ブレイディみかこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2016年刊。書籍の題名と内容が結び付かなかったが、これは直ぐにわかる。英国保育士とは筆者の事で、日本人だが英国人と結婚し英国住まい。子供の養育環境の改善と養育の質の底上げが必須と判断した政策により英国で保育士資格を取った方。
内容は保育に限らず、年代・性別・障害の有無など別として、政策・経済からの影響の大きさや形、国政対応の様々な方針と結果。デモや施設見学やら体験やらインタビューやら、盛り沢山の中から様々な考察が成される。
意外と身近で見えている筈の物を見ていない自分が恥ずかしくなったり、やっぱ日本ってダメ?と思ったり、イヤイヤ全面的に駄目でもないよとか。色々知らなかった事、信じられないよう -
Posted by ブクログ
高校生の頃の私はイギリスの上流階級に憧れて、紅茶を嗜んだりしていたけど、歳をとるにつれて自分はワーキングクラスなんだなと嫌でも自覚している。
多くの日本人にとってイギリスは歴史と文化のある国で、旅行にしても住むにしてもいいんじゃないかな〜と漠然と思う場所になっているはずだ。
ブレイディみかこの本を読むと、イギリスには階級意識というものがしっかり根付いていて、地べたの人たちはそれは酷い暮らしをしてると言うことが思い知らされる。
でもその中でみんななんとかやっていて、毎日絶望しているわけではないけど、でもそんなに夢見る場所でもないという感じ
Bread and rosesってどこかで聞いた -
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読み終わった後
表紙の花に囲まれた少女が
金子文子さんなのだ
と しみじみ 見つめてしまいました
そして
帯文の「生きる主権は我にありー百年前にあった未来」
の一文を なぁるほどなぁ
と しみじみ 考えさせらました
少し前のイギリスの映画「未来を花束にして」(2015年)を当然のことながら思い起こしていました
そして、
金子文子、エミリー・デイヴィソン、マーガレット・スキニダー、の三人を こういう形で紡ぎ合わせて
綴っていく ブレディみかこさん に
あらためて たいしたものだなぁ
と 思いました
ちなみに
いま 並行して
「アレクシェーヴィチとの対話」を読んでいるのですが
なにか
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現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝 -
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買って2年ほど本棚で眠っていだ本。コロナ禍真っ最中の時に書かれたものだ。
どの国でも新自由主義のヤバさに気づき始めた現代に、日本だけが、自助が大事と言う。日本社会の遅れ具合がよくわかる。
イギリスと日本との違いが浮き彫りになる本。何が違うって、まずは市民の力。しかも演劇力が違うらしい。
若い黒人の男の子が酔って「フェミニズムはナンセンスだ、ファック・フェミニズム」とか叫んでいる時に、黒人のウーピー・ゴールドバーグみたいな恰幅のいい女性が腰に手を当てて、「黒人の命は大切だが、女性の命も大切」と説教した話で、イギリスには必ずそういう人が登場する、それは国民に演劇教育が下地にあるのではないか、と -
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ネタバレ100年前のパンクス。
金子文子、エミリー・デイヴィソン、マーガレット・スキニダー
3人が国を越えて共鳴しているような展開にワクワクしてくる。
そして、その呼びかけに時代を越えて誘われた著者のエッセンスも相まって、一世紀以上前の不条理や理不尽と戦い、自身の存在意義を示し通した女性たちの歴史を知れただけでなく、現代にも、現代だからこそ良くも悪くも響くことがたくさんあった。
【本文抜粋】
”金子文子の凄みは、書物で学ばなくとも、誰かにイデオロギーを教わらなくとも、経験と心情を通して思想を肉体で読解していくところだ。思想はストリートに落ちている。”
”道徳とは、強者が弱者を支配するためのツール -
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金子文子、エミリー・ディヴィソン、マーガレット・スキニダー、3人の女たちの生き様。
破壊力のある文章でえがかれた、まさに生き様。
章末の文章のキーワードが、次の章の初めに生かされていて、別の人の話なのに、まるで一つの話であるかのようだった。
エミリーが、馬のレースに飛び込んだ時の衝撃は、すごかった。それまでも壮絶な留置所生活を、送っていて、それでも立ち上がり前に向かう姿は、エネルギーそのものだと思った。
しかし、時代とはいえ昔の人はえげつないなと感じてしまった。このような時代を経て今の世界が存在する。今の私たちも未来のために、正しいことは正しいと思って生きていきたいと思った。 -
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前編『ジンセイハ、オンガクデアル』よりも政治・音楽の話がさらにひとつながりのように感じられて、それだけ音楽と政治は切っても切れないというか、良くも悪くもお互いの要素を含んでいるんだなと感じた。
この作品に限ったことではないし、宣伝で謳われてもいることだけど、著者の作品を読むたびに日本と英国の共通点が増してきて、時代の前後が違うだけで対岸の火事ではないような感覚が芽生えてくる。
英国の音楽や政治のバックボーンを詳しく知らないから理解の深さや繋がりへの鮮烈さを十分に感じられていないところもあるけれども、それらを抜きにしても伝わってくる、音楽と政治を飛び越えた人生や人間に対する普遍性が存分にある -
Posted by ブクログ
知らなかった一面とより鋭い切れ味。
自分にあまり馴染みがないってのもあるけど、第2章の海外を中心とした映画・本・音楽の評は、今までの作品では深く知ることはできなかった、著者のそれらの分野に対する造詣の深さというか、作品の深掘りの仕方や他の事象へとの結びつけ方が見事だった。むしろ本来はこっちが本当の姿なのかもしれないけど。
順番逆になったけど、第1章の「底辺託児所」編は、昔の文章ってこともあるけど、さらに遠慮のない文章というか、何も着せなず抜き身のまま綴っている感じがして面白かった。それは著者の日常世界に、オブラートに包めないハードさが至る所にあるからだろうけど。
そしてその紛れもない現実か -
Posted by ブクログ
ネタバレ前半のエッセイがとにかく良かった。
英国ブライトンの空気感まで伝わってきそうなディテール。人々がどんな風に生活しているのか頭に描いて楽しんだ。
特に「底辺託児所」と著者が呼んでいる無料託児所で働く日々は、自由すぎて暴力的な個性を持った幼児たちにどんどん愛着が湧いていった。良くも悪くも日本でこんな光景は見ないか、例が少ないのではないかな。
著者は子ども嫌いだったとのことだが、一人の人間対人間として接しているように見える。まだ危なっかしい幼児ばかりではあるが、あくまで一人の人間として尊重する姿勢が正しいと思う。著者に預けられた子どもたちが、どんな風に成長していったのか。その後もきっと強く生きている -
Posted by ブクログ
音楽と政治の関連性については古くから言及されている。そもそも音楽、特にロックとは政治的なモノであるからだ。
著者は特にパンク以降のイギリスのロックから強く影響を受けており、音楽のみならず思想も濃く反映されている。その切り口が素晴らしい。
階級に対して疑問を唱えることはパンクの根源的意義であり、脈々と受け継がれてきた強い意志である。
リアルタイムでイギリスとイギリスの音楽を観てきた著者が放つ言葉はユーモアかつシニックで小気味いい。
ビートルズを始め、ピストルズ、スミス、ローゼズ、オアシス全てアイルランド移民のフロントマンが率いていることはイギリスという国の素晴らしさであり同時に闇でもある。