夕木春央のレビュー一覧
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島で課される“十戒”の重さに翻弄される3日間。設定の大胆さに戸惑いつつも、心理の揺れに引き込まれる一冊でした。
浪人中の里英が孤島を訪れ、関係者たちと共にずるずると閉じ込められてしまう展開は、前作『方舟』を思い出す始まり方でした。今回も「そんな都合よく条件が揃う?」と突っ込みながら読み進めたのですが、その“整いすぎた舞台”が心理戦の装置として働いていくのが妙にクセになります。
犯人を探してはいけないという縛りは、日常でも言いたいことを飲み込んでしまう場面の延長線上にあるようで、読んでいて気持ちが重くなる瞬間もありました。一方で、登場人物のうち幾人かは賑やかし的な役割に寄ってしまい、早々に候補から外れてしまったのが少し惜しく感じました。結果が多少強引でもよいので、もう少し“怪しさ”を漂わせてほしかったところです。
さらに、限られた時間と材料で本当にあそこまで組み立てられるのかと疑問が浮かぶ場面もあり、島内の構造が少し把握しづらいこともあって、物理的な整合性を考えたくなるところがいくつかありました。そんな中、特に根拠もなく「この人では?」と思った予想が偶然当たり、逆に実現性が気になったのですが、終盤の展開でその疑念ごと吹き飛ばされました。
物理的な仕掛けよりも、“事実と真実のズレ”に焦点が移っていく構成が印象的で、読後の余韻が長く残ります。そして、作中で少し釈然としなかった点が、あとがきで補完される形になり、理解が一段深まりました。今回の評価は☆4です。 -
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なんじゃこりゃぁ!
『方舟』『十戒』の夕木春央がまたやってくれた。今回の『楽園』 は『誰か1人を殺さなければならない』だ。
両親を亡くした康之は不動産の管理人として住人たちと関わっていくが、そのうちの1人の海原さんというおばさんが失踪した。
海原さんを探っていくうち、なんとなく気になる場所があったので、彼女の沙織と一緒に訪れることに。
そこは、6人の犯罪者たちが住む『楽園』だった。
そこに監禁されてしまった康之たちは、そこから出て行く唯一の方法を提示される。それは『誰か1人を殺さなければならない』だった。
困惑する康之たち。そんな中、1人目の殺人が起こる。そして2人目。
犯人は誰なのか。状況証拠は彼女がやったことを示していた。果たして犯人は彼女なのか。そんな疑問を感じながら、康之は犯人探しに乗り出す。
内容に反して軽いタッチで描かれているが、ミステリとしては充分に面白く、まさかと驚く結末が待っている。いやぁ、面白かった。物語の内容よりも、私が康之だったらどういう判断をするか、解答を迫られている気がした。 -
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ネタバレ【あらすじ】
殺人犯にならなければ脱出できない。
『方舟』『十戒』の著者が仕掛ける“禁忌の驚き”
亡き両親から不動産を譲り受けた康之は、失踪した賃借人・海原の遺留品整理の際に、群馬の山奥の謎の物件の存在を知る。そこは、切り立った岩壁に囲まれた、「楽園」と呼ばれる奇妙な場所だった。恋人の沙織と一緒にそこを訪ね、探索をはじめた康之たちは、すぐに六人の“住人”に拿捕された。脱出のための条件はーー
「誰か一人を殺さなければならない」
【個人的な感想】
書いた人を見ずに読んでも、夕木春央さんの作品って分かる内容だった。
最後の最後に読者もろとも絶望させる終わり方も、とことん打ちのめしてくる感じももはや清々しかった。 -
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ネタバレノックスの十戒と無関係ながら2つ戒律を犯している
(参考①犯人は最初に登場②超常能力禁止③秘密の部屋通路は1つまで(許すんかい!)④未知の毒・メカ禁止⑤中国人禁止⑥偶然禁止⑦探偵が犯人禁止⑧探偵は手がかり隠すの禁止⑨ワトソン役は思考隠すの禁止⑩双子禁止)
中森明菜の十戒「発破かけたげる、さあカタつけてよ」的な作品、無尽島にテロリスト(?)の爆弾が大量にあるのを知らずリゾート開発で9人が乗り込み爆弾を見つけるが①通報せずに一泊②最初の殺人の後「犯人の命令⇨十戒」で3日泊まる事に・・・
困った「犯人だけ」見当ついた(正解w)
『方舟』と同じく、異常な状況下での連続殺人を軸に据え、倫理や生存の論理を歪ませる、前作が「誰か一人を犠牲にすれば助かる」という物理的・倫理的限界だったのに対し、本作は「犯人を知ろうとしてはならない」という精神的・ルール上の限界(違反=爆死)どちらも「都合の良い条件」が過剰で、ミステリとしての遊びを成立させるために設定が先に立つ印象しかない、が、作者の仕掛けはひとつ解った、が作者は卑怯で異常だ -
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無人島のクローズドサークル、島に隠された大量の爆薬、逃れられない中で起こる殺人、そして残る8人に架せられる『十戒』。
「犯人を探そうとしてはならない。」という異色のミステリー!
結論、面白かったです。
が、皆さんの言うように「方舟」の方のが良かったですね。
ミステリーなのに犯人を探そうとしてはならない、って中々新鮮でしたね。『十戒』を破れば島ごと爆破されてしまうかもしれないので皆ヘタなことはせず、犯人にただ従い続ける。
主人公(語り手)は学生。でも別にそんな推理もせず、疑問に思ってもあまり口に出さない。この作者さんは探偵役を脇役にさせがちだね。
今回も探偵役はいるけど、推理が披露されるのはかなり終盤なのでそこまでは淡々とした展開が多い。
ラストの展開は「やっぱりなぁ」といった感じだったけど、誤魔化すためのトリックが(相変わらずご都合主義MAXだけど)面白かった。
そして最後の最後の台詞に既視感。
あれ?…どこかで…。おぉー!となりました。
面白いですね。
相変わらず夕木先生の本はサクサク読めるのでミステリー初心者にもオススメできます。
ただ、爆弾については結局有耶無耶にされるので真相を知りたかったかなぁ。あの設定のために爆弾が雑に置かれてる感じが否めなくて。
しかし、総合して面白かったです。
楽園も読みたくなりました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった〜!!!!!
個人的にトリック?というよりは人間の感情とか行動の経過がとてもおもしろかったです。
方舟と繋がってると聞いて、「え?どこだ??」って思ったら…そういうことか!!!!
綾川さんがマイなんですね。
そう思って改めて考えてみたら…綾川さんのセリフひとつひとつが重みを増しました。
勝手に好きなって期待してがっかりした人物って、方舟の彼だよね。
そう思うと、やっと期待した通りの自分のことを裏切らない人物に出会えたんだなって。
でも、これから先もリエちゃんが裏切らないかどうかずっと疑い続けないといけないと思うと、綾川さんの人生しんどいよな〜と思った。
でも、もうすでに方舟で何人も見殺しにしてるじゃないですか。
彼女は一体どれだけの負荷を自分に課すんだろう…
いや〜本当におもしろかった。