角田光代のレビュー一覧

  • 方舟を燃やす

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    何かのインタビューで角田さんは、「書く時にズルはしない」とおっしゃっていて、それは作中で何かむりやり出来事を起こさせて背景描写をワープして登場人物に自分の書きたい事を喋らせる、みたいな事はしないようにしている、というような話だったと思うのだけど、確かにそう言われてるだけあって、読むほうもズルして斜め読みして分かった気になれないのがこの作品だなと思った。
    終盤の、みんな理不尽に耐えられないから、見たい現実を見ようとするし更には作り出そうとまでしてしまうんだ、という部分、確かにそういう人いるなぁと思った。
    次読む時はじっくりと丁寧に読んで、このタイトルになった理由を考えてみたい。

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    2026年03月05日
  • 紙の月

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    同業なので本当に息が詰まるような思いで読み進め、梨花が戻れなくなるほど胸が苦しくなった。自分の不祥事みたいな気持ち。学生時代を長く過ごした馴染みのある土地の話だったので尚のこと、自分のことと重ねて、今の銀行員が現金を預かるようなことはもうないというのに、自分が底なし沼に沈んでいくような恐怖を覚えた。かくいう私もこれを自分の顧客に勧められたのだが、銀行の担当者にこの作品を勧める顧客は、どうかと思う。

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    2026年03月03日
  • 愛がなんだ

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    168pにて、興味深い台詞がある。
    男女平等について物申している一節。読んで良かったと思う、強烈なものだった。
    進化ではなく、退化。誠にその通りだとわたしは思う。


    主人公の女は共感したくないほどに、ダメな女の典型というのか。愚かな女をよくもまぁこれ程うまく表現できるものだと感心する。

    だけど若かりし頃、程度の差こそあれ鬱陶しい恋の仕方をした事実もあり。嫌だわぁなんて思いつつ読んでいると、不思議と憎めないキャラクターに思えてくる。その己の中の変化もまた面白い。

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    2026年03月03日
  • さがしもの

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    ネタバレ

    読み終わって、言葉を越えた共感を持つことが出来たときが、読書の楽しみと言うのだろうか。
    昨日読みかけた本に、文章について書いてあった。単語というレンガを積み上げたかたち、それが文章である。確かに日本語の文章はそういう構成で出来ている。そして一編の作品はその集合体で出来ている。
    無数にある単語の中から作者が選んだ、一つ一つの言葉が好きで、出来上がった文章が好きで、そして一編の物語になった時、それがぴったり合った好きな作品になる。
    好きな言葉があり好きな文章になっていて、それを読み終わると何かすっと腑に落ちた気持ちがする、その上作品に溶け込む感じがする。優れた作品からは作者の言いたかった、作品に託

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    2026年02月28日
  • 対岸の彼女

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    再読です。泣きました。
    10代で読んだ頃はあまりピンと来ない部分もあったので、いつか読み直そうと思っていた作品です。
    主人公の年代になった今、胸にグッとくる場面がいくつもありました。

    家庭や仕事、立場の違う同い年の女性どうしの話だったかなと記憶していたのですが、物語はもっと複雑で。主人公の二人の女性、それぞれの過去を遡って、窮屈な人間関係に悩みもがきながらもどうしようもないような学生生活を語り、それが現在にどんな影響を与えているか、まるでミステリーのように読み解く事ができます。

    とにかく心理描写がすごくリアルで。私も知らずに人を傷付けてはいないかな、なんて考えさせられもしました。大事な気付

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    2026年02月27日
  • もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。

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    とても癒されました。
    毎日の暮らしの中に共存している
    猫という生き物が、たくさんの
    作家の方々の憩いであり
    生きがいであり、無くては
    ならない存在でした。
    家の猫も保護してから3年
    猫を飼った事もない家族の中で
    その存在感の大きな事、
    角田光代さんの文章の中に
    (以前は、自分は自分はという
    感じで暮らしで辛かったところに
    猫がきて自分以外の事に心を
    持っていけるようになった事で
    楽になった)とありました。
    まさにそれです。疲れたけど
    とりあえず猫に餌をあげようと
    声をかける事で気持ちが良い
    方向に切り替えていける。
    猫って不思議な生き物です。

