角田光代のレビュー一覧
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書店で見かけて、裏表紙のあらすじを見たら面白そうだったので、買ってみた。
誰かを標的にして攻撃することで、仲良くなる人たちもいるけれど、その絆は薄っぺらいもので、いつしか自分たちも標的にされる。
そんな人付き合いに辟易している、2人の主人公。
1人は独身の女社長。もう1人は、子供を持つ主婦。
ふたりが仕事を通して出会い、大学が同じという共通点があり、初対面で一気に距離が縮む。
最近、失恋や友達と仲違いをして、心が疲れていたので、染みるお話だった。
もう失ってしまった絆は取り戻せないかもしれないけれど、その思い出と共にいまを生きていこうと思った。 -
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人生に対して、もういかほども抗うことができなくなり、諦念を持ってしまってからでさえも、人はふりかえり、あのときあんなことしなければ、とか、ここをこうしとけば、とか、そんな生産性のないことをついつい考えてしまうものだと思います。
『当たり前の、普通の、平凡な人生を送ってくればよかった。なんのことはないそれが一番だったんだ』
僕はふりかえってそんなふうに
思ったりするんです。
『平凡』ってなかなかに
難しくないですか?
『平凡に生きてる』って
案外非凡なことなのかもしれません。
『平凡』って幸せと同義なのではないだろうか、と還暦をこえてからそう思うようになりました。
当たり前に日々を健康で過ご -
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ネタバレ知られてないのが惜しいレベルで高評価な一冊。
あらすじはかつてボランティアに勤しんだ孫女のみのりと戦争に行き足と感情を失った祖父の清美と不登校気味な甥の陸が各々抱える悩みや過去が交錯しながら進むヒューマンストーリー。
ボランティアを「助ける側と助けられる側を無意識に線引きしてる」とか、救われる側はしおらしく弱者であってほしいという無意識な考えとか等身大だけどリアルな視点や物の捉え方にひとつずつ共感できる。善意には善意で返すという無自覚に信じているところとかハッとさせられる考え方を言語化してくれる一冊だった。
「この子は困難な立場にいるというだけで、私と隔たった世界にいるのではない。かっこ -
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まだ字も書けないほどの小さな女の子が戦争のために家族から離れて疎開した。
家族からたくさん愛されてきた小さな妹。
両親の心配をよそに元気に疎開先へ出かけていく。
その後疎開先でどんどん元気をなくしていく様子が字のない葉書からありありと伝わってくる。
その変化に胸が締め付けられた。
どんなに心細く苦しかっただろう。
お母さんもお父さんも居ても立っても居られなかっただろう。
子どもたちの無邪気さ、健康、安全基地、時には命を奪ってしまう戦争の理不尽さをひしひしと感じた。なぜ人間はそんな愚かな行為に繰り返し走ってしまうのか。
小さな妹が無事に大きくなってよかった。
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最終巻ものすごく面白くてあっという間だった!!
特に蜻蛉→手習→夢浮橋の流れがドラマチックで、なんというか今風で…とにかく読みやすかった。
古典を読んでいるというよりエンターテインメントを楽しんでいる感覚
浮舟に憑いてた魔物が「1人目は取り殺した」って言うシーン怖すぎて鳥肌。大君の名前出さずに、でも読者には大君のことだとわかる、そういう昨今の漫画のような演出を1000年前からやってたのスゲエ…
源氏物語途中で作者変わってる説あるけど、たしかに宇治十帖(特にこの8巻に入っている浮舟以降)はテイストがかなり違うように思える。でも私は、創作している過程で書き方が変わったり書きたいものが変わったり筆が -
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最近エッセイが好きでよく読んでいるが、その中でもこの本は、とくに五感を刺激してくれるエッセイだと感じた。
これまで食にまつわる小説やエッセイをいくつか読んできたが、どちらかといえば小難しかったり、手間暇のかかる料理が多かったりして、自分からは遠い世界、額縁の中に飾られた芸術を鑑賞するような感覚があった。
それと比べると、この本はもっと身近で、読んでいるあいだ、いままさに手元で同じ情景を見て、味わっているような感覚を呼び起こしてくれる一冊だった。
言葉選びや文章のリズムが心地よく、踊るように楽しんで書かれているのが伝わってくる。きっと話すときも、わくわくしながら嬉しそうに語る人なのだろう、と -
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主人公のみのりの語り口が、過去に遡る時と、現代の時とあって、その構成が面白く、みのりの考えがよく伝わった。
最近読んだ、善良と傲慢や、何者、正欲などとは違い、登場人物一人一人に共感できるところや、何か近しいものが感じられた。その人物描写が素敵だと思った。
みのりの祖父についての文章が間に挟まっているが、これはみのりの甥の陸が書いたものであると言うのが素敵だと思った。
みのりの祖父が、戦争での経験を通して新しい挑戦や感情を放棄してしまった気持ちもよく理解できる構成になっており、世界で起きる惨事から目を背けてもいいんだよというメッセージがある。
みのりの夫の性格も素敵だと思った。先行き不透明でも悲 -
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ネタバレ虐待事件の補助裁判員という主人公の役割を通して、主人公や周りを取り巻く人々の心情などが語られていく。
子供ができる前に思い描いたようには仕事と育児の両立ができない、働けない、社会からも孤立せざるを得ない状況になり、全てが初めての子育てについて「人と比べずに」と正論を向けられたところで、私は間違ってない?どれが正解?と向かう先のない思いが消化不良を起こし、モヤモヤは自分の中に募っていく。
夫(嫁に対して)→いつも穏やかにいてほしい、情緒の浮き沈みに対応するのは面倒くさい、社会進出なんてどうでもいい、家さえうまく回してくれればいい、家の事以外で面倒な事をかかえてほしくない、問題に向き合わない