戦国武将を描いて随一の筆者がつづる。魅力あふれる秀吉を語り尽くした歴史人物論。
  • 前田利家(上)
    3.5
    戦国の世を生き抜く、前田利家の華麗なる生涯――戦国の世を生き抜くバサラ武者・前田利家の、華麗な生涯を描く、傑作長編。天文7年、尾張・荒子城主の四男として生まれた利家は、織田信長の小姓として、初陣で2つの首級をあげ、近習に加わる。信長の勘気を蒙るが、桶狭間合戦の手柄により許され、その後ライバルの秀吉とともに、着々と出世の道を登るのだった! <全3巻>
  • 旋風陣信長 変革者の戦略
    -
    決断と行動の人・信長に学べ! 変革の時代をいかに生き抜くか? 大胆にして痛快・津本史観とは? 天下人・信長の行動学――城下を開放し楽市楽座で経済を、鉄砲・鉄甲戦艦により軍事を、叡山・一向宗徒を制圧して人心を掌握……。天下布武を成し遂げた尾張のうつけ者・織田信長も、父を継いだ直後は、周辺諸国の前に家中の敵を倒さなければならなかった。変革期を生き抜くために、何をなすべきか。決断と実行の人、信長に学ぶ、超現代人の行動学。
  • 暗殺 密書街道
    -
    斬っても斬っても足りぬ! 弘前から江戸へ、暴君暗殺の密書を携え、秋葉右近の必殺剣がはしる! ――弘前から江戸へ……権力をほしいままにする暗君・出羽守信著(でわのかみ・のぶあき)排斥を狙う家老の密書を手に、弘前藩の「早道之者」秋葉右近は旅立った。だが、江戸には四天流の遣い手、百人斬りの霞新十郎がいた。さらに待ち受ける恐るべき奸計(かんけい)。そして右近が放った秘策とは? 人斬剣がうなる痛快時代長編。
  • 早烏 裏十手からくり草紙
    -
    妖怪・鳥居耀蔵に見込まれ、太十は支配なしの十手片手に天保の闇を走る! ――市川真間(まま)の座頭であった父親らを不審火で殺され、天涯孤独の身となった太十は、賭場の喧嘩がきっかけで、江戸の口入屋・おもんの家に転がりこんだ。老中・水野忠邦の下で、天保の世情を騒がす鳥居耀蔵に見込まれた太十は、支配なしの十手片手に、夜まだ明けやらぬ街に目を光らせる「早烏(さがらす)」となる……。〈文庫書下ろし〉
  • 女性兵士
    3.7
    話題作『戦場のハローワーク』の著者が贈る、「戦いに魅せられた女」たちとの濃密で壮絶な日々の記録――16歳のニカラグア女性高射砲部隊リーダー、元ミス・クロアチア、セルビアの狙撃兵姉妹……彼女たちはなぜ兵士になったのか? 軍事好きが高じて戦場ジャーナリストとなり、紛争地域を渡り歩いてきた著者が、戦いに魅せられた女たちとの日々をつづる。濃密な戦場描写と冷静な観察眼が光るルポ。 <本書に登場する女性兵士たち> ●元ミス・クロアチアで愛国心にあふれるドブラフカ(クロアチア) ●女性高射砲部隊のリーダーで16歳のエスメラルダ軍曹(ニカラグア) ●ロシア包囲下で決死の戦いに身を投じた3人の美女(チェチェン) ●抜群のチームワークを誇る狙撃兵姉妹(セルビア) ほか
  • 馬琴の嫁
    3.4
    舅は人気戯作者、曲亭馬琴。家風の違いすぎる婚家、癇性な夫。苦労の絶えない結婚生活を明るく強く乗り切っていく女性の一代記――人気戯作者・瀧澤馬琴の一人息子に嫁入りした、てつ。結婚早々、みちと改名させられ、病弱な夫と癇性持ちの姑、そして何事にも厳格な舅・馬琴に苦労させられながらも、持ち前の明るさと芯の強さで、次第に瀧澤家になくてはならない存在になっていく。のちに「八犬伝」の代筆を務めるまでになる、馬琴の嫁の奮闘記。
  • 湯船の姉弟 湯船屋船頭辰之助
    4.0
    めっぽう前向き、女は苦手、腕は自慢の喧嘩流。湯船の船頭・辰之助が、華のお江戸をかき回す! ――隅田川でもひときわ目を引く屋形船の船頭・辰之助は、喧嘩流の腕も名高い大男。元義理の姉・志乃を湯女とし、移動式銭湯「湯船」を商う。志乃には、実は不思議な能力があり、背中に血のような赤い染みを見た者が、必ず数日中に死んでしまうという。江戸の町狭しと辰之助が暴れる時代小説新シリーズ!〈文庫書下ろし〉
  • 妖鬼の剣
    -
    大鷲の嘴(くちばし)が襲ったかのごとき傷痕を残す、斬殺事件が発生した。下手人は夜盗団「鷹の爪」か? 情け無用の魔手は、さらに美少女剣士・琴江に伸びる! 頻発する凶行に怯える江戸の町。ついに若き剣士・毬谷直二郎(まりたに・なおじろう)が立ち上がる。秘技「千手剣(せんじゅけん)」を武器に、悪を討つ直二郎の活躍を痛快に描く時代長編。
  • 御聞番 会津藩・最後の隠密
    3.0
    敵陣に入りこみ、死をもって味方に利をもたらす間者を、死間という。その死間となり、幕末の京都で活躍する、会津藩御聞番・大庭恭平。しかし時代の大きな流れは、会津藩も恭平も呑みこんで翻弄する。風雲急を告げる京都で、隠密の恭平が見たものは。維新をはさみ動乱の渦中を生きた一人の男の、波乱の生涯を描く歴史小説!
