ブレイディみかこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の著者ブレイディみかこさんのエッセイ集。
良い意味でかなり弾けまくっている。
一つ一つが6〜7ページで完結しており読み易い。
ケンジントン辺りの、所謂表向きのロンドンしか知らなかったけれど、もっともっとディープな、リアルなロンドンの生活実態が露呈していた。
ブレイディみかこさんの15年以上前のブログなどを寄せ集めたエッセイなので、文体もくだけていたり、会話口調のような面もちらほらあり、著者の人物像がはっきり分かる。とても面白い人だという印象。
小さな衝撃を得るストーリーもあるが、どんな輝かしく見える国も実際こんなもんなんだろうなぁと読み耽る。
ワーキングクラス・キッズ
アイリッシュ・ブラッド
精神高揚剤としてのミュージック
オーヴァー・ザ・レインボウ
LOVEとFANCYのあいだ
限りなくどどめ色に近いグレー
上昇しない螺旋階段の怪 -
Posted by ブクログ
英国在住のライター・コラムニストブレイディみかこと、慶座学者の松尾匡、社会学者の北田暁大による、左派視点での経済談義。
本書を読むまでは、緊縮財政はしょうがないよね~、プライマリーバランスは大事だよね~、などをうすぼんやりと信じていたが、本書を読んでそれらが必ずしも正しくないことを知った。
学者2名の知識量が膨大なため、ときどき言っていることについていけなくなったが、それを差し引いても再分配と経済成長は対立しない、や左派、右派という視点だけでなく、上か下かのの視点を忘れてはいけない、等の提言は非常に腹落ちした。
本書の著者たちと、右派経済の論客の人たちで討論し、それぞれの主張とそれらに対する反論をまとめてみたら日本の経済のこれからの指針になるように思うので、ぜひどこかの出版社が企画、出版してくれないかな~。 -
Posted by ブクログ
第Ⅰ部 地べたから見たブレグジットの「その後」
ブレグジット決定及びその前後についての概要。ブレグジットを思い返す時に参考になるであろう、コンパクトにまとまった導入部。
第Ⅱ部 労働者階級とはどんな人たちなのか
タイトル通り、イギリスの労働者階級についてのレポート。特に著者(元々は著者の夫)の友人達6人へのインタビューはこの本の白眉だと思う。
第Ⅲ部 英国労働者階級の100年
オックスフォード大学の歴史学者セリーナ・トッドの著書『ザ・ピープル イギリス労働者階級の盛衰』(みすず書房)のダイジェスト版。労働者、と言うより、労働党の100年を追ったもの。分かり安くまとまっているとは思うが、1945年のピープルの革命を至上とし、労働党左派(と言う表現があるのか分からないが、日本でのかつての社会党左派の様な感じか?)に与する記載にやや偏りは感じる。
ブレイディみかこの著書を他にも読んでみたくなった。
READING STYLE あべのにて購入。 -
Posted by ブクログ
『ブレイディみかこ幻のデビュー作』と文庫版の帯に書かれている。
たしかにオリジナル版が出た後、版元が倒産したというところを踏まえると幻なのではあるが、文庫版、相当おもしろい。「ぼくはイエローで…」からすっかりはまってしまったわけで、いろいろ読み続けているのだが原点に回帰できてよかったという印象、なるほど十数年前だからこそ、なのか、パンクな口調がキレキレで、文庫版まえがき、にもあるが「若書き」という表現で荒々しくて生々しくて、おもしろい。
このあたりの考え方・感じ方があって、後々、親となったり保育士となったり、緊縮財政への提言があったりしていくんだな、と。 まぁ、飲んだくれとしては、飲んだくれている内容での書きっぷりにおもわず笑ってしまっているのもある。 幻のデビュー作という考え方を踏まえながら「後日談」として文庫版で追加された解説なども面白い。 ブレイディみかこ節のベースとなる部分を抑えるとともに、文庫版特有の面白さもあるエッセー集。
今回は、解説から抜粋
=======
P303
もともと本書は、2005年に碧天舎から出版されたもので、ブレイディさんにとっては初の単行本になる。エッセイ集だ。今回のは、それに未収録エッセイとかかきおろし原稿をくわえて文庫化したものだ。しかし、ちょっとまえの文章というのはいいもんで、ほんとうに三十代のころの荒々しい、そして繊細なブレイディさんの心がむきだしのまんまあらわれている。じゃあ、その心はというと一目瞭然である。パンクだ、セックス・ピストルズだ、ノーフューチャーだ。
======= -
Posted by ブクログ
勉強になった。 まさに勉強になった、という本。 現在の英国を理解するには、すごく大切な本。
