角田光代のレビュー一覧
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ネタバレ面白かった。
満州から、戦争から逃げてきた泰造の
「そこにいるのがしんどいと思ったら逃げろ。逃げるのは悪いことじゃない。逃げたことを自分でわかっていれば、そう悪いことじゃない。闘うばっかりがえらいんじゃない。」
という言葉が印象的だった。重かった。
同じく逃げて生き延びたヤエの、
抗うために逃げた、生きるために逃げた、
そんなだったから、子どもたちに逃げること以外教えられなかった。
というような言葉。
逃げてきたことを恥じて、苦しんだ二人の言葉。
翡翠飯店の人たちは、だらしなく逃げてばかりのように見えるけど、何も考えていないわけではないし、むしろ色々考えていて、でもうまくいかなくて、そんなところが憎めない。図太さや強さも感じられる。
家族はバラバラのように見えるけど、誰かのことを話し合ったり涙したり後悔したり、強い絆があるように思える。
賑やかで羨ましいと思う場面もたくさんあった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ旅のお供に、と読み始めた。
角田光代さんの小説って、全体を通して、ずん、と重い印象がある。だから、角田さんフィルターを通して見る旅も、そういう、ずん、としたものが出てるんじゃないかと思っていた。
しかし。角田さんが、こーんなにおおっぴらでおもしろいだなんて!時折り、繊細だと感じるところもあり、小説の雰囲気と重ねて、うむうむと自分を納得させながら読んでいたが、でも、わたしの中の角田さんの印象は全く変わってしまった。もちろん、良い方へ。
なんといっても、旅のスタイルに憧れる。移動手段にしても、現地の人との交流にしても、食事にしても、その土地に混じり込んでいる。野生的というか。わたしも、こういうのがしたいのだ。観光≒傍観みたいなのじゃなくて、まあそれも良いのは良いが、わたしも、そこに混じりたい。
それにしても、(年代は違えど)同じ国に行って、同じ景色を見て同じ空気を吸っていても、感じることは人それぞれなんだなあと、当たり前のことを改めて思った。そういう発見も、おもしろかった。
例えばサンクトペテルブルク。
歴史的な聖堂や宮殿が多く残り、街全体もメルヘンチック。“芸術”的なものが身近に在るのもすてき。人々も小綺麗な服を着て、紳士淑女といった感じだが、温かみがある。ーと、わたしは感じた。
でも、角田さんはこう表現していた。
“帝政時代の亡霊たちが、昼日中だろうが午前中だろうが、町のいたるところを徘徊している。過去の存在感はこの町において、現実に生きているでかい人々より奇妙なくらい確固としている。”
ぼ、亡霊、、!うーん、言われてみればなるほどと思わなくもないが。でもやっぱり、大きく違うよね。
角田さんも文中で触れていたが、本の中に描かれている場所を訪れるのって、旅がより味わい深くなって、とっても素敵な体験だと、わたしも思う。主人公や筆者と、思いが交われば幸せだし、交わらなければその違いが興味深い。
でも、サンクトペテルブルクに関しては、行く前に読んでいたら、亡霊の先入観によって、メルヘンだなんてとても思わなかったかもしれない。それもまた一興か。
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ネタバレ恋人の仙太郎を中心にしていたのにいつのまにか仙太郎を置いて自分で歩けるようになっていた。
最初のいい感じ男子仙太郎がどんどんあれ?あれ?と嫌な奴に見えてくるのは元からそういう人なのか和歌の目線なのか、和歌の目線で一緒にひやっとしたり仙太郎の反応にびくつき、いやでも別れるのはつらいなでも一緒にいるとしんどいなの矛盾。
別れて恨みつらみの小説を書くと編集者にそれは違うと言われて、あれ?となるとこ。
私なの?て気づくとこ。
自分のダメさや勝気なとこ、譲れないとこ、変なのかな?て思うとこそういうのがてんこもりに書かれてる。
上手く言えないけど角田光代めちゃくちゃ面白い。すごい。 -
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ネタバレ沈黙に焦る、ありがとうがないと腹が立つ、体育がだるくて嫌い、など普遍的な悩みに作家7名が趣向を凝らして答えた1冊。
とくにありがとうがない、という悩みに対し、そもそも世界で「ありがとう」をめったに言わない国の人がおり、水くさいと考える人もいるということを初めて知った。自分の考えだけだと決して浮かばない考えなので、興味深い。
その他にも「結局悩み解決してないじゃん」といったものもあったが、回答の内容が大喜利のようで面白く、こう考えればいいんだな、自分もこういうところあるなぁと楽しく読めた。
真剣な悩み解決に一役買う本ではないが、小さいコラムを読んでいるようで面白かった。 -
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ネタバレ泣いた。でも別に悲しい話は一切無い。精神的に疲れてる時に、意外な人から親切にされて泣きそうになる気持ちを大きくした感じ、胸にくる。人から猫への静かな愛情が丁寧に書かれていて素晴らしかった。対象が猫じゃなかったとしても共感できるかもしれない。
トトちゃん(猫)が小さい時に家にきて、病院に行って、おもちゃで遊んで、トイレ騒動があって、人に預かってもらって、とか猫との暮らしのエッセイ。猫はもちろん可愛い。
でもこの本で好きなのは、著者が知り合いに、おかあさんに甘えてるのね、と言われた時「飼い主です」と訂正したくなるとか、家族だとは思うけど・・、と口ごもってしまうとか、心の中では一緒にいてくれて嬉しい、幸せ、もう何もいらない、みたいになるのに猫は猫であるとも思ってるところが読んでいてすごくいい。
ここで、猫の‘’奴隷‘’と書いちゃうエッセイだったらきっと買ってない。
著者自身の子供の頃のエピソードも驚きがあってよかった。トイレを我慢して我慢して、具合が悪くなってオヤツのココアを吐いてしまう。そして母親に「我慢してたら上から出ちゃうのよ」と叱られる話。一瞬マジか、、と私も信じるとこだった。
最後にどうしてもらえることになったのか、が分かってよかった。仔猫をホイホイあげちゃうなんてー、と最初の方で薄っすら幻滅しかけたけど、読んでるうちに忘れていた。のがキレイに回収されてすっきりした。
初めて読んだ時、もう涙が止まらなかった。なのでちょっといったん落ち着こう、たぶん、自分のそばにいる犬猫と重ね合わせ過ぎているんだろう、と思って一気に読まず毎日少しずつ読むことにした。
それで著者の話に集中して読んでも、やっぱりエピソードの中で毎回のようにぐっときてしまうので、これは良い本なんだと思う。 -
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家族に無関心であった主人公が祖母との中国旅行を通じて家族のルーツについて知る内容。歴史的背景が細かく描かれており、祖母の生きた戦時中、子どもたちの生きる戦後、孫である主人公が生きる現代が、交互に描かれて読みやすかった。
戦争という自分ではどうしようもない状況から逃げることを選択した祖父母は、自分の子供たちにも逃げることしか教えられなかった故、子供達も逃げてばかりの人生に。しかし時代が違うと。今の世の中にもいろんな問題があるにせよ、そのせいにして逃げ続けるだけでは生きていけない、と言われているような気がした。改めて戦争について考えさせられるし、今の生き方についても考えさせられる話だった。
普段何を考えてるかわからない祖母との旅をきっかけに、だんだんと祖母の言葉の意味を主人公が理解してくるところが良かった。人となりや人の人生を知るって大事だと思った。
祖母が祖父となんで結婚したのか孫に聞かれたとき『そうさ、あのとき、春で、花が咲いていて、そりゃきれいで、だいじょうぶって思ったんだ、私でもだいじょうぶだって、できるって』と言ったセリフがとても好きだった。なんだかキラキラして見えた。根っこのない家族だけどいろんな希望を見出して生きてきたのがこのセリフに詰まってる気がした。 -
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このシリーズ、2冊目の方を先に読んでしまった。
でも順番関係なかった、今回も素晴らしい読書時間をいただけた。
【猫】にまつわるいろんな事を知って驚いていく角田さんとトトの日常が、「うちの猫もそう!!」とか「そうだよねカリカリね、あぁふみふみね(笑)」とか、クスッと笑ってしまうような共通点や共感が満載で、とにかく楽しい。
そしてまたさすがの角田光代…(失礼なの承知だけどだってもう)言い回しが最高に最高で!
猫以前=BCビフォーキャット
猫以後=ACアフターキャットって!笑
猫好きと犬好きに対する考察も興味深い。
犬好きが可愛いと思うのは自分ちのわんことその犬種くらいまでだけど、猫好きは全宇宙の猫が可愛いから、みたいな所があって「確かに!!!」
トトちゃんが心臓が悪いそうなので、1日でも長く幸せに生きてほしい。
うちの子たちや、全宇宙の猫たちも。
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Posted by ブクログ
ネタバレ出会えて良かった本。読んだ後、ああよかったと思った。物語だけど、分かる、と思うことばかりだった。
過去に無くして後悔したときの記憶やこれから無くすだろう、無くなるかもしれない、という私自身の不安が、本に触れている間だけでもなぐさめられたように思う。
不思議な出来事が起こるんだけど、騒ぎ立てず、静かに受け入れているところとか、最悪のタイミングだった時の心情とか、黒い気持ちでいっぱいになって自己嫌悪するところとか、作り話だとしても分かり合える人と出会えたようで嬉しかった。
ヤギのゆきちゃんと会話できなくなった場面では、そういえば、私も飼ってた犬とそういうことがあったのを思い出した。言っても信じてもらえないと思うし犬は犬だし、と押し留めていた思い出が不意に肯定されたようで嬉しいような、最期の時を思い出してしまってすごく悲しいような気持ちになった。話の中で、ゆきちゃんがずっと優しいことも余計に寂しさを誘った。
一瞬ジブリの黒猫が浮かんだけどそれはかき消した。
〜〜↓すごくネタバレ・あらすじ↓〜〜
主人公の小さい頃〜死ぬまでの5つの話。嫌な人は出てこない。
小学生の時、ヤギのゆきちゃんと友達になってお母さんのティアラを持ち出して無くしてしまった話、
高校生の時、昔飼ってた猫のミケの記憶がある男の子と知り合って、初めて終電で帰った日におばあちゃんが亡くなってた話、
33才の時、不倫をして生き霊になってしまった話、
生き霊卒業後、結婚して子供もできたけど電車に娘を忘れてきて管理庫に探しに行く話、
最後に、今までの色々と繋がって人生の終わりに向かう話。でもそれには怖さとか暗さは全く無くて、ゆきちゃんにもまた会えたし無くしたものも見つかった。
あぁこれかぁーとか、よかった、安心した、と思えるようなハッピーエンドだった。