  • 闇の葬列 広沢参議暗殺犯人捜査始末
    -
    元神奈川奉行所の同心・朝倉新次郎は、維新政府を震撼させた広沢真臣参議暗殺事件の密偵を命じられ、犯人を追って久留米に乗り込んだが、あと一歩で取り逃してしまう。新次郎は、その後6年間犯人を追い続け、西南戦争中に真犯人を捕縛するが、その背後に強大な力の存在を知る。歴史の闇に隠された、明治維新混乱期の実相を抉り出す。
  • メリケンざむらい
    -
    米田桂次郎は、万延元年(1860年)に16歳で、日米修好通商条約批准交換のための幕府遣米使節団に、通訳見習いとして随行した。アメリカ人にトミーと呼ばれる人気者で、当時の通詞の中では抜群に英語がうまくなった。帰国後はハリスに仕え、戊辰戦争で敗走。激動の時代を大正初期まで生きぬいた、米田桂次郎の波瀾の生涯。
  • 倭王の末裔 ―小説・騎馬民族征服説―
    3.5
    日本国家は、いかにして誕生したか? 古代史の謎に、SF作家・豊田有恒が、該博な知識とSFの手法を駆使して挑戦した、雄大な歴史ロマン。その迫真性と実在感は、ノンフィクションとも見まがう力で読者を衝つ。――第一章・女王卑弥呼/第二章・神功皇后/第三章・太の安麻呂。
  • モンゴルの残光
    5.0
    あの強大をほこったモンゴル帝国。もし、日本や西欧への進出が成功裡に終わっていたなら……。物語は、元が世界を支配する、ジンギスカン紀元811年に始まる。虐げられた白人の怒りは、激しい抵抗運動となり、主人公・シグルトは、白人支配の世界を創るべく、タイムマシンで時を駆ける。彼の眼前を滔々と流れる巨大な歴史の姿を、若々しい筆致で描く、著者の処女長篇。
  • フランシスコ・X
    3.0
    エウロペと日本が、初めて邂逅した瞬間! ザビエルとは何者か? ――布教と交易という、相矛盾する2つの情熱が世界中を駆けめぐった時代、はるかエウロペの地から、8年の歳月をかけて辿り着いた戦乱渦巻く日本に、イエズス会宣教師・フランシスコは何をもたらしたのか? 東洋と西洋が初めて邂逅した瞬間を描き、日本と世界を読み解くための示唆に満ちあふれた、渾身の力作長編。
  • 平成のさぶらい
    -
    若様侍・奥山右京之介、登場! 青羽二重(はぶたえ)の袖を翻し、江戸の町で始めたよろず用心棒、悪党払いの裏稼業。弱い奴には滅法強く、強い敵にはなりふり構わず策略を練る。平成の世の記憶を瞳に浮かべ、奇策を弄して悪を絶つ、痛快無比の時代活劇。永年の想いをこめて、著者が初めて描く、時代小説のニューヒーロー。
  • 鈴姫異変
    3.0
    澄みきった秋空のお鷹野、将軍・家光にピタリと照準があてられた……。父の無念をはらさんとする、美しい鈴姫の危機一髪をみたび救う、眉目秀麗、着流しの浪人者。はたして、鈴姫の冒険の結末はいかに? という表題作のほかに、「初冬物語」「抜打ち侍」「金四郎日和」「鼠小僧次郎吉」を収録。とりわけ心躍る、傑作痛快時代小説集。
  • 流離の譜
    -
    皮肉な運命に翻弄された最後の老中を描破! 本当は勤王の志を抱きながら、幕府の要職につかされたために朝敵となり、会津、函館に逃げ、数奇な生涯を送った、最後の老中・小笠原長行――徳川幕府の弱体化がすすんだ幕末、唐津藩主の座に、心ならずも就いた小笠原長行は、すでに36歳だった。藩中の反対勢力を制し、江戸城に伺候した長行は、時代改革の必要を次々と具申、若年寄をへて老中職を仰せつかる。しかし時勢は、あまりにも急旋回しようとしていた。長行の数奇な運命とは? 最後の老中の生涯を精緻に描いた出色長編小説。
  • 蒙古襲来 海から見た歴史
    -
    13世紀の日本に迫る世界帝国の嵐――元の大軍勢はなぜ敗れ去ったのか?  海洋歴史小説の第一人者にして、戦いの舞台・福岡在住の著者が、クビライの海洋帝国構想、玄界灘の北西季節風の影響、軍船の構造と建造日程など、海からの視点と大胆な推論で、「蒙古襲来」の真相を解明する。13世紀の「日本」と「世界」の激突を、臨場感豊かに描く、歴史読物。
  • 毒婦四千年
    4.0
    末喜(ばっき)、妲己(だっき)、褒ジ(ほうじ)、驪姫(りき)……。絶世の艶容、その性(さが)、残忍にして陰険。ケタはずれの中国後宮の毒婦、とりわけ武后――疑心暗鬼のままに幾千人を殺し、なお清々しい眸子と水々しさを保つ武后を、その眉をつくり化粧を施し続けた男の目を通して描く「皇后狂笑」。ほかに、西太后などを描いた7編を収録。ケタ外れのおもしろさ! 柴錬得意の中国物の世界。
  • 戦国を斬る
    4.5