「僕はイエローで…」からひかれてすっかりはまってしまったみかこさんなのですが、なるほどなるほど、パンクな生きざまと明確な主張、そして社会起業家的に社会を変えようと行動していらっしゃる方、というそんな中で、さらに勉強家?というか研究者?というか、なるほどなるほど、やはり自分の考え方のベースで共感できる点が多く大好きな著者である。
これまでの英国保育士とか、自らの労働者環境(今回は「ワイルドサイド…」で出てきたメンバーへのEU離脱投票に対するヒアリングもあった)という「地べた」の感覚から反緊縮に対する明確な主張と、それに加えて100年の労働者階級の歴史を棚下すという手法を用いて検証していく方法、本当に勉強になりました。
今回の抜粋はまえがきから。
=======
P5
実際、家族も、知り合いもない異国の地に一人でやってきて、仕事を見つけたり、出産したり、育児したりしながら生活していくのだから、それは困ったことや途方にくれることの連続であり、そういうときに私を助けてくれたのは、近所の人々であり、配偶者の友人たちやそのパートナーたちのサポートの輪だった。彼ら無くして現在のわたしはいないと言ってもいい。わたしが生まれ育った国の人々と比べると、なんだかんだ言っても彼らはとても寛容で、多様性慣れした国民だと切実に感じていた。
ところが、である。
(中略)
「ダーリンは離脱派」、などとふざけたことを言っている場合かどうかは別にしても、そもそもわたしの配偶者自身が離脱に入れた労働者の一人だった。これまでは「労働党支持」という点で、大まかには同じ政治的考えを持っていたわたしたち夫婦が、真逆の投票を行ったのは、EU離脱投票が初めてのことだった。
(中略)
そんなわけで、よく理解できない事柄に出会ったときに人類がせねばならないことを、いまこそわたしもしなければならない、と思った。勉強である。
英国の労働者階級はなぜEU離脱票を投じたのか、そもそも彼らはどういう人々なのか、彼らはいま本当に政治の鍵を握るクラスタになっているのか、どのような歴史を辿って現在の労働者階級が形成されているのかー。学習することはたくさんあった。この本は、その学習の記録である。
(中略)
このように、本書は、英国在住のライターが、EU離脱票で起きたことを契機として、配偶者を含めた自分を取り巻く労働者階級の人々のことを理解するために、まじめに勉強したことの覚書といえる。
======= -
Posted by ブクログ
経済、つまりどうやって食べていくか、がまず大事なことなのだということを考えさせてくれる。グラスルーツとか地べたというけどさ、理念うんぬんよりもまず食べていく不安をどうするのか。ナチスが支持率では決して高いわけじゃなかったにもかかわらず、強くなったのは、食べていくことへの不安になんとかしてくれるという信頼を勝ち得たからだ、という。そしてそれは現代においても、見られる話でね。
右とか左とかわかんないけど、面白かったな。自分が右か左かなんて、わかんないし、どうでもいい。ただ、生活していかなくてはいけない以上、いろいろ考えることは必要だよな。
ふだん見過ごされているような人たちに対して、何を求めているのかを聞いていくことが出発点になるんだ、というのは政治にかぎらず、あらゆる仕事、社会的な存在にとって必要なことだと思った。日本企業の凋落なんて、消費者は何を求めているのか、そこを忘れたからだよね、なんてさ。もちろん、自分自身にも言える話かもしんないんだけど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2016年6月24日、イギリスはEU離脱投票で離脱派が勝利、
先日EUからイギリスが正式に離脱(ブレグジット=
Brexit)したところで読んでみました。
イギリスでは現在、白人労働者階級という立ち位置に
いる人々がマイノリティになっている。白人なら
人種差別もないから自力で上がれ、といわれるためである。
第1章はイギリスにおけるブレグジットについての
簡単な説明と残留派と離脱派の女性がそれぞれの家庭を
取り替えるというイギリスのテレビ番組の放送内容を
紹介している。
第2章は著者の身近な労働者階級の人々のインタビューと
ニュー・マイノリティーの説明、第3章は労働者階級の
100年の歴史が書かれている。
やはりいきなり離脱、というわけではなく積み重なった
ものがあった結果の離脱、ということで興味深く
読めました。さらにイギリス人は政治については
市井の人々でもしっかり政治について意見を持って
インタビューを受けることができるんだなと自己反省しました。