角田光代のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
今まで2回トライしたが挫折した。今回はどうやら三度目の正直。全体を読めそうだ。角田訳は素晴らしい。
それにしても源氏がここまでのスーパーマンだったとは。とてつもなハンサムで芸事全てに優れ、学問ができ、政治力もある。実際太政大臣までしゅっせする。女性に対する積極さは見事なまで。待ったすごい。
史記と白居易が何度も引用されるのは驚き。この時代ここまで知られていたのか。
その割に李白も杜甫も一切出てこないのは単に話の流れなのか。
明らかな誤植が何箇所か。
例。633ページ1行目西
解説に気になる点。原文と角田訳は同じだが解説は異なる。なほ才は基礎なのか漢才なのか。 -
Posted by ブクログ
『第1回親子で読んでほしい絵本大賞、大賞受賞作』
この絵本は、向田邦子さんの、「字のない葉書」(『眠る盃』所収、1979年、講談社)を原作としており、文を書かれた角田光代さんも語っているように、原作が戦争時代の向田さんの家族との思い出を綴ったエッセイということは、日常生活で起こった現実の話ということになる。
また、原作があるものを絵本にした意義として、普段活字をあまり読まない方や、まだ読むことに慣れていない方といった、より広い層の人達に手に取っていただけることと、絵本の利点の一つである、無駄のない必要最小限かつ明瞭な文体と、それを補填してくれる絵が合わさることで、絵本ならではのジワジワと伝わってくる感動を教えてくれることだと思う。
そして、西加奈子さんの描かれた絵は、最初、版画のようにも思われたが、表紙の題字の「い」の字に、凹凸感のある紙に書いたような形跡が見られることから、ボール紙に描いたものと見受けられ、そこから感じさせられたのは、一見簡潔そうでありながらも、そこに存在するものが語りかける声が、私には聞こえてくる気がしてしまい、それは、彼女のインタビュー記事の中の、世の中に存在するものたちが、いつかは朽ちてしまうことの尊さを知っていることからも肯けるものがあると共に、ここで語られる向田さんの家族の人生そのものなのであり、そんな儚いものであることを皆知っているから、少しでも納得出来る生き方をしたいのであり、それは、現代も戦争時代も全く変わることのない、全ての人達に与えられた正当な権利だと、私は思う。
また、西さんの描き方で印象的だったのが、その殆どが物による表現法によるもので、特筆すべきなのが、玄関の上がり框の前に置かれた『草履』だけで人物描写をしていることであり、この同じ視点による描写が全部で三回あるが、特に最後のそれを踏まえてからの、その次の見開きの、草履を履いた足と裸足のままの足との対比には、思わず涙を誘われるものがあり、ここに来て、初めて読み手は、何故お父さんが「ちいさないもうと」に、『げんきな日は、はがきに まるをかいて、まいにち いちまいずつ ポストにいれなさい』と言ったのかが、身に染みて痛感させられることになるのである。
表紙の印象的なたんぽぽの絵は、「ちいさないもうと」を象徴しており、それは、見返し一面と本編にも描かれているように、その存在がどれだけ大切なものであるのかが、よく分かると共に、人を花に擬えることが、その人にとって、どれだけかけがえのない愛情を込めているのか、深く感じ入るものがあって、その同一視は、人の存在や生き様も、花同様に美しいものであることを言っているようであるのが、また身に染みる愛おしさを感じさせるが、そんな愛おしく尊い存在である、花も人間も全て破壊し、無くしてしまうのが戦争であることを、私達は決して忘れてはいけない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大号泣。良すぎた。
ネットで「失恋した時 小説」で検索して出てきたので読み始めたが(安直すぎて我ながら恥ずかしい)予想してたよりはるかに良かった。
淡々としてるんだけど人を好きになる気持ちとかつらさとかがひしひし伝わってくる静かでやわらかい文体で良すぎた。まったく大げさじゃないのになんでこんなに胸が痛くなるんだろう。
こういう、なんでもないようなことをさらっと上手く書けるのがいかにも文豪って感じする。
だって奇事を派手に書くのなんて簡単だもの。
キャラクターみんなにめちゃくちゃ共感できた。特に「何者かになりたい」「社会で普通の人として生きる流れに取り込まれることへのなんともいえない怖さ」みたいなものを抱えたキャラたち、すごく好きだった。
そのうえでの希麻子と黒田に対する槇人と久信とか、凡人と天才の残酷な対比も良かった。
成功なんてものは目指してどうこうなるものじゃないし、それはそもそも金とか知名度とかそんなものじゃないから、とにかく人間は目の前にある自分の課題を自分で見つけて片付けていくしかないし、いわゆる「成功」なんてその過程で意図せずに、気がついたら手に入れてるものだ……っていう、すごく冷めた天才の考えというか、どうしようもない凡人との器の違いみたいなものが作中で一貫してたと思う。し、それがまた正しいよなぁと思った。
そしてそれをよく理解してた久信が大好きな文太に対しては、成功もなにもわかっちゃいなかった学生の頃に抱いた羨望や尊敬だけを一方的にずっと向け続けちゃってたのがつらいなぁと。
月日が経って何もかも違ってるのに、「その頃」の力関係がずっと続いちゃうことってあると思う。
でももう「自分が好きになったその人」はいない。
結局、成功とか天才とか過去とか未来とか関係なく、人間には今しかない。今やれることをやるしかない。っていう、そこでも一貫した「天才のカラクリ」みたいなものが語られてた。
そして、苑子との語らいによって「自分の天才に対する見解」と「文太に対する変わらぬ期待」との間の齟齬に気がついちゃって、その瞬間に久信の中で昔のままの強い文太はもういなくなってしまって、おまけにそれを文太を奪ったダサい女に指摘されて、そんな色々な気持ちで涙が出たのかな。
希麻子と黒田もそうだと思う。昔の憧れのまま、力関係が変わらないままず〜〜っとその人のことをだらだら思い続けちゃう。
「黒田に勝った」って思うところ泣ける。今までずっと悔しかったんだもんねぇ。最後くらいはね。
いやぁ、つらいなあ。
でも希麻子はパワフルで、なんとなくこれからも大丈夫だよなって思えるラストで良かった。
ユリエも。二人はすごくガッツがある。
こうして書いてても希麻子と黒田、久信と文太の二組が一番刺さったかも。と思う。
乙女相談室も好き。
終わりの場面で、過去に必要としてた人が雑踏に消えていって光が一つ一つ消えていくのが悲しいけど別れってそういうものかと思ってなぜか受け入れられる不思議なラストで好き。
最後の章の主人公だけは前編から引き継がれてなくて、作中ではあくまで漠然とした「別れ」とか「恋愛」とかそういうものに対する彼女たちなりのアンサーが示されてるのは、この物語全体に登場してきた恋愛や別れの意義とか、そこからの立ち直りとかそういう総括みたいなものを小説世界の最後に与えたかったのかなとも。
なんというか、人を愛することへの絶望や悲しみだけでは終わらない感じ。
祝福だと思う。人生とか恋したことへの。
あとがきまで通して読んでそう思った。
なぜかあとがきでボロ泣きした。多分すごくあたたかかったから。
私も才能とか成功とかそういうことに悩まされてて、たぶん希麻子とか黒田側の人間で、ふるかふられるかではふられる側で、っていうか恋人いたことないけど、私これから大丈夫だよねってちょっぴり信じたくなるような切なくもしたたかなラストでめちゃくちゃ良かった。
大好き!