    多々良一学は、慶長・元和の戦国豪傑の気風を残す、武辺者だった。しかし、戦国の気風が色あせた寛永の今、この男は、周囲に、はなはだ迷惑な男であった。強姦同然で妻とされたおくにの苦労も、人一倍。そんな一学が、今度は主君のあとを追って、切腹! 「武士道友情」の悲哀と奇妙さを描き出す、絶品の表題作ほか、7編の秀作を収録。
  • 水戸黄門異聞
    3.0
    徳川光圀は、海水魚の鯛を真水で飼わせ、みずからラーメンをつくった。初恋と失恋、若き日の放埒な生活、寵臣を手討ち……。ある時は非常に、ある時は寛容に。多くの逸話の裏に、組織と人間のあり方を見事に活写した1冊。<『新・水戸黄門異聞』改題作品>
  • 小説 海舟独言
    3.0
    迫る官軍、備える幕府。明日にも江戸突入かという騒然たる中、相対する勝海舟と西郷隆盛。江戸焦土作戦との取引説もある、江戸城無血明け渡し。これは海舟の最大の功績とも言われる。反面、幕府を売った――とも。海舟はなぜ江戸城を無血で明け渡したのか? この真相を解現代日本のポスト・リストラの道筋を明らかにする長編小説。
  • 首斬り浅右衛門 あるいは憑かれた人々の物語
    3.0
    身悶えし命乞いをする女を、美しいと思った。初めて己れの生業を、嫌悪した。泰平の世に人を斬る業を、極め続けなければならない、山田浅右衛門。その家系も、6代目に至り、烈しい気象が息んだ。ただ一首、斬り損じた女の怨霊に翻弄される、浅右衛門の最後を描く、という表題作。ほかに「殺生関白」「座頭国市」など、エロティシズム溢れる、異形の8編。
  • 柴錬 大岡政談
    -
    八代将軍・吉宗の治世、陰陽易占が隆盛をきわめ、妖怪変化が跳梁するという江戸市中、さらに胆を潰す面妖な事件が、次々と起こる。天狗か怪盗・闇法師の仕業か? 大岡忠相の懐刀、八の字眉に眇眼、おまけに獅子鼻の与力・石子伴作と、白面の素浪人・蝋燭ざむらいの推理合戦!! 奇想天外、一味も二味も違う大岡政談。
  • おんな舟 十時半睡事件帖
    3.5
    黒田藩江戸総目付役となり、早や2年。半睡の見事な裁きで幾多の難事珍事は解決し、藩邸内に再び平安な日々が訪れた。「そろそろ邸内を離れ、江戸の市中で暮らしてみるか」――そう思い立った半睡は、周囲の反対をよそに、深川の町家で借家住まいを始めた。江戸庶民と半睡の心温まる交流を描いた、珠玉の連作時代小説。江戸隠居の半睡が出会う7つの事件!
  • 出世長屋 十時半睡事件帖
    3.0
    息子の不始末から福岡・黒田藩の総目付を辞職し、隠居生活を楽しんでいた半睡。だが、同藩江戸藩邸の風紀の乱れが甚しくなると、その取り締まりのため、白羽の矢が立った。江戸に移り住んだ半睡が、次々と起こる難問を見事に裁く。所変われど、そのキレ具合は衰え知らず。おなじみの十時半睡シリーズ第5弾。NHKでドラマ化もされた名シリーズ!
  • 犬を飼う武士 十時半睡事件帖
    4.0
    松林に捨てられた子犬が縁で、めぐり合った若い侍と武家の娘。犬好きの二人は、やがてほのかな愛を互いに抱くのだが、現実には二人とも意に添わない縁談に縛られ、苦悩していた。やがて二人は、武家社会の掟破りに挑む。福岡・黒田藩の総目付・十時半睡が、泰平の世に起きる武家社会の難問を裁く、シリーズの第4集。NHKでドラマ化もされた名シリーズ!
  • 刀 十時半睡事件帖
    3.0
    勘定奉行の息子が、たわいない喧嘩から刃傷ざたを起こした。父は即座に息子に腹を切らせ、自らは辞職を願い出る。しかも、「泰平の世に武士に真剣はいらぬ、佩刀を竹光に変えたら」との提案までしたので、黒田藩中は大さわぎに……。そこで、黒田藩総目付の十時半睡にも、出番がまわってくる。武家社会の珍騒動を軽妙に描く、時代連作小説。
  • 浪人列伝
    3.5
    浪人とはいえ、傘張りや楊枝削りの貧乏暮しではない。仇討ちに武辺の意地を示す者、大坂城で壮烈な死花を咲かせる後藤又兵衛やキリシタン武将、奇才・平賀源内まで、逆境に怯まず昂然と己の意志に生きる剛気な男たちの、この痛快な生き方!! 戦国から幕末まで、有名無名の浪人を歴史の虚実を縫って描く連作。
  • 明治一代男
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    これからは、力より金や! 金がもの云う世の中や。……幕末から明治、間引きされそこなった貧農の子・捨吉は、ふしぎな愛嬌と図太い度胸で、権威にこびず旧弊を捨てて、ひたすらに金と女に執着、ついに天下一百貨店を開業して……。自分の力で儲け掴みとる人生、底辺からのし上ってゆく男の、痛快サクセスストーリー。おのれの才覚と度胸でのしあがった男の痛快一代記!
