ブレイディみかこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
谷川さんがブレイディさんの手紙に応えていないという指摘を第三者から受けていたのはちょっと笑った。
あと人間は体があるから飢えや貧困が発生して苦しい、体を無くしてデータ化することで争いを無くししあわせになれるという考え方が英国の若者の間で流行っているとのことで、かなり極端で宗教っぽいな…と驚きました。
音楽を聴いている時など、自分がこの世から少し離れた感覚になるのを「その世」と表現している。
「あの」「この」は英訳できないけど「その」はできない(あのと同じthatになるか、別の表現になる)。
日本語の複雑さ、寛容さ…言葉について考えさせられました。
普段詩に触れることが無いのでよい感覚を味 -
Posted by ブクログ
ネタバレ金子文子さんの少女時代と、現代のイギリスを生きるミアの生活が絶妙にリンクして、時代や国が変わっても、貧困や無責任な大人の下で苦しむのはいつも子供達であるということは変わらないのだとあらためて思う。
ふたりの少女の話が交互に進むのでミアの感情が分かりやすかった。
逃げ惑いながらも弟を守ろうとするミアの姿に胸が苦しくなった。
それは驚くべきことだった。そこにあるのはNOではなく、YESだったからだ。
ここにあった世界には存在しなかった言葉が、ここにある世界には存在し始めている。
ミアはゆっくりとあたりを見回した。
私の、私たちの、世界はここにある。 -
Posted by ブクログ
どのエッセイも4ページ前後で書かれており、内容もすごく読みやすい。
コロナ禍での英国の様子がよく分かる。
コロナ禍の英国のロックダウンは日本よりも、厳しくてしんどかったんだろうなと思った。ただ、私もコロナの引きこもり生活が身体に合わず、仕事ばっかりして鬱病を発症したのがまだ記憶に新しいので、個人的に他人のコロナしんどい体験を楽しく読めるようになるには、もう少し時間がかかりそうだなと思った。
特に今の自分に刺さったのは、『「そんなものだ」ホラー』というエッセイ。
「「そんなものだ」がホラーである所以は、状況を前向きに捉えて自分を納得させているうち、その状況を前向きに捉えられない人々の声を -
Posted by ブクログ
2025年3冊目。
去年12月に買ってた本。インスタの書評に惹かれて買ってみた。
にしてもこれ難しいな笑
「他者の靴を履く」ってフレーズ、どこかで聞き覚えあるなておもてたけど読んで思い出した。同じ著者ブレイディみかこさんの、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の中で使われてたわ。
相手の立場に立って考える 的な意味やと捉えてるんやけど、その、「エンパシー」について丸々1冊書いた本。
理解出来へんところが多かったという意味で☆は3つ。
ワガママに自分の靴だけ履いてってことをせず、分かるかどうかは置いといて一旦他人の靴も履いて、それで判断する(judge)みたいなプロセス。
頭では分か -
Posted by ブクログ
ブレイディみかこさんの2冊目になりますが、
新年早々に気が緩んでいる時に読む本ではなかった。
終始重苦し過ぎた。
「ぼくは…、ちょっとブルー」は未読なので、ここにどんな子たちが登場していたのか知らない。
本書は小説でフィクション仕立てだが、「ぼくは…、ちょっとブルー」で書けなかった子たちを取り上げたそうだ。
身勝手な親の元に生まれて、日々の食事にも困り、貧困に喘ぎながら生きている子供が主役なので痛々しい。
多くの人が見て見ぬ振りをしているが、現実社会でもかなり近い状況があるのだと、ブレイディみかこさんが訴えかける。
ミア(のような子たち)が、自分の生きている世界を変えられることを願う… -
Posted by ブクログ
ネタバレ欧米は、キリスト教的な考えが基盤にあり、人がただ生きているだけでその権利が認められる文化だが、日本は権利だけを享受することはできない、義務を果たしていないと権利は与えられない、というくだりを読んで、なるほどなあ、と思った。SNSには低所得者にばら撒きをやめろ、とか、専業主婦を叩いたりする声はよく見るし、まさに今の日本をうまく表してるなあと思った。
違う文化の国に住んでいるからこそ、外から見た日本社会を的確に表現している作品だと思った。
これからの日本は、もっと今まで以上に色々なバックグラウンドの人達、多様な価値観をもつ人達が増えてくるだろう。そのとき、シンパシーではなく、エンパシー。他者の靴