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Posted by ブクログ
井口・蓮野シリーズでいちばん好き。
この物語に限らず、夕木作品はロジックの組み立てとその提示・開示が鮮やかで大好きなんですが、今作は複数の事件が絡み合ってて、AとBの関係、BとCの関係、AとCの関係⋯って感じでこんがらがっちゃいそうなのに、蓮野が説明し始めるとすーっと理解できるようになるの、本当に凄い筆力だと思います。
大体いつも解決編は井口と同じタイミングで(そうだったのか…!!)って思って読んでるのですが、今作では井口よりほんのちょっと先に謎の一部に気づくことができたので嬉しかったです。
シリーズが進むごとに強くなっていく紗江子さんも好きだし、大人の女性になりつつあって将来に思い悩む峯子ちゃんが健気だし、何と言っても今作は大月の登場シーンが多くて個人的に大満足!
なんか憎めなくて好きなんですよね、大月。
(私の中の大月は柄本時生さんのイメージ。ちなみに井口は岡山天音さん、蓮野は岡田将生さん)
分厚くてちょっと勇気いったけど、後半の疾走感と読後の満足感が半端ないので、もし積んでる方がいたら早く読んでみてほしいです。
Posted by ブクログ
「絞首商会」「時計泥棒と悪人たち」に登場する、盗人の経歴を持つ端正な顔立ちをした蓮野と絵描きの井口の2人を取り巻く事件を描いた話。井口の絵が盗作され、盗作犯を追求するうちに巻き起こる殺人事件。果たして盗作犯、それに殺人犯は誰なのか…?というストーリー。おそらく時系列的には「時計泥棒と悪人たち」の後の時間軸。
いや、すごい結末だった。この人は残酷な描写が上手い。
推理で次々と真相がわかっていく様子、登場人物の心情描写、やりきれなさ、全部ひっくるめて面白かった。
やっぱり作品を読み進める毎に大月を好きになるし、井口の奥方も味があって良い。峯子の役割もかなり重要だった。
全部読み終わったあと、序章を読み返して物悲しさを感じた。真相がすべてわかってもすっきりしない、あとを引く感じがするがそれがこの作品の良さなのだと思う。
面白かった。
Posted by ブクログ
大正時代の画家の盗作事件から始まる『サロメ』を彷彿とさせる殺人事件。
元泥棒という探偵をしない探偵役など、登場人物のキャラクターは強いし、何と言っても多い。
中盤では画家の井口が見当違いの、と言ったら失礼か。
ここで推理するのは早いだろ、っていう長い推考が多かったりで、読むのがキツかった。
事件の回収劇はお見事で、繋げ方も感嘆しますが、もう少し短くできたのでは、と思ってしまう。
また蓮野とあやのなんとも劇的な両思いは、時代小説にありがちなのですが、
理解できないので、ないほうが良かったな。
ああいう探偵役は特にね。
-それでなお彼を所有することを望むのは、まるで、蓮野の生首を欲しがるようなことなのだ。
Posted by ブクログ
作者デビュー作『絞首商会』に連なる蓮野と井口のコンビによるシリーズ第3作。
本作では井口の世に出していない絵画が盗作されるという不可解な事態が発覚。井口が参加する画家の集まりのメンバーがその容疑者となるが、捜査の過程でその中に贋作しているものがいることが判明、さらにはメンバーが次々と殺されていき…という展開。盗作犯、贋作犯、しまいには殺人犯といった物騒な面々を交えた「画家人狼」とでも言うべき混沌とした展開に。
本作ではこれまでとは趣向を変えてもっぱら井口が蓮野不在のままに探偵活動を展開していくやにみえるが、やはりそこは終盤に真打ち登場とばかりに真相を見通した蓮野の名探偵ぶりが痺れる。そして、もう1人の探偵による「冷たい方程式」とも言うべき冷徹の論理とその実行というのが探偵物の根幹はあくまでも探偵の良心や倫理によってでしか保障されていないのだということを痛感させられる。
そして、ラストのこれまで淡々、飄々としていた蓮野の内面を垣間見せるようなある女性との関係性はハードボイルド的なかっこよさがある。
Posted by ブクログ
油絵画家の井口は、元泥棒の蓮野を通訳として連れ添い、祖父と縁のあったオランダの富豪•ロデウィック氏の来日を出迎えた。美術品収集家でもあるロデウィック氏は、アトリエで井口が描いた絵を見て、「そっくりな作品をアメリカで見た」と言う。未発表の絵を、誰がどうやって剽窃したのか?盗作犯を探すうちに、井口の芸術家仲間の贋作疑惑や戯曲『サロメ』に見立てた連続殺人が発生して…
盗作事件から端を発して、贋作事件及び見立て殺人に連鎖し、果ては冒頭に書かれた孤独な芸術家の自殺にリンクしていく、謎が謎に繋がっていく見せ方が上手い。
剽窃、瑕瑾、閨房など見慣れないワードが出てくるため読みやすくは無い(国語の勉強にはなる)。大正時代を舞台とした旧時代的雰囲気は「本格ミステリ」にマッチしていると思う。
キャラクターでは、井口の妻の紗江子と井口の画家仲間の大月が良い味出している。ピッチフォークを構える紗江子が目に浮かんで微笑ましいし、大月のデリカシーの無いセリフ回しが笑える。
やや冗長に感じる序盤〜中盤を越えた後の“解決編”は、提示された謎の数々がロジカルに紐解かれ、作者の真骨頂とも言っても良い“うすら寒さ”を禁じ得ない展開が待ち構えている。常軌を逸したホワイダニットに、目を背けたくなる衝撃的な罪と罰。オェー。
“元泥棒”で“美青年”で嘘を吐くことを病的に厭う癖のある蓮野が探偵役を担う。シリーズものとは知らずに読んだ。蓮野&井口の過去の出来事も気になるので、他のシリーズ作品にも手を出してみようかな。
本格ミステリ・ベスト10 6位
SRの会ミステリーベスト10 9位
《蓮野&井口シリーズ》
1.絞首商會
2.時計泥棒と悪人たち
3.サロメの断頭台
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