小説 海舟独言

小説 海舟独言

小説・文芸
660円 (税込)

3pt

3.0

迫る官軍、備える幕府。明日にも江戸突入かという騒然たる中、相対する勝海舟と西郷隆盛。江戸焦土作戦との取引説もある、江戸城無血明け渡し。これは海舟の最大の功績とも言われる。反面、幕府を売った――とも。海舟はなぜ江戸城を無血で明け渡したのか? この真相を解現代日本のポスト・リストラの道筋を明らかにする長編小説。

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    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    江戸城の無血明け渡し前後、特に明け渡された後の東京への政策方針などを描いた作品。
    高校時代に購入して、何度か読みました。

    小説ではなく、(語り手である勝海舟を通して)小栗忠順から始まり、西郷隆盛、江藤新平、新門辰五郎、渋沢栄一といった人物を紹介・論評するスタイルで綴っています。
    作品全体の鍵になっているのが、老中松平定信の時代から始まった七分積立金。
    この備蓄金が幕府には残っており、使い道をどうするか?ということが話を進める上でのテーマになっています。

    新政府軍との徹底抗戦を標榜していた小栗忠順は、本来、軍費として使いたいところでしょうが、「江戸市民への還元を目的として積み立てられた」という背景から、勝海舟に備蓄金を託します。
    そして勝海舟は西郷隆盛に、江戸(東京)市民のために使って欲しいと依頼。結果的には東京府知事が使途を決められる……という流れに。(あとは読んでみてください)

    特に興味深かったのは江藤新平に関する記述。

    彼は江戸開城後すぐに庶民の暮らしを調査し、武士が国許へ帰ったため生活が立ち行かなくなり困窮している実態を把握。

    「江戸を東京にすることで、こうした人々を救済する政策を打っていくが承認するか?するならば、無血開城の主要関係者として、庶民への責任を果たすべく東京府知事になれ」と勝海舟に迫ります。
    七分積立金の使い道は、新しい東京を認めるかどうか?という話の枝葉に過ぎない、という考え方です。

    彼の政治思想については本作で初めて読んだので「一般大衆の側に立った、大変民主的な考え方を持つ人」という印象が今でもあります。

    0
    2013年08月24日

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