夕木春央のレビュー一覧
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大正時代が舞台のミステリ。
夕木春央は方舟も十戒も好きだけどこちらのデビューシリーズは舞台設定にしり込みして(現代ものが好き)手を出さずにいたのをようやく買いました。
おもしろかった!
現代ものはゴリゴリのロジックのうつくしさが売りでキャラクターにはそこまで労力を割いていない印象だが、こちらはキャラクターが生き生きと、また作家の好みだろうが舞台設定も楽しげに書かれ活かされていて良い。ミステリとしてもおもしろく、そこそこの長さの中、散らばり広がり続けるだけだった謎が一気に収束して物悲しさと哀れさが浮き上がるラストがなんとも言えない。
女性キャラクターたちが魅力的なので今後のシリーズでも活躍す -
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話題だから読んでみよう、「方舟」の人だし、と思ったらシリーズもので失敗!『絞首商會』『サーカスから来た執達吏』『時計泥棒と悪人たち』油絵画家・井口と元泥棒の蓮野の大正ミステリシリーズの系譜でした。登場人物を知ってないと、あれ?これ誰だっけ?と、余計なところで話を読むのが詰まっちゃいます。前作のエピソードとか出てくるし。せっかくキャラ立ちが良い話なのに楽しめなくてもったいなかったなぁ。肝心の内容ですが、画家の井口は高額で購入しようとした絵に、同じ絵がアメリカにあったと言われ買取を保留されます。ほとんど誰にも見せていない絵なのになぜ?それと並行して仲間内でサロメに見立てた連続殺人が。477ページの
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ネタバレ面白かった!夕木春央さんの作品は『方舟』に続いて2作目だが、どちらも最後の謎解きシーンが鮮やか。『方舟』は割と一直線で進み一撃で仕留める構成に対し、本作は謎が多すぎて一体何が起こっているのかわからないまま読み進めた。しかしあらゆる謎が太い一本の紐のように収斂していくのが気持ちよく、視界が晴れていくようだった。こちらの方が個人的には好み。
また、「探偵」という役割の欺瞞や無責任さが繰り返されていたことが印象に残っている。蓮野は仕方なく巻き込まれる形で探偵役を引き受けることになるが、真実を突きつけ糾弾するわけではない。あくまでも傍観者である。つじつまを合わせるのは真実を知った当事者である。その -
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最近勢いのある豪華なメンバーによる有栖川アンソロジー。めっちゃ期待して読み始め、そして期待通りの内容だった!
個人的にはやっぱアリスシリーズが好きなので、青崎さんと今村さんの話がたのしかった。
青崎さんのは有栖川先生も後書きで述べてたけど、先生本人が書いた?と言うくらい文体や、有栖と火村と台詞回し、事件の起こり方や解決の仕方、流れが完璧で、正直有栖川先生の短編より良かったかも…笑
真相が1番気になったのは夕木さん。
読む前はぜんぶ勝手に作家アリスシリーズを題材にしてるんだと思ってたけど中身は各作家さんそれぞれ個性が出て、でも有栖川先生へのリスペクトやメッセージが入ってて、これは読者はもちろ -
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「だから捨ててといったのに」から全ての物語が始まる短編集。作者によって「何を捨ててと言ったのか」を読むのが楽しいですね。昔星新一の「ノックの音が」を読んだときのようなワクワク感があります。普段あまり本を読んでいないので、この手のタイプの短編アンソロジーはいろんな作者さんの作品を一冊でたくさん読めるのが本当にありがたいです。多分読書家の方なら、作者を伏せても「この話はこの人が書いたのかな」と分かるのかもしれないなと思いました。そういう楽しみ方をしても良いのかも。
真下みこと「お守り代わり」
五十嵐律人「累犯家族」
芦沢央「久闊を叙す」
多崎礼「海に還る」
谷絹茉優「猟妻」
こちらの5編が特に好き -
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ネタバレ「サロメの断頭台」を先に読んだのでシリーズ1作目の本作を遡り読んでみた。
気になっていた、井口夫婦や蓮野、峯子らの人物像が深堀出来たことは勿論良かったが、作品自体もなかなか良い。冗漫な前中半を読んでいる時は「あぁ、デビュー作なんで慣れてないんだろうなぁ、しかし長い…」と思っていたのだが、後半、その冗漫な伏線がつながっていく。所謂トリック構成も良いのだが、そのつなげ方が一ひねりあって(詳しくは書けないが、犯人捜しを逆手にとってそう来るかって感じ)面白い。
話題作方舟とはまた違ったウェット感があるが、このシリーズもまたくせになりそう -
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