  • 異説幕末伝 柴錬立川文庫・日本男子物語
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    徳川300年で最大のロマンチストの、間宮林蔵。天狗に脳天を一撃され、天狗党を起こした藤田小四郎。上野彰義隊の渋沢成一郎。人斬り半次郎と怖れられた桐野利秋……。動乱の幕末、己の意志を貫いた反骨たちの、爽快な「覚悟の人生」を、奇想天外な着想で描く。時を忘れるほどの面白さ、柴錬巷談。<「日本男子物語」改題作品>
  • 主水血笑録
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    処女の白い脛を見た。その刹那、主水の心身は一変した。ダラリと萎えた右腕は、意志に反し、獣性を帯び、阿修羅のごとくに、無敵な神技をみせた――。田沼意次の治世、麗しい旗本小普請・鈴木主水の右腕にかけられた先祖の怨讐、この「宿命」に果して克つことができるか。エロティシズム横溢する伝奇時代ロマン。
  • 源氏九郎颯爽記
    -
    純白の羽二重の着流しで、紋は真紅の水おもだか、帯も純白なら、刀も脇差も白柄白鞘の、孤影の剣士・源氏九郎は、源義経の後裔……。義経が鞍馬山の化生者から授けられたという火焔水煙の雌雄剣に秘められた家康の財宝をめぐって、火焔は水をよび、水煙は火をもとめ、源氏九郎の秘剣揚羽蝶が華麗に舞う、長篇時代小説。
  • 観音妖女 十時半睡事件帖
    3.0
    泰平の世では、武士の生活もたるみ勝ち。そこで、隠居した老人たちが結集して、息子や嫁に活を入れる相談をすることにした。だが、その寄合いの中味は、老人の愚痴と嘆声ばかり。ところが、ひとりだけ型破りな老人が現われて……。黒田藩の総目付、十時半睡が珍事難事を巧みに裁く、連作シリーズ第2集。NHKでドラマ化もされた名作。武士の悩みは、サラリーマンの悩みと変わらない!
  • おれは侍だ
    -
    影武者の役はすんだ。だがおれは侍……。と、関ヶ原の戦場を後にする、着流し姿の修理之介。気品ある眉宇に、ある決意をひめて……。あと二人、金の亡者・新蔵と好色漢の兵馬。宇喜多秀家の軍用金を狙い、朝鮮使節襲撃の陰謀に加担し、時に女をめぐり、騒乱の世に、三人三様、それぞれの青春を生きる、アウトローたちの愛と冒険。金に執着する者、女に入れ揚げる者……騒乱の世を生きる浪人たちの生きざまを描く時代ロマン!
  • 奥羽の二人
    4.0
    不敵な野望と奔放さに満ちた若き伊達正宗と、奥羽で対峙する蒲生氏郷――二人にとって越えることのできない大きな存在が、秀吉であった。天下に志を得ずに終わった彼らの胸中の苦悶を描く表題作のほか、抗いがたい力に翻弄され、結局は身を滅ぼしていった武将たちの運命と悲話10編を収録。待望の歴史小説傑作短編集。
  • 江戸は廻灯籠
    3.7
    伜のためにと、50両を盗んだ、腕利きの屋根職人。それを知った親方がとった、思いがけぬ行動は? さすらいの銀細工師に寄せた茶屋女の恋心、足を洗いそこねた密偵(いぬ)の哀しみ、など、懸命に生きる庶民の意地と想いが交錯し、物語が物語を紡ぎ出す。7つの短篇のどこから読み始めても、やがてひとつの輪をなす、円熟の連作。親子の情、秘剣の冴え、忍ぶ恋! 八百八町に生きる庶民の哀歓が、時空をこえて鮮やかによみがえる。
  • からたちの記 女剣士道場日誌
    5.0
    雪深い東北の小藩・志津野藩の剣術指南役に嫁いだ女・里絵。江戸育ちの目に映る美しい山河の陰にも、御家騒動の芽はあった。世継ぎ争い、公儀の介入……。家中2派に分かれた抗争の渦中に巻きこまれた夫と舅に仕えつつ、彼女は技を磨く。あたたかい心と確かな眼を得た女剣客の成長を描く清冽なロマン。<「女剣」改題作品>
  • おんな飛脚人
    3.7
    めっぽう足が速い韋駄天まどかと清太郎は、偶然同じ日に、飛脚問屋「十六屋」で働きはじめた。風のように走る江戸の町々で起こる、手紙にまつわる人情話、不思議な出来事、捕物帳。やがて、若い二人それぞれの、過去と胸に秘めた思いが、明かされてゆく。江戸庶民の生活と人情、そして、ほのかな恋を爽やかに描く、心あたたまる長編時代小説。庶民の人情と夢のせて、娘飛脚が大江戸をはしる!
