角田光代のレビュー一覧
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ネタバレ『八日目の蝉』感想
『八日目の蝉』は、日野OL不倫殺人事件をモチーフにした作品だと言われている。実際の事件では、女性Aが不倫相手Bとその妻Cの子ども二人を焼死させている。そして、BはAに二度の中絶を強要し、精神的にも身体的にも深い傷を負わせたうえ、CはAに対して「子どもができても簡単にかきだす」と侮辱した。
この事件を知るとき、簡単に善悪で切り分けられない「誰もが被害者である」という視点が浮かび上がる。
もちろん、何もしていない子どもを奪ったAの行為は決して許されない。しかし、Bが恋心を踏みにじり、希望をちらつかせながら追い詰めた過程を知ると、胸が締めつけられるような、ただただ惨く悲惨な現 -
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10篇のそれぞれの登場人物は、
それぞれの居場所にずっと違和感を持っている。
こんなはずじゃなかった。
でも、あっという間にここまで来てしまった。
そもそも、自分にここ以外の選択肢なんて
なんにもなかったんじゃないか。
こないだ読んだ荻原浩さんの「あの日にドライブ」では
主人公は銀行を不本意に辞めて、
タクシー運転手になった。
あの人も、こんなはずじゃなかったと思いながら、
最後にはこの場所で頑張ろう、と希望の兆しを見せて終わった。
トリップの登場人物には、そんな希望はない。
長く長く続く絶望。
でも、現実はこんなものじゃないだろうか。
絶望の中で希望を見いだせる人は、たくましいけれど。
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すごく好き。
「どんなこともいつか懐かしくなる日がくるわ」
なんだか泣きたくなって、そんな気持ちになる自分が嬉しい。
絶対また時間をおいて読み返す。
超弩級の恋は足りないから超弩級になるんだと思う
自分が好きだと思うのと同じだけを、相手がかえしてくれなくて、あるいはかえしてくれているようには思えなくて、それで、どんどんどんどん、好きが吸い取られていって、きづいたらとんでもないくらいの好きになっているんじゃないかな
なくしたものばかりだ、と、二袋目の写真を見ながら、わたしは思う。落としてしまったもの、なくしてしまったもの、置き忘れてしまったもの、いなくなってしまったもの。写真はそれらで満 -
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キラキラした時代を引きずりながら、30代の今を悶々と生きる3人の女性たち。
仲良し3人組のはずだけど、みんなそれぞれ他人に対する思いがあって、3人それぞれの思いも分かって(読んでると)、それがすごくいいなと思った。
3人とも流されながら、時に無茶苦茶に生きてるんだけど、最後の最後で言葉を超えたところで分かってしまうのが良いよね。
三者三様の生き方や思っていることに、ああ、これは小説でしか描けないよなぁと思いながら、一気に読んだ。
あとがきに、これはずっと忘れられていた小説で、時が経ってしまってもう自分には直せないと思ったと書いていた作者に好感を持った。
自分には、キャラクターが自由に動いたと -
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「明日も一日きみを見てる」の前作ということで、トトちゃんとの出会いからチビちゃんの時代のエピソード。
特に印象的だったのは、トトちゃんと出会う前と後で自分が変わったというエピソード。私も愛猫を迎えてから同じような変化を実感しているので、とても共感できる内容だった。
「猫は、全世界の猫となるのである。ノンフィクションの現在ばかりではなく、過去未来フィクションまで含む、全世界だ。一匹の猫によって、私たちは、全世界の猫の幸福を祈るに至る。たかだか一匹の猫なのに、その威力は、ものすごいのだなあとあらためて思う。」
まさにその通りで、一匹の愛猫を慈しむ気持ちが、いつの間にか世界中の猫たちへの深い愛 -
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今のZ世代は何不自由なく生活出来ている人が多いように感じる。その何気ない生活が、どんな想いで紡がれてきたものか垣間見ることができた。正直、先祖にたいしてなんとなくの敬いはあったが、具体的に敬うことはしていなかった。今の幸せを作ってくれた先祖、そして両親にもっと感謝して過ごしていきたい。
また、逃げることの大切について。
そのときは確かに恥ずかしさを伴う行為かもしれない。しかし、疑問を感じることに対して命がなくなるまで戦い続けるのもどうかと思う。だから、一旦逃げ、そして未来を頑張って生きて、逃げた過去に意味を持たせる。そうすることが重要なのかな。 -
Posted by ブクログ
撚り合わせた糸のような作品だと思った。
みのりの現在、みのりの学生時代、清美の話、それぞれが層のように重なるのではなく、糸のように撚り合わさって最後のシーンに集約されていったと思う。
すべての描写に無駄がなくて圧倒された。
小説にここまで付箋付けて読んだのははじめてで、とにかく「ここ、覚えておきたい」「このシーンも後で読み返したい」のオンパレードだった。
それは、私がみのりのように「何かしたほうがいいとは思ってるけど、なにもできない」と感じているからかもしれない。
世界はきれいでもなければ、絶対的な正義も存在しない。目を背けたくなる現実ばかりだし、知らない方がよかったとも思うことがあふれ