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    2026年02月26日
  • 対岸の彼女

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    恐ろしい程の人間観察力 男の方が単純明快で生き易そうですね?しかし木原君は男の風上にも置けない!私に似過ぎて腹立たしい(笑) 作り話とは思えぬノンフィクションのような迫力

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    2026年02月24日
  • いま読む『源氏物語』

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    面白い面白い面白い面白い面白い!!!角田さんを紫式部と重ねる山本さん、それに恐縮する角田さん、こんなにも対談形式でスルスル読める本あるかな、対談形式の本は読みづらいなと感じることが多かったけどこれはもう、おもしろ楽しく読めました。角田光代訳の源氏読んでいきたい。

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    2026年02月23日
  • 子どもお悩み相談会 作家7人の迷回答

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    小学高学年から。作家7人の迷回答と言うだけあって面白い。お悩みにそれぞれ答えてくれているが、一般的な回答を期待してはいけない。とにかく文章が楽しめる。

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    2026年02月23日
  • 坂の途中の家

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    とっても良かった!5歳の女の子の育児中専業主婦の私は正直読んでいて辛かったけれど私も自分の育児、家庭を振り返るきっかけになった。あんなに小さな子供にイライラしたり、夫や義母の言葉に傷ついたり、周りの子供が気になったり‥というのは小さな子供と一日中家で過ごしたことのある人にしかわからない気持ちだと思う。モヤモヤした読後感が残るかと思ったけれど「白いワンピース姿の水穂にお辞儀をして街へ繰り出す理沙子」というスッキリする終わり方だった。

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    2026年02月22日
  • さがしもの

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    本に関する短編集
    本にまつわる角田さんのエピソード、物語が詰め込まれている。読んでいくと、本のことがどんどん愛おしく思えてくる。読みながら、もっと本が読みたいと思う。角田さんと本のエピソードを回りながら、自分もどうして本が好きだったんだっけ?と昔を愛しみたくなる。

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    2026年02月21日
  • 今日も一日きみを見てた

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    猫を飼ってからの気付きや変化、猫の知識が面白い。

    世話をするによって、何かわからないけど癒しでない何かに助けられているという。これは私も植物を育ててるときに感じる。水やりをして鉢替えをして。普通に生きている分には非合理なことなのに。

    また、なんでも言語化するのが正義みたいな世の中だけど、この"やりがいみたいなこと"に名前なんてなくて良いと思った。
    終始ほっこりしたし猫について、それ以外にも感情の整理や勉強になって読んでよかった!

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    2026年02月21日
  • さがしもの

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    彼と私の本棚
    失恋をした時に、もうひとりの私が見下ろしている。

    だいじょうぶ、だいじょうぶ、もうひとりの私は安堵してうなずいている。笑えるじゃない。冗談を言えるじゃない。ほしい服があるじゃない。すれ違った男の子を、ちょっといいなと思ったじゃない。もうひとりの私は、子供を褒めるように私を褒め続ける。

    ここがとっても大好き。
    きっと私はこの話を好きな人にした時に、いつかこうなってしまう自分を予感していたんだと思う。
    だからぽろぽろ泣いて、困らせてしまったね。
    この本のおかげで、悲しいこともすてきなことに思える。私の宝物です。

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    2026年02月20日
  • くまちゃん

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    フラれ小説なんだけど、ネガティブな気持ちにならず、人の根っこの強さとかしたたかさを感じた。
    恋愛と仕事の関係を実感する年齢だから、より刺さった気もする。

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    2026年02月19日
  • 恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。

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    問いかけから始まる文体が多いからなのか、角田光代さんとちょっとした行きつけのバーや喫茶店で恋バナやら人生やらについてよもやま話をしているような気分になる一冊。

