角田光代のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「角田光代の隠れた傑作」なんて書かれたら、そそられる。
何かにちょっと極端な男女を描く短編集。
どの話も面白い。
買い物依存症、風呂嫌い、万引き常習犯、記念日好き、などなど。
でも男女間で問題が起きるのは、もうお金か、食か、価値観かとか。自分は『うーん』と思う事をどこまで受け入れて認めていくか。この『うーん』が極端だから面白い。
「旅路」は笑った。
心の中のセリフのやりとりに吹き出した。
日常ではとても仲良くやっていたのに、まさかこんな事で⁈ということで、相手が嫌になることあるある。自分の方が正しいと思っちゃうことあるある。思い知らしてやろうとすることあるある。
角 -
Posted by ブクログ
もしあのときああでなかったら、今ごろ私はどんな人生を送っていただろう。そんな「あのとき」という一点や、ありえたかもしれないパラレルワールドに思いを馳せてしまう、我ら凡人たちの短編集。
とても良かった。最後の話は泣いた。
以下、心に残ったフレーズ。といっても適当に縮めたりしているので正確な引用ではありません。
■もうひとつ
「もうひとつの人生なんかないよ」
■月が笑う
「許さないことはこわい、と感覚的に思った」
■こともなし
「だって、幸せじゃないと困るじゃない。…今まで『もし』で別れた幾人もの私がよ。」
■いつかの一歩
「人生って最初からあるのかしら。できていくものだとしたら、いつのどの一歩 -
Posted by ブクログ
自分を正当化してしまう、無意識のうちに他人を妬んでそのことに戸惑うなど、場面ごとの繊細な心理描写に引き込まれた。
章を追うごとに過去の出来事が詳細に描かれていく流れがあり、続きが気になって読み進めてしまったが、それだけでなく主人公から見た「風美子」の印象がコロコロと変わっていくのが良い意味で特徴的だった。
勧善懲悪的な復讐物語をどう思うかという議論が随所にあり、善悪の価値観(多様性の観点も含めて)、幸せとは何かということについて考えさせられた。
「現在」の時間軸で描かれている出来事はかなり少ないが、最終的にはその中に、思い出したくない過去やコンプレックスと向き合った上での主人公の決断を見てとれ -
Posted by ブクログ
旅の中で、気づいたこと。
それは道中のことだけでなく、
人生について、ものの捉え方について
ひろく深く繋がっている。
それが角田さんの旅エッセイの好きなところ。
ともに旅するように楽しみ、
感心したり、気づかされたりしながら
読み進めた。
ただ、最後の第四章は、ずっしりと
重みがあった。
読み進むのも、かみごたえがしっかり
し過ぎて、時に辛くなるほどに。
知らないことを知り、
その地の人に思いを寄せ、
新しい世界の地図を得る。
今いる世界の自由さに
思いを馳せて、その豊かさは
どこからきているのか。
その豊かさが世界に行き渡るために
思うこと、できること。
とても大きな旅をしたような読 -
Posted by ブクログ
猫好きでペットを飼っていない私にとってはすごく新鮮で、読んでいて楽しいエッセイだった。
狭いところが好きじゃない猫もいるのかと驚いたり、壁に突進するトトを想像して笑ったり。
仲間意識が強くて留守の家の人の代わりを務めたり、家族会議に参加してくるトトが可愛すぎた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
生後三カ月で角田家にやってきたアメショーのトトは、粘り強く慎重派で、運動音痴。ああやっぱり私に似てしまったんだねえと同情し、愛猫の寝息に至福を覚え、どうか怖い夢を見ませんようにと本気で祈る。この小さな生きものに心を砕き世話しながら、救われているのは自分の方かもしれない―猫を飼うことで初めてひらけ -
Posted by ブクログ
角田光代は20代後半かけて30代までよく読んでいた作家でした。様々の作品が映画化やドラマ化にされていて、女性の感情を丁寧に描く作者だと思いました。堀江敏幸は別の作品でかなり挫折してしまって、角田さんとならきっと挫折せずに読めるんだろうと思い購入。往復書簡だと思いきや、雑誌「dancyu」での散文集でした。それぞれ読書記録の中、「食」に関する内容を紹介するエッセイ。これもまたたくさん触れ合ったことないの作者や作品の中、食べ物や食卓な話が書かれて、短い文章だけどどんどん作品を読みたくなるような描写ばかりでした。
「本来私たちは、病むことではなく健やかであるために食べるのだ、と。」(池澤夏樹 君の -
Posted by ブクログ
エッセイが好きで、角田光代のものもこれで3冊目なんだけど、他の作家のものと読み比べてみると彼女には澱みがないのが印象的だった。
女性作家のエッセイはともすれば内面を書き出すうちに過去のドロドロや「〜すべきだと思う」みたいなものが多くなってくるが、角田光代にはそういうものを感じない。
人間らしいし、いわゆるさばさば女とは違うし湿度がないわけでもないのに、自分の中の嫌な感情や思い出も「そういうこともあるよね」と割り切っている。
そういうところが読みやすいしとっつきやすい。
深い悩みを相談しても、深刻になり過ぎずに「そうなんだー」と軽く聞き流してくれそうな、でも突き放すわけでもない感じがすごく友達