ブレイディみかこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者の文章を読むと、登場する人物たちに愛おしさを感じる場合も有れば、やり切れなさに堪らなくなることもある。
しかし、そのように見えてしまう一人一人の人生のかなりの部分は、政治によって左右されてしまうことが、イギリスの政策の変遷によって明らかにされる。特に子どもや外国人など弱いところに影響が大きい。
本書の題名に倣って言えば、『イキルコトハ、セイジデアル』ということになろうか。
そしてそれは、遠く離れたイギリスのことだけではなく、日本も徐々にそうした方向に向かいつつあるように思われる。
このように書くと本書は重苦しく思われかねないが、著者の文章はドライで読んでいてスッキリするし、笑 -
Posted by ブクログ
何年も前に途中まで読みかけて放置してた本(いくらなんでも放置しすぎだ)。2008~2010年と、4年間を隔てた2015~2016年で、同じイギリスの底辺託児所に起きた変化を、短くシャープな文章で伝える。
貧困なだけでなく暴力的でレイシストでさえある大人と子どもたちが、いかにめちゃくちゃであり人間的であるのかが、実に味わい深く描かれているのだが、生存を維持する食糧のレベルで暮らしが切り詰められてしまうと、その子どもたちの凶暴ささえもがパワーを失ってしまう。政府の補助が打ち切られるばかりでなく、これまで保育所の運営を支えてきた気持ちあるボランティアたちが関わる余裕を失ってしまい、保育所がただの食糧 -
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Posted by ブクログ
僕はイエローで…が良かったのでこちらも購入。
前回は子供の視点から英国の貧富の差、他民族、政治施策と生活の繋がりなど、とても面白かったので、今回は英国の保育と日本の保育の差を描いているのかな、と思ったら、保育については1章のみで、キャバクラの不払問題、ドヤ街の雰囲気、左翼について、貧困層が権利を主張できない文化、1億総中流が崩れていることに気がつかない状況と想像以上の思い内容でした。。。
考えさせられることは多く、筆者も現状だけでなく意見を述べてくれているのだが、章同士で繋がりがあったりなかったり、全体を通して繋がるものがなかったので、読見終わって、あれ?読みながら色々考えさせられたけど、何だ -
Posted by ブクログ
イギリスの教育は良い日本はダメばかり。
これだけ日本の教育批判してしまうと、共感したモンペが重箱つつきで教師を追い詰め、教師は全てルール化しないと身動き取れないようになるだけだと思う。
教育を良くしたいなら、まずは家庭での教育について議論されてはどうか。
現にそれだけ素敵な教育を受けれるイギリスが、ホームレス増加低所得者の現状、差別など随分日本より世知辛いのは何故か。
教師の肩を持つ気はないが、一生懸命な教師もたくさんいるだろうし、日本の教育の良い部分もたくさんと思う。
批判は簡単。
一つやり玉を作れば総攻撃してそのせいにしてれば簡単。 -
Posted by ブクログ
「僕はイエローで」の著者の対談本。
この方の本を読むと教育の大切さが身に染みる。
海外賛美をするわけでないが、イギリスの教育を知ると、日本はこのままで大丈夫なのかと絶望的な気持ちになる。
同調圧力、村社会というのはもちろんメリットもあるが、現代社会においてはデメリットの方が際立ってしまう。
自民党系の保守おじさん達が権力を握っている以上、あと数十年は変わらないのだと思う。
校則には全く意味がないというのは、私も子供の頃から感じていた。
スカートの丈が短いと目くじらを立てる教師たちは、もっと他に教えることがあるのではないかと。
あと、新卒一括採用の就活。
みんな横並びで同じことをするこの価 -
Posted by ブクログ
今やすっかり有名になった著者の最初期の文章を文庫化したもの。「底辺からのイギリス便り」といった趣の文章が多い。
著者が言うところの“底辺託児所“における子供たちやその親との付き合いを通して、「子どもの前には無限の希望と可能性が広がっている。なんて一般論は大ウソである。……大半は有限の希望と閉ざされた可能性の中で成長し、親と同じ階級の大人になっていくのだ、という殺伐とした現実がここにいると嫌というほどわかる。」と著者は実感する。
ワーキングクラスの更に下層のアンダークラスーその中には何代にもわたって生活保護で暮らしているような家族もいるーの子どもたち。彼ら彼女らと繰り広げられるドタバタは -
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Posted by ブクログ
ブレディみかこさん初読みです。
誰にも忖度せずに自分の考えをハッキリ言う人のようですね。
1年程前にヤマザキマリ「たちどまって考える」のレビューで、コロナ禍での危機管理能力が優れている政治家を挙げたのですが、同じ名前が本書の裏表紙に書いてありました。
おそらく多くの人がそのように感じたのだと思います。
なぜ、コロナ対応がうまくいっている国のトップに女性が多いのか?
その理由は明確でした。
答えは「政治的能力が優れている」から。
ブレディみかこさんの答えに納得です。
「どうすれば支持を下げないか」という保身のための計算が必要な国はダメです。
政府への信頼がある国、つまりトップが優秀な国が成 -
Posted by ブクログ
一読するにはいいかな。ただ時間が過ぎた時には必要なのかな。
イギリス在住の保育士が2015年日本へ取材滞在し書き上げる。労働者階級に棲み分けているという作者から見た日本の労働者、階級、政治、貧困や人権。
冷静な切り口は面白い。
また保育の話は色々比較されていて気付かされることが多かった。病児保育はそもそも必要か?弱った時は大切な人がそばにいるべきと考える英国と、たらい回しにされる病児の日本…
親の労働条件が改善されない限り子どもの状況も改善されない。
過酷な労働条件に慣れてしまった親は子どもの環境劣化に気づかない…
階級なんて存在しない、格差はあるが自分たちはみんな同質だと言い続けて