角田光代のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
今のZ世代は何不自由なく生活出来ている人が多いように感じる。その何気ない生活が、どんな想いで紡がれてきたものか垣間見ることができた。正直、先祖にたいしてなんとなくの敬いはあったが、具体的に敬うことはしていなかった。今の幸せを作ってくれた先祖、そして両親にもっと感謝して過ごしていきたい。
また、逃げることの大切について。
そのときは確かに恥ずかしさを伴う行為かもしれない。しかし、疑問を感じることに対して命がなくなるまで戦い続けるのもどうかと思う。だから、一旦逃げ、そして未来を頑張って生きて、逃げた過去に意味を持たせる。そうすることが重要なのかな。 -
Posted by ブクログ
撚り合わせた糸のような作品だと思った。
みのりの現在、みのりの学生時代、清美の話、それぞれが層のように重なるのではなく、糸のように撚り合わさって最後のシーンに集約されていったと思う。
すべての描写に無駄がなくて圧倒された。
小説にここまで付箋付けて読んだのははじめてで、とにかく「ここ、覚えておきたい」「このシーンも後で読み返したい」のオンパレードだった。
それは、私がみのりのように「何かしたほうがいいとは思ってるけど、なにもできない」と感じているからかもしれない。
世界はきれいでもなければ、絶対的な正義も存在しない。目を背けたくなる現実ばかりだし、知らない方がよかったとも思うことがあふれ -
Posted by ブクログ
「帰りたいよぅ」
祖父が死んだあと、祖母が子供のような声で言った。ここから、中華料理店を営む親子三代の“根っこ”を探す旅が始まる。
祖父母は自分が生まれた時から“おじいちゃん、おばあちゃん”であり、両親は“父さん母さん”で、性の意識すら無い。
でも、間違いなく男女であり、自分と同じ年齢を経て今に至る。
人生は“簡易宿泊所”のようだ。
なぜここにいるのか、いつまでいるのか、ここを出てどこへいくのか……
「だってあんた、もし、なんてないんだよ。後悔したってそれ以外にないんだよ、なにも……」
その言葉は妙に重い。
「翡翠飯店」は世紀を超えて紡いでいく。
根など無くても紡ぎ続けることはできる。 -
Posted by ブクログ
角田さんも穂村さんも大好きで興味を持った本。
角田さんは女性として、穂村さんは男性としての意見を交互にやりとりして進んでいく。
こういう女性が多いかもしれないけど自分は違うとか、もてる男性はこうだが自分にはできないとかいう話題も出てきて、男女の違いを紐解くという面白さももちろんあるけど、ただ角田さんと穂村さんが恋愛観について意見を交わし合うという意味でもすごく興味深かった。
特に印象に残ったのは次の二つ。
一つ目は、「もてる」というのは対人的な「スペース」、つまり「隙」が関係しているのでは?という考察。
隙、確かに大事だよなぁ、わかるわかる。
学生の頃からもてるのは、狙った獲物は逃さない -
Posted by ブクログ
小さな子供を持つ専業主婦の里沙子が、乳幼児殺害事件の裁判員裁判に関わっていくことから始まる物語。
裁判員裁判を身近に感じることがなかったので、詳細な記述に私も参加しているような感覚になった。
同時に母親であれば体験したことがあるだろう感情を、今まさに体験していたり、距離を持って振り返って眺めていたり、複雑な感情が入り混じる様子がとても丁寧に描かれている。
そして、水穂という娘を殺めて裁判に立っている女性の裁判員裁判が進むのと同じようにに、里沙子は大きく揺らされながら、自分自身をゆっくり振り返っていく。
不器用で少し頑固、人との距離がやや長めの里沙子だが、その感情や思考、言動がどのようにし -
Posted by ブクログ
「難しい」「全部読もうとすると挫折するから自分の読みたいところだけ読むくらいでいい」という感じの声をたくさん耳にしていたので、ビビり散らして長らく積んでいたけど読み始めたらめちゃくちゃ読みやすくて驚いた!それはきっと角田さん訳だからなのと、光る君へを見てたからだろうな。
光る君へってほぼ源氏物語オマージュで構成されてるやないか…と今更ながら。ドラマ見直したい。
こういうこと言うのは本当に無粋ってわかってるんだけど、光源氏、やっぱりめちゃくちゃにキモいですね
若紫の帖は狂気を感じたよ
末摘花は西洋系の顔立ちとスタイルだったのかしら、今の時代なら美人さんだったろうに…
しかし、1000年前の物 -
Posted by ブクログ
結婚生活の不幸
とある源語ファンがかういった――角田光代の訳がもっとも癖がなくて読みやすいと。だから本書をひもといた。今更の感があっても憶せずにいふと、名作中の名作である。すくなくとも読むのに遅すぎるといふことはない。
序章、桐壺から、よどみなく端正な文章で現代語訳され、われわれが気づかされるのは、この物語に一分のすきもないといふこと。まづそれに喫驚した。
ともすれば、いまの小説はなんと心情の多いことであらう。これもあれも――とどのつまりは読みづらい。それにくらべれば源語の凄味はひかりかがやく。展開はすばやい。
桐壺は、一身に寵愛を受けた更衣の苦悩と、周囲の妬みを背負ふ。それは端的