  • 今朝太郎渡世旅
    -
    奥州の片田舎の上杉藩関村で、水呑百姓として一生を終わるはずだった今朝市は、江戸の商人・信吉のために渡世人・今朝太郎となって、裏街道を歩くことになる。同行するは、デブで醜女だが気立てのよい初体験の相手である飯盛女・おさん、体力も意気地もないイカサマ博奕師の壺振り仙八。奥州街道を江戸へ向って世をはばかる逃避行をする3人の、おもしろおかしい裏街道の道行を描く。奇妙な偶然に翻弄される、快心の異色股旅ユーモア小説。
  • 頼朝勘定
    -
    伊豆・蛭ケ小島に流罪の身の源頼朝は、伊東祐親の娘・八重との間に子をなしたが、祐親の怒りに触れ恋は破れた。失恋に懲りた頼朝が、北条政子との新たな恋でとった策は? 作者は言う、小説の醍醐味は読者の予想の裏をかくことだ、と。大長編の名手・山岡荘八が、その力量・技量を濃密に約集して贈る名短編11編。秀抜で独得な史観でせまる珠玉の歴史短編集。
  • 悪道 最後の密命
    -
    伊賀忍者の末裔・流英次郎とその一統は、影将軍に隠密の護衛役として仕え、幕府の危機を幾度も救ってきた。その影将軍が正統の血筋に返すため、後代家宣に将軍職を譲ることを決意する。だが、幕閣、大奥、御三家と思惑と野心が交錯し、すさまじい抗争が勃発する。闇の世界で刺客と刃を交える英次郎一統は、影将軍の治世を護るため、最後の戦いに向かう。そして英次郎を慕うものの、生き方を異にする天才女医おそでとの結末は!?
  • 西鶴人情橋
    4.0
    俳諧師から草本作家への転身をはかる井原西鶴。亡父ゆずりの豪剣をふるう磯部信十郎。二人の奇妙な友情を軸に織り成される人間模様の数々。米相場を左右する大阪商人たちの葛藤と幕閣中枢の暗闘には、謎の美剣士がからむ。――剣あり、恋あり、友情ありの、浪花元禄時代絵巻。第3回時代小説大賞受賞作。剣と恋がからむ西鶴と青年剣客の熱い友情を描いた、手に汗にぎる活劇ロマン!
  • 灰左様なら
    3.0
    怪談咄を手に入れるためには、人間の奥深さや恐さを知らねばならない。怪談咄の祖・林屋正蔵のそんな気持ちが、「東海道中膝栗毛」の作者・十返舎一九への好奇心をより強いものにさせていった。一九には、想像もできない奥行きと恐さがある、その正体を暴く必要がある……林屋正蔵の執念を描く、時代小説の傑作。
  • 目こぼし歌こぼし
    -
    下級武士の息子・足柄七十郎は、ふとしたことから、城下の居酒屋「とろろ」で起きた、不可解で恐ろしい殺人事件にまきこまれた。事件の渦中におかれ、謎の古地図をふところに、仇討ちに出た七十郎は、藩の非人間的な搾取のからくりを知る――人間が真に人間らしく生きる自由と平等の問題を追求した、意欲的な長編時代小説。
  • 女王卑弥呼
    -
    血みどろの戦乱をくぐりぬけ、卑弥呼は邪馬台国の王となる。視覚にハンディを持ちながら気品と美しさを備えた女王に対して、周辺の国は並々ならぬ関心を寄せる。危い女王を全力で補佐する老将・伊支馬の奮闘と異相の愛。そして卑弥呼の決断のときが来た! 謎の王国と女王のありようを新しい視点で描き上げた、問題の秀作。九州・吉野ヶ里の海と山野に展開する古代人の争闘とロマンを大胆に描く!
  • 幻の戦艦空母「信濃」沖縄突入
    2.0
    米軍が沖縄に大艦船を集結させ、上陸を開始。満身創痍の連合艦隊が乾坤一擲(けんこんいってき)の反攻を、戦艦大和を囮(おとり)として計画。主力は米潜水艦が撃沈したはずの超空母「信濃」。艦上にはミッドウェー以降の海戦で戦死者扱いのベテラン操縦士たちの護国軍神隊が搭乗する「紫電改」。手に汗握る感動のシミュレーション架空戦史。
  • 失楽園の武者 小説・大内義隆
    -
    室町期に西日本きっての勢力を誇った守護大名・大内氏の31代当主・義隆は、とりわけ貴族趣味が強く、武力強化よりも京都文化の摂取に熱中する。山口を京都の街並みに模し、自ら公卿を真似、文化人を招いては宴を催した。その結果、家臣間に亀裂を生み、やがては救いがたい破滅への道をたどることになるが……。大名よりも公卿になりたがった大内氏の、栄光と失墜を鮮烈に活写する、歴史長編。大内義隆の哀しく数奇な生涯、哀切のロマン!
  • 高杉晋作奔る
    4.0
    幕末の長州に生まれ、先取の気性と果断な行動で尊王攘夷の志士となった高杉晋作。乱世を鮮烈に駆け、明治維新の功労者となった、彼の短かく激しい生涯は、まさに動乱の世を奔るものだった。その晋作のユニークな素顔を、松下村塾時代の師、仲間、奇兵隊結成でバックアップした豪商、あるいは愛人だった芸妓などの視点から、生き生きと捉え鮮やかに描き出した、著者得意の領域の魅力的な連作歴史小説集。若き英雄の素顔を、関係者の眼で描いた傑作!