    「あなたも一度くらいあるよねえ?褒められてキャラが微妙に変わったこと」

    「男運なんてものは存在しなくて、私も友人も知人も、自分のシンプルな基本設定に忠実に恋愛をしてきただけなのではないか、と思うのだ。
    〜大事なことと許せないこと、つまるところこの二点を満たしている男と、人はだれでもつきあうのではないかしらん。
    〜男運が悪いと言われている女の子って、つまり基本設定がゆるいというか、即物的ではないだけなのではないかと」

    「当事者であり

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    2026年02月15日
  • 神さまショッピング

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    角田光代さんの作品はあまり読んだことがない。八日目の蝉くらいかな。
    可愛らしい表紙と軽いタッチのタイトルから想像するよりは、骨太で重さのあるストーリーばかりの短編集だった。
    様々な事情を抱え、神様に会うために旅をする8人の女性の話。インドやミャンマーの秘境めいた寺や、ヨーロッパの巡礼地などへ、様々な思いを抱えて旅する女たちの話は、今すぐ自分も旅に出たくなるような、引き込まれる魅力がある。
    抱える事情は様々で、軽重にも大きな違いはあるけれど、どれも人の心の葛藤や迷い、矛盾、弱さなどに共感できるものばかりだった。

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    2026年02月12日
  • さがしもの

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    人と人との間にそれぞれとくべつな関係があるように、人と本との間にも、そういう“特殊で個人的”な関係が存在していると、角田さんは言う。

    そんな関係性について描かれた9つの物語。

    本好きな人が読めばきっと、自分の本棚を眺め、その一冊一冊と思いを交わしたくなるかもしれない。そのとき本は、エンターテイメントのひとつとしてじゃなく、友人にも相棒にも腐れ縁の奴にもなる。

    そうでなくっても、この物語にはすてきな言葉がたくさん散りばめられてあるから、きっと自分のための言葉に出会える。

    本が好きな人、つらいお別れをしてしまった人、大切な人とうまくいかないなって人に、読んでほしいです。



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    2026年02月12日
  • 恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。

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    私の中で恐らくエッセイは選り好みがあるけどこの方のエッセイはスラスラ楽しく読めました。

    私にはない考えや視点も面白くて、中でもサザエさんを『時間が止まってる』、『変化を許さない』と捉えられてるところが好き。フネに注視したこともなかった笑

    全体的に人間味があってすき!そしてこの方が八日目の蝉の人なんだと知って驚き!他の作品も読みます。

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    2026年02月16日
  • 平凡(新潮文庫)

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    人生に対して、もういかほども抗うことができなくなり、諦念を持ってしまってからでさえも、人はふりかえり、あのときあんなことしなければ、とか、ここをこうしとけば、とか、そんな生産性のないことをついつい考えてしまうものだと思います。

    『当たり前の、普通の、平凡な人生を送ってくればよかった。なんのことはないそれが一番だったんだ』
    僕はふりかえってそんなふうに
    思ったりするんです。
    『平凡』ってなかなかに
    難しくないですか?
    『平凡に生きてる』って
    案外非凡なことなのかもしれません。

    『平凡』って幸せと同義なのではないだろうか、と還暦をこえてからそう思うようになりました。
    当たり前に日々を健康で過ご

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    2026年02月10日
  • タラント

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    ネタバレ

    知られてないのが惜しいレベルで高評価な一冊。

    あらすじはかつてボランティアに勤しんだ孫女のみのりと戦争に行き足と感情を失った祖父の清美と不登校気味な甥の陸が各々抱える悩みや過去が交錯しながら進むヒューマンストーリー。

    ボランティアを「助ける側と助けられる側を無意識に線引きしてる」とか、救われる側はしおらしく弱者であってほしいという無意識な考えとか等身大だけどリアルな視点や物の捉え方にひとつずつ共感できる。善意には善意で返すという無自覚に信じているところとかハッとさせられる考え方を言語化してくれる一冊だった。

    「この子は困難な立場にいるというだけで、私と隔たった世界にいるのではない。かっこ

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    2026年02月08日