角田光代のレビュー一覧
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キラキラした時代を引きずりながら、30代の今を悶々と生きる3人の女性たち。
仲良し3人組のはずだけど、みんなそれぞれ他人に対する思いがあって、3人それぞれの思いも分かって(読んでると)、それがすごくいいなと思った。
3人とも流されながら、時に無茶苦茶に生きてるんだけど、最後の最後で言葉を超えたところで分かってしまうのが良いよね。
三者三様の生き方や思っていることに、ああ、これは小説でしか描けないよなぁと思いながら、一気に読んだ。
あとがきに、これはずっと忘れられていた小説で、時が経ってしまってもう自分には直せないと思ったと書いていた作者に好感を持った。
自分には、キャラクターが自由に動いたと -
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「明日も一日きみを見てる」の前作ということで、トトちゃんとの出会いからチビちゃんの時代のエピソード。
特に印象的だったのは、トトちゃんと出会う前と後で自分が変わったというエピソード。私も愛猫を迎えてから同じような変化を実感しているので、とても共感できる内容だった。
「猫は、全世界の猫となるのである。ノンフィクションの現在ばかりではなく、過去未来フィクションまで含む、全世界だ。一匹の猫によって、私たちは、全世界の猫の幸福を祈るに至る。たかだか一匹の猫なのに、その威力は、ものすごいのだなあとあらためて思う。」
まさにその通りで、一匹の愛猫を慈しむ気持ちが、いつの間にか世界中の猫たちへの深い愛 -
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今のZ世代は何不自由なく生活出来ている人が多いように感じる。その何気ない生活が、どんな想いで紡がれてきたものか垣間見ることができた。正直、先祖にたいしてなんとなくの敬いはあったが、具体的に敬うことはしていなかった。今の幸せを作ってくれた先祖、そして両親にもっと感謝して過ごしていきたい。
また、逃げることの大切について。
そのときは確かに恥ずかしさを伴う行為かもしれない。しかし、疑問を感じることに対して命がなくなるまで戦い続けるのもどうかと思う。だから、一旦逃げ、そして未来を頑張って生きて、逃げた過去に意味を持たせる。そうすることが重要なのかな。 -
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撚り合わせた糸のような作品だと思った。
みのりの現在、みのりの学生時代、清美の話、それぞれが層のように重なるのではなく、糸のように撚り合わさって最後のシーンに集約されていったと思う。
すべての描写に無駄がなくて圧倒された。
小説にここまで付箋付けて読んだのははじめてで、とにかく「ここ、覚えておきたい」「このシーンも後で読み返したい」のオンパレードだった。
それは、私がみのりのように「何かしたほうがいいとは思ってるけど、なにもできない」と感じているからかもしれない。
世界はきれいでもなければ、絶対的な正義も存在しない。目を背けたくなる現実ばかりだし、知らない方がよかったとも思うことがあふれ -
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「帰りたいよぅ」
祖父が死んだあと、祖母が子供のような声で言った。ここから、中華料理店を営む親子三代の“根っこ”を探す旅が始まる。
祖父母は自分が生まれた時から“おじいちゃん、おばあちゃん”であり、両親は“父さん母さん”で、性の意識すら無い。
でも、間違いなく男女であり、自分と同じ年齢を経て今に至る。
人生は“簡易宿泊所”のようだ。
なぜここにいるのか、いつまでいるのか、ここを出てどこへいくのか……
「だってあんた、もし、なんてないんだよ。後悔したってそれ以外にないんだよ、なにも……」
その言葉は妙に重い。
「翡翠飯店」は世紀を超えて紡いでいく。
根など無くても紡ぎ続けることはできる。 -
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角田さんも穂村さんも大好きで興味を持った本。
角田さんは女性として、穂村さんは男性としての意見を交互にやりとりして進んでいく。
こういう女性が多いかもしれないけど自分は違うとか、もてる男性はこうだが自分にはできないとかいう話題も出てきて、男女の違いを紐解くという面白さももちろんあるけど、ただ角田さんと穂村さんが恋愛観について意見を交わし合うという意味でもすごく興味深かった。
特に印象に残ったのは次の二つ。
一つ目は、「もてる」というのは対人的な「スペース」、つまり「隙」が関係しているのでは?という考察。
隙、確かに大事だよなぁ、わかるわかる。
学生の頃からもてるのは、狙った獲物は逃さない -
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小さな子供を持つ専業主婦の里沙子が、乳幼児殺害事件の裁判員裁判に関わっていくことから始まる物語。
裁判員裁判を身近に感じることがなかったので、詳細な記述に私も参加しているような感覚になった。
同時に母親であれば体験したことがあるだろう感情を、今まさに体験していたり、距離を持って振り返って眺めていたり、複雑な感情が入り混じる様子がとても丁寧に描かれている。
そして、水穂という娘を殺めて裁判に立っている女性の裁判員裁判が進むのと同じようにに、里沙子は大きく揺らされながら、自分自身をゆっくり振り返っていく。
不器用で少し頑固、人との距離がやや長めの里沙子だが、その感情や思考、言動がどのようにし