  • 秘剣 やませみ
    -
    美しい女を争って剛剣がうなり、おのが愛を守ろうと女の「秘剣」が舞い、女敵討ちの悲しい剣が奔る……。やませみが魚を獲る一瞬の抄技から想を得た、鐘捲新流の秘剣「やませみ」。夫の仇を討つためにその敵から「やませみ」を学ぶ決意を固める志乃を描く「秘剣 やませみ」ほか、8編を収録する秀作仇討ち短編集。
  • 悲しき戦記
    4.0
    人間の感情や自由をいっさい剥奪され、戦争遂行の尖端に立たされた兵隊たち。彼らはいかに戦い、いかに生き、そして死んでいったか……。日中・太平洋両戦争に取材し、兵隊たちの死の道程を凝視して、戦争の真実の姿を厳しく捉えた、25編の挿話。戦死者たちの冥福を祈りながら描かれた「悲しき戦記」である。
  • ジョン・マン 1 波濤編
    4.2
    土佐に生まれた作家が渾身の筆で描いた初の歴史大河小説。わずか14歳。寺子屋にも満足に通えなかった貧しい漁師が鎖国日本から身ひとつで漂流。初めて西洋文明(アメリカ)の中で暮らした日本人となり、初めて欧米の高等教育を受けた日本人となり、初めて世界の大洋を巡った日本人となり、ゴールドラッシュのカリフォルニアで金を掘り、唯一、自力で帰国を果たした日本人漂流民となった。帰国から2年後、あのペリー艦隊がやってくる。この男がいなければ、日本は植民地になっていたかもしれない。
  • 獅子の廊下の陰謀
    -
    江戸期、長州7代目藩主となった毛利重就は、藩財政の巨大な赤字に驚く。そして隠棲していた、かつての能吏・坂時存を起用、財政建て直しを命じる。坂時存は奇矯にも、萩城内の本丸の廊下に机を据えて事務室を設置する。考え出した大胆かつ卓抜な秘策の経済計画とは何だったか? 特異な時代の人間像を描いた歴史秀作短篇集。幕末の長州藩を支えた巨富はどう作られたか?
  • 風の七人
    -
    南国カンボジアの魔城に挑む日本忍者の大活劇。当代一の忍びの手練れ、きりの才蔵とましらの佐助、怪僧にして妖術の総帥・七宝坊主、怪力武者の裏切り陣内、豪剣の名手の群青・緑青の双子の兄弟、豊艶な美女さらの7人が、異国の地で目もさめる疾風怒濤の活躍。卓抜な構成による著者初の異色痛快時代長編。
  • 執念の家譜
    3.7
    三浦光村は元服して初めて、三浦一族と北条氏との40年にわたる暗い宿縁を知る。同じ関東の豪族でありながら三浦氏は、鎌倉将軍家補佐の任を北条氏に奪われ続けたうえに、北条氏は、鎌倉幕府存続のために、地元の豪族・三浦氏を巧妙に利用してきたのだ。だが、三浦氏の北条に対する反撥は、何度かの争いを経て増幅されてゆく……。という表題作のほか、曽我兄弟仇討ちを扱った「裾野」など、精緻な歴史小説の短編6作を収める。
  • 淀どの哀楽(上)
    5.0
    江北に名高い豪勇の将・浅井長政と、たぐい稀な美しい妻・お市との長女・茶々は、恐れを知らぬかわいい姫君であった。幼いときに伯父・織田信長によって浅井が滅ぼされ、母の再嫁先・越前北ノ庄もまた、豊臣秀吉の手によって落城した時、何事にも敏い茶々は、託された妹たちをかばって、戦国の女の宿命に従い、敵将・秀吉の側室となった。信長、秀吉の影に生きた淀君の生涯を描いた傑作時代長篇。<全二冊>
  • 武家女夫録
    -
    出雲藩の木実方添奉行(このみかたそえぶぎょう)・梅沢作之丞が惨殺された。特産物の生蝋の専売役で内福を噂され、茶屋女・お鯉の身請話を決めた直後のことであった。藩の詮議に、年若い妻・寿恵と若党・弥八は、互いに庇いあって……。体面を重んじながら、困苦に耐える微禄の武家の暮らしと、封建制に抗した男女の愛情を描く、名作短編集。体面にしめつけられても、燃え上がる不義の愛!
  • 戦国物語 信長と家康
    3.8
    山本周五郎は、二人の天下人をいかに見つめていたのか? 多くの時代小説を書き残しながら、その作風から、決して戦国武将を正面から描くことをしなかった周五郎。本書に収録された八篇――「信長編」四篇と「家康編」の四篇――それぞれに仕えた家臣達の物語を通し、その背景立ちのぼる天下人の姿とは!?
  • さぶ
    4.0
    小舟町の芳古堂に奉公する栄二とさぶ。才気煥発な栄二と少し鈍いがまっすぐに生きるさぶ。ある日、栄二は身の覚えのない盗みを咎められ、芳古堂から放逐されてしまう。自棄になった栄二は身を持ち崩し人足寄場へ送られるが――。生きることは苦しみか、希望か。市井にあり、人間の本質を見つめ続けた作家の代表作。
  • 四つ目屋繁盛記 美人と張形
    -
    鼈甲の張形や秘薬などを扱って江戸で知らぬ者なしの四つ目屋は、奥の向きからも御用を給わる老舗。信用を大事に、誇りを持って商いに精を出す店は客を気遣って昼でも暗く、さまざまな思いを抱えた男女が暖簾をくぐる――。『女薫の旅』の著者が新たに放つ、人情味あふれる艶やか時代小説。〈文庫オリジナル〉
  • 元末群像異史 紅嵐記(上)
    -
    フビライ・ハーンの近衛兵を祖父にもつバヤン家のサカルは、騎馬にも狩りにも興味がない。料理人を志して出奔した彼は、荒くれ者だが人を惹きつける青年、張士誠(ちょうしせい)と出会う。その時代、皇帝を凌ぐ権力者バヤンは漢人を徹底的に弾圧し、危うい空気が世を覆っていた……。動乱期の元末を舞台に描く長編歴史小説。
  • カーリー <1.黄金の尖塔の国とあひると小公女>
    3.6
    第二次世界大戦前夜、故郷ロンドンを離れ、英国統治下のインドへと渡った14歳のシャーロット。駐在英国人の子女が通うオルガ女学院の寄宿舎で出会ったのは、神秘的な美少女・カーリーガードと個性豊かな仲間たちだった。時代に翻弄されながらも懸命に生きる少女たちの姿を描き、熱狂的なファンを生んだシリーズ第一作。
  • 白洲次郎 占領を背負った男(上)
    4.2
    日本でいちばん格好いいといわれている男・白洲次郎。明治35年に兵庫県で生まれ、英国へ留学。戦後、吉田茂の側近として日本国憲法制定の現場に立会い大きく関与した。しかし、彼は表舞台には立たずに、在野精神というダンディズムを貫き通すのであった。初めて知る方にもお勧めの白洲次郎評伝決定版。(講談社文庫)
  • 遠花火 見届け人秋月伊織事件帖
    3.0
    「八歳の女子が赤子を生んだ」。「他人の墓石を勝手に磨いて回る何者かが出現」。江戸旅篭町の古本屋「だるま屋」には公儀の裏事情から町の噂まで、さまざまな風聞が集まる。噂の出所や行く末を追って秋月伊織が“見届ける”抜き差しならない男女の通い合い、心に響く親子の情愛。人情あふれる書下ろし時代小説新シリーズ。(講談社文庫)
  • 夏ほたる 見届け人秋月伊織事件帖
    3.4
    「蛍の舞う頃にはまた戻る」と言い残して去った男を尋ねて上京した、箱根の宿の女主人おみねだが、運悪く持ち金を掏られてしまう。現場に居合わせた見届け人秋月伊織は、途方に暮れるおみねの探索を助け、紙問屋の倅と名乗った男の行方を追う。しかし語られた身の上は偽りであった。文庫書下ろし第六弾! (講談社文庫)
  • 柳生大作戦(上)
    4.0
    石田三成の正体は、朝鮮の古代国家・百済(ペクチェ)の流れを汲む、近江百済党の首領であった。百済再興を謀(はか)り、魔人と化した三成。これを阻まんと、剣客・柳生石舟斎ら大和柳生一族が立ち上がる。唐王朝、古代朝鮮、大和朝廷の動乱から関ヶ原の戦いまで、千年の死闘を大胆な歴史解釈と奇抜な着想で描いた伝奇大作! (講談社文庫)
  • 上方与力江戸暦
    -
    大坂から来た豪快侍の痛快捕物! 北町奉行所に大坂から赴任した内与力、淀川新十郎。もっさりした風貌と陽気な語り口だが、捕物は型破りで豪腕。贋金の探索の果て、対峙したのは上方以来の因縁の相手だった。書下ろし時代小説、新シリーズ開始。(講談社文庫)
  • 赤穂義士
    5.0
    「士の守るはただ義の一字」――ふるい残された鉄石の赤穂義士四十七人の、情を尽し、理を尽し、完璧を期して主君仇討に賭けた「武士道」とは……華やかな元禄快挙の陰に埋もれた大石内蔵助の苦悩と機略の才を数々の史料に拾いながら、武士気質から形式美へと移り変る「士」の核心に深く鋭く迫った卓見「忠臣蔵」。
  • 殺しの掟
    3.8
    江戸の暗黒街。昼間は実直な職人や清貧の剣客が、夜闇の中では金ずくで人を殺める殺し屋に変貌する。法の裁きの及ばぬ悪を闇から闇へ葬る裏稼業の男たちの非情さと日常に立ち戻った瞬間ふと見せる人間味を、練達の筆致で描く著者十八番の暗黒小説集。人気シリーズ“仕掛人・梅安”の原型をなす傑作9編を収録。
  • 行きゆきて峠あり(上)
    5.0
    江戸昌平黌の卒業試験に落ちた榎本釜次郎は、彼を見込む箱館奉公・堀織部正に随って北海道を知り、また長崎で海軍の技術を習得する。オランダ留学も果たし海軍副総裁となった榎本だったが、倒幕の流れは洋々たる前途を一気に押し流す。「男」を描いて定評ある著者が辿る幕末の異才・榎本武揚の運命。
  • 昔日より
    -
    想い人を追って伊勢へ行きたい、という町娘の恋を手助けする、家康の元寵妾と配下の老忍を描いた「黄鷹」。裏切られた思いの息子に、一世一代の晴れ姿を見せる父親が眩しい「新天地」。たった一度、過ちを犯した武家の妻女の心の内が狂おしい「女犯」。江戸を舞台に、読後感が清冽なオブジェを象る傑作短編集。
  • 重蔵始末
    3.4
    火盗改(かとうあらため)・近藤重蔵、21歳。強者揃いの御先手鉄砲組でも際立つ偉丈夫。傍若無人の言動で毀誉褒貶(きよほうへん)半ばする。ロシアの謎の大男、美女のかたき討ち、茶屋の狂歌殺人事件……。寛政の世を揺るがす怪事件を型破りの手法で重蔵が解く。後に北方探検家として名を馳せた奇才を主人公に描く、著者初の本格時代小説。
  • 母子草 どぶ板文吾義侠伝
    4.0
    ちょいと悪(ワル)だが、心は晴れよ。銭の話には食らいつく文吾の前に訳ありの女が。女と火遊びをした商家の旦那を威(おど)して小判をせしめ、駆け落ちした娘を連れ戻して手間賃を得る。普段は小間物商だが儲け話には食らいつく文吾は、同じ客を二度とらないという訳あり気な夜鷹の顔を見て息を呑んだ。ちょいと悪でも人情には厚い文吾が探り出したある"絆"とは? 手練が放つ書下ろし時代連作集。
  • お江戸日本橋(上)
    -
    江戸天保の頃、世相は政治の腐敗を映し、汚職・悪徳商・盗人(ぬすっと)がばっこし、とりわけ幕府財政は窮迫を極めていた。公儀自ら密かに抜荷を!? 密輸は天下のご法度。法の番人、洒脱で粋な江戸っ子奉行遠山景元は、かつて遊んだ八百八町を縦横無尽に一暴れ、公儀の“悪”に挑んだ。柴錬面目躍如の時代ロマン(講談社文庫)
  • 真・甲陽軍鑑 武田信玄の秘密
    -
    直木賞作家が書き下ろす、新境地の時代小説。名将・武田信玄に重用され、武田四名臣の1人に数えられた高坂弾正忠昌信。美童の頃から仕え始め、宿老として息を引き取るまで武田家に人生を捧げた高坂が、今まで守り通してきた信玄の恐るべき秘密をここに明かす――エンターテインメントの巨匠が満を持して放つ、異形の新戦国時代小説。<文庫書下ろし>(講談社文庫)
  • 直江兼続と関ヶ原の戦いの謎 〈徹底検証〉
    5.0
    秀吉、家康ら戦国武将に、最も畏怖された男の生涯。関ヶ原の戦い前夜、正々堂々、家康のやり口を批判し、6万9千余からなる家康の上杉征伐軍を迎え撃って、あくまでも“義戦”を貫徹しようとした男、直江兼続。謙信に学び、長じて景勝に仕え、越後・上杉家の家宰として“利”を求める戦国乱世の時代に、“義”を貫いた生き様を描く。〈文庫書下ろし〉(講談社文庫)
  • 戦国連歌師
    4.3
    時は戦国、天下一の連歌師・宗牧と、その息子・無為と共に、弟子の友軌は東国を歴訪する旅に出ることになった。そこへ朝廷から、尾張の織田、三河の松平、相模の北条に宛てた書簡を託されてしまう。数人が集まって百韻の句を詠む連歌の興行を催しながら、数多の困難をかきわけ進む一行を描いた異色ロードノベル。※本書は2002年11月、小社より刊行された『連歌師幽艶行』を改題し、一部改訂したものです。(講談社文庫)
  • 空っ風
    3.0
    5尺そこそこの体に3尺余の長脇差。抜群の喧嘩度胸と居合抜の腕で「清水一家の狂犬」と恐れられる小政こと音五郎。すさんだ心の傷を埋めるのは、幼なじみ・てるへの想い。だが、そのために大喧嘩に間に合わなかった小政は、一家の中で孤立してゆく。時代に牙をむく男の生涯を描く、新世代股旅物の傑作。(講談社文庫)
  • 修羅剣雷斬り 深川狼虎伝
    -
    売れっ子の美人芸者が攫われた。残された死体は頭頂から鼻筋あたりまで斬り割られるという凄絶さ! その後も美女が次々に行方知らずになり、始末を請け負う鳴海屋の一人娘も監禁された。酒は強いが女に弱い渋沢念流の達人・宗次郎は剛剣・雷斬りにどう挑むのか? 大人気「始末人シリーズ」第2弾!<文庫書下ろし>
  • 大江戸仙境録
    4.5
    東京から160余年前の文政時代の江戸へタイム・スリップ(転時)した科学評論家の速見洋介が、めくるめくばかりの恋をしつつ、日々、現代人の江戸常識を越える体験をする──。しかしこれは単なるSF的空想譚ではない。綿密な考証に基づいて江戸の人との世情をリアルに描いた、新機軸の時代小説なのです! 「大江戸シリーズ」第2弾。(講談社文庫)

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