角田光代のレビュー一覧
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ネタバレ「なんていうか、そういうどうでもいいようなことで人生成り立っているよな、っていうか、いや、そういう事があるから人生面白いんだよなっていうか。」
普段、ラジオを聞くことはめったにないけれど、そのとりとめのない内容に、ふと記憶が刺激されて昔のことを思い出したり、案外幸せに生きてることに気付かさせられたり、というのは確かにある。
「見つめあう夫婦っていないのかな」「見つめあってたら生活できないんじゃないの」
「うまく行かなくなった時に振り返るのがおかしいんだよ。ときめいた頃を思い出すんじゃなくて、この先どうやったらうまくいくかって、二人で考えるんだよ。」
誰かと人生を歩むということは、決してキラキラと眩いものではなくて、ラジオ番組のように地味だけれどどこまでも地に足がついた日常を進んでいくものだということ、でもその中で生まれた喜怒哀楽が、ふと振り返った時に無数の小さな光として来し方を照らしていてくれるもの、そんなことを再確認させてくれる作品。 -
Posted by ブクログ
面白くて、読みかけの他の本をすっ飛ばして先に読んだ。
この本で印象に残ったこといくつか。
藤壺は本気で光源氏を拒否してるということ。
なんとなく、「嫌よいやよも好きのうち」という、気持ち悪い男目線で藤壺を見ていた自分が恥ずかしい。きちんと読めば、本当に光源氏を避けてるのに。そういう見方を自分に許していたことに反省。
宇治十帖の浮舟について。
あまり魅力を感じなかった浮舟の印象が変わった!「蜻蛉」において、浮舟が苦しんで姿を消しても、男たちは決して結局何も変わらなかったことを書いていると、山本さんは言う。その一つも変わらなかった男たちの男の愚かさを「蜻蛉」で書いておいて、その後の「手習」で死んだと思われていた浮舟が現れ、歌によって浮舟の内面の変化を表す。それによって「何も変わらなかった男たち」と、「一人になることで変わった女」と言う対比が強く印象付けられると言う。そういう見方もあるのかと目から鱗。
源氏物語は男性が女性を保護するように見せかけて、実は女性の精神性が上回って、男性たちを追い越していく物語だと言う。なるほど!
最後に山本さんが昭和的男性的な見方からの解放と言うことを提案されている。古典研究の大家の萩谷朴氏が、皇子の誕生五十日祝いの祝宴で席を立った倫子について、「更年期も近い女性心理の凄まじさが目に見えるようである」と書いているらしい。そういう古い男性的な見方について、山本さんは、女性の研究者が増えることでそういった思い込みというのが検証されて更新していけばいいと言う。
源氏物語も様々な多様な解釈がなされることで、どんどん紫式部の本質に迫っていけるのだろう。なんせ、紫式部は天才ですもん。昭和的な解釈の枠にはまるわけがない。
非常にスリリングで面白い本だった。
山本淳子さんの「源氏物語の時代」を再読したくなった。(この本のことは本書でも何度も触れられていたが、本当に面白く素晴らしい本なので、何度でも) -
Posted by ブクログ
序盤から中盤、場面転換や、誰の発言なのか、が、あえて分かりづらくしてあるのかな、と思った。
そのため、読んでいるこちら側も整理が出来ず、
主人公が被告の姿と自分の姿を重ね合わせていってしまう心理状態のような、マーブル模様のように混ざっていってしまうような、不安感を感じた。
読書感も、前半は1ページが沼のように重たい、後半は少しずつ沼にハマるようにどんどんと進んでいく感覚。
妊娠中に読むんじゃなかったと後悔しつつ、
産後また読んでみたい、むしろ読まなければと思ってしまう。
実家、友人、恋人、結婚、義実家、妊娠、そして育児。誰もがリンクする部分があると思う。
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個人的な話になるけれど、本作を買った日は思い出深い1日だった。
というのもその日は出産を終えた妻と子供の退院の日で、病院に早く着きすぎてしまったため時間潰しに本屋に行ったのだけど、その際、たまたま本作が目に留まった。
双葉文庫40周年記念のクレヨンしんちゃんの装丁がかわいかったのと、帯にあった「わたしもあなたも、産まれて初めてもらうプレゼントは名前」というフレーズがとても気になって購入。子供がうまれたばかりということもあり、「名前」という作品には特に感銘を受けた。
本作は「プレゼント」をテーマにした短編集。一作あたりが10分くらいで読めるので、移動時間の合間なんかに少しずつ読んでみるのもよさそう。
ちなみに各話には与えられた「テーマ」から着想された挿絵があって、例えば「名前」というテーマに対して作家さんの描く物語と、イラストレーターさんの挿絵が意外と違っていたり、また逆に似ていたりしてなかなか面白い。
各話はどれもやさしい物語で、読後感は爽やか。かなりオススメの作品です。というわけで⭐︎5つ。
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Posted by ブクログ
目から鱗、というけれど、まさにそういう読書体験だった。
源氏物語は丸谷才一、瀬戸内寂聴、田辺聖子など色々な方が口語訳しているが、角田光代は初めて敬語を用いず、現代の小説の語り口で翻訳をした。
平安文学研究者の山本淳子さんは、物語がドラマとして現代に受け入れられやすくなったのは画期的なことだという。
これまでの口語訳では、男性の視点からであったり、恋愛や性愛を基準に解釈されたり、作家によって個性が現れるようだ。
さらに「源氏物語」を現代の女性の立場から読むと、視点や論点が違う解釈も生まれているし、道長からの依頼説など、今のところ否定されていない説も生まれている。
(でもそれが定着するとしたら、ゆうに50年はかかるであろうということ)
「源氏物語」はかくも時代ごとに、色々な形で受け入れられていく物語であったことに、改めて